アルゼンチン政治情勢(月1回更新)

平成29年10月20日

アルゼンチン政治情勢(2017年9月)

2017年10月作成
在アルゼンチン日本大使館
 
1 内政

(1)大統領府・政府:2018年予算法案の下院議会への提出
 15日,ドゥホブネ財務大臣は,2018年予算法案を議会下院に提出した。同法案では,歳入は2兆1,043億ペソ(対前年比+19.0%),一次歳出は2兆4,993億ペソ(同+14.8%),債務償還費を含めた歳出総額は2兆7,832億ペソ(同+16.0%)となり,債務償還費を除く基礎的財政収支は3,950億ペソの赤字,総合収支は6,789億ペソの赤字となっている。(15日時点で1ドル=約17ペソ,1ペソ=約6.5円。)
 
(2)その他:航空労組によるストの実施
 6日,LCCの参入に反対する5つの航空労組によりストが実施された。約150便の国内線及び国際線が欠航となり,乗客約1万5千人の足に影響が出た。
 
2 外交

(1)国連:ミケティ副大統領の第72回国連総会出席
 9月18~21日,マクリ大統領に代わり,ミケティ副大統領が第72回国連総会出席のためNYを訪問した。ミケティ副大統領は一般討論演説において,自由貿易体制の必要性を強調しつつ,メルコスールのFTA交渉では,日本について言及し,関係の強化を訴えた。また,女性の地位向上や障害者対策(注:同副大統領は,交通事故の影響で下半身に障害がある)について強調すると共に,ベネズエラ情勢やフォークランド諸島問題などにも触れたスピーチを行った。また,ミケティ副大統領はトランプ米大統領主催のベネズエラ情勢に関する夕食会(18日)等にも出席した。
 
(2)イスラエル:ネタニヤフ・イスラエル首相のアルゼンチン訪問
 11~12日,アルゼンチンを訪問したネタニヤフ・イスラエル首相はマクリ大統領と首脳会談を実施した他,共同声明を発表した。また,両国の間で,社会保障,税関協力,治安協力協定及びホロコースト関連の資料に関する4つの文書に署名が行われた。
なお,共同声明後に実施された午餐会において,マクリ大統領は,来年1月にはミケティ副大統領が,また,マクリ大統領自身もその数ヶ月後にイスラエルを訪問予定である旨述べた。
 
(3)シンガポール:フォリー外務大臣のシンガポール訪問
 4日,フォリー外務大臣はシンガポールを訪問し,バラクリシュナン・シンガポール外相との会談を行った。同会談において両外相は,技術協力及び三角協力に関する覚書に署名を行った。また,フォリー外務大臣は,バラクリシュナン外相との会談後,在シンガポール亜大使館の再開設に関する式典に出席した。
 
(4)パラグアイ
 ア カルテス・パラグアイ大統領のアルゼンチン訪問
 12日,アルゼンチンを訪問したカルテス・パラグアイ大統領はドミンゲス南米サッカー連盟(CONMEBOL)会長と共に,マクリ大統領と会合を行った。同会合において,亜,パラグアイ,ウルグアイ3国による2030年のサッカーW杯共催を進めていくことについて話し合われた他,インファンティーノ国際サッカー連盟(FIFA)会長と3カ国の大統領とのブエノスアイレスでの会合実現に向けた働きかけを継続していくことに合意した。
 
 イ フォリー外務大臣のパラグアイ訪問
 28日,フォリー外務大臣はパラグアイを訪問し,ロイサガ・パラグアイ外相と会談を行った。両外相は,本年5月に両首脳の間で署名されたヤシレタ二国間公団の債務問題に関する覚書にかかる外交文書に署名を行った。
 
(5)ブラジル:カブレラ工業生産大臣のブラジル訪問
 14~15日,カブレラ工業生産大臣はブラジルを訪問し,ペレイラ伯産業貿易サービス大臣と共に工業生産・貿易委員会会合に出席した。また,14日,両国の工業所有権庁(INPI)間で,工業所有権に関する協力強化を目的とした覚書に署名が行われた。
 
