2010年11月アルゼンチンの政治情勢(内政・外交)
2010年12月作成
在アルゼンチン大使館
T 概要
(1)内政面では,フェルナンデス大統領が,キルチネル前大統領逝去後初めての演説を行い,公務を再開し,シオリ・ブエノスアイレス州知事は,同州の市長等を召集して大規模な会合を設け,フェルナンデス政権への支持を呼び掛けた。ペロン党反キルチネル派及び急進党においては,勢力内の対立等が際立った。2011年予算法案は,買収疑惑問題等により審議が停滞し,同法案が未成立のまま,通常国会は会期末を迎えた。また,フェルナンデス大統領は,企業及び労組への働きかけを積極化し,来年の労使交渉の円滑化を図った。
(2)外交面では,フェルナンデス大統領及びティメルマン外相が,G20サミットへの出席のため韓国を訪問した他,南米諸国連合(UNASUR)首脳会合への出席のためガイアナを訪問した。その他,ティメルマン外相は,ウルグアイを訪問してアルマグロ同国外相と会談し,ウルグアイ川環境モニタリング計画につき合意に至った。
U 内政
1 キルチネル前大統領逝去後のペロン党の動向
(1)キルチネル派
(ア)1日,フェルナンデス大統領は,キルチネル前大統領逝去後初めての演説を行い,通夜等に参列した国民に感謝し,同前大統領を称えた上で,「キルチネル前大統領の功績に恥じない行いをするという大きな責任を感じている」等述べ,同日より公務を再開した。
(イ)同日,ブエノスアイレス州において,シオリ同州知事が,同州のキルチネル派の市長,議員等100名以上を召集し,会合を設けた。同会合において,シオリ知事は,キルチネル前大統領を称えた上で,フェルナンデス政権を支持するよう呼び掛けた。同会合に出席した市長等も,キルチネル前大統領を称え,現政権を支持する姿勢を示した。
(2)反キルチネル派
(ア)2日,ドゥアルデ元暫定大統領,ソラ下院議員,ダス・ネベス・チュブット州知事,ロドリゲス・サア・サンルイス州知事,ロドリゲス・サア上院議員,レウテマン上院議員,プエルタ下院議員等,ペロン党反キルチネル派の主要政治家らが会合を設けた。同会合の出席者の大部分は,ペロン党のキルチネル派と反キルチネル派の協力の可能性を否定した。但し,ソラ下院議員及びダス・ネベス知事は,キルチネル派から対話を持ちかけられた場合には,それに応じる可能性がある旨示唆した。
(イ)10日,レウテマン上院議員は,「政治情勢に関し,ペロン党反キルチネル派の内部で,見解の相違が生じてきた」と述べ,ペロン党反キルチネル派の執行部から離脱する旨発表した。また,同日,ソラ下院議員は,「ペロン党反キルチネル派は危機にある」と述べ,勢力内の結束の欠如等を批判した。
2 急進党の動向
(1)10日,アグアッド急進党下院議員団長及びヒル・ラベドラ下院議員が会談し,アグアッド団長が来年の下院副議長職を引き受け,ヒル・ラベドラ下院議員が来年の急進党下院議員団長職を引き受ける旨合意した。
(2)23日,急進党の上院議員9名が会合を設け,モラレス同党上院議員団長に来年も同職を続投させる旨決定した。但し,コボス副大統領等8名は,同続投に反対し,同会合を欠席した。同日,同8名は,別途会合を設け,来年3月(注:次期通常国会召集時)までに,モラレス団長を同職から辞任させることを目指す旨決定した。モラレス団長の続投を決定した会合に出席したサンス急進党党首は,「重要なことは,モラレス団長を承認するという多数派(注:17名中9名)の決定が下されたことである」と述べた。
3 2011年予算法案
(1)3日,下院予算委員会において,2011年予算法案が審議され,野党による意見書が2つに割れたことから,与党による意見書が多数派として採択され,野党による2つの意見書は少数派として採択された。
(2)10日,下院本会議において本法案が審議されたところ,本法案を予算委員会に差し戻す動議が,賛成票117,反対票112により可決された(注:下院規則第127条は,法案を委員会に差し戻す動議を認めており,同第129条は,同動議の可決に必要な賛成票を過半数と規定している)。
