アルゼンチン経済情勢(月1回更新)
令和5年6月26日
2023年3月の経済情勢
<概要>
(1)31日、IMF理事会は、亜プログラムの2022年第4四半期の実績を評価する4次レビューを承認し、約54億ドル相当のディスバースメントが即日実施された。
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1 経済の主な動き(報道ぶり等)
(1)3日、亜ビオセレス社は、伯における遺伝子組換え小麦「HB4小麦」の栽培、同小麦粉の生産や商業販売が承認されたことを発表した。
(2)6日、マサ経済大臣は、本年前半に満期を迎えるペソ建て債務の再編のため、7兆ペソ規模のペソ建て債務の債券交換を行うことで民間金融機関と合意したことを発表した。
(3)7日、マサ経済大臣は、ディアス=グラナドス・ラテンアメリカ開発銀行(CAF)総裁と会談を行い、ガスパイプライン事業等に係る8.4億ドルのプロジェクトファイナンスに合意した。
(4)13日、IMFは、亜プログラムの2022年第4四半期の実績を評価する4次レビューについてスタッフレベル合意に達したことを発表した。この際、深刻な干ばつの影響にかんがみ、2023年第1四半期以降の外貨準備蓄積目標を下方修正することが決定された。
(5)16日、亜中央銀行(BCRA)は、政策金利を3%ポイント引き上げ、名目78%とすることを決定した。
(6)21日、国家雇用・生産性・最低賃金評議会は、最低賃金を6月までに26.6%引き上げ、約8.8万ペソとすることを決定した。
(7) 21日、マサ経済大臣は、高騰する並行為替レートへの間接的な介入を目的として、国家社会保障庁(ANSES)等の公的機関に対し、保有するドル建て債券の売却及び新たに発行されるペソ建て債券との交換を義務付けることを発表した。
(8)30日、マサ経済大臣は、ホセ・フェルナンデス米国務次官(経済成長・エネルギー・環境担当)との間でパリクラブ修正合意に基づく二国間協定を締結した。
(9)31日、IMF理事会は、亜プログラムの2022年第4四半期の実績を評価する4次レビューを承認し、約54億ドル相当のディスバースメントが即日実施された。
2 経済指標の動向
(1)経済活動全般
2月の経済活動指数(INDEC発表)は、前月比0.0%減、前年同月比0.2%増となった。
(2)消費:自動車販売
8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 2023年計 | |
台数 | 29,171 | 34,605 | 33,087 | 35,212 | 33,517 | 22,112 | 30,125 | 38,087 | 90,324 |
前年比 | 11.9% | 34.6% | 30.8% | 26.6% | 2.4% | 9.8% | 18.5% | 12.6% | 13.7% |
(参考)自動車輸出台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)
8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 2023年計 | |
台数 | 32,479 | 35,391 | 37,326 | 31,365 | 22,605 | 11,358 | 23,960 | 32,420 | 67,738 |
前年比 | 30.2% | 40.3% | 43.9% | ▲3.5% | 15.2% | 22.2% | 19.7% | 31.7% | 25.6% |
(3)工業生産・建設活動
(ア)自動車生産
8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 2023年計 | |
台数 | 54,057 | 52,193 | 52,415 | 53,378 | 37,119 | 27,184 | 46,286 | 61,104 | 134,574 |
前年比 | 40.9% | 19.9% | 27.8% | 14.8% | ▲6.9% | 45.8% | 22.9% | 25.4% | 28.1% |
(イ)工業生産
2月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比1.4%減となった。
(ウ)建設活動
2月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比6.3%減となった。
(4)物価
3月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比7.7%、前年同月比104.3%の上昇となった。
3月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比5.1%、前年同月比101.9%の上昇となった。
(5)金融
(ア)EMBI+指数は、3月末には前月末比311ポイント増の2276ポイントとなった。
(イ)為替レートは、3月末には前月末比6.0%ペソ安の1ドル=209.0ペソとなった。
(ウ)外貨準備高は、3月末には前月末比4億ドル増の390.6億ドルとなった。
(6)財政
(ア)財政収支
3月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比66.5%増、一次歳出が同72.7%増となった結果、基礎的財政収支は2,579億ペソの赤字となった。また、総合収支は、3,880億ペソの赤字となった。
(イ)税収
3月の税収(経済省発表)は、前年同月比88.3%増の2兆3,369億ペソとなった。
(7)貿易
3月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比22.2%減の5,723百万ドル、輸入が同4.1%減の6,782百万ドルとなった結果、貿易収支は1,059百万ドルの赤字となった。
(了)