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Perito Moreno

 
ペリート・モレーノ
国立公園
(Parque Nacional Perito Moreno)
 
 
 

アルゼンチン政治情勢(2015年3月)

 

2015年4月作成
在アルゼンチン日本大使館

 

 概要


(1)内政:

 

 (ア)1日,フェルナンデス大統領が一般教書演説を行い,その中でキルチネル派政権の成果を強調し,司法権やニスマン連邦検事に対する批判を展開した。

 (イ)14日,急進党,共和国提案,及び市民連合による野党の選挙連合が形成された。

 (ウ)31日,反政府系を中心とした労組団体は,政府に対し所得税の非課税対象額引き上げ等を求めて全国主要都市で24時間のゼネストを行った。

 

(2)外交:

 

 (ア)1日,フェルナンデス大統領は,1992年に発生した在アルゼンチン・イスラエル大使館爆破事件について,イスラエル政府の対応に疑問を投げかける発言を行った。

 (イ)英国でフォークランド(マルビナス)諸島領域の軍事予算が増額されることを受け,24日,フェルナンデス大統領及びアルゼンチン外務省は,同増額を批判した。

 

 

 内政


(1)大統領府・政府

 

 (ア)国防省によるアルゼンチン・ロボット航空システムの創設・開発計画

 10日,国防省は,政府専用の無人飛行偵察機の設計をINVAP公社に発注した契約を官報にて公開した。同契約は,アルゼンチン・ロボット航空システムの創設と開発,及び段階的な技術輸出を検討する内容となっている。

 

 (イ)政府奨学金の増額

 12日,フェルナンデス大統領は,「Progresar(奨学金プログラム)」の支給額を月額600ペソから900ペソに増額,また受給条件となる世帯収入の上限額を4,716ペソから14,148ペソに引き上げる旨,発表した。

 

 (ウ)小規模穀物生産者に対する支援基金の創設

 16日,フェルナンデス大統領は,キシロフ経済・財政大臣と共に,大豆,トウモロコシ,小麦,ひまわり等の穀物を耕作する小規模生産者をサポートするための基金(今次資金は約25億ペソで,穀物等への昨今の輸出課徴金総額の約4.1%にあたる)を創設する旨,発表した。

 

 (エ)パリーリ情報長官による元国家情報庁諜報員に関する批判発言

 19日,情報庁のパリーリ長官は,国家情報庁(SIDE:Secretaría de Inteligencia de Estado)の諜報員は判事と不埒な関係にあり,通信傍受を乱用し,収集された個人秘密情報ファイルを基に,司法・検察と結託し,公務員をゆすりの対象としていた,と述べた。そして,その最たるものとして,ニスマン連邦検事によるフェルナンデス大統領等に対する告発があった,と発言した。

 

 (オ)消費拡大を目的とした諸計画の発表

 26日,フェルナンデス大統領は,キシロフ経済・財政大臣と共に,消費拡大を目的とした諸計画を発表した。例として,SUBE(チャージ式公共交通機関運賃支払いカード)で一般商品を10%引きで購入できるようにする「SuBeneficