アルゼンチン政治情勢(月1回更新)
平成30年9月17日
アルゼンチン政治情勢(2018年8月)
2018年9月作成
在アルゼンチン日本大使館
在アルゼンチン日本大使館
1 内政
(1)大統領府・政府:IMFの融資前倒しにかかる合意に関するマクリ大統領の演説
29日,マクリ大統領は,8月に入ってからの一段のペソ安を受け,IMFと6月に合意したスタンド・バイ取り決めによる融資枠組み(3年間で500億ドル)において,融資の前倒しをIMFと合意した旨の演説を行った。
(2)連邦議会:議会上院における人工中絶合法化法案の否決
9日早朝,議会上院で16時間にわたり審議されていた人工中絶合法化法案が否決(反対38票,賛成31票,棄権2票,欠席1票)された(当館注:同法案は6月14日,議会下院で賛成多数で可決されていたもの)。
(3)司法・検察:
ア 前政権時代の賄賂をめぐる多数の元政府高官及び企業家の逮捕
1日,キルチネル元大統領及びフェルナンデス前大統領時の汚職疑惑に関し,亜連邦警察が12名の元政府高官及び企業家を逮捕した。本件は,デ・ビード元連邦企画・公共投資・サービス大臣の右腕とされたバラータ同省次官の運転手であるセンテノ氏が不正な資金の流れを克明に記録したノートが明るみに出たことが発端となったもの。
6日,建設会社IECSAのオーナーであったアンヘロ・カルカテラ氏(マクリ大統領の従兄弟)は自ら出頭し,賄賂を支払ったとする罪を認めるとともに,司法取引に協力する(arrepentidos)リストに加わった。
13日、フェルナンデス前大統領に対する口頭尋問が行われた。22日,議会上院において,ボナディオ亜連邦裁判所判事の要請によるフェルナンデス前大統領の家宅捜索(レコレータ、リオ・ガジェゴス及びエル・カラファテ)が全会一致で承認された。これを受け,23~26日,同前大統領の家宅捜索が行われた。
イ ブドゥー前副大統領のチコーネ社の買収を巡る不正蓄財疑惑
7日,亜連邦裁判所は,ブドゥー前副大統領のチコーネ社の買収を巡る不正蓄財疑惑に関し,5年10か月の禁固刑の判決を下した。副大統領が汚職による有罪判決を下されるのは亜史上初。(当館注:2010年,ブドゥー前副大統領(当時は経済大臣)が,当時破産状態にあった民間印刷会社チコーネ・カルコグラィカ社の買収に関与,その過程で「(公務遂行とは)相容れない取引(Negociacion incompatible)」を行った上,同社に紙幣の印刷等の公共事業を請け負わせよう等した疑惑。これを受け,昨年11月,同前副大統領は,政治力を行使し,捜査を妨害する恐れがあるとして,上記の一連の不正蓄財容疑で逮捕されていた。)
2 外交
(1)日本:亜産レモンの対日輸出の再開
28日付亜外務省は,亜の農産業省他関係機関と本年3月より取り組んできた亜産レモンの対日輸出が再開された旨のプレスリリースを発出した。本年7月,日本の農林水産省のミッションがトゥクマン州を訪問し,レモンの冷蔵取り扱い等について確認を行っており,最終的に8月中旬に亜産レモンが横浜港に到着した。
(2)米国:
ア マティス米国防長官のアルゼンチン訪問
15日,マティス米国防長官がアルゼンチンを訪問し,アグア国防大臣と会談を行った。同会談において,両国の戦略的関係の強化を目的として,関連する共通のテーマについて協議を行った。また,両者は,本年11月末のG20サミットにおける警備オペレーションに関する協議を行った他,ベネズエラの民主主義秩序の崩壊や(ベネズエラと)コロンビアとの国境地帯の移民問題といった中南米地域の懸念となるテーマ等についても意見交換を行った。
イ 核エネルギー協力に関する二国間常設委員会会合の実施
21~24日,メンドーサ州において,亜と米国の核エネルギー協力に関する二国間常設委員会会合が行われた。同会合では,核エネルギーに関する政策やプログラム,核兵器拡散防止分野における国際的なアジェンダ,国際原子力機関(IAEA)との協定の枠組における原子力テクノロジーの安全保障及び保護メカニズム等について意見交換が行われた他,第3国及び多国間での協力プロジェクト等についても話し合われた。なお,次期会合は2019年に米国で開催予定。
ウ ティッド米軍南方司令部司令官のアルゼンチン訪問
27~29日,アルゼンチンを訪問したティッド米軍南方司令部司令官はアグア国防大臣と会談を行った他,南米防衛会議(SOUTHDEC)に出席した。同会議を前に,27日のアグア国防大臣とのバイ会談の中で,両者は,軍隊の訓練及び育成分野における両国の協力や本年11月末のG20サミットへの米国の支援等について話し合いを行った。
(3)コロンビア:マクリ大統領の新コロンビア大統領就任式出席
