2015年2月アルゼンチンの経済情勢
2015年3月作成
在アルゼンチン大使館
概要
(1)中国を訪問したフェルナンデス大統領は、中国企業代表との会合、アルゼンチン・中国企業家フォーラム、習近平中国国家主席とのバイ会談及び合意文書への署名式、及び同主席主催昼食会等に出席した。
(2)2月の国家統計局(INDEC)発表のインフレ率は前月比0.9%であったのに対し、民間コンサルタント会社8社推計のインフレ率は、前月比1.48%の上昇となった。2月末の為替レートは、前年同月比10.74%ペソ安の1ドル=8.7243ペソとなった。
経済の主な動き
(1)2日~5日にかけて、中国を訪問したフェルナンデス大統領は、中国企業代表との会合(3日)、アルゼンチン・中国企業家フォーラム(4日)、習近平中国国家主席とのバイ会談及び合意文書への署名式、及び同主席主催昼食会(4日)等に出席した。また、同行したティメルマン外務大臣、カサミケラ農牧・漁業大臣、キシロフ経済・財政大臣、デビード公共事業大臣は、それぞれ中国側カウンターパートとの会合等を行った。ティメルマン外務大臣は、王毅外交部長とともに、常設二国間委員会を開催し、これまでの両国間の合意の進捗状況のレビューを行った。今次訪問中に、アルゼンチン・中国両国は、二国間戦略的統合委員会強化に関する共同声明、査証、通信、原子力、宇宙、福祉・医療、司法、情報、鉱業分野等における協力促進に向けた22件の合意文書への署名を行った。
(2)3日、デビード公共事業大臣は、ヌル・ベクリ中国国家エネルギー局長兼中国国家原子力カンパニー副社長のとの間で、アルゼンチンにおける4件目の原子力発電所建設プロジェクトに関する合意文書への署名を行った。
(3)4日、フェルナンデス大統領は、滞在先の中国よりテレビ会議を実施し、サンタ・クルス州の「ネストル・キルチネル」及び「ホルヘ・セペルニック」と名付けられた2基のダム建設プロジェクト(中国の融資総額は47億米ドル)の開始を指示した。
(4)10日、ホールドアウト債権者の団体「アメリカン・タスクフォース・アルゼンチン」は、ランダッソ内務・運輸大臣、モレーノ元商業長官、マンスール保健大臣(当時)等、計13名の政府高官の資産が急激に増加したとする報告書を発表した。
(5)25日、臨時国会にて、中国との間で署名された協定2件(経済・投資分野における協力に関する合意、及びネウケン州への宇宙ステーション設置に関する合意)が批准された。
(6)26日、フェルナンデス大統領は、カピタニッチ官房長官に替わり、アニバル・フェルナンデス大統領府長官を後任に任命した。また、ダニエル・ゴジャン(Daniel Gollán)(前保健省地域保健長官)を保健大臣に、エドゥアルド・デ・ペドロ(Eduardo De Pedro)(前下院議員)を大統領府長官に任命した。
経済指標の動向
(1)経済活動全般
12月の経済活動指数(INDEC発表)は前年同月比0.6%増、前月比0.1%増となった。
(2)消費:自動車販売
2月の自動車販売台数(自動車協会(ADEFA)発表)は、前年同月比19.6%減、前月比29.1%増となった。
(3)工業生産・建設活動
(ア)工業生産
1月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比1.8%減、前月比1.1%増となった。
1月の稼働率(INDEC発表)は、前年同月比1.0%減、前月比7.9%減の62.7%となった。
(イ)建設活動
1月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比0.8%増、前月比2.1%増となった。
(ウ)自動車生産
2月の自動車生産台数(ADEFA発表)は、前年同月比13.9%減、前月比78.0%増となった。
(4)物価・雇用
(ア)物価
INDEC発表の全国規模のCPI統計(IPCNu)では、2月のインフレ率は前年同月比18.0%、前月比0.9%の上昇とされた。
これに対し、2月の議会インフレ率(一部の野党議員が発表している民間コンサルタント会社8社の推計を平均した値、首都圏のみの調査に基づく)は、前年同月比31.43%、前月比1.48%の上昇と発表された。2月のブエノスアイレス市発表インフレ率(Ipcba)は、前年同月比30.5%、前月比1.5%の上昇となった。
2月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前年同月比16.8%の上昇となった。
(イ)雇用・賃金等
1月の給与指数(INDEC発表)は、前月比1.96%増となった。
(5)金融
(ア)Merval指数(株価指数)は、2月末には、前月末比1,111ポイント増の9,601ポイントとなった。
また、EMBI+指数は、2月末には前月末比130ポイント減の610ポイントとなった。(なお、同指数は、主にドル建て流通国債に対する市場の評価を表すが、亜政府は、2002年以降国外でドル建て新規国債を発行していない(債権交換を除く)ことに留意する必要がある。)
(イ)為替レートは、ペソ安となり、2月末には前月末比0.98%ペソ安、前年同月比10.74%ペソ安の1ドル=8.7243ペソとなった。
コールレートは、2月末には前月末比11.00%減の15.50%となった。民間金融機関預金残高は2月末には10,007億ペソ、対民間貸出残高は2月末には6,117億ペソとなった。
外貨準備高は、2月末には前月末比0.18億ドル増の314.70億ドルとなった。
(6)財政
(ア)財政収支
1月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比29.9%増、一次歳出が同32.6%増となった結果、基礎的財政収支は14.574億ペソの赤字となった。また、総合収支は、134.63億ペソの赤字となった。
(イ)税収
2月の税収(以下、経済省発表)は、前年同月比31.3%増の1065.57億ペソ、付加価値税収が同25.7%増の310.13億ペソ(うち、国内分については同29.8%増、税関分については1.3%減)、法人及び個人に係る所得税収が同39.7%増の251.65億ペソ、輸出税収が同14.6%減の33.73億ペソ、社会保障雇用主負担金が同35.0%増の166.02億ペソとなった。
(7)貿易
1月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比17.9%減の4,294百万ドル、輸入が同18.8%減の4,221百万ドルとなった結果、貿易黒字は73百万ドルとなった。
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