アルゼンチン政治情勢(月1回更新)

令和4年4月18日

アルゼンチン政治情勢(2022年3月)

2022年4月作成
在アルゼンチン日本大使館



1 内政

(1)政府:
ア IMF債務交渉
 3日、亜政府及びIMFは、交渉中にあった新たな融資プログラムに関するスタッフレベル合意が成立したことを発表した。
イ 国際女性デー記念イベント
 8日、フェルナンデス大統領は、国際女性デー記念イベントに出席した際、「二期目」を示唆する発言を行った。
ウ 大豆・大豆油の輸出に係る措置
 13日、農牧漁業省は、亜の主要輸出産品である大豆紛及び大豆油の輸出を停止し、19日に大豆粉及び大豆油の輸出税率引き上げ並びに小麦価格安定化のためのファドを創設し、12月31日までに輸出税率を33%に引き上げる旨決定した。
エ 製粉業向けの措置
 21日、クルファス生産開発相は、記者会見を開き、小麦の国内価格を安定させるために設立した小麦トラスト(fideicomiso)の詳細説明を行った。22日には、小麦製粉業向けの合計80億ペソの融資制度の創設について発表した。
オ マサ下院議長の動向
 30日、マサ下院議長が率いる刷新戦線は、与党連合の団結を呼びかける一方、大統領派と副大統領派の対立が収束しない場合、与党連合から離脱する旨述べた。
(2)国会:
ア 通常国会におけるフェルナンデス大統領の施政方針演説
 1日、本年の通常国会が開会し、フェルナンデス大統領が約1時間半に亘り、ウクライナ情勢、対IMF債務再編交渉、公共料金及び補助金等の施政方針演説を行った。
イ IMF合意案
 4日、政府は、3日にスタッフレベル合意に至ったIMFとの新プログラムの承認を求める法案を議会に提出した。11日、下院は、IMFの新プログラムの承認を求める法案について一部修正の上、賛成202票、反対37票、棄権13票で可決した。また、本法案に反対する左派系団体のデモ活動が議事堂周辺で行われていたところ、一部が暴徒化し、投石や火炎瓶を投げて、クリスティーナ・フェルナンデス副大統領(上院議長)の執務室のガラスが破損する等議事堂建物への被害が発生した。その後17日、上院は同法案を賛成56票、反対13票、棄権3票で可決した。
(3)その他:
ア ウクライナ国民に対する人道支援における外務省とブエノスアイレス市の協力
 8日、カフィエロ外相はストラファセ・ブエノスアイレス市総務・国際関係長官と会談し、ウクライナ国民に対する人道支援につき協議した。なお、今次会合はそれぞれ連邦政府と首都政府の要職を務める与党幹部と野党幹部との会合としても注目された。
イ 世界大都市気候先導グループ(C40)世界首長サミットの開催決定
 16日付ブエノスアイレス市プレスリリースにおいて、ラレタ・ブエノスアイレス市長はオンライン形式で世界大都市気候先導グループ(C40)議長のカーン・ロンドン市長とともに、本年10月にブエノスアイレス市がC40世界首長サミットをホストする旨発表した。
 
