アルゼンチン経済情勢(月1回更新)
令和5年4月4日
2023年2月の経済情勢
<概要> (1) 2日、亜中央銀行は、新たに2000ペソ紙幣の発行を開始することを承認した。 (2) 15日、農畜産品品質管理機構は、国内で初の高病原性鳥インフルエンザ(H5亜型)の発生が確認されたことを発表した。 |
1 経済の主な動き(報道ぶり等)
(1) 2日、亜中央銀行(BCRA)は、新たに2000ペソ紙幣の発行を開始することを承認した。本年後半頃の流通開始が予定されている。
(2) 3日、マサ経済大臣は、価格統制プログラム「Precios Justos」の対象品目を拡充するとともに、同プログラムを6月末まで延長することを発表した。
(3) 6日、政府は、政令第57/2023号を公布し、輸出品の生産から販売にかかった間接税を輸出者に払い戻すレインテグロ制度の対象からリチウムを除外した。
(4) 10日、マサ経済大臣及びラベルタ国家社会保障庁(ANSES)長官は、最低年金受給者に1.5万ペソの一時金を3か月間支給し、最低年金額を7.3万ペソに引き上げることを発表した。
(5) 13日、マサ経済大臣は、牛肉の価格統制を含む「牛肉生産・消費振興統合プログラム」を実施することを発表した。
(6) 14日、シェル、パンアメリカンエナジー、プルスペトロルの3社によるコンソーシアムは、バカ・ムエルタにおける全長約105キロの石油パイプラインの完成式典を挙行した。
(7) 15日、中国奇瑞汽車(チェリー自動車)は、亜において年間10万台のEV自動車を製造するため、リチウム開発に約4億ドルの投資を行うことを発表した。
(8) 15日、農畜産品品質管理機構(SENASA)は、フフイ州の野鳥から国内で初の高病原性鳥インフルエンザ(H5亜型)の発生が確認されたことを発表し、全国レベルで公衆衛生上の緊急事態を宣言した。
(9) 24日、マサ経済大臣は、印ベンガルールで開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議に出席した。また、同枠組みにおいて、米、印、中、伊、独、仏及び伯の代表者とそれぞれ二国間会談を行った。
(10) 28日、SENASAは、リオ・ネグロ州の商用家きん農場において高病原性鳥インフルエンザの発生が確認されたことを発表し、鶏肉及び鶏卵等の輸出を自粛することを決定した。
2 経済指標の動向
(1)経済活動全般
1月の経済活動指数(INDEC発表)は、前月比0.3%増、前年同月比2.9%増となった。
(2)消費:自動車販売
7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 2023年計 | |
台数 | 29,432 | 29,171 | 34,605 | 33,087 | 35,212 | 33,517 | 22,112 | 30,125 | 52,237 |
前年比 | 20.8% | 11.9% | 34.6% | 30.8% | 26.6% | 2.4% | 9.8% | 18.5% | 14.6% |
(参考)自動車輸出台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)
7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 2023年計 | |
台数 | 22,937 | 32,479 | 35,391 | 37,326 | 31,365 | 22,605 | 11,358 | 23,960 | 35,318 |
前年比 | ▲1.0% | 30.2% | 40.3% | 43.9% | ▲3.5% | 15.2% | 22.2% | 19.7% | 20.4% |
(3)工業生産・建設活動
(ア)自動車生産
7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 2023年計 | |
台数 | 44,033 | 54,057 | 52,193 | 52,415 | 53,378 | 37,119 | 27,184 | 46,286 | 73,470 |
前年比 | 37.9% | 40.9% | 19.9% | 27.8% | 14.8% | ▲6.9% | 45.8% | 22.9% | 30.5% |
(イ)工業生産
1月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比6.3%増となった。
(ウ)建設活動
1月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比2.6%増となった。
(4)物価
2月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比6.6%、前年同月比102.5%の上昇となった。
2月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比7.0%、前年同月比104.3%の上昇となった。
(5)金融
(ア)EMBI+指数は、2月末には前月末比148ポイント増の1965ポイントとなった。
(イ)為替レートは、2月末には前月末比5.5%ペソ安の1ドル=197.2ペソとなった。
(ウ)外貨準備高は、2月末には前月末比27億ドル減の387.1億ドルとなった。
(6)財政
(ア)財政収支
2月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比82.0%増、一次歳出が同89.3%増となった結果、基礎的財政収支は2,281億ペソの赤字となった。また、総合収支は、4,856億ペソの赤字となった。
(イ)税収
2月の税収(経済省発表)は、前年同月比82.3%増の2兆1,263億ペソとなった。
(7)貿易
2月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比18.8%減の5,230百万ドル、輸入が同10.4%減の5,048百万ドルとなった結果、貿易収支は182百万ドルの黒字となった。
(了)