(3)また,同本会議において,カリオ市民連合代表は,与党側が,本法案を可決させるため,一部の野党議員を買収しようとした旨主張し,その他2名の野党議員が,実際に与党側から電話を受け,賛成票を投じるよう要求された旨述べた。
(4)17日,与党は,下院本会議において,本法案の審議を試みたが,定足数不足により休会となった。他方,同日,下院憲法委員会において,上記買収疑惑問題について審議が行われ,上記2名の野党議員が,与党側から買収の申し出があった旨証言を行った。また,同委員会において,委員長を務めるカマニョ下院議員(ペロン党反キルチネル派)が,クンケル下院議員(ペロン党キルチネル派)を殴打し,強く批判された。
(5)19日,ランダッソ内相は,フェルナンデス政権が,本法案の審議のため,通常国会の会期終了後,特別国会を召集することはない旨述べた。
(6)24日,野党は,下院本会議において,本法案を下院予算委員会において審議することを承認するための決議案の可決を試みたが,可決に必要な賛成票は得られなかった(注:下院規則第106条によれば,委員会が議案を審議できるのは11月20日までとされており,同日以後に委員会での審議を行うためには,同審議を承認するための決議案が,本会議において,出席議員の3分の2以上の賛成により可決されなければならないとされている)。
4 国家統計局(INDEC)改革法案
25日,下院本会議において,国家統計局(INDEC)改革法案が審議され,上院可決案に修正が加えられた上で,賛成票131,反対票98により可決され,上院に送付された(注:先議院で可決された法案が後議院で修正された場合,先議院は同法案を再審議し,先議院可決案又は後議院可決案のいずれかを再可決する(憲法第81条))。
5 氷河保護法
2日,サンフアン州連邦判事は,9月に成立し,10月に公布された氷河保護法につき,天然資源に係る法規を定める権限は,中央政府ではなく地方政府にある等の理由に基づき,同州において,同法の主要な6条項を効力停止とする仮処分を下した。
6 緊急大統領令(DNU)による祝日改正
2日,フェルナンデス大統領は,祝日改正を規定する2点の緊急大統領令(DNU)に署名し,3日付官報掲載を以て同令が公布された。同令により改正された祝日は以下のとおり。
(ア)新設された祝日:謝肉祭の月曜日及び火曜日(2〜3月),国家主権の日(11月20日)及び観光目的の祝日(2011年については,3月25日及び12月9日,2012年については,4月30日及び12月24日,2012年については,4月1日及び6月21日)。
(イ)改称された祝日:文化多様性尊重の日(10月12日。改称前は「民族の日」)。
7 労働問題
(1)18日,フェルナンデス大統領は,大統領官邸において,キルチネル前大統領逝去後初めて,モジャーノ書記長と非公式の会談を行った。同会談において,フェルナンデス大統領は,来年の労使交渉につき,法規に則って責任ある行動を取り,交渉を穏和に遂行するよう,モジャーノ書記長に要求した。
(2)同日,大統領府において,フェルナンデス大統領の主催により,石油業界の労使交渉の円滑化を目的とする「社会対話促進のための国家合意」の署名式が開催された。同合意は,石油業界の労使交渉につき,交渉が,法規に則り,平和裡に展開されるよう,中央政府と地方政府の監督下で,労使の対話を維持することを目的としており,中央政府代表(デビード公共事業相及びトマダ労働相),地方政府代表(ダス・ネベス・チュブット州知事,インスフラン・フォルモサ州知事,カンポ・ラパンパ副州知事,サパグ・ネウケン州知事,サイス・リオネグロ州知事,ウルトゥベイ・サルタ州知事及びペラルタ・サンタクルス州知事),企業代表,及び労組代表により署名された。
