アルゼンチン経済情勢(月1回更新)

平成30年4月16日

2018年2月の経済情勢

概要
(1)9日時点で、今年入ってから既にペソは7%近く減価し、インフレ期待を押し上げた。INDECの発表によると2月のインフレ率は前月比で2.4%、前年比で25.4%。
(2)民間コンサルタントによると、公共料金・公共交通機関運賃値上げの影響で3・4月は高インフレかつ消費は横ばい、貿易収支は赤字と予想されている。建設と販売業が経済活動の牽引力。雨不足の農牧業への経済への影響が心配される。

  1 経済の主な動き等
(1)1日、電気、公共交通機関、民間医療保険、有料道路が値上げした。
(2)運輸省はバカムエルタ・シェールガス油田とバイア・ブランカ港を鉄道でつなぐためのロカ貨物鉄道の支線(700キロ)建設のため、国際入札(PPP形式)を準備中。
(3)7日、亜政府は償還期間1年のペソ建て国債を発行した。募入決定額は、予定発行額の約2倍の704.81億ペソとなった。
(4)米株式市場の下落がラ米諸国にも影響し、国債市場で金利が上昇。亜国債がラ米諸国の国債の中で最も価格が下落した。一方で、亜は今年中に必要な借入・起債の大半を既に済ませてしまっているので影響はない、とカプート金融大臣はマクリ大統領に説明した。
(5)9日時点で、今年入ってから既にペソは7%近く減価し、インフレ期待を押し上げた。
(6)民間コンサルタントによると、公共料金・公共交通機関運賃値上げの影響で3・4月は高インフレかつ消費は横ばい、貿易収支は赤字と予想されている。建設と販売業が経済活動の牽引力。雨不足の農牧業への経済への影響が心配される。  

2 経済指標の動向

(1)経済活動全般
 昨年12月の経済活動指数(INDEC発表)は、前年同月比2.0%増、前月比0.6%増となった。  

(2)消費自動車販売
 2月の自動車販売台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)は、前年同月13.8%増、前月比14.4%増となった。  

(3)工業生産・建設活動
(ア)工業生産
 1月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月2.6%増となった。
 1月の稼働率(INDEC発表)は、前月比2.4ポイント減の61.6%となった。  
(イ)建設活動
 1月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比19.0%増となった。 
(ウ)自動車生産
 2月の自動車生産台数(ADEFA発表)は、前年同月比62.8%増、前月比78.8%増となった。  

(4)物価
 2月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比2.4%の上昇、前年比25.4%の上昇となった。
 2月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比4.8%の上昇となった。  

(5)金融
(ア)Merval指数(株価指数)は、2月末には、前月末1927.74ポイント減の33010.90ポイントとなった。
 また、EMBI+指数は、2月末には前月末比31ポイント増の405ポイントとなった。
(イ)2月末の為替レートは、前月末比2.35%ペソ安、前年同月比30.15%ペソ安の1ドル=20.11ペソであった。
 コールレートは、2月末には27.50%となった。対民間貸出残高は2月末には17,225億ペソとなった。
 外貨準備高は、2月末には前月末比5.05億ドル増の615.09億ドルとなった。  

(6)財政
(ア)財政収支
 1月の財政収支(財務省発表)は、歳入が前年同月比16.0%増、一次歳出が同16.1%増となった結果、基礎的財政収支は39.3億ペソの黒字となった。また、総合収支は、258.9億ペソの赤字となった。  
(イ)税収
 2月の税収(以下、財務省発表)は、前年同月比36.8%増の2356.7億ペソ、付加価値税収が同46.3%増の777.05億ペソ(うち、国内分については同42.3%増、税関分については50.8%増)、法人及び個人に係る所得税収が同28.5%増の454.2億ペソ、輸出税収が同424.7%減の56.2億ペソ、社会保障雇用主負担金が同29.0%増の299.7億ペソとなった。  

(7)貿易
 1月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比12.2%増の4,750百万ドル、輸入が同32.2%増の5,736百万ドルとなった結果、貿易赤字は986百万ドルとなった。
(了)

click