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2009年4月アルゼンチンの政治情勢(内政・外交)

2009年5月作成
在アルゼンチン大使館

 

.概要


(1)内政面では、28日、6月28日に実施される連邦議会選挙等に候補者を擁立する予定の選挙連合の登録が締め切られた。また、ミケッティ・ブエノスアイレス副市長が、連邦下院選挙に出馬するため辞任した。


(2)外交面では、フェルナンデス大統領は、第2回金融・世界経済に関する首脳会合に出席するため英ロンドンに、第5回米州首脳会議に出席するためトリニダード・トバゴに訪問した。また、タイアナ外相は、「南極条約50周年記念閣僚会合」に出席するため米ワシントンを訪問し、クリントン米国務長官とも会談を行った。他方、ルーラ伯大統領、ルゴ・パラグアイ大統領、モラレス・ボリビア大統領、フェルナンデス・チリ外相等が亜を訪問した。

 

II.内政


1.連邦議会選挙に向けた与野党の動向


(1)ペロン党


 7日、シオリ・ブエノスアイレス州知事(任期07〜11年)は、知名度の高い現職首長を選挙に出馬させるというキルチネル前大統領(ペロン党党首)の選挙戦略(注:現職首長が当選しても議員には就任せず現職を継続すると見られる)に応える形で、ブエノスアイレス州選挙区連邦下院選挙に出馬する意向を示唆した。なお、シオリ州知事の他にも、ブエノスアイレス州のキルチネル派市長多数名が、各選挙区の州議会或いは市議会議員選挙に出馬する意向を示唆した。


(2)急進党


(イ)急進党執行部は、2007年9月にフェルナンデス与党大統領候補の副大統領候補としての指名を受けたことが倫理欠如等に当たるとして、コボス副大統領に除名処分を課したが、10日、右を撤回することを決定した。なお、副大統領として任務を遂行している間は一時党籍離脱扱いとされるため、コボス副大統領は、任期が終了する2011年に正式に急進党に復党すると見られる。


(ロ)17〜18日、ブエノスアイレス州マルデルプラタ市において、急進党党大会が開催された。同党大会では、6月の連邦議会選挙に向けて結成した市民連合及び社会党との選挙戦線を推進していくことが改めて確認された他、コボス副大統領の復党も含め、党を再建していくことが確認された。なお、同党大会には2001年に急進党を離党したカリオ市民連合代表も出席した。


(3)共和国提案(Pro)


  20日、ミケッティ・ブエノスアイレス副市長(任期07〜11年)は、6月28日に実施される同市選挙区連邦下院選挙において、共和国提案(Pro)の筆頭候補として出馬するため、副市長職を辞任した。同日に行われた記者会見において、同副市長は、「ブエノスアイレス市のための解決策を模索するため、副市長を辞任し、連邦議会選挙に出馬することを決定した」旨述べた。


(4)28日、6月28日に実施される連邦議会選挙(上院1/3(24議席)、下院1/2(127議席)の改選)等に候補者を擁立する予定の選挙連合の選挙裁判所への登録が締め切られ、右を予定する政党・会派が選挙連合の登録を行った。

 

2.フェルナンデス大統領と労働総同盟(CGT)幹部の会談


 20日、亜大統領府において、フェルナンデス大統領は、モジャーノ労働総同盟(CGT)書記長をはじめとするCGT幹部と会談した。同会談において、CGT側は、雇用の維持、家族手当の増額、失業保険の増額等を要請したが、フェルナンデス大統領は、これらの措置を実施するには適切な時期でない旨述べ、同要請を拒否した。

 

III.外交


1.第2回金融・世界経済に関する首脳会合


(1)2日、フェルナンデス大統領は、ロンドンで開催された第2回金融・世界経済に関する首脳会合に出席した。


(2)同会合後のフェルナンデス大統領の発言概要は以下のとおり。


(イ)今次会合において、現状への対処、国際金融機関の改革に係る合意、世界的な需要を刺激することによる経済の活性化を通じて、改革を深化させるとの決定があったので、前回会合と比べても大きな前進があった。また、コミュニケの中には、規制のないシステムに対する強い自省、信用格付会社に対する強い批判が明示されている。


(ロ)規制緩和や政府の不干渉を断固として擁護してきた国々が、危機を再発させないよう大変厳格な規制が必要であると認識していることは重要であり、質的な飛躍である。全ての国にとっての挑戦は、これらの政策を実施し、実効性のあるものとし、実体経済にその効果を波及させ、雇用を再度生み出すことである。

 

2.英国


(1)マルビーナス(フォークランド)紛争の開戦日に当たる2日、ロンドンを訪問中のフェルナンデス大統領は、在英亜大使館において、マルビーナス紛争戦没者記念式典を開催し、演説を行った。


(2)同演説の中で、フェルナンデス大統領は、「我々は、国籍を問わずマルビーナス紛争で亡くなった全ての戦没者、そして、特に国家主権のために戦うという任務を栄誉を持って完遂した元兵士に対し、敬意を表したい」、「自分は、ここ在英亜大使館において、マルビーナス諸島における亜の主権を改めて主張する」等述べた。

 

3.米国


(1)6〜7日に米ワシントンを訪問したタイアナ外相は、「南極条約50周年記念閣僚会合」に出席するとともに、クリントン米国務長官、マッカリー・ニュージーランド外相、モナコのアルベルト王子等とも会談を行った。