(6)オーストラリア:第1回二国間協議の実施
 5日,当地において,第1回二国間協議が実施された。両国の間で,貿易ミッションの促進を含めハイレベルでの交流を引き続き促進していくことで合意すると共に,原子力,宇宙,南極,ジェンダーの平等,財政,スポーツ及び教育等の分野における新たな協力の可能性についても話し合われた。また,本年12月に亜で開催されるWTO閣僚会議や2018年のG20への協力の他,オーストラリアは,亜のOECD加盟希望に対する支援についても改めて言及した。
 
(7)メルコスール
 ア 第2回メルコスール・EFTA自由貿易協定交渉の実施
 8月29~9月1日,ジュネーブにおいて,第2回メルコスール・EFTA自由貿易協定交渉が行われ,亜からはカルピンティエリ外務次官(米州経済統合・メルコスール担当)が出席した。今次交渉において両者は有意義な意見交換ができた旨評価しており,次回会合は10月16~17日,開催の予定。
 
 イ メルコスール・EU自由貿易協定交渉
 4~8日,ブリュッセルにおいて,メルコスール・EU自由貿易協定交渉が実施され,亜からはレイセル外務副大臣(国際経済関係担当)が出席した。両ブロックは,引き続き年内の実質合意は可能との考えを示しており,次回交渉は,10月2~6日,ブラジリアで開催の予定。
 
(8)EU:亜産バイオディーゼルの関税率引下げ
 19日,EUは亜産バイオディーゼルの関税率を24.6%から,4.5~8.1%に引き下げることを正式に発表した。
 
(9)G20:「U20+」会合の当地開催予定
 4日,ブエノスアイレス市はアルゼンチン国際関係評議会(CARI)と共に実施したセミナーにおいて,ブエノスアイレス市が,世界的にインパクトを与える都市問題について,G20加盟国の市長等と議論する「U20+」会合を2018年にブエノスアイレス市で実施する予定である旨発表した。
 
(10)中国
 ア 原子力発電建設
 1日,リオネグロ州議会は,ヴェレティルネック同州知事により提出された同州内における原子力発電所の建設を禁止する法案を賛成44,反対1で可決した。他方で,ペニャ内閣府官房長官は,「リオネグロ州知事による決定を尊重するが,我々は原発建設に関心があるので,他の候補地を探しているが,おそらくアトゥーチャ(ブエノスアイレス州)になるだろう」と発言した旨報じられた。
 
 イ 苟仲文中国オリンピック委員会会長のアルゼンチン訪問
 14日,苟仲文(Gou Zhongwen)中国オリンピック委員会会長(兼中国国家体育総局局長)がアルゼンチンを訪問し,マクリ大統領と会談を行った。その中で,本年5月(のマクリ大統領の訪中時)に署名された協力協定に従い,2018年に当地で開催予定のユース五輪に向け,中国のサッカー発展のための技術協力について話し合いが行われた。
 
(11)北朝鮮
 ア 北朝鮮の核実験に対する非難声明
 3日,亜政府は,北朝鮮による核実験が新たに実施されたことを改めて強く非難する旨の同日付プレスリリースを発出した。
 
 イ 北朝鮮のミサイル発射に対する非難声明第
15日(亜時間14日),亜政府は,北朝鮮により日本の北海道の上空を通過する弾道ミサイルが新たに発射されたことを改めて強く非難する旨の同日付プレスリリースを発出した。
 
(12)米州開発銀行(IDB):モレノIDB総裁のアルゼンチン訪問
 11~12日,アルゼンチンを訪問したモレノIDB総裁は,カプート金融大臣との会合において,IDBと世銀は9億米ドルにのぼるインフラ開発基金の創設を発表した。また,IDBは技術革新・治安対策等のプログラム,亜国家統計局(INDEC)の統計の強化,透明性強化,サンマルティン鉄道の改修,首都圏の上下水事業等に関する12億8千万米ドルにのぼる対亜融資につき承認した。
 
(13)要人往来
 ア 往訪
●4日:      フォリー外務大臣のシンガポール訪問
●14~15日:  カブレラ工業生産大臣のブラジル訪問
●18~21日:  ミケティ副大統領の米国訪問(第72回国連総会出席)
●28日:     フォリー外務大臣のパラグアイ訪問
 
 イ 来訪
●11~12日:  ネタニヤフ・イスラエル首相
●11~12日:  モレノIDB総裁
●12日:     カルテス・パラグアイ大統領
●14日:     苟仲文中国オリンピック委員会会長
                                    (了)