7日,マクリ大統領はコロンビアを訪問し,ドゥケ新コロンビア大統領の就任式に出席した。また,マクリ大統領は,ドゥケ大統領,ニッキー・ヘイリー米特派大使(国連大使)と会合を行った他,ピニェラ・チリ大統領と昼食を共にした。ドゥケ新コロンビア大統領と首脳会談において,両首脳は,両国が歴史的な友好・協力関係を引き続き強化していくことをコミットした他,亜産品,特に,農産加工分野における貿易及び販売に関して意見交換を行った。
(4)パラグアイ:マクリ大統領の新パラグアイ大統領就任式出席
15日,マクリ大統領はベニテス新パラグアイ大統領の就任式に出席するため,パラグアイを訪問した。同就任式には,フォリー外務大臣等の他,与野党の州知事(チャコ州,サルタ州及びコリエンテス州)や議員等も同行した。
(5)チリ:
ア バチェレ前チリ大統領の国連人権高等弁務官指名に対する亜政府コミュニケ
9日,亜外務省は,グテーレス国連事務総長が次期国連人権高等弁務官にバチェレ前チリ大統領の指名を決定したとの発表を受け,亜政府はこれを歓迎する旨のコミュニケを発出した。
イ 第9回二国間閣僚会合の実施
22日,チリにおいて,第9回亜・チリ二国間閣僚会合が実施され,亜より,ペニャ内閣府官房長官及びフォリー外務大臣等が出席した。その後,亜とチリの外務・防衛大臣による2+2協議が行われた。両国の間で,国境,移民,教育,スポーツ・環境等の分野における協定に署名が行われた。
(6)ニカラグア:ニカラグア情勢に対する亜外務省プレスリリース
31日,ニカラグア政府が国連人権高等弁務官事務所ミッションの国外退去を命じたことに対し,亜外務省はこれを遺憾であるとする同日付プレスリリースを発出した。
(7)カーボヴェルデ:タバレス・カーボヴェルデ外務・共同体大臣のアルゼンチン訪問
9~13日,アルゼンチンを訪問したタバレス・カーボヴェルデ外務・共同体大臣は,10日,フォリー外務大臣と外相会談を行った。両外相は,二国間アジェンダの主要なテーマ,特に二国間貿易,技術・文化協力,南大西洋平和協力地帯(ZOPACAS)及び先般,亜の新規オブザーバー加盟が承認されたばかりであるポルトガル語圏諸国共同体(CPLP)の枠組における大学教育及び協力等について意見交換を行った。また,タバレス外務大臣はエチェベレ農産業大臣等とも会談を行った他,国立農牧技術院(INTA)を視察した。なお,カーボヴェルデ外務大臣のアルゼンチン訪問は初。
(8)ウクライナ:司法協力協定の締結
6日,当地において,亜・ウクライナ間の司法協力協定に署名が行われた。亜より,ガラバノ司法大臣及びライモンディ筆頭外務副大臣が,ウクライナより,ペトレンコ司法大臣が出席した。同協定により,多国籍組織犯罪対策等の刑法上の司法協力強化を促すことになる。
(9)スロバキア:亜とスロバキア間の覚書の署名
10日,当地において,亜とスロバキア間の主要テーマの協議及びフォローアップを実施するための覚書に署名が行われた。亜よりライモンディ筆頭外務副大臣が,スロバキアよりHitka在亜スロバキア大使が署名を行った。これは,両国の外交関係樹立25周年を記念したもので,政治,経済,貿易,文化,教育,科学技術等の分野での関係をさらに深化させることを目的としたもの。
(10)要人往来
ア 往訪
●7日: マクリ大統領のコロンビア訪問
●15日: マクリ大統領のパラグアイ訪問
●22日: ペニャ内閣府官房長官及びフォリー外務大臣のチリ訪問
イ 来訪
●9~13日: タバレス・カーボヴェルデ外務・共同体大臣
●15日: マティス米国防長官
●20~23日: 山本日亜友好議連会長一行
●23~24日: 平木経済産業大臣政務官(G20デジタル経済大臣会合出席)
●23~25日: 坂井総務副大臣(G20デジタル経済大臣会合出席)
●26~28日: とかしきなおみ環境副大臣(G20資源効率性対話等出席)
●27~29日: ティッド米軍南方司令部司令官
(了)
バックナンバー
2018年
|
|
|
|
|
|
|||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2017年
|
||||||||||||
2016年
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|||
2015年
|
||||||||||||
2014年
|
||||||||||||
2013年
|
||||||||||||
2012年
|
||||||||||||
2011年
|
||||||||||||
2010年
|
||||||||||||
2009年
|
||||||||||||
2008年
|
||||||||||||
2007年
|
||||||||||||
2006年
|
||||||||||||
2005年
|
||||||||||||
2004年
|
||||||||||||
2003年
|
||||||||||||
2002年
|