アルゼンチン経済情勢(月1回更新)

令和4年5月10日

2021年10月の経済情勢

 

概要

(1)12日、政府は、持続可能なモビリティ法案を発表し、2041年以降内燃機関を搭載した新車の販売を禁止することを明らかにした。 

(2)29日~31日、フェルナンデス大統領は、G20サミットに出席するため伊ローマを訪問し、IMFとの新プログラム交渉に関し各国に支援を求めるとともにゲオルギエバIMF専務理事との会談を行った。


1 経済の主な動き(報道ぶり等)

(1) 1日、亜はガス・プランに基づき、固定価格によるチリ向け天然ガスの輸出を開始した。
(2) 1日、政府は、自動車メーカーによる輸出について、前年度の輸出実績を上回る分に係る輸出税率を免除することを発表した。
(3) 5日、政府・中銀は決議第907/21号を通じ、10月末を期限としてCCL及びMEPによる取引並びに輸入の事前決済を制限する資本規制強化を発表した。
(4) 5日、サルタ州、フフイ州、カタマルカ州及びYPF社は、リチウム資源の権益を守るため「地域リチウム委員会」を設置する協定を締結した。
(5) 8日、カフィエロ外務大臣は、伯ブラジリアにおいてフランサ伯外務大臣と会談し、大宗の物品に係るメルコスール対外共通関税を10%引き下げることで合意した。
(6) 9日、フェレッティ生産開発副大臣(国内通商担当)がエスパニョール前副大臣の後任として任命された。
(7) 11日~15日、グスマン経済大臣は、第76回世銀・IMF年次総会及びG20財務大臣・中央銀行総裁会議に参加するため米ワシントンを訪問し、IMFとの新プログラム交渉に関し各国に支援を求めるとともにゲオルギエバIMF専務理事との会談を行った。
(8) 12日、政府は、持続可能なモビリティ法案を発表し、2041年以降内燃機関を搭載した新車の販売を禁止することを明らかにした。
(9) 12日、政府は決議第700/21号を通じ、12月末を期限として対中国向け14万頭が対象となる牛肉輸出規制を緩和することを発表した。
(10) 13日、マルティネス経済副大臣(エネルギー担当)は、本年中におけるガス及び電気料金の引上げを予定していないことを発表した。
(11) 18日、政府は、ティエラ・デル・フエゴ州産業振興計画を2038年まで15年間延長することを発表した。
(12) 19日、政府は官報を通じ、2030年までを期限とするバイオ燃料法(法律第717/21号)を公布した。
(13) 19日、フェレッティ生産開発副大臣(国内通商担当)は、生活必需品約1500品目について10月1日現在の価格に戻した上で明年1月7日まで維持する措置を発表した。
(14) 28日、中銀は、輸入の事前決済を制限していた決議第907/21号を改正し、11月1日から原産地における事前決済を可能とすることを決定した。
(15) 29日~31日、フェルナンデス大統領は、G20サミットに出席するため伊ローマを訪問し、IMFとの新プログラム交渉に関し各国に支援を求めるとともにゲオルギエバIMF専務理事との会談を行った。

 
2 経済指標の動向
 
(1)経済活動全般
 9月の経済活動指数(INDEC発表)は、前月比1.2%増、前年同月比11.6%増となった。
 
(2)消費:自動車販売
  3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 2021年計
台数 32,359 29,876 28,025 28,187 24,369 26,069 25,700 25,291 273,855
前年比 71.0% 297.7% 39.9% 18.6% 8.4% ▲8.0% ▲26.7% ▲24.1% 13.0%
 
(参考)自動車輸出台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)
  3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 2021年計
台数 22,394 15,848 19,919 22,737 23,177 24,937 25,230 25,938 207,159
前年比 60.8% 564.2% 517.3% 230.7% 141.1% 83.3% 40.9% 74.7% 89.7%
 
(3)工業生産・建設活動
(ア)自動車生産
  3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 2021年計
台数 43,160 29,315 34,953 40,035 31,935 38,362 43,535 41,002 348,414
前年比 125.2% 皆増 627.9% 155.7% 49.8% 48.5% 35.4% 42.8% 79.2%
 
(イ)工業生産
 9月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比10.0%増となった。
 
(ウ)建設活動
 9月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比12.4%増となった。
 
(4)物価
 10月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比3.5%、前年同月比52.1%の上昇となった。
 10月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比2.8%、前年同月比56.4%の上昇となった。
 
(5)金融
(ア)EMBI+指数は、10月末には前月末比105ポイント増の1712ポイントとなった。
(イ)為替レートは、10月末には前月末比1.0%ペソ安の1ドル=99.72ペソとなった。
(ウ)外貨準備高は、10月末には前月末比1億ドル減の428.2億ドルとなった。
 
(6)財政
(ア)財政収支
 10月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比67.2%増、一次歳出が同77.1%増となった結果、基礎的財政収支は2,091.7億ペソの赤字となった。また、総合収支は、2,770.9億ペソの赤字となった。
 
(イ)税収
 10月の税収(経済省発表)は、前年同月比58.7%増の1兆188億ペソとなった。
 
(7)貿易
 10月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比48.4%増の6,848百万ドル、輸入が同31.0%増の5,247百万ドルとなった結果、貿易収支は1,601百万ドルの黒字となった。
(了)
 

 

click