アルゼンチン政治情勢(月1回更新)

令和6年8月28日

アルゼンチン政治情勢(2024年7月)

1 内政

(1)ミレイ政権の動向

●スツルツェネッガー大統領顧問の国家規制撤廃・変革相就任(5日)
ア 5日、スツルツェネッガー大統領顧問は、国家規制撤廃・変革相(Ministro de desregulación y transformación del Estado)に就任した。
イ 国家規制撤廃・変革省は、行政機関の縮小及び公共支出削減、効率化促進のための規制改革、公務員の雇用改革等を含む27分野を所管する。
ウ 同日、スツルツェネッガー大臣は、自身のX投稿の中で、経済自由化に向け更なる立法アジェンダを推進し、多くの規制撤廃に取り組む意向を表明した。また、公正な公務員試験を実施することを発表した。

●自由推進法及び税制パッケージ法の公布(8日)
 8日、自由推進法及び税制パッケージ法が公布された。

●「5月協約」の締結(9日)
ア 9日未明、ミレイ大統領は、トゥクマン市の通称「独立の家(Casa Histórica de la Independencia)」(当館注:1816年にアルゼンチンの独立が宣言された場所)において、閣僚、議員、大統領経験者等の臨席の下、「5月協約(Pacto de Mayo)」の署名式を行い、州知事18名が署名した。
イ 「5月協約」では、(1)私有財産の保障、(2)財政均衡の死守、(3)公共支出の対GDP比25%まで削減、(4)識字教育の充実及び中退者を出さない教育、(5)税制改革、(6)州政府の国庫共同負担の再検討、(7)天然資源開発、(8)労働改革、(9)年金改革、(10)国際貿易に向けた対外開放の10項目が掲げられている。
ウ ミレイ大統領は、本式典の演説で、右10項目を国家の基盤とするため、同協約の各要点を法案化する「5月評議会」の設立を発表した。
エ 18日、フランコス内閣官房長官が議長を務める「5月評議会」の設置が公表された。同議会は、行政府、地方政府、連邦議会上・下院、労組、実業家の各代表6名から構成される。右評議会は、設置から30日以内に運営が開始される。

(2)野党動向

●野党「共和国提案(PRO)」の動き
ア 1日、マクリ元大統領の率いる野党「共和国提案(PRO)」派シンクタンク「Pensar財団」は、ミレイ政権を批判する声明(マクリ党首等の署名入り)を発出した。右声明は、インフレ率低下等の成果を評価する一方、貧困の増加や所得の減少を批判し、政府の脆弱な議会基盤等を指摘している。
イ 4日、PRO党大会が開催され、ブルリッチ治安相(同党大会議長)に代わり、ジェサ下院議員が新議長に就任することが決定した。また、同日、PROのXに、PROは他党に合流せず、ミレイ政権を支持すること等を表明する旨の投稿がポストされた。
ウ 17日、ブルリッチ治安相は、与党「自由の前進(LLA)」は既にPROを吸収しており、PROは2025年中間議会選挙で、ミレイ大統領及びLLAを支持するだろうとの見解を示した。

●ペロン没後50周年記念式典(1日)
 1日、ペロン元大統領没後50周年記念式典がブエノスアイレス州サン・ビセンテ市で開催された。本式典は、キシロフ・ブエノスアイレス州知事が主催したもので、キンテラ・ラリオハ州知事、キルチネル下院議員等が出席した。キシロフ知事は、自身が署名式を欠席した「5月協約」に関し批判した。

(3)経済

●2025年予算法案策定の進捗状況報告書の提出(3日)
 3日、アルゼンチン政府は、2025年予算法案策定の進捗状況報告書を連邦議会に提出した。政府は、同報告書の中で、2025年予算の柱として、(1)財政均衡の維持、(2)仲介を排した社会支援、(3)国家機関の近代化と簡素化、(4)安全保障と防衛装備の近代化の4つの方針を掲げている他、PAIS税(為替アクセス税)を2025年末までに廃止することや、2024年末の公定レートを1ドル=1,016ペソとする見通しを掲げている。

●経済省内の人事改革(10日)
 10日、ビレラ経済副大臣(バイオエコノミー担当)が辞任し、担当部署名も、前政権時の農牧漁業担当経済副大臣組織に変更された。後任には、カプート経済大臣に近いとされる前経済次官(農林生産担当)のイラエタ経済副大臣(農牧漁業担当)が就任した。

