アルゼンチン政治情勢(月1回更新)
令和2年2月1日
アルゼンチン政治情勢(2020年02月)
2020年3月作成
在アルゼンチン日本大使館
1 内政
(1)大統領府・政府:
ア 公的機関職員解雇における倍額解雇補償金の除外
14日付政令第156/2020(公布は17日付官報)で,政府は2019年12月13日付けの政令34/2019の解雇時補償金を2倍とする規定は公的機関職員の解雇にかかる補償には適用しないとした。
イ バステラ農牧漁業大臣と農牧業団体代表者との会合
27日,バステラ農牧漁業大臣は農牧業団体の代表者(アルゼンチン農牧協会:SRA,アルゼンチン農牧連盟:CRA,アルゼンチン農業連合:FAA)と会合し,大豆への輸出税引き上げ等に対する理解を求めた(同会合は,3月3日にも開催されている)。
(2)国会
ア 「外国法の下で発行された公的債務の持続可能性回復」法の成立
5日,上院は「外国法の下で発行された公的債務の持続性回復」法案を全会一致で可決した(下院は1月29日通過済)。同法は,債務に関する交渉を経済省の担当とし,外国裁判所の裁判権をアルゼンチンに拡張することを求める文言及び政府や公共機関の財産差し押さえからの免責要求等を文書に含める権限,公債の持続可能性を回復するための新しい公債発行の経済省の権限等が規定されている。
イ 政治任用外交官の承認
20日,上院は12名の政治任用外交官(米国,ブラジル,ウルグアイ,ペルー,メキシコ,ポルトガル,ブルガリア,イスラエル,パラグアイ,ユネスコ,ALADI,OAS)を承認した。
(3)司法
ア ボナディオ判事の死亡
4日,クリスティーナ・フェルナンデス副大統領が起訴されている賄賂ノート事件等の予審を担当したボナディオ判事が病気のため死亡した。故ボナディオ判事の担当していた事件は,正式な後任者が決まるまで,マルティネス・デ・ヒオルヒ判事が担当する。
イ クリスティーナ・フェルナンデス副大統領への未決拘禁命令の取りやめ
10日,連邦刑事裁判所は賄賂ノート事件に関連するクリスティーナ・フェルナンデス副大統領への未決拘禁命令(実際は議員特権により拘束されてはいない)を逃亡のおそれ無しとの理由から無効とする決定をした。
ウ 司法審議会(Consejo de la Magistratura)長の選出
13日,アルベルト・ルゴネス判事が司法審議会長に選出された。同審議会は,判事や弁護士といった司法関係者の他,国会議員,行政代表,学界等から選ばれた13人の委員によって構成されており,最高裁判所を除く裁判所判事の任命や在任判事のモニタリング等を実施している。
(4)その他
ア 労働組合・社会団体による抗議デモ
11日,社会団体ポロ・オブレーロは,現政権による社会支援(補助金,賃金や雇用等)が不十分だとしてより多くの支援を求め,7月9日通りとインデペンデンシア通りを封鎖しデモ行進を実施した(主催者発表では15,000人参加)。また,12日にはIMFへの抗議のため,CCC,Barrios de Pie等の社会団体や労働組合が国会周辺でデモを行い(主催者発表によれば,約6万人が参加),5月広場周辺ではIMF及び現政権の経済政策への抗議のため,左派によるデモが実施された。
イ ブエノスアイレス州と教職員組合との労使交渉
11日,ブエノアイレス州教員組合が州政府及び連邦政府関係者との労使交渉を開始した。同州では,州債務返済のため給料の増額が延期されており,14日に提示された州政府側の提案に対しても組合側は反発し,合意には至らなかった。組合側は,3月2日の授業開始までに州政府が先払いを実施しない場合にはスト実施を示唆(その後,交渉は継続しつつもストは回避され予定通り授業が開始された)。
ウ 人工中絶合法化を求めるデモ
19日,国会前で安全で無料かつ合法な人工中絶を求めるデモが実施された。これに先駆け,フェルナンデス大統領は,仏訪問時に3月1日の通常国会開会に合わせて,人工中絶合法化法案を提出することを明言している。
エ 2019年の経済成長率の発表
21日,INDECは2019年の経済成長率がマイナス2.1%であったと発表した。前月比の成長率も20か月連続でマイナスとなった。
