アルゼンチン経済情勢(月1回更新)
令和5年6月26日
2023年4月の経済情勢
<概要>
(1)5日、マサ経済大臣は、大豆及び地域経済産品の輸出を対象として1ドル=300ペソの優遇外貨両替レート(通称「農業ドル」)を提供することを発表した。
(3)26日、マサ経済大臣は、亜中通貨スワップ協定を発動し、輸入代金のドル決済から人民元決済に切り替えていく方針を発表した。(2)25日、ブルーレートは1ドル=495ペソで取引を終え、直近1週間のうちに約100ペソ近く上昇した。 |
1 経済の主な動き(報道ぶり等)
(1)3日、マサ経済大臣は、オランダ、ドイツ、カナダ、イスラエル、フィンランド、デンマーク及びオーストリアの計7か国との間でパリクラブ修正合意に基づく二国間協定を締結した。
(2)5日、マサ経済大臣は、大豆(5月末まで)及び地域経済産品(8月末まで)の輸出を対象として1ドル=300ペソの優遇外貨両替レート(通称「農業ドル」)を提供することを発表した。
(3)5日、マサ経済大臣は、Perczyk世界銀行亜事務所長と会談を行い、約3億ドルの融資を伴う教育改善プロジェクトについて合意した。
(4)11日、IMFは、最新の2023年世界経済見通しの中で、亜の経済成長率を2%から0.2%に下方修正するとともに、インフレ率を60%から88%に引き上げた。
(5)13日、マサ経済大臣は、米州開発銀行による約6億ドルの融資を伴う公衆衛生プロジェクトの承認を発表した。
(6)14日、マサ経済大臣は、世銀・IMF春会合に出席するため訪問中の米ワシントンにおいて、ゴピナートIMF筆頭副専務理事と会談を行った。
(7)20日、フェルナンデス大統領は、ラプラタ港において、ラプラタ川流域の各港と大西洋を結ぶマグダレナ水路の浚渫に関する入札式を開催した。
(8)20日、亜中央銀行(BCRA)は、政策金利を3%ポイント引き上げ、名目81%に設定した。
(9)20日、BCRAは、通達第A7746号を通じ、サービス輸入代金支払いに関する規制、有価証券取引を通じた外貨売買に関する規制及びグループ企業間債務の利子送金に関する規制を強化した。
(10)21日、ロジョン経済副大臣(エネルギー担当)は、5月1日から全国の高所得家庭に対するエネルギー関連補助金が全て撤廃されることを発表した。
(11)25日、非公式市中為替レート(通称ブルーレート)は1ドル=495ペソで取引を終え、直近1週間のうちに約100ペソ近く上昇した。これを受け、マサ経済大臣は、ドルの高騰を抑えるための市場介入を命じた。
(12)26日、マサ経済大臣は、亜中通貨スワップ協定を発動し、輸入代金のドル決済から人民元決済に切り替えていく方針を発表した。
(13)27日、BCRAは、政策金利を更に10%ポイント引き上げ、名目91%に設定した。3日、マサ経済大臣は、オランダ、ドイツ、カナダ、イスラエル、フィンランド、デンマーク及びオーストリアの計7か国との間でパリクラブ修正合意に基づく二国間協定を締結した。
2 経済指標の動向
(1)経済活動全般
3月の経済活動指数(INDEC発表)は、前月比0.1%増、前年同月比1.3%増となった。
(2)消費:自動車販売
9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 2023年計 | |
台数 | 34,605 | 33,087 | 35,212 | 33,517 | 22,112 | 30,125 | 38,087 | 33,795 | 124,119 |
前年比 | 34.6% | 30.8% | 26.6% | 2.4% | 9.8% | 18.5% | 12.6% | 9.5% | 12.6% |
(参考)自動車輸出台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)
9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 2023年計 | |
台数 | 35,391 | 37,326 | 31,365 | 22,605 | 11,358 | 23,960 | 32,420 | 30,736 | 98,474 |
前年比 | 40.3% | 43.9% | ▲3.5% | 15.2% | 22.2% | 19.7% | 31.7% | 12.0% | 21.0% |
(3)工業生産・建設活動
(ア)自動車生産
9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 2023年計 | |
台数 | 52,193 | 52,415 | 53,378 | 37,119 | 27,184 | 46,286 | 61,104 | 54,399 | 188,973 |
前年比 | 19.9% | 27.8% | 14.8% | ▲6.9% | 45.8% | 22.9% | 25.4% | 24.1% | 26.9% |
(イ)工業生産
3月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比3.1%増となった。
(ウ)建設活動
3月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比1.2%増となった。
(4)物価
4月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比8.4%、前年同月比108.8%の上昇となった。
4月の卸売物価指数(INDEC発表)、前月比6.9%、前年同月比103.9%の上昇となった。
(5)金融
(ア)EMBI+指数は、4月末には前月末比380ポイント増の2656ポイントとなった。
(イ)為替レートは、4月末には前月末比6.5%ペソ安の1ドル=222.6ペソとなった。
(ウ)外貨準備高は、4月末には前月末比41億ドル減の350.0億ドルとなった。
(6)財政
(ア)財政収支
4月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比64.3%増、一次歳出が同76.8%増となった結果、基礎的財政収支は、3,314億ペソの赤字となった。また、総合収支は、4,074億ペソの赤字となった。
(イ)税収
4月の税収(経済省発表)は、前年同月比90.2%増の2兆5,515億ペソとなった。
(7)貿易
4月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比29.3%減の5,891百万ドル、輸入が同12.6%減の6,017百万ドルとなった結果、貿易収支は126百万ドルの赤字となった。
(了)