●航空分野における改革(10日)
ア 10日、政府は、海外の航空会社のアルゼンチン国内市場参入を許可する等の航空市場の自由化・規制緩和に関する政令を発表した。
イ 同日、航空関連の労働組合幹部等は、諸外国企業の参入は、航空主権が侵害されると批判した他、雇用の喪失や麻薬流入可能性の増大等の懸念を指摘した。
ウ 12日、政府は、国家民間航空局(ANAC)への180日間の政府の介入を決定した。右介入は、同局の運営に関する安全基準の引き上げ、管理プロセスの最適化等を目的としたもの。介入に際し、同局は経済省運輸庁の管轄となる。

●非公式レートの上昇(12日)
 12日、非公式レートは一時1ドル=1.500ペソまで上昇した。右への対応策として、13日、ミレイ大統領及びカプート経済相は、中銀がMULC市場でドルを買う際に供給されるペソをCCL市場でドルを売却することで同額を吸収し、市場に流通するペソの量を一定にするという措置を発表した。

(4)治安

●連邦情報局(AFI)の組織改革(15日)
ア 15日、アルゼンチン政府は、アルゼンチン連邦情報局(AFI)の解散及びアルゼンチン国家情報庁(SIDE)の設置を発表した。SIDEの新長官には、ネイフェルトAFI監査官が就任する。
イ SIDEは大統領直属の機関で、(1)国家安全保障局(ASN)、(2)アルゼンチン情報局(SIA)、(3)連邦サイバーセキュリティ局(AFC)、(4)内部監察局(DAI)の下部組織を統括し、政府に対し重要な情報提供を行う他、治安省犯罪情報局(DNIC)、国防省軍事戦略局(DNEI)の業務調整と予算管理等も担当する。
ウ 19日、政府は、政令656/24号により、SIDEに対し、1.000億ペソの予算を分配することを決定した。
 
2 外交

(1)ミレイ大統領の動静

●ミレイ大統領のブラジル訪問(7日)
ア 7日、ミレイ大統領は、ブラジルのサンタカタリーナ州カンボリウ市を訪問し、ボルソナーロ前ブラジル大統領と会談した。本会談には、ブラジル側より、エドゥアルド・ボルソナーロ・ブラジル連邦下院議員、フレイタス・サンパウロ州知事、メロ・サンタカタリーナ州知事が同席した。
イ 同日、ミレイ大統領は、カンボリウ市で開催された第5回保守政治活動協議会(CPAC)で演説し、社会主義を批判し、規制緩和の重要性を強調した。また、ボルソナーロ前大統領が現政権から司法的迫害を受けていると擁護した一方、ルーラ・ブラジル大統領に対する名指しの批判は避けた。

●ミレイ大統領の米国アイダホ州サンバレー市訪問(13日)
ア 13日、ミレイ大統領は、米国アイダホ州サンバレー市を訪問し、マイクロソフト社創業者のビル・ゲイツ氏、ベゾス・アマゾン社CEO等を含む有力企業幹部が多数参加する会合に出席し、国際情勢等に関し25分間演説した。
イ ミレイ大統領就任後5度目となる今次訪米には、カリーナ・ミレイ大統領府長官、カプート経済相、レイデル大統領経済諮問委員会委員長が同行した。

●ミレイ大統領の訪仏(26日)
ア 26日、ミレイ大統領は、仏を訪問し、マクロン仏大統領と会談した。本会談で、ミレイ大統領は、仏の、IMF理事会におけるアルゼンチンに対する支援や、OECD加盟等の国際的な機関の加入における支援に謝意を表した。
イ ミレイ大統領は、マクロン大統領に対し、現政権の改革の内容やその成果を説明し、大型投資奨励制度(RIGI)導入で期待される効果を強調した。
ウ マクロン大統領は、15日のコパ・アメリカ優勝時、アルゼンチン代表が仏を侮辱する歌を歌ったとされる問題につき言及し、同席していたカリーナ・ミレイ大統領府長官に対し、本件に関する同長官の対応に謝意を表した。
エ この他、双方は、軍事協力、EU・メルコスールFTA等につき協議した。
オ 同日、ミレイ大統領は、パリ五輪開会式に出席した。