(3)18〜19日,第16回亜工業連盟(UIA)年次会合が開催され,19日の閉会式には,フェルナンデス大統領,閣僚(ブドゥー経済相,ジョルジ産業相,トマダ労働相,ランダッソ内相及びデビード公共事業相),シオリ・ブエノスアイレス州知事,モジャーノ書記長等が出席した。同式において,フェルナンデス大統領は,「2003年(キルチネル前政権発足年)から現在まで,亜の工業活動は成長してきた。企業及びCGTは,2003年以降の経済モデルに最も強く結び付いてきた2つのセクターであり,自分(フェルナンデス大統領)は,両セクターに好感を抱いている。企業と労働者は,非常に関係が深いがために,対立しがちでもある。所得配分の闘争は,法規に則り,合理性を持って成されなければならない」と述べた。フェルナンデス大統領の上記発言を受け,モジャーノ書記長は,「これは新たな段階の始まりである。中断されてきた対話を再び開始するということである」と述べた。メンデスUIA会長は,「我々全員(企業及び労組の両者)が少しずつ何かを諦めれば,合意は前進する」と述べ,労組との間の合意につき積極的な姿勢を示した。
8 年金特別支給の発表
(1)24日,フェルナンデス大統領は,本年12月の年金支給につき,月額1500ペソ以下の受給者全員を対象に,500ペソの特別支給を上乗せする旨発表した。同発表において,同大統領は,「2003年(注:キルチネル前政権発足年)以来,我々(キルチネル前政権及びフェルナンデス現政権)は,所得再分配という任務を深化させるために,力を注ぎ続けてきた」と述べた。なお,同発表は,大統領府において行われ,コルニデ亜中規模企業連合(CAME)会長,モジャーノ労働総同盟(CGT)書記長,ジャスキー亜労働者連盟(CTA)書記長等が列席した。
(2)上記発表を受け,市民連合は,党コミュニケを通じて,「年金は,政府からのプレゼントという形ではなく,制度化された形で,相応の額が支給されなければならない。今次特別支給は,年金増額法案(注:10月,フェルナンデス政権は,両院で可決された同法案に対し,拒否権を発動した)とは違い,恣意的で気まぐれなものである」との見解を表明した。ピネド下院議員(共和国提案)は,「キルチネル派が,総額350億ペソの増額という野党の提案(注:年金増額法案)を拒絶し,わずか20億ペソの増額を選択したというのは悲しいことである」と述べた。
9 亜労働者連盟(CTA)の内部対立
9月に実施された亜労働者連盟(CTA)書記長選挙の結果を巡り,ジャスキーCTA書記長及びミチェリ同副書記長の間で内部対立が継続されるなか,2日,同対立が解決するまでは,ジャスキー書記長を同職に留める旨命じる労働省令が発出された。ミチェリ副書記長は,「政府は,CTAの法人格を認めていないにも拘わらず,このような措置を取った。ジャスキー書記長は,トマダ労働相の手下である」と述べ,今次労働省決議を批判した。ジャスキー書記長は,「今次労働省決議は,政治的意味を持つものではなく,単に,選挙結果の決着までの事務的な処置である」と述べ,同決議を支持した。
V 外交
1 ウルグアイ
(1)亜・ウルグアイ両政府は,ウルグアイ川管理委員会(CARU)内に設置された科学委員会(亜国人2名,ウルグアイ人2名の科学者により構成)が,11月2日までに環境モニタリングの計画書を提出することで合意していたが,同日,ティメルマン外相は,「亜側の科学者は計画書を提出し,モニタリングの準備を整えている。しかし,ウルグアイからは何も受け取っていない」と述べ,ウルグアイ側が同計画書を提出していないことを批判した。他方,ウルグアイ政府は,「計画書は,両国の科学者の合意に基づいて作成されなければならない」として,亜の提出した計画書を承認しない姿勢を示した上で,計画書の提出期限を10日間延長するよう要求した。亜は,ウルグアイの要求を承認した。
(2)14日,ティメルマン外相は,ウルグアイを訪問してアルマグロ同国外相と会談し,上記モニタリング計画の内容につき交渉したところ,両外相は,同計画の内容につき合意に至った。
