アルゼンチン経済情勢(月1回更新)

令和8年10月19日

2026年8月の経済情勢

<概要>
  • 7月のインフレ率(消費者物価指数の上昇率、13日INDEC発表)は前月比2.1%となり、6月の数値(前月比1.9%)を上回った。月間インフレ率は3ヶ月連続の低下から上昇に転じた。
  • 13日、中銀は、ドル建て融資の対象を拡大する方針を発表した。従来の対象外の法人向け融資について、各金融機関の外貨建て預金の15%を上限とする枠組みを設けた。
  • 18日、政府は、RIGIの施行規則を改正し、既存鉄道インフラの更新・輸送能力拡大や技術分野の新製品導入に係る適用要件を明確化した。
  • 27日、中銀基本法改正法案が下院で賛成144票、反対102票、棄権9票により可決され、上院に送付されることとなった。

1 経済の主な動き(報道ぶり等)
  1. 5日、バウシリ中銀総裁及びウェルニング副総裁らは、下院の金融委員会と予算・財政委員会の合同会合に出席し、中銀基本法改正の経済的根拠について説明した。
  2. 6日、アルゼンチン及びエクアドルは、自動車分野の新たな貿易協定に署名した。エクアドル側はアルゼンチン製の内燃機関車及びピックアップトラックの関税を原則10%とし、自動車部品や電気自動車・ハイブリッド車等の対象品目は無税とする。
  3. 11日、エネルギー庁は、ブエノスアイレス大都市圏の送電網を増強するAMBA I計画について、建設・運営・維持管理を担う民間事業者の国際入札を実施する旨発表した。投資見込額は約8億ドルで、新たな送電線約270キロメートル等を整備し、同地域への供給能力を約2,000MW拡大する。
  4. 13日、中銀は、ドル建て融資の対象を拡大する方針を発表した。従来の対象外の法人向け融資について、各金融機関の外貨建て預金の15%を上限とし、自己資本要件及び信用集中規制の算定に1.25倍の係数を適用する。18日付中銀通達A8467で具体的な規制を定めた。
  5. 18日、政府は、政令748/2026によりRIGIの施行規則を改正した。既存鉄道インフラの更新や輸送能力の拡大、技術分野での新製品導入等について、制度の対象となる投資及び既存事業拡張の要件を明確化した。
  6. 19日、鉱業庁は、鉱業投資促進制度に係る手続の見直しを発表した。鉱業投資登録制度の整備、RIGIとの制度間連携、環境保険に係る手続を規定するとともに、鉱物探査に係る付加価値税還付手続を電子化する。
  7. 26日、カプート経済大臣は、住宅ローン向け資金供給制度を発表した。社会保障機関ANSESの持続可能性保証基金(FGS)が最大2兆ペソを金融機関のUVA連動定期預金に預け入れ、初めての住宅の取得・建設・増改築等に係る融資の原資とする。
  8. 27日、下院は、中銀基本法改正法案を賛成144票、反対102票、棄権9票で可決した。同法案は、中銀の機能面・財務面の独立性の強化、通貨価値の維持を主要な使命とすること及び政府への通貨発行による資金供給の制限を柱とする。同日、所得税申告の簡素化等を盛り込む「財政上の無罪推定II」法案も可決され、両法案は上院に送付されることとなった。
  9. 31日、カプート経済大臣及びダサ副大臣は、米国アシュビルで開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議に参加した。カプート大臣は、財政均衡とマクロ経済の安定が持続的成長の基盤であるとし、民間投資の拡大や規制緩和の重要性を強調した。

2 経済指標の動向

(1)経済活動全般

(ア)経済活動指数
6月の経済活動指数(INDEC発表)は、前月比0.3%増、前年同月比3.1%増となった。

(イ)小売販売
6月のスーパーマーケット販売指数(INDEC発表)は、前月比1.3%減、前年同月比3.1%減となった。

(ウ)貿易
7月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比14.1%増の88.5億ドル、輸入が同1.4%減の67.6億ドルとなった結果、貿易収支は21.0億ドルの黒字となった。

(2)製造業・鉱業
(ア)7月の製造業活動指数(INDEC発表)は、前月比5.1%減、前年同月比4.9%減となった。
(イ)7月の鉱業生産指数(INDEC発表)は、前月比3.6%減、前年同月比3.9%増となった。

(3)物価・賃金
(ア)物価
7月の消費者物価指数(INDEC発表)は、前月比2.1%、前年同月比33.8%の上昇となった。
7月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比0.8%、前年同月比31.1%の上昇となった。
7月の貧困ラインは前月比2.2%増の506,381ペソ、極貧ラインは同2.6%増の229,131ペソとなった(ともにINDEC発表)。

(イ)賃金
6月の賃金指数(INDEC発表)は、前月比2.9%、前年同月比35.7%の上昇となった。

(4)金融
(ア)8月末のコールレートは、前月比3.34%減の20.84%となった。
(イ)8月末のマネタリーベースは、前月比2.7%増、前年比7.2%増の47兆4,515億ペソとなった。
(ウ)8月末のペソ建て融資は、前月比2.1%増、前年比33.3%増の106兆5,487億ペソとなった。

(5)為替・外貨
(ア)8月末の外貨準備高は、前月比6.6億ドル増の482.6億ドルとなった。
(イ)8月末の為替レートは、前月比1.4%ペソ安の1ドル=1,509.5ペソとなった。
(ウ)8月末のカントリーリスク指数(EMBI+)は、前月比82ポイント増の512ポイントとなった。
(エ)8月末のドル建て預金は、前月比0.6%増の434.9億ドル、ドル建て融資は前月比2.0%増の254.7億ドルとなった。

(6)財政
7月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比30.4%増、一次歳出が同24.4%増となった結果、基礎的財政収支は2兆9,603.3億ペソの黒字、財政収支は2,449.0億ペソの黒字となった。年初からの累計では財政収支は約1兆7,011億ペソの黒字(GDP比約0.1%)となった。
債務残高(中央政府の総債務)は前月比2.2%増の4,847.2億ドルとなった。
 
                                                   (了)
 

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