経済情報
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2014年11月アルゼンチンの経済情勢

 

2014年12月作成

在アルゼンチン大使館

 

 

1 概要

 

(1)亜中銀は中国との通貨スワップ協定の第2弾(約5億ドル)を実施した。それにより外貨準備水準は一時287.85億ドルに及んだ。

 

(2)11月INDEC発表のインフレ率は前月比1.1%であったのに対し、民間コンサルタント会社8社推計のインフレ率は、前月比1.86%、前年同月比40.53%の上昇となった。11月末の為替レートは、前年同月比38.94%ペソ安の1ドル=8.5255ペソとなった。

 

 

2 経済の主な動き

 

(1)経済全般

 

(1)経済全般

 2日、米国プロクター・アンド・ギャンブル社が亜国への輸入において不正を行ったとし、AFIPは同社の輸出入業者登録等を一時停止させる措置をとった。

 6日、ホールドアウト問題において亜政府の弁護団は、NMLファンドの弁護士が10月8日にグリエサ判事に出した書簡に対する亜政府の回答として、同判事に、他ホールドアウト債権者からの訴訟(NMLファンド以外のホールドアウトが、パリパス裁判の判決と同じ扱いの適用を請求する訴訟)が25件あり、その総額は約65億ドルにのぼる旨の書簡を出した。

 10日、キシロフ経済大臣及びジョルジ産業大臣は主要自動車メーカーの代表と会合した。その中で、対亜投資を実施している自動車メーカー(トヨタ、GM、ホンダ、メルセデスベンツ及びフォード)に対して、輸入代金支払のためのドル購入の制限を緩和すると伝えた。政府は、今年9月末から、自動車業界全体に対して週あたり2500万ドルの割当を与えているが、今回の決定により、対亜投資を実施している自動車メーカーに対しては年末までに9600万ドルの割当が追加的に付与されることになる。

 17日、G20ブリスベン・サミットの首脳コミュニケの中に国家債務再編プロセスに関する言及が含まれた(本文に「我々は、国家債務再編のプロセスの秩序及び予見可能性を強化するためになされ進展を歓迎する」と書かれたほか、別添により詳しい言及がなされた)ことについて、療養中のフェルナンデス大統領に代わり亜代表として出席したキシロフ経済大臣は、「非常に満足している」と述べた。

 17日、亜中銀は中国との通貨スワップ協定の第2弾(約5億ドル)を実施した。それにより外貨準備水準は一時287.85億ドルに及んだ。

 25日、キシロフ経済大臣は亜建設会議所(CAC)の年次会合に出席し、演説を行った。その中で、財政出動は「経済活動全般を活性化する」ために必要だとし、また、「この先10年間経済成長を続けるためにはインフラ投資を続ける必要がある」と発言した。

 

(2)貿易・通商

 

 24日、中国を訪問中のカサミケラ農牧大臣は、中国が亜からのソルガムの輸入を解禁したと発表した。中国ではソルガムの需要が急増している。(2008年には12,000トンだったのが、現在は100万トン超。)なお、これまでのところ亜のソルガムの主な輸出先は日本(全体の47%が対日輸出)。

 

(3)物価・賃金・労働

 

 17日、国家統計局(INDEC)本年第3四半期の失業率は第2四半期と同じ7.5%を維持したことを発表した。報道では、前年同期の失業率6.8%から7.5%に上昇し、1年間に失業者が9万人増え、雇用が45万人分減少したと報じられている。

 

 

3 経済指標の動向

 

(1)経済活動全般

 

 9月の経済活動指数(INDEC(国家統計局)発表)は前年同月比0.2%減、前月比0.2%増となった。

 

(2)消費

 

(ア)自動車販売

 11月の自動車販売台数(自動車協会(ADEFA)発表)は、前年同月比45.0%減、前月比13.1%減となった。

 

(3)工業生産・建設活動

 

(ア)工業生産

 10月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比2.1%減、前月比0.2%増となった。

 10月の稼働率(INDEC発表)は、前年同月比1.3%減、前月比0.8%増の74.1%となった。

 

(イ)建設活動

 10月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比3.8%増、前月比0.9%増となった。

 

(ウ)自動車生産

 11月の自動車生産台数(ADEFA発表)は、前年同月比12.3%減、前月比10.3%減となった。

 

(4)物価・雇用

 

(ア)物価  

 INDEC発表の全国規模の新しいCPI統計(IPCNu)では、11月のインフレ率は前月比1.1%の上昇とされた。

 これに対し、11月の議会インフレ率(一部の野党議員が発表している民間コンサルタント会社8社の推計を平均した値、首都圏のみの調査に基づく)は、前年同月比40.53%、前月比1.86%の上昇と発表された。11月のブエノスアイレス市発表インフレ率(Ipcba)は、前年同月比39.1%、前月比1.8%の上昇となった。

 11月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前年同月比29.0%、前月比0.9%の上昇となった。

 

(イ)雇用・賃金等

 10月の給与指数(INDEC発表)は、前月比1.56%増となった。

 

(5)金融

 

(ア)Merval指数(株価指数)は、11月末には、前月末比1,211ポイント減の9,808ポイントとなった。

 また、EMBI+指数は、11月末には前月末比17ポイント減の691ポイントとなった。(なお、同指数は、主にドル建て流通国債に対する市場の評価を表すが、亜政府は、2002年以降国外でドル建て新規国債を発行していない(債権交換を除く)ことに留意する必要がある。)

 

(イ)為替レートは、ペソ安となり、11月末には前月末比0.27%ペソ安、前年同月比38.94%ペソ安の1ドル=8.5255ペソとなった。

 コールレートは、11月末には前月末比4.00%増の20.00%となった。民間金融機関預金残高は11月末には9,234億ペソ、対民間貸出残高は11月末には5,777億ペソとなった。

 外貨準備高は、11月末には前月末比8.00億ドル増の289.11億ドルとなった。

 

(6)財政

 

(ア)財政収支

 10月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比25.5%増、一次歳出が同38.6%増となった結果、基礎的財政収支は151.94億ペソの赤字となった。また、総合収支は、207.99億ペソの赤字となった。

 

(イ)税収

 11月の税収(以下、経済省発表)は、前年同月比38.4%増の1018.36億ペソ、付加価値税収が同28.0%増の297.63億ペソ(うち、国内分については同30.0%増、税関分については28.4%増)、法人及び個人に係る所得税収が同61.8%増の247.04億ペソ、輸出税収が同72.3%増の46.17億ペソ、社会保障雇用主負担金が同37.6%増の152.74億ペソとなった。

 

(7)貿易

 

 10月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比16%減の5,967百万ドル、輸入が同14%減の5,606百万ドルとなった結果、貿易黒字は361百万ドルとなった。

 

 

 

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