アルゼンチン経済情勢(月1回更新)

平成31年4月16日

2019年2月の経済情勢

<概要>
(1)14日、1月の前月比インフレ率は民間アナリストの予想を上回る2.9%で、12月の2.6%を上回った。前年比インフレ率は、1991年以降最悪の49.3%を記録。
(2)政策金利(Leliq金利)は、年始(59.4%)以来低下し、2月14日時点で43.9%となっていたところ、上記1月インフレ率発表以降反転し、月末時点で50.1%まで上昇した。

1 経済の主な動き等
(1)5日、カントリーリスク指標(EMBI)は、昨年12月27日には最大829ポイントまで悪化したが、今年に入り既に約20%も減少した結果、629ポイントとなり、昨年11月12日の617ポイント以来の低い水準となった。米連邦準備理事会による金利据え置きもあり市場に「ファイナンシャルサマー」が到来し、投資家は「政府による財政政策が中期的・長期的に成果を出し、マクリ政権の再選を期待できる」と予想していると報道された。
(2)12日、2018年正規雇用者の賃金の引き上げ率は30.6%と発表された。国家統計局(INDEC)によると同年のインフレ率は47.6%であり、同年の実質賃金は17%下落した。
(3)14日、1月インフレは民間アナリストの予想を上回る前月比2.9%で、12月の2.6%を上回った。また、2月もインフレの低下は見込めないとしている。前年比で、1991年以来で最悪のインフレ49.3%を記録した。また、政策金利(Leliq金利)は、同インフレ率発表以降下落傾向が反転し、月末時点で50.1%まで上昇した。(年始時点:59.4%、2月14日時点:43.9%)
(4)14日、IMFによるコンディショナリティに応えるべく政府は、バカ・ムエルタ地区におけるシェール・ガス生産に係る補助金削減を発表した。
(5)19日、MSCIのインデックスが発表された。今年5月に亜の新興市場へ格上げが発表されていたものの、昨年からの経済低迷をうけ、亜は新興市場とフロンティア市場の2つのカテゴリーを跨いだ新たなカテゴリーに属することとなった。
(6)アルゼンチン企業のオーガニックラテンアメリカ社は72トンの有機米を日本に輸出し、4月に日本到着予定。アルゼンチン産コメの日本向け輸出は史上初となる。

2 経済指標の動向

(1)経済活動全般  

 1月の経済活動指数(INDEC発表)は、前年同月比7.0%減、前月比0.7%増となった。
 
(2)消費:自動車販売>
2月の自動車販売台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)は、前年同月比58.8%減となった。
  7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 2019年計
台数 46,637 52,224 42,628 37,207 33,095 48,418 30,038 30,404 60,442
前年比 ▲35.8% ▲31.9% ▲44.1% ▲50.0% ▲57.9% ▲46.4% ▲53.4% ▲58.8% ▲56.3%
 
(参考)2月の自動車輸出台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)
  7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 2019年計
台数 25,363 28,068 23,336 22,028 26,048 22,947 7,403 19,431 26,834
前年比 74.7% 59.6% 13.5% 4.0% 36.2% 26,1% ▲28.9% 1.0% ▲9.5%
 
(3)工業生産・建設活動
)自動車生産
2月の自動車生産台数(ADEFA発表)は、前年同月比16.4%減となった。
  7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 2019年計
台数 41,450 49,335 37,267 38,659 36,808 20,475 14,803 32,662 47,465
前年比 8.6% 9.0% ▲20.6% ▲11.8% ▲18.6% ▲38,5% ▲32,3% ▲16.4% ▲22,1%
 
)工業生産
1月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比10.8%減となった。
 
(ウ)建設活動
1月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比15.7%減となった。
 
(4)物価
 2月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比3.8%の上昇となった。
2月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比3.4%の上昇となった。
 
(5)金融
(ア)Merval指数(株価指数)は、2月末には、前月末比5.1%減の34485.8ポイントとなった。
また、EMBI+指数は、2月末には前月末比21ポイント増の697ポイントとなった。
(イ)2月末の為替レートは、前月末比5.3%ペソ安、前年同月比93.9%ペソ安の1ドル=39.00ペソであった
コールレートは、2月末には44.5%となった。対民間貸出残高は2月末には21,632億ペソとなった。
外貨準備高は、2月末には前月末比8.0億ドル減の660.1億ドルとなった。
 
(6)財政
(ア)財政収支
2月の財政収支(財務省発表)は、歳入が前年同月比36.9%増、一次歳出が同32.1%増となった結果、基礎的財政収支は166.6億ペソの黒字となった。また、総合収支は、600.4億ペソの赤字となった。
 
(イ)税収
2月の税収(以下、財務省発表)は、前年同月比40.4%増の3308.9億ペソ、付加価値税収が同33.6%増の1,037.8億ペソ(うち、国内分については同43.2%増、税関分については8.9%増)、法人及び個人に係る所得税収が同52.9%増の694.4億ペソ、輸出税収が同212.9%増の175.9億ペソ、社会保障雇用主負担金が同28.4%増の516.4億ペソとなった。
 
(7)貿易
2月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比4.7%増の4,464百万ドル、輸入が同22.9%減の4,004百万ドルとなった結果、貿易黒字は460百万ドルとなった。
(了)

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