(2)モンディーノ外相の動静

●メルコスール首脳会合等への出席(7~8日)
ア 7日、モンディーノ外相は、アスンシオンで開催された第64回メルコスール共同市場理事会(CMC)に出席した。本会合で、同外相は、メルコスールが抱える比較的高い対外共通関税等の問題点を批判し、右状況に対し、アルゼンチンが、関税の包括的な見直しのためのガイドラインを提示する意向を表明した。
イ 7日、モンディーノ外相は、メルコスール加盟国・準加盟国会議に出席した。本会合で、同外相は、人身売買や麻薬密売等の国境を越えた脅威に対し、情報協力に基づき、テロ対策や国境管理等を含む地域的な安全保障協力を提案した。
ウ 8日、モンディーノ外相は、メルコスール首脳会合に出席した。本会合で、同外相は、現行のメルコスールが過剰な規制を設けている点を批判した。
エ なお、7日、モンディーノ外相は、パガニーニ・ウルグアイ外相と会談し、「緊急時における国境を越えた陸路、河川、空路による医療支援及び医療搬送に関する議定書」に署名した。

●ミラ・エルサルバドル外務副大臣との会談(26日)
 26日、モンディーノ外相は、アルゼンチンを訪問したミラ・エルサルバドル外務副大臣と会談した。同外相は、同外務副大臣に対し、ミレイ大統領発ブケレ・エルサルバドル大統領宛のアルゼンチン公式訪問に関する招待状を手交した。また、双方は、「原子力の平和利用に関する協力協定」に署名した。

(3)ベネズエラ大統領選挙
●ベネズエラ大統領選挙結果を否定するアルゼンチン外務省声明(29日)
ア 29日、アルゼンチン外務省は、28日のベネズエラ大統領選挙結果に関し、マドゥーロ同国大統領の勝利を宣言する同国政府の声明を拒否し、同大統領がベネズエラ国民の意思を無視したと非難する声明を発出した。同声明で、アルゼンチン外務省は、ベネズエラ野党が投票記録にアクセス出来ることが重要であるとし、当局に対し、国際人権B規約(特に第25条)の尊重を要請している。
イ また、同声明で、アルゼンチンは、ベネズエラでのこうした不正行為及び政治的・人道的状況を憂慮し、自由、民主主義、人権の原則に基づきベネズエラ国民を支持し、国際社会に対し不正な選挙結果を拒否するよう呼びかけた。
ウ 29日、ミレイ大統領は、自身のX上に、ベネズエラを非難し、同国の野党候補が圧倒的な差で勝利していることを指摘するとともに、同国の軍隊が民主主義と民意を守ることを期待する内容をポストした。

●ベネズエラ大使館に対する電力供給遮断を拒否する外務省声明(30日)
ア 29日、ベネズエラ政府は駐アルゼンチン・ベネズエラ大使を召還し、同国に赴任しているアルゼンチン外交団に対し国外退去を通告した。
イ 30日、アルゼンチン外務省は、ベネズエラ政府に対し、駐ベネズエラ・アルゼンチン大使館に対する電力供給遮断等の嫌がらせ行為に抗議し、外交団に対する接受国の義務の遵守を求める声明を発出した。

●モンディーノ外相の米州機構(OAS)緊急会合への出席(31日)
ア 31日、モンディーノ外相は、米国ワシントンで開催された、ベネズエラ大統領選挙に関する米州機構(OAS)緊急会合に出席した。
イ モンディーノ外相は、オンライン上で確認できる選挙結果ではベネズエラ野党が圧倒的であるとして、OASによる対応を主張した。また、同外相は、駐ベネズエラ・アルゼンチン大使館で庇護されている亡命希望者6名の身の安全及び国外への安全な出国が確保されていない状況を強調し、アルゼンチン外交団の国外退去通告を含めた、ベネズエラ政府の対応を批判した。
ウ また、モンディーノ外相は、ベネズエラ政府による駐ベネズエラ・アルゼンチン大使館に対する嫌がらせ行為に関し、外交使節団の公館に対する接受国の義務を強調した。

●アルゼンチン政府のベネズエラ情勢に関するその他の対応(8月以降)
ア 29日のベネズエラ政府の通告により、駐ベネズエラ・アルゼンチン大使館に勤務するアルゼンチン外交団は、8月1日付で同国を離任した。
イ その後は、アルゼンチン政府の要請により、ブラジル政府が、外交関係に関するウィーン条約及び領事関係に関するウィーン条約に基づき、アルゼンチン外交使節団の敷地、物品、公文書管理ならびにアルゼンチンの利益とベネズエラ国内のアルゼンチン国民の利益の保護を担うこととなった。
ウ こうしたブラジル政府の対応に関し、アルゼンチン政府(外務省声明)及びミレイ大統領(X上)がそれぞれ謝意を表した。
エ 7日、アルゼンチン政府は、ベネズエラ大統領選挙の勝者を、ゴンサレス・ウルティア同国野党候補であると結論づける声明を発出した。また、アルゼンチン政府は、右声明の中で、ベネズエラ政府に対し、駐ベネズエラ・アルゼンチン大使公邸の電力供給の再開を改めて要請した。