2 外交

(1)日本:
 1日、中谷総理補佐官は、カフィエロ外相と寿府にて会談を行った。
(2)北朝鮮:
 25日、亜外務省は、北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を非難するプレスリリースを発出した。
(3)ロシア:
 4日付当地「ラ・ナシオン」紙は、ウクライナ侵攻に関するロシアの立場を述べたDmitry Feoktistov駐亜露大使の寄稿を掲載した。
(4)ウクライナ情勢:
ア 16日、スタンリー当地米大使の呼びかけにより、各国大使他が当地米国大使館に集合し、当地ウクライナ臨代とともにウクライナ侵攻にかかる国連総会決議への支持を表明する会合が開催された。なお、同会合には、当国政府からマンスール内閣官房長官が参加した。
イ 25日、当地ネットメディア「インフォバエ」は、24日の国連総会に南アが提出した「ウクライナにおける紛争から発生した人権状況」総会決議案を巡り、大統領府及びカフィエロ外相の意向に反し、テタマンティ筆頭外務副大臣が同決議案に賛成票を投じるよう、国連代表部に指示する訓令を打電していたことを報じた。同日、外務省はプレスリリースを発出し、外務省内部の機密通信文書の漏洩に遺憾を表するとともに、亜の立場を決定するに当たり、テタマンティ筆頭外務副大臣とスケフ国連大使との間で緊密な調整が行われていたことを強調した。
(5)フランス:
 22日、グスマン経済相はパリを訪問し、ムーラン仏経済財務省国庫総局長(パリクラブ議長)と会談し、客年6月の共通理解により本年3月までとされていた亜とパリクラブとの債務交渉の期限を6月まで延長することで合意した。23日には、コーマン経済協力開発機構(OECD)事務総長と会談した。
(6)ドイツ・スペイン:
 21~23日、ラレタ・ブエノスアイレス市長は、ドイツ及びスペインを訪問し、ベルリン市長、ドイツメッセCEO、マドリード州知事、マドリード市長、ラ米地域へ関心を寄せるスペイン企業関係者やピケ元外相と会合を行った。
(7)ドミニカ共和国:
 9日、フェルナンデス大統領は、亜を訪問したアビナデル・ドミニカ共和国大統領と会談し、生産・衛生協力協定に署名した。また8日、カフィエロ外相とアビナデル大統領は、亜企業とドミニカ共和国政府関係者との会合を主催した。
(8)ベネズエラ:
 10日付当地主要紙「ラ・ナシオン」は、亜政府が2015年以降空席となっていた駐ベネズエラ大使の職に、ラボルデ(Oscar Laborde)現メルコスール議会副議長を任命する見通しを報じた。
(9)チリ:
 11日、フェルナンデス大統領はチリを訪問し、ボリッチ同国大統領の就任式に出席した他、アルセ・ボリビア大統領及びカスティージョ・ペルー大統領と各々会談した。また同行したカフィエロ外相は、米国、コスタリカ、グアテマラ及びサウジアラビアと各々二国間会談を行った。
(10)アラブ首長国連邦:
 14日、カフィエロ外相はアラブ首長国連邦を訪問し、アブダッラー・ビン・ザイード・アール・ナヒヤーン同国外相と会談した。また同日、両国企業間のネットワーキングイベントに参加し、その後アラブ首長国連邦の基金から亜に対し、2年間で10億ドルの投資が発表された。更に、ドバイ万博及び第2回亜・ア首連合同委員会会合に出席した。なお、当初はフェルナンデス大統領が中東を訪問することが予定されていたが、ウクライナ情勢及びIMFとの合意の議会審議中であることを受け、同訪問が中止された。
(11)イスラエル:
 19日、フェルナンデス大統領は、亜を訪問したギデオン・サアル・イスラエル副首相兼司法相と会談した。
(12)モロッコ:
 4日、カフィエロ外相は、ブリタ・モロッコ外相とオンライン形式で会談した。
(13)G7:
 28日、カフィエロ外相は当地G7大使(仏、独、伊、日、英、米大使、加及びEUは次席)と会合を行い、ウクライナ情勢及び亜経済(含:IMF合意)につき協議した。
(14)カリブ諸国共同体(CARICOM)・中米統合機構(SICA)サミット:
 3日、フェルナンデス大統領は、第4回カリブ共同体(CARICOM)・中米統合機構(SICA)サミットにオンライン形式で参加し、演説の中でウクライナ情勢に言及した。また3日、カフィエロ外相は、米国及び欧州の大半がロシアに対して実施する経済制裁等の措置に参加しないと認めるとともに、亜はロシアとの間に、亜が他国と有しているような強大な経済的相互依存を有していない旨述べた。
(15)国連人権理事会:
 4日、亜は、ジュネーブで開催された国連人権理事会において採択されたロシアの攻撃によるウクライナの人権状況に関する決議に賛成票を投じた。
(16)ラ米・カリブ諸国共同体(CELAC):
 4日、亜外務省は、ウクライナ及び近隣諸国にいるラ米・カリブ諸国共同体(CELAC)加盟国の国民に支援を提供するラ米・カリブ諸国領事拡大ネットワークを発表した。
(17)欧州理事会:
30日、フェルナンデス大統領は、ミシェル欧州理事会議長とオンライン形式で会談した。
(18)要人往来:
ア 往訪
 チリ:フェルナンデス大統領他(大統領就任式)。
 アラブ首長国連邦・サウジアラビア:カフィエロ外相。
 ドイツ・スペイン:ラレタ・ブエノスアイレス市長。
 フランス:グスマン経済相。
イ 来訪
 ドミニカ共和国:アビナデル大統領他。
 イスラエル:ギデオン・サアル副首相兼司法相。
 

(了)