(3)16日,CARUは,両国外相の上記合意に基づいて作成された計画書の内容を承認した。同計画書には,UPM社製紙工場の内部に,ウルグアイ川の水質を検査するための設備を設置すること等が記載されており,また,来年1月30日までに設備の設置等を終え,同日より調査を開始するとされている。
2 ウクライナ
3日,Oleksandr Horinウクライナ外務副大臣が訪亜し,ダロット筆頭外務副大臣と会談した。同会談において,両副大臣は,二国間関係強化の重要性を確認するとともに,来年4月,両国の企業関係者と共に会合を設け,両国間の貿易の促進等を図る旨合意した。また,Horin副大臣は,ウクライナが,サルトグランデ・ダム(ウルグアイ川)水力発電所の補強事業への参画に関心を示している旨述べた。
3 カザフスタン
3日,Kairat Umarovカザフスタン外務副大臣が訪亜し,ダロット筆頭外務副大臣と会談した。同会談において,Umarov副大臣は,ダロット副大臣に対し,キルチネル前大統領の逝去に対する弔意を表明したナザルバエフ・カザフスタン大統領発フェルナンデス大統領宛書簡を手渡した他,亜が国立農牧技術院(INTA)を通じてカザフスタンの農業発展に貢献していることに言及した。また,同会談において,両国間の貿易の促進,亜の対カザフスタン投資の促進等につき協議された。
4 カナダ
(1)4日,コセット・カナダ外務副次官が訪亜し,ダロット筆頭外務副大臣と会談した。同会談では,ハイチ等の第三国の支援活動における両国の協力,核及び科学技術の発展における協働等につき協議されたほか,コセット外務副次官は,南米地域における各種合意の形成においてUNASURが果たす役割に対し関心を示した。
(2)11日,フェルナンデス大統領は,G20サミットへの出席のため訪問した韓国において,ハーパー・カナダ首相と会談した。同会談において,(2002年における)固定変動相場制からの離脱及び非対称的なペソ化により,スコティア銀行が亜政府を訴えている訴訟について話し合いが行われた。また,両首脳は,G20に対する両国の貢献等につき意見交換を行った。
5 ブラジル
(1)9日,ダロット筆頭外務副大臣はブラジルを訪問し,パトリオッタ・ブラジル外務次官と会談した。同会談において,12月に予定されている両国首脳会談の準備を行った他,核,宇宙,国防,黄熱病ワクチン生産等における両国の協力等につき協議された。
(2)23日,ガレ国防相は,第9回米州国防大臣会合への出席のために訪問したボリビアにおいて,ジョビン・ブラジル国防相と会談した。同会談において,両国防相は,フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題に関し,亜の立場を支持する旨表明する共同宣言に署名した。ジョビン国防相は,「(英国による)一方的な措置は,国連決議と相容れない」と述べた。
6 G20サミット
(1)10〜12日,フェルナンデス大統領は韓国を訪問し,G20サミットに出席した。同訪問にはティメルマン外相,ブドゥー経済相等が同行した。会議における大統領の演説の概要は以下のとおり。
(ア)現在,亜は,目覚ましい経済成長を遂げていると共に,貿易額も大幅に増加し,国際的に開かれた市場となっている。
(イ)他国に端を発する経済危機の影響を回避するためのセーフティーネットとなり得るものは内需である。こうした観点に基づき,近年の亜政府は,内需刺激策の重要性を主張し,雇用の創出,賃金の上昇,中小企業支援,インフラ投資等の政策を通じて,内需の冷え込みを回避し,これによって経済成長を遂げてきたのである。
(2)なお,会議冒頭,李明博・韓国大統領より,キルチネル前大統領の逝去に対する弔意が表明された。また,その他の各国首脳も,フェルナンデス大統領に対し,弔意を表明した。
7 ロシア