(4)イスラエル・パレスチナ情勢

●ハマスをテロ組織と認定する宣言(12日)
ア 12日、アルゼンチン大統領府は、ハマスを国際テロ組織と宣言する声明を発出した。右声明は、ハマスの、昨年10月7日のイスラエルへの攻撃における残虐行為の責任の他、イランとのつながりを指摘している。
イ 同日、アルゼンチン外務省も声明を発出し、ハマスをテロ組織と宣言するとともに、テロ行為及びその資金調達に関連する個人及び団体の公式登録簿(RePET)に掲載するよう命じた。
ウ 今回の宣言に関し、13日、ヘルツォグ・イスラエル大統領は自身のXで、ミレイ大統領に謝意を表した。
エ 同日、パレスチナ現地メディアは、本声明の、ハマスをテロ組織とする分類はミレイ大統領の偏見であり、イスラエルのガザ地区攻撃を正当化するものだとして、本宣言の撤回を求めるハマスの声明をXに投稿した。
オ また、13日、カナニ・イラン外務省報道官は、同テロ事件へのイランの関与に言及した上記声明を非難し、アルゼンチン当局に対し、イランに対する敵対的な発言や行動は避けるよう求めた。
カ 14日、イラン政府系メディア「テヘランタイムズ」は、イランのイスラエル共済組合(AMIA)会館爆破テロ事件への関与を否定するとともに、イランが、アルゼンチンの反イラン政策を受け「適切なタイミング及び場所でイランへの敵意を後悔させる」と述べている旨明らかにした。

●ミレイ大統領の反テロサミット出席(17日)
 17日、ミレイ大統領は、ブエノスアイレス市内で開催された、安全保障及びテロ対策に関する国際会議(世界ユダヤ人会議及びラテンアメリカ・ユダヤ人会議が主催)に出席した。本会合には、ラカジェ・ポウ・ウルグアイ大統領、ペーニャ・パラグアイ大統領等が出席した。なお、同日、本会合に先立ち、ミレイ大統領は、ラカジェ・ポウ・ウルグアイ大統領と会談した。

●ミレイ大統領のAMIA会館爆破テロ30周年記念式典出席(18日)
ア 18日、ミレイ大統領は、イスラエル共済組合(AMIA)会館爆破テロ30周年記念式典に出席した。本式典には、同大統領や政権関係者の他、ラカジェ・ポウ・ウルグアイ大統領、ペーニャ・パラグアイ大統領等が出席した。
イ 本式典における演説の中で、リネツキーAMIA会長は、事件解決が進まないことに関して司法関係者や議会を批判した他、2023年10月7日のハマスによるイスラエルへの攻撃の際、様々な支援が不足していたとして、ユニセフや赤十字等の国際機関や人権団体等の社会団体を批判した。
ウ 同日、ヘルツォグ・イスラエル大統領は、自身のXで、右式典へのミレイ大統領等大統領3名の出席及びイスラエル国民への連帯に謝意を表すとともに、本件の公正な判決と、事件の責任者の起訴を求める声に賛同の意を表した。
エ 同日、バイデン米大統領は、アルゼンチン政府に送付した書簡を発表した。
オ なお、右式典に先立ち、ビジャルエル副大統領(15日)及びモンディーノ外相(18日)は、米国の複数のユダヤ人機関(主要米国ユダヤ人団体会長会議、米国ユダヤ人委員会等)の幹部と会談した。

●イスラエル北部に対する攻撃への非難(27日)
 27日、アルゼンチン外務省は、同日のゴラン高原におけるテロ攻撃を非難し、イスラエルとの連帯を確認する声明を発出した。

(5)対中動向

●第1回ラテンアメリカ中国学会開催(15~17日)
ア 15~17日、三日間の日程(15日:国立ブエノスアイレス大学、16日:国立ラヌース大学、17日:国立ホセ・C・パス大学)で、第1回ラテンアメリカ中国学会が開催された。本学会は、中国とラ米地域の共同発展をテーマに、右三大学と北京語言大学の世界中国学センターとの共催で行われた。
イ 15日、Wang Wei駐アルゼンチン中国大使、バカ・ナルバハ前駐中国アルゼンチン大使、Xu Boafeng(徐宝峰)北京語言大学教授等の出席の下、開会式が行われ、会期中には、各種パネルディスカッションや協定の署名等が実施された。
ウ また、最終日の閉会式には、キシロフ・ブエノスアイレス州知事(ペロン党)が出席した他、国立ホセ・C・パス大学に新たな中国研究センターの設立、及びオンラインでの中国関連政策に関する修士課程創設が発表された。

