アルゼンチン経済情勢(月1回更新)

令和4年5月26日

2022年4月の経済情勢

 

<概要>
(1) 13日、INDECは3月のインフレ率(消費者物価指数)を発表し、過去20年間で最高となる前月比6.7%の上昇を記録した。
(2) 18日、グスマン経済大臣は、コモディティ価格の高騰により輸出企業が得た「想定外の収入(renta inesperada)」に課税するため、法人所得税を改正することを発表した。
 


1 経済の主な動き(報道ぶり等)

(1) 5日、上院法制委員会は、海外未申告資産に対する課税によりIMFへの債務返済のための国家基金を設立する法案の審議を開始した。
(2) 7日、政府は、価格統制プログラム(Precios Cuidados+)の期限を7月7日まで延長するとともに、対象商品を約1800品目に拡充した。
(3) 7日、中央銀行は決議第A7488号を通じ、輸入許可申請に新たなカテゴリーを加え、食品、鉱物、燃料油など特定の原材料の輸入について、政府の価格協定の遵守を条件とした。
(4) 8日、フェルナンデス大統領は、アルセ・ボリビア大統領と会談を行い、同国からの1,400万㎥の天然ガス供給の保証について合意した。
(5) 12日、ドミンゲス農牧漁業大臣は、農業生産品に対する輸出税の引上げを今後2年間にわたり行わない旨明言した。
(6) 13日、ゲデス伯経済大臣は、BRICS新開発銀行への加盟候補国として亜を提案する旨発表した。
(7) 13日、INDECは3月のインフレ率(消費者物価指数)を発表し、過去20年間で最高となる前月比6.7%の上昇を記録した。
(8) 13日、中央銀行は、政策金利(LELIQ)を4か月連続で引き上げ、47.0%とすることを決定した。
(9) 15日、サン・フアン州は、加Josemaría Resources社による41億ドル規模の金属資源(金、銀、銅)開発計画を承認した。
(10) 18日、政府は、高インフレによる購買力の低下を受け、年金受給者及び非正規労働者等に対する計18,000ペソの特別ボーナス支給を決定した。
(11) 18日、グスマン経済大臣は、コモディティ価格の高騰により輸出企業が得た「想定外の収入(renta inesperada)」に課税するため、法人所得税を改正することを発表した。
(12) 20日、リオ・ネグロ州は、豪Fortescue社による84億ドル規模のシエラ・グランデ市グリーン水素製造工場建設計画及び同市における経済特区設置計画を承認した。
(13) 21日、フェルナンデス大統領は、ネウケン州バカ・ムエルタ鉱区においてネストル・キルチネル・ガスパイプラン建設計画の始動を記念する式典に出席した。
(14) 22日、グスマン経済大臣は、米ワシントンにおいてゲオルギエバIMF専務理事と会談を行い、第1四半期における財政目標を達成した旨主張した。
(15) 25日、米MMEX Resources社は、ティエラ・デル・フエゴ州リオ・グランデ市におけるグリーン水素・アンモニア製造計画に5億ドルを投資することを発表した。
(16) 29日、フェルナンデス大統領は、コルドバ州の日産アルゼンチン社サンタ・イサベル工場における新型「フロンティア」の発表式典に出席した。本式典には本使も出席した。





2 経済指標の動向
 
(1)経済活動全般
 3月の経済活動指数(INDEC発表)は、前月比0.7%減、前年同月比4.8%増となった。
 
(2)消費:自動車販売
  9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 2022年計
台数 25,700 25,291 27,811 32,723 20,147 25,432 33,827 30,861 110,267
前年比 ▲26.7% ▲24.1% ▲11.5% ▲16.1% ▲26.2% ▲4.7% 4.5% 3.3% ▲5.1%
 
(参考)自動車輸出台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)
  9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 2022年計
台数 25,230 25,938 32,513 19,615 9,298 20,024 24,623 27,431 81,376
前年比 40.9% 74.7% 182.6% 14.0% ▲22.0% 33.0% 10.0% 73.1% 24.8%
 
(3)工業生産・建設活動
(ア)自動車生産
  9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 2022年計
台数 43,535 41,002 46,490 39,849 18,651 37,661 48,746 43,826 148,884
前年比 35.4% 42.8% 42.7% 32.1% ▲23.3% 72.7% 12.9% 49.5% 25.5%
 
(イ)工業生産
 3月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比3.6%増となった。
 
(ウ)建設活動
 3月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比1.9%増となった。
 
(4)物価
 4月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比6.0%、前年同月比58.0%の上昇となった。
 4月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比5.9%、前年同月比51.9%の上昇となった。
 
(5)金融
(ア)EMBI+指数は、4月末には前月末比83ポイント増の1801ポイントとなった。
(イ)為替レートは、4月末には前月末比3.9%ペソ安の1ドル=115.3ペソとなった。
(ウ)外貨準備高は、4月末には前月末比11億ドル減の420.0億ドルとなった。
 
(6)財政
(ア)財政収支
 4月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比90.4%増、一次歳出が同97.4%増となった結果、基礎的財政収支は791.9億ペソの赤字となった。また、総合収支は、1,463.2億ペソの赤字となった。
 
(イ)税収
 4月の税収(経済省発表)は、前年同月比64.0%増の1兆3,416億ペソとなった。
 
(7)貿易
 4月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比35.6%増の8,327百万ドル、輸入が同47.3%増の6,883百万ドルとなった結果、貿易収支は1,444百万ドルの黒字となった。
(了)
 

 

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