アルゼンチン政治情勢(月1回更新)
アルゼンチン政治情勢(2021年5月)
2021年6月作成
在アルゼンチン日本大使館
1 内政
(1)政府:
ア 新型コロナウイルス関連
(ア)必要緊急大統領令(DNU)の延長
5月1日、政府は必要緊急大統領令(DNU)を公布し、現行の行動制限措置を5月21日まで延長する旨発表した。また、全国各地域を、過去14日間の感染者増、人口当たりの感染率及び集中治療室の占有率の3項目を基に「低」「中」「高」及び「警報」の4つの感染リスク地域別に措置を分類することとなった。非居住外国人の入国禁止措置に関しても、5月21日まで延長された。
感染リスク「警報」地域(ブエノスアイレス首都圏を含む)における制限
●午後8時から午前6時までの夜間外出禁止。
●商業施設の午後7時から午前6時までの営業禁止。
●飲食店は、午後7時から午前6時まではテイクアウト及びデリバリー営業のみ可能。
●公共交通機関の使用を不可欠な活動に従事する者、許可を受けた者に限定。
(イ)行動制限措置の強化
21日、政府は必要緊急大統領令(DNU)を公布し、現行のDNU及び関連措置を6月11日(土)まで延長するとともに、22日(土)から30日(日)までの9日間及び6月5~6日については、感染リスクが「高」の地域及び「警報」の地域において、以下の行動制限措置を課すことを発表した。非居住外国人に対する入国禁止措置に関しても、6月11日まで延長された。
(1)行動制限措置
●対面での経済活動、商業活動、宗教活動、教育活動、社会活動等の禁止。
●外出は、午前6時から午後6時までの間、自宅の周辺での食品、医薬品等の必需品の調達、並びに屋外の公共スペースでの散歩のみ可能。
(2)例外規定
●医療従事者、治安当局、中央・地方政府幹部、国会関係者、最高裁関係者、外交官、領事館員、国際機関職員等は例外であり、公共交通機関の利用も可能。
●その中断が構造的な損傷をもたらす生産ライン等、近所の飲食店でのテイクアウト、必要不可欠なサービス、輸出産業等も例外であるが、公共交通機関の利用は不可。
イ 変異株サーベイランス調査
(ア)国立マルブラン研究所
10日、国立マルブラン研究所は、仏からの帰国者からインド型が2例、西からの帰国者から南ア型変異株1例が国内で初めて検出されたことを発表した。
(イ)変異株サーベイランス調査(PAISプロジェクト:科技省所掌)
10日付の報告書によると、3月1日~4月24日の調査で、新たに英国型変異株が72例、マナウス型変異株が181例確認された。
ウ ワクチン関連
(ア)ロシア製ワクチン「スプートニクV」
12日、ビソッティ保健相及びニコリーニ大統領顧問は、露直接投資銀行(RDIF)当局とオンラインで会合を行い、ワクチン「スプートニクV」に関する交渉のフォローアップ及び署名済の購入契約に基づいた納入予定の確認を行った。
(イ)中国シノファーム製ワクチン
3日、ビソッティ保健相及びニコリーニ大統領顧問は、Zou駐亜中国大使、シノファーム社関係者及び亜製薬会社Sinergium Biotech社関係者とオンラインで会合を行い(バカナルバハ駐中国亜大使も同席)、亜におけるワクチンの現地生産の可能性につき協議した。5日付当地各紙は、亜中双方が中国シノファーム製ワクチンの亜国内生産に関し実質合意に達した旨報じた。
(ウ)キューバ製ワクチン
6日、ビソッティ保健相及びニコリーニ大統領顧問は、ポルタル・キューバ保健相ら政府関係者とオンライン会合を行い、開発中(フェーズ3)のキューバ製ワクチン「ソベラナ02」及び「アブダラ」の有効性及び安全性に関し情報交換を行った。
29日、ビソッティ保健相は、ニコリーニ大統領顧問とともにキューバを訪問し、ディアスカネル・キューバ大統領を表敬し、キューバ製ワクチン「ソベラナ02」及び「アブダラ」の生産の進捗につき意見交換を行った。ビソッティ保健相及びニコリーニ大統領顧問は、28日には、「ソベラナ02」及び「アブダラ」ワクチンの開発状況の視察のため遺伝子工学バイオテクノロジーセンター(CIGB)を訪問した。
(エ)イスラエル製ワクチン
3日、ビソッティ保健相及びニコリーニ大統領顧問は、ハダッサ・インターナショナルのチームとオンライン会合を行った(ウリバリ駐イスラエル亜大使、亜保健省及び国家医薬品・食品・医療技術監督庁(ANMAT)関係者も同席)。
11日、サルバレッツァ科技相及びウリバリ駐イスラエル亜大使(注:イスラエル側関係者に同行し帰国)は、両国の科学者及び専門家の経験共有のための会合を開催した。両国は、亜国内におけるイスラエル製ワクチン「BriLife」の生産に係る戦略的パートナーとなることを目指しており、将来、亜国内での同ワクチンのフェーズ3の治験や、亜での現地生産を可能にするための技術提供が行われる可能性もある。
(オ)中国カンシノ製ワクチン
26日、カフィエロ内閣官房長官は、亜政府が中国カンシノ社とワクチン約500万回分の購入に係る合意に達したことを明らかにした。現在、同ワクチンの亜国内での使用は、国家医薬品・食品・医療技術監督庁(ANMAT)の承認待ちである。
エ 感染状況
(ア)新規死者数
5日、新型コロナウイルスによる1日の新規死者数が、過去最多の663人を記録した。
(イ)集中治療室(ICU)使用率