2 外交
(1)米国:アルグエージョ駐米亜大使の信任状捧呈 6日,アルグエージョ駐米亜大使はトランプ大統領に信任状を捧呈した。報道によれば,同信任状捧呈式は短時間ではあったが,和やかな雰囲気であった由。
(2)ドイツ: フェルナンデス大統領とメルケル首相との会談 3日,ドイツ訪問中のフェルナンデス大統領はメルケル首相と会談し,亜の対外債務問題,二国間関係,南米地域情勢等について話し合った。両首脳は会談後共同記者会見を開き,その後夕食を共にした。フェルナンデス大統領は,同日企業関係者との朝食会やフォルクスワーゲン社訪問等も行った。本訪問には,グスマン経済大臣,ビトベージョ大統領府長官,ソラー外務大臣,ベリス大統領府戦略長官等が同行した。
(3)スペイン: フェルナンデス大統領とフェリペ国王及びサンチェス首相との会談 4日,スペインを訪問中のフェルナンデス大統領は,サンチェス首相と会談した後,昼食を共にし,その後フェリペ6世国王と会談した。ソラー外務大臣及びビトベージョ大統領府長官が同行。
(4)フランス: フェルナンデス大統領とマクロン大統領との会談 5日,フランスを訪問中のフェルナンデス大統領はマクロン大統領と会談し昼食を共にした。両大統領が会談後に行った共同記者会見では、亜の債務問題等についての仏の支援が表明された。また、フェルナンデス大統領は,同日企業関係者と朝食を共にし,トマス・ピケティ教授と面会、パリ政治学院での講演などを行った。大統領にはソラー外務大臣,ビトベージョ大統領府長官,エドゥアルド・バルデス下院議員等が同行した。
(5)バチカン: グスマン経済大臣及びベリス大統領府戦略長官の国際ワークショップ出席 5日,バチカン市国で開催された国際ワークショップにグスマン経済大臣とベリス大統領府戦略長官が出席した。本ワークショップは,1994年に教皇ヨハネパウロ2世によって創設されたPontifical Academy of Social Scienceが主催したもので,フランシスコ教皇,ゲオルギエバIMF専務理事,スティグリッツ米コロンビア大学教授,ジェフリー・サックス米コロンビア大学教授等が出席した。
(6)IMF:ミッションの訪亜 12~19日,IMFの調査ミッションが来亜した。調査は19日まで続いた。
(7)ブラジル:ソラー外務大臣のブラジル訪問 12日,ソラー外務大臣はブラジルを訪問し,ボルソナーロ・ブラジル大統領を表敬、またアラウージョ・ブラジル外務大臣と会談した。ソラー大臣には,ベリス大統領府戦略長官,テタマンティ筆頭外務副大臣,チャベス外務大臣特別補佐官,シオリ次期駐ブラジル亜大使(元ブエノスアイレス州知事)が同行した。
(8)ボリビア: ア モラレス前ボリビア大統領のキューバ訪問
10日,亜に政治亡命中のモラレス前ボリビア大統領は,健康上の理由からキューバに向けて出発し,16日に帰国した。12月に亜に到着してから初めての出国であった。
イ アルセ社会主義運動党(MAS)大統領候補のフェルナンデス大統領表敬
18日,アルセ社会主義運動党(MAS)大統領候補がフェルナンデス大統領を表敬した。
(9)ウルグアイ:タルビ次期ウルグアイ外務大臣の亜訪問 18日,タルビ次期ウルグアイ外務大臣が亜を訪問し、ソラー外務大臣と会談し昼食を共にした。テタマンティ筆頭外務副大臣,チャベス外務大臣特別補佐官,フィルムス副大臣(マルビナス・南極・南大西洋担当),イリバルネ次期駐ウルグアイ亜大使等が同席した。
(10)要人往来
ア 往訪
●(1月30日)~5日 | フェルナンデス大統領,ソラー外務大臣,ビトベージョ大統領府長官等欧州(独,西及び仏)訪問 |
●5日 | グスマン経済大臣及びベリス大統領府戦略長官バチカン訪問(国際ワークショップ参加) |
●12~13日 | ソラー外務大臣,ベリス大統領府戦略長官他ブラジル訪問 |
●22~23日 | グスマン経済大臣サウジアラビア訪問(G20財務大臣会合) |
●12~19日 | IMFミッション |
●18日 | タルビ次期ウルグアイ外務大臣 |
(了)
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