12日,ティメルマン外相は,G20サミットのため訪問した韓国において,ラヴロフ・ロシア外相と会談した。同会談において,両外相は,経済,南極,核セキュリティ及びエネルギー分野における二国間協力の強化等につき協議した。また,両外相は,メドヴェージェフ・ロシア大統領の訪亜(4月)等,本年実施されたロシア要人訪亜の重要性に言及した上で,来年上半期の要人相互訪問の可能性につき協議した。更に,両外相は,両国でそれぞれ開催された二国間外交関係樹立125周年及び亜建国200周年の各種祝賀行事にも言及した。これに加えて,ラヴロフ外相は,キルチネル前大統領の逝去及びブラボ在ロシア亜大使の逝去に対する弔意を表明した。
8 インドネシア
12日,ティメルマン外相は,G20サミットのため訪問した韓国において,マルティ・インドネシア外相と会談した。同会談において,両外相は,G77とG20の連携強化の必要性に係る認識を共有した。また,マルティ外相は,亜がG77次期議長国に選出された際にフェルナンデス大統領により表明された,G20において発展途上国の声を代弁するという亜の姿勢に対し,共感を示した。他方,ティメルマン外相は,フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題に対するインドネシアの一貫した支持に謝意を表明するとともに,インドネシアにおける津波や火山噴火といった近年の天災被害に対する懸念を改めて表明した。また,亜は,来年の第5回FEALAC外相会合の開催国であり,インドネシアはアジア側調整国であるため,両外相はFEALACのアジェンダをレビューした。
9 中国
(1)12〜16日,韓長賦・中国農業部長が訪亜した。同部長は,12日,ドミンゲス農牧相と会談し,二国間関係の強化,及び,協力・貿易・投資を主要なアジェンダとする農業合同委員会の設立につき合意した。ドミンゲス農牧相は,「中国は,世界の主要食料供給国である亜にとって,戦略的パートナーである。我々は,アグロインダストリーの分野において,中国との関係を強化することとした」と述べた。韓部長は,「農業合同委員会は,二国間協力にとって重要であり,世界の農業に貢献することができるだろう」と述べた。
(2)15日,韓部長は,ティメルマン外相及びクレックレル外務副大臣(通商・国際経済担当)と会談し,亜の対中国輸出の多様化及び戦略的分野への共同投資につき協議した。また,同日,同部長は,フェルナンデス大統領を表敬訪問し,同訪問には,ドミンゲス農牧相及びブドゥー経済相が同席した。
(3)29日,ドミンゲス農牧相は中国を訪問し,韓部長等と会談した。同訪中において,亜産牛肉の対中国輸出の再開,亜産大麦の対中国輸出,乳製品の亜中二国間貿易等につき合意に至った。
10 トルコ
23日,ダロット筆頭外務副大臣はトルコを訪問し,シニルリオール同国外務次官と会談した。同会談において,来年1月の両国首脳会談の実施につき協議された。
11 米州国防大臣会合
22〜25日,ガレ国防相はボリビアを訪問し,第9回米州国防大臣会合に出席した。同会合では,(ア)国防制度の現代化,(イ)国防分野における米州諸国の協力,(ウ)米州機構による国防関連会合の開催,(エ)UNASURの枠組みで交渉されている平和・安全・協力に関する議定書等につき協議された。
12 アゼルバイジャン
24〜25日,ダロット筆頭外務副大臣はアゼルバイジャンを訪問し,メメディヤロフ同国外相,Abbasov同国農業相等と会談した。ダロット副大臣は,10月,南米諸国で初めてのアゼルバイジャン大使館が亜に設置されたことに対する祝意等を表明した。
13 南米諸国連合(UNASUR)首脳会合
(1)26日,フェルナンデス大統領は,ガイアナを訪問し,第4回南米諸国連合(UNASUR)首脳会合に出席した。同訪問にはティメルマン外相等が同行した。
(2)本会議に先立ち,キルチネルUNASUR前事務局長の追悼式が行われた。フェルナンデス大統領は,同前事務局長への弔意を表明した各国首脳等に対し謝意を表明した上で,「我々が進み始めていたこの道を再確認し,決して後戻りしないことが,最高の追悼である」等述べた。