(2)7日に行われた亜・米外相会談において、タイアナ外相及びクリントン米国務長官は、二国間関係、地域及び国際情勢等について話し合った。同会談後、タイアナ外相は、「民主主義、人権、テロ及び麻薬密輸との闘いが、両国の主要テーマであることで意見が一致した。また、社会的包摂、社会正義、経済発展を模索するという目標を共有することは、二国間のアジェンダを拡大するための良い契機である」等述べた。

 

4.第5回米州首脳会議


(1)17〜19日、フェルナンデス大統領はトリニダード・トバゴを訪問し、第5回米州首脳会議、南米諸国連合(UNASUR)・米国首脳会議に出席するとともに、モレーノ米州開発銀行(IDB)総裁及びコックス世銀ラ米・カリブ担当副総裁とも個別に会談を行った。


(2)第5回米州首脳会議


 17〜19日に行われた第5回米州首脳会議において、出席した34ヶ国首脳の全員一致ではポート・オブ・スペイン宣言が採択されず、本会議の議長を務めたマニング首相が署名するに留まった。マニング首相は、同宣言について、全会一致で採択されたものではないが、合意の精神において署名された妥協の文書であると評した。なお、フェルナンデス大統領は、同会議の開幕式で演説を行い、対キューバ経済封鎖の解除、米州開発銀行(IDB)の出資金の拡大等を求めた。


(3)南米諸国連合(UNASUR)・米国首脳会議


 18日、フェルナンデス大統領は、他のUNASUR首脳とともに、オバマ米大統領と会談を行った。同会談後、フェルナンデス大統領は、「会談は非常にポジティブであり、各国は、米国との関係について、それぞれの立場を表明することができた。信頼を回復する時が来たのであり、歴史を変える好機でもある」、「我々は、オバマ大統領に対し、米国によるラ米諸国の政策に対する干渉、対キューバ封鎖解除の必要性について提起した。本日話し合った全てのことが、具体化されることを期待する」等述べた。

 

5.大陸棚延長申請


 21日、亜政府は、国連大陸棚限界委員会に対して、正式に大陸棚延長申請を行い、同申請の根拠となる書類を委員会側に提出した。大陸棚限界委員会が亜の主張を全て認めた場合、亜の大陸棚限界は、200海里から350海里へと延長され、大陸棚総表面積は、現在の2,780,092km2から、4,200,000km2へ拡大することとなる。なお、亜の主張する大陸棚限界区域には、マルビーナス諸島、南ジョージア諸島、南サンドイッチ諸島及び南極大陸の一部が含まれる。

 

6.ブラジル


 22〜23日に訪亜したルーラ伯大統領は、23日、フェルナンデス大統領と第3回定期首脳会談を行い、二国間関係の進展につき協議し、11月中旬に第4回定期首脳会談を実施することに合意した。また、両国首脳は、戦略的パートナーシップ関係を深化させるという両国共通の意志を再確認するとともに、雇用の創出、所得の更なる分配に資するプロジェクトを推進することにコミットした。

 

7.パラグアイ及びボリビア


(1)27日に訪亜したルゴ・パラグアイ大統領及びモラレス・ボリビア大統領は、亜大統領官邸において、フェルナンデス大統領が保証人として見守る中、チャコ戦争(1932〜35年)以来74年に亘り懸案となっていた、両国国境に関する最終合意書に署名した。本件合意書は、和平協定を踏まえて1938年に設置された合同委員会(亜、パラグアイ、ボリビア、米、伯、チリ、ペルー、ウルグアイが参加)において、2007年の合意に基づき署名されたものであるが、亜が議長を務めていた経緯がある。


(2)同署名式において、モラレス大統領は、「ボリビア、パラグアイにとっての歴史的な日であり、両国間の平和と友情の新しい時代の到来である。軍事介入や軍事侵攻は、もはや問題解決の選択肢ではない」等述べた。他方、ルゴ大統領は、「人が戦争を起こすことが出来るのであれば、平和を起こすことも可能なはずである。古い国境問題が戦争に繋がることは決して繰り返されてはならない」等述べた。

 

8.チリ


 27〜28日に訪亜したフェルナンデス・チリ外相は、28日、亜外務省において、タイアナ外相と会談を行った。両外相は、二国間関係についてレビューし、7月末に両国の全閣僚が出席する二国間閣僚会合を実施することに合意した。また、フェルナンデス外相は、マルビーナス諸島における亜の主権を支持する旨改めて表明した。

9.要人往来

 

(1)来訪

 

4月14日    ユング独国防相(タイアナ外相及びガレ国防相等との会談)
4月22-23日    ルーラ伯大統領(第3回亜・伯定期首脳会談への出席)
4月27日    ルゴ・パラグアイ大統領及びモラレス・ボリビア大統領(パラグアイ・ボリビア国境策定にかかる合意書署名式への出席)
4月27-28日    フェルナンデス・チリ外相(タイアナ外相との会談等)

 

(2)往訪

 

4月1-2日    フェルナンデス大統領等の英ロンドン訪問(第2回金融・世界経済に関する首脳会合への出席)
4月6-7日    タイアナ外相の米ワシントンDC訪問(「南極条約50周年記念閣僚会合」への出席等)
4月13日    デビード公共事業相の伯訪問(エンブラエル社幹部との会合等)
4月15日    ガレ国防相の伯訪問(第7回ラテンアメリカ航空・防衛フェアへの出席)
4月17-19日    フェルナンデス大統領等のトリニダード・トバゴ訪問(第5回米州首脳会議等への出席等)
4月22-26日    フェルナンデス経済相及びレドラド中銀総裁の米ワシントンDC訪問(世銀・IMFの年次総会への出席)

 

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