18日、ブエノスアイレス市及び全国8つの州における集中治療室(ICU)使用率が、90%を超えた。
(2)国会:
ア 行動制限措置の法制化
10日、政府は、新型コロナウイルス対策に係る制限措置を法制化する法案を上院に提出した。同法案は、4月14日に発出(5月1日に延長)された必要緊急大統領令(DNU)と同様の内容であり、対面授業の禁止措置を含む。
イ パラグアイ-パラナ河川水路に係る両院合同委員会
13日、上院において、パラグアイ-パラナ河川水路に係る両院合同委員会の設立に係る法案が可決された。
ウ 中間選挙の延期
19日、下院は、中間選挙の延期に係る法案を可決し、上院に送付した。
(3)司法:
4日、最高裁は、判事5名の全員一致で、政府による対面授業の禁止措置はブエノスアイレス市の自治権の侵害にあたるとの同市政府の訴えを認める判決を下した。
(4)その他:
ア 新運輸大臣の就任
3日、4月23日に交通事故で逝去したメオニ運輸相の後任として、ゲレラTrenes Argentinos Infraestructura(ADIF)総裁が就任した。
イ ブエノスアイレス市内の授業の一時中止
20日、ラレタ・ブエノスアイレス市長は、26日~28日の3日間、ブエノスアイレス市内の授業を対面・オンラインとも中止し、代わりに12月20日~22日(注:夏季休暇の時期)に授業を行う旨発表した。
ウ コパ・アメリカ(南米サッカー選手権)の亜開催中止
30日、南米サッカー連盟(CONMEBOL)は、6月13日から開催予定のコパ・アメリカ(南米サッカー選手権)の亜における開催を国内感染状況に鑑み断念する旨のプレスリリースを発出し、翌31日、伯での開催を発表した。
2 外交
(1)ポルトガル:
ア 9~10日、フェルナンデス大統領は、欧州外遊の最初の訪問先であるポルトガルにおいて、レベロ・デ・ソウザ葡大統領との会談及びコスタ葡首相と昼食会を行った。
イ 10日、フェルナンデス大統領の訪欧に同行しているソラー外相は、サントス・シルバ葡外相と意見交換を行った。
(2)スペイン:
ア 11日、フェルナンデス大統領は、スペインを訪問し、サンチェス首相と首脳会談を行った他、フェリペ6世西国王を表敬した。
イ 11日、フェルナンデス大統領に同行し訪欧中のソラー外相が、ゴンサレス西外務・EU・協力相と会談を行った。
(3)フランス:
11~12日、フェルナンデス大統領は、仏を訪問し、マクロン同国大統領と首脳会談を行った。
(4)バチカン:
13日、フェルナンデス大統領は、バチカン市国を訪問し、ローマ教皇フランシスコと会談を行った。
(5)イタリア:
ア 13日、フェルナンデス大統領は、伊を訪問し、マッタレッラ伊大統領及びドラギ伊首相と会談を行った。また、14日、ゲオルギエバIMF専務理事と会談を行った。
イ 14日、フェルナンデス大統領に同行し訪欧中のソラー外相が、ディ・マイオ伊外相と会談を行った。
(6)ドイツ
26日、フェルナンデス大統領は、メルケル独首相とオンライン会談を行い、パンデミックにおける両国及び両地域の情勢に加え、亜のIMF及びパリクラブとの債務交渉について協議した。
(7)メキシコ:
24日、ビソッティ保健相とニコリーニ大統領顧問は、メキシコシティにて、アルコセル保健相と会合し、公共衛生の準備及び対応のためのラ米プラットフォームに向けた亜墨二国間会議を開催した。
(8)ベネズエラ:
ア 18日、フェルナンデス大統領は、ベネズエラの人権侵害に関する問題が消滅していった旨発言し、野党やグアイド側のトロッタ駐亜ベネズエラ国会外交代表からの非難を受けた。
イ 27日付当地各紙は、亜が、マドゥーロ政権による非人道的犯罪に関してハーグの国際刑事裁判所(ICC)に対して提出していた調査要請を取り下げた旨報じた。
(9)エクアドル:
24日、ソラー外相は、亜政府を代表してラッソ・エクアドル大統領就任式に出席した。フェルナンデス大統領は、国内の新型コロナ感染状況の急激な拡大及び右に伴う規制措置の強化への対応等を理由に出席せず、ラッソ大統領宛の祝意の書簡をソラー外相に託した。
(10)イスラエル・パレスチナ:
ア 11日、亜外務省は、イスラエル・パレスチナ情勢に関して、イスラエル側及びパレスチナ側双方の行動を非難する内容のプレスリリースを発出した(当館注:ハマスへの言及はなし)。これに対して、41名の野党政治家、ジャーナリスト等は、連名で亜外務省プレスリリースを批判する声明を発表し、同プレスリリースの内容はテロ攻撃に対する主権国家の自衛権と相容れないものであると述べ、亜外務省に対し、テロ組織ハマスのイスラエル市民に対する継続的な攻撃を非難するよう要請した。
イ 27日、国連人権理事会特別会合におけるイスラエルによる空爆に関する現地人権調査のための独立委員会の設置に関する決議に賛成票を投じた。
(11)要人往来:
ア 往訪
欧州(ポルトガル、スペイン、フランス、バチカン、イタリア及びドイツ):フェルナンデス大統領、グスマン経済相他。
メキシコ:ビソッティ保健相及びニコリーニ大統領顧問。
キューバ:ビソッティ保健相及びニコリーニ大統領顧問。
イ 来訪
イスラエル:ハダッサ病院関係者。
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