アルゼンチン政治情勢(月1回更新)
アルゼンチン政治情勢(2026年8月)
1 内政
(1)ミレイ政権
●道路整備資金問題
ア 10日、政府は、法律上は国道整備のみに充てられる道路整備資金を、「財政均衡」目的に流用していることを認めた。
イ 10日、パス下院議員(野党)は、道路整備資金の不正流用について連邦司法当局に告発し、政府に対する調査を要請した。
●13日、政府は、2027年の選挙に向けた同盟のため、PROとの共同政治協議会を設立した。
●21日、ブルリッチ議員(与党)はSNSに「一部の層が(経済的に)困難な状況にあることは承知している」と投稿した。変革が「日常生活に実感」できるように「迅速な対応」が必要だと主張した。
●28日、LLAは、リサンドロ・カタラン氏を2027年のトゥクマン州知事選挙における同党候補にしたと発表した。
(2)議会
●3日、休会期が終了し、再開した。
●7日、上院で、私有財産法が可決された。なお、土地法を変更する章、火災管理法を変更する章が削除された。
●中央銀行基本法改正案
ア 12日、下院委員会で、中央銀行基本法改正案が可決された。
イ 26日、下院で、中央銀行基本法改正案が可決された。
●税務無罪推定法案(第ニ番)
ア 12日、下院委員会で、税務無罪推定法案(第ニ番)が可決された。
イ 26日、下院で、税務無罪推定法案(第ニ番)が可決された。
●メルコスールとシンガポール間FTA
ア 12日、下院委員会で、メルコスールとシンガポール間FTAが可決された。
イ 26日、下院で、メルコスールとシンガポール間FTAが可決された。
●14日、ムニョス下院議員(与党)は、「化粧品製品における動物実験の段階的代替に関する法案」を下院に提出した。
●26日、下院で、特許協力条約(PCT)加入法案が可決された。なお、修正があったため、上院へ再送付された。
●26日、下院で、キャッサバ澱粉の付加価値税(VAT)引き下げ案が可決された。
●26日、下院で、スポーツ・娯楽活動における安全対策に関する「ホアキン法」が可決された。
●27日、上院で、裁判官の任命(45件)、検察官の任命(9件)、弁護人の任命(12件)、裁判官の更新(1件)が可決された。
●27日、上院で、ウクライナとの受刑者移送に関する条約、メルコスールのサービス貿易に関するモンテビデオ議定書の改正を承認する条約、チリとの犯罪人引渡し条約、中央当局間の国際司法協力要請の電子的送信に関する「メデジン条約」、EFTA諸国とメルコスール間の自由貿易協定が可決された。
(3)デモ・スト
●水先人問題
ア 3日、政府の港湾コスト削減を目的とする水先案内制度の規制緩和に対し、水先案内人らが無期限の業務停止で反発し、政府は業務再開を命じる通告を出した。
イ 6日、政府は、水先案内・水先人制度の規制緩和を定めた政令の効力を停止し、従来制度を復活させるとともに、関係者との協議会を設置した。
●6日、私有財産法に反対するデモが議会前で行われた。。デモ参加者と警察隊の間で発生した衝突により、12人が拘束され、警察官4人が負傷した。
●7日、聖カエタノの日司祭に合わせてデモ行進が行われた。
●12日及び18日~21日、大学教員組合は、政府が大学資金調達法を遵守していないことに抗議するストライキを行った。
●20日、労働組合は、家計の債務延滞問題に抗議するため、財務省庁舎までデモ行進を行った。
●27日~28日、大学教員及び非教職員は、政府が大学資金調達法を遵守していないことに抗議するためストライキを行った。
(4)その他
●4日、連邦行政訴訟裁判所第3部の判決により、政府に対し大学資金調達法遵守を義務付ける仮処分命令の有効性が確認された。
●4日、ラ・プラタ連邦裁判所は、ナシオン銀行を株式会社に転換した大統領令の停止を確定した。
●11日、連邦裁判所は、サンタフェ州の3つの国道について、政府に対し直ちに修復を行うよう命じ、その劣化について政府に責任があると裁定した。
●12日、裁判官の指名手続きを変更した大統領令の合憲性を問う訴訟が却下された。
●13日、2024年12月に未申告20万米ドルをパラグアイに持ち込もうとし、有罪判決を受けたクエイデル元議員は、控訴を申し立てた。
●13日、最高裁は、2019年にマクリ大統領(当時)が、不公正な競争や誤解を招く広告などを規制した緊急必要大統領令(2019年政令第274号)について、正当な根拠がないとして、無効とする判決を下した。
2 外交
(1)対米関係
●ファーウェイとアルゼンチン企業の協力をめぐる問題
ア 8月初旬、ネウケン州所在のアルゼンチン企業が、在アルゼンチン米国大使館から、中国通信大手ファーウェイとのデータセンター設置契約を締結した場合、安全保障上の理由から同社幹部の米国査証を取り消す可能性があると警告を受けたことが報じられた。