(3)今次会合において,各国首脳は,フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題に関し,亜に対する支持を表明する共同宣言に署名した。同共同宣言の概要は以下のとおり。
(ア)マルビナス諸島領有権問題に関し,亜の正当な権利に対する確固たる支持を表明する。
(イ)マルビナス諸島域内における不法な地下資源採掘を目的として,同諸島域に向かう船舶があった場合,同採掘を防止するため,同船舶を亜政府に報告する。
(ウ)亜英両政府が,マルビナス諸島領有権問題の平和的且つ決定的解決を可及的速やかに見出すための交渉を再開することを願う。
(3)また,各国首脳は,民主主義に係る議定書を締結した。同議定書の概要は以下のとおり。
(ア)UNASUR加盟国が,民主主義秩序の崩壊或いはその危機に陥った場合,同国の民主主義の再建につき協議するため,UNASUR臨時首脳会合を開催する。
(イ)上記事態に陥った国に対しては,UNASUR関連機関への参加制限,国境封鎖,貿易や物資供給の制限等の制裁を加える他,同国の民主主義を再建するための外交上の処置を取る。
(ウ)UNASURへの加盟にとって不可欠な条件である,民主的秩序,法治国家制度,基本的人権及び自由を,保護し,促進する。
(4)なお,今次首脳会合を以て,UNASUR議長国は,エクアドルからガイアナに引き継がれた。
14 英国
10月,英国が,フォークランド(マルビナス)諸島域内でのミサイル発射計画を実施する旨亜に通告したことを受け,亜は,同計画が国連決議,国際海事機関(IMO)規約等に違反する旨主張し,IMOにおける協議の実施を要請していたところ,29日,英国において,IMOの海上安全委員会が開催された。同委員会において,ブラジルを始めとする中南米諸国の他,スペイン及び南アフリカが,英国による上記計画を非難する亜の立場に対する支持を表明した。
15 要人往来
(1)往訪
1〜4日 |
クレックレル外務副大臣(通商・国際経済担当)の中国訪問(王超・中国商務部部長助理と会談) |
9日 |
ダロット筆頭外務副大臣のブラジル訪問(パトリオッタ・ブラジル外務次官と会談) |
10〜12日 |
フェルナンデス大統領,ティメルマン外相及びブドゥー経済相の韓国訪問(G20サミットに出席) |
14日 |
ティメルマン外相のウルグアイ訪問(アルマグロ・ウルグアイ外相と会談) |
22〜23日 |
ガレ国防相のボリビア訪問(第9回米州国防大臣会合に出席) |
23日 |
ダロット筆頭外務副大臣のトルコ訪問(シニルリオール・トルコ外務次官と会談) |
24〜25日 |
ダロット筆頭外務副大臣のアゼルバイジャン訪問(メメディヤロフ・アゼルバイジャン外相等と会談) |
25〜26日 |
クレックレル外務副大臣(通商・国際経済担当)のロシア訪問(リャプコフ・ロシア外務次官等と会談) |
25〜26日 |
フェルナンデス大統領及びティメルマン外相のガイアナ訪問(第4回南米諸国連合(UNASUR)首脳会合に出席) |
28日 |
ドミンゲス農牧相のサウジアラビア訪問(バルグナイム・サウジアラビア農業相と会談) |
29日 |
ドミンゲス農牧相の中国訪問(韓長賦・中国農業部長と会談) |
(2)来訪
2〜3日 |
核セキュリティ・サミット関係各国シェルパ(2012年核セキュリティ・サミットのための第1回シェルパ会合に出席) |
3日 |
Oleksandr Horinウクライナ外務副大臣(ダロット筆頭外務副大臣と会談) |
3日 |
Kairat Umarovカザフスタン外務副大臣(ダロット筆頭外務副大臣と会談) |
4日 |
コセット・カナダ外務副次官(ダロット筆頭外務副大臣と会談) |
12〜16日 |
韓長賦・中国農業部長(ドミンゲス農牧相,ティメルマン外相等と会談) |