●コルネホ・メンドーサ州知事とWang Wei中国大使の会談(24日)
 24日、コルネホ・メンドーサ州知事(UCR)は、Wang Wei駐アルゼンチン中国大使及び主要な中国企業幹部と、投資機会及び通商関係強化に関し会談し、中国側から、同州における持続可能なエネルギー開発への関心が伝達された。

●カリーナ・ミレイ大統領府長官の当地中国大使との会談(30日)
 30日、カリーナ・ミレイ大統領府長官は、Wang Wei駐アルゼンチン中国大使を往訪し会談した。本会合で、双方は、二国間関係及び二国間の経済・貿易関係につき協議した。本会合には、スカレスカ・アルゼンチン投資・貿易促進庁(AAICI)長官が同行した。

(6)その他

●ロシア軍によるウクライナ空爆を非難する外務省声明(8日)
 8日、アルゼンチンは、外務省声明を通じ、ロシア軍によるウクライナ空爆を非難し、ロシアに対し、ウクライナでの軍事行動の停止等を要請した。また、犠牲者及びその家族に対し、アルゼンチンの連帯を表明した。

●フォークランド(マルビーナス)諸島における英国軍の軍事演習(12日)
 12日、「フォークランド諸島防衛軍(FIDF)」(当館注:フォークランド(マルビーナス)諸島で有志により運営されている地元の防衛部隊であり、英国軍と協力して島の治安維持活動に従事している)は、フォークランド(マルビーナス)諸島において、スコットランド王立連隊第2大隊ルーレマン歩兵中隊(2SCOTS)、英国空軍、英国海軍との同諸島横断演習を終了した。

●トランプ前米大統領襲撃に係る大統領府声明(13日)
ア 13日、アルゼンチン大統領府は、同日に発生したトランプ前米大統領に対する襲撃を非難する声明を発出した。右声明では、ミレイ大統領による本件に対する強い非難が表明された他、アルゼンチンの、自由、民主主義、西側諸国の価値観を守るという揺るぎないコミットメントが改めて表明され、国際社会に対し団結が呼びかけられた。
イ 今次襲撃事件に対しては、ミレイ大統領が、自身のXで改めて事件への非難及びトランプ前米大統領に対する支持を表明した他、ミレイ政権閣僚や野党ペロン党関係者も、X上で襲撃を非難する内容を投稿した。

●コパ・アメリカ優勝後の仏との軋轢(15日)
ア 15日、サッカーのアルゼンチン代表であるフェルナンデス選手が、コパ・アメリカ優勝時に、フランス人に対する人種差別的な内容の歌をうたう動画をSNSに投稿したとして批判されていた件につき、17日、ビジャルエル副大統領が自身のXに、仏の過去の植民地主義を非難し、同選手を擁護する内容を投稿したため、18日、カリーナ・ミレイ長官が当地仏大使を往訪し、直接謝罪した。
イ また、本件に関し、ガロ内務次官(スポーツ担当)が、自身のXに、アルゼンチン代表キャプテンであるメッシ選手も仏に謝罪すべきと発言したことに対し、アルゼンチン政府は、政府がスポーツ代表選手の言動に介入すべきではないと批判。19日、政府はガロ次官の辞任を発表した。

●ブラジル政府によるビテッリ駐アルゼンチン・ブラジル大使召還(15日)
 15日、ブラジル政府は、ミレイ大統領がメルコスール首脳会合を欠席し、ブラジルでボルソナーロ前ブラジル大統領等と会談したことを受け、ミレイ政権との関係改善に向けた協議のため、ビテッリ駐アルゼンチン・ブラジル大使を召還した。ブラジル到着後、ビテッリ大使はルーラ・ブラジル大統領及びヴィエイラ・ブラジル外相と会談した。

(7)要人往来一覧

ア 往訪
 ブラジル:ミレイ大統領、ペトリ国防相(6日)
 パラグアイ:モンディーノ外相(7~8日、メルコスール首脳会合)
 米国:ミレイ大統領、カリーナ・ミレイ大統領府長官、カプート経済相(13日、企業関係者との会合)、モンディーノ外相(31日、OAS緊急会合)
 仏:ミレイ大統領、カリーナ・ミレイ大統領府長官(26日)

イ 来訪
 ウルグアイ:ラカジェ・ポウ大統領(17、18日、反テロサミット等)
 パラグアイ:ペーニャ大統領(17、18日、反テロサミット等)
 エルサルバドル:ミラ外務副大臣(26日、二国間協議)

(了)

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