イ 6日、在アルゼンチン中国大使館は、本件について、主権侵害と自由市場原則に反すると非難する声明を発表した。
ウ 12日、キルチネル派は、本件について、駐アルゼンチン・ラメラス米国大使を下院に召喚し、説明するよう求めた。
エ 13日、ラメラス米国大使は、アルゼンチン米国商工会議所のエネルギーサミットの演説で、アルゼンチンに対し、中国の技術を導入しないよう求めた。
オ 19日、ラメラス米国大使は、事前連絡なく、下院への召喚に応じなかった。
カ 20日、当該アルゼンチン企業は、米大使館代表者と会談し、米国企業との商業的な提携の可能性を模索し始めた。
キ 22日、ラメラス米国大使は改めて、Xの投稿で、アルゼンチンに対し、中国の技術を導入しないよう求めた。
●6日、米国大使は、中国のテック企業が中国共産党のためにデータを収集していると警告した。
(2)その他
●2日、在カタール・アルゼンチン大使館は、Xの投稿で、中東への渡航を延期するよう勧告した。
●2日、ミレイ大統領は、メディアインタビューで、スペインの移民問題に言及し、サンチェス政権を批判した。
●ブラジルとの外交問題
ア 3日、ミレイ大統領は、メディアインタビューで、改めてルーラ・ブラジル大統領を非難した。
イ 4日、政府は、ブラジルによる外交関係格下げに遺憾の意を表明するとともに、国家間関係は政治的・個人的事情ではなく国益と国民の利益に基づくべきだと強調した。
●5日、政府は、11月に教皇レオ14世がアルゼンチンを訪問することを歓迎すると表明した。
●6日、政府は、エクアドルの犯罪組織「チョーネ・キラーズ」をテロ組織に指定した。
●6日、政府は、エクアドルと自動車協定・航空サービス協定を含む6件の協定を締結した。
●7日、キルノ外相は、コロンビア訪問中、マルメル=ステネルガード・スウェーデン外相とバイ会談を行った。
●13日、キルノ外相は、中絶反対の「ジュネーブ合意宣言」に署名した。
●13日、米州機構(OAS)の米州人権委員会(IACHR)は、ビジャ・ラ・アンゴストゥラにおけるマプチェ族の土地をめぐる歴史的な紛争でアルゼンチン政府に対し訴訟手続を進めていることを政府に通知した。
●15日、アルゼンチン航空はベネズエラ領空の通過を再開した。
●18日、政府は、コロンビアでの地震発生(8月10日)を受け、同国に人道支援部隊を派遣した)
●ミレイ大統領元顧問をめぐるスキャンダル
ア 18日、ミレイ大統領の元顧問であるフェルナンド・セリメドが、元パートナーに対する暗殺未遂を企てた容疑でボリビアで逮捕された。それ以降、アルゼンチンを含む南米右派政権とセリメド容疑者の関係が注目を浴び、スキャンダル化した。
イ 20日、ミレイ大統領は、暗殺未遂事件に疑問を呈する投稿をリポストした。
●英国の石油タンカー寄港をめぐる問題
24日、ティエラ・デル・フエゴ州政府は、連邦政府が、英国の石油タンカーの同州への寄港を許可したとし、連邦政府を批判した。
25日、政府は、同タンカーの寄港を許可したのは州政府だと反論した。
●25日、政府は、アルゼンチン空軍関係者が、マゼラン海峡を「アルゼンチンの主権」と発言し、チリが正式抗議を表明した件につき、マゼラン海峡に対するチリの主権を認める立場に変更はない旨のプレスリリースを発表した。
●31日、政府は、パラグアイと、「判決の承認及び執行に関する司法共助条約及び子どもの国際的な返還及び安全な帰還に関する条約」に署名した。
(3)要人往来
往訪:
エクアドル:ミレイ大統領、カリーナ・ミレイ大統領府長官、キルノ外相(6日、ノボア・エクアドル大統領との会談)
コロンビア:ミレイ大統領、カリーナ・ミレイ大統領府長官、キルノ外相(7日~8日、デ・ラ・エスプリエジャ・コロンビア大統領就任式出席、同大統領との会談、サール・イスラエル外相との会談、フェリペ6世スペイン王国国王陛下との会談)
米国:カプート経済相(31日~翌月2日、G20会議出席)
来訪:
ベイリー米国連邦捜査局(FBI)副長官(7日、国家情報局(SIDE)当局との会談)
コール米国麻薬取締局(DEA)長官(18日~19日、国際麻薬会議(IDEC)出席)
アグラワル・インド商工省商務次官(24日~25日、アルゼンチン・インドビジネスフォーラム参加)
石井衆議院副議長、落合衆議院議員(25日~28日、キルノ外相との会談、メネム下院議長との会談、及び日亜友好議連との会合)
ゴットマン米通商代表代行(27日~28日、キルノ外相、カプート経済相との会合)
レスカノ・パラグアイ外相(31日、条約署名)
(了)