アルゼンチン経済情勢（月1回更新）

＜概要＞ （1）3日、政府は中小企業を対象とした融資制度について公立銀行12行と合意したと発表した。支払日が90日以内の小切手と引き換えに、金利29％で貸し出す。 （2）19日、政府は2018年上半期の基礎的財政収支の赤字幅が対GDP比0.9%となり、政府目標1.1%を達成した旨発表した。 （3）23日、パタゴニア産牛肉の対日初出荷に際して、マクリ大統領が日本語で歓迎するツイートを行った。また、26日には、JETRO・日本大使館共催で輸入解禁された日本産和牛を披露するイベントが行われた。

1 経済の主な動き等

（1）中銀公表によると6月末時点のドル預金残高は309億ドル（前月比+9.7億ドル）。一方でペソ預金は9,406億ペソ（前月比▲324億ペソ）まで減少しており、国民のドル選好が鮮明となっている。
（2）2日、メルコスールとEFTAは、ジュネーブでFTA交渉会合を開催。
（3）3日、中小企業を対象とした融資制度について公立銀行12行と合意したと発表した。支払日が90日以内の小切手と引き換えに、金利29％で貸し出す。
（4）3日、ドゥホブネ財務大臣は、上院対外債務委員会でIMF合意について説明し、増税の可能性は否定した。同日、マクリ大統領は、主要農牧団体の代表と会談し、大豆の輸出税の減税スケジュールに変更はないと述べた。
（5）10日の官報（政令第632／2018号）に政府歳出削減のための措置として、公務員の新規採用の凍結（2019年末まで）、海外出張費の削減等が掲載された。
（6）19日、政府は自動車部品の輸入関税を現状の12-14%から2%へ引き下げた。対象は約130品目。国産自動車の価格競争力向上が期待される。
（7）19日、政府は2018年上半期の基礎的財政収支の赤字幅が対GDP比0.9%となり、政府目標1.1%を達成した旨発表。
（8）21、22日、G20財務相中央銀行総裁会議がブエノスアイレスで行われた。同会議出席のため来亜中のラガルド専務理事は21日、ドゥホブネ大臣と共に会見を行い、「アルゼンチンのIMF融資条件達成に疑う余地はない」と明言した。
（9）23日、パタゴニア産牛肉の対日初出荷に際して、マクリ大統領が日本語で歓迎するツイートを行った。また、26日には、JETRO・日本大使館共催で輸入解禁された日本産和牛を披露するイベントが行われた。

2 経済指標の動向

（1）経済活動全般  
　6月の経済活動指数（INDEC発表）は、前年同月比6.7％減、前月比1.3％減となった。

（2）消費：自動車販売 　
　6月の自動車販売台数（自動車生産者協会（ADEFA）発表）は、前年同月比35.8％減、前月比15.8％減となった。

（3）工業生産・建設活動
（ア）工業生産
　6月の工業生産指数（INDEC発表）は、前年同月8.1％減となった。
　6月の稼働率（INDEC発表）は、前月比3.3ポイント減の61.8％となった。
（イ）建設活動
　6月の建設活動指数（INDEC発表）は、前年同月比0.1％減となった。
（ウ）自動車生産
　6月の自動車生産台数（ADEFA発表）は、前年同月比8.6％増、前月比5.1％増となった。

（4）物価 
　7月のCPI統計（INDEC発表インフレ率）は、前月比3.1％の上昇となった。
　7月の卸売物価指数（INDEC発表）は、前月比4.7％の上昇となった。

（5）金融 
（ア）Merval指数（株価指数）は、7月末には、前月末3250.33ポイント増の29287.34ポイントとなった。
　また、EMBI＋指数は、7月末には前月末比44ポイント減の558ポイントとなった。
（イ）7月末の為替レートは、前月末比5.3％ペソ安、前年同月比54.7％ペソ安の1ドル＝27.34ペソであった。
　コールレートは、7月末には39.00％となった。対民間貸出残高は7月末には20,198億ペソとなった。
　外貨準備高は、7月末には前月末比38.85億ドル増の579.96億ドルとなった。

（6）財政
（ア）財政収支
　7月の財政収支（財務省発表）は、歳入が前年同月比22.4％増、一次歳出が同17.4％増となった結果、基礎的財政収支は142.8億ペソの赤字となった。また、総合収支は、623.8億ペソの赤字となった。
（イ）税収
　7月の税収（以下、財務省発表）は、前年同月比23.8％増の2938.9億ペソ、付加価値税収が同42.4％増の914.5億ペソ（うち、国内分については同32.9％増、税関分については68.2％増）、法人及び個人に係る所得税収が同17.7％増の597.0億ペソ、輸出税収が同6.8％減の73.5億ペソ、社会保障雇用主負担金が同20.4％増の515.7億ペソとなった。

（7）貿易
　7月の貿易（INDEC発表）は、輸出が前年同月比1.7％増の5,385百万ドル、輸入が同2.2％増の6,175百万ドルとなった結果、貿易赤字は789百万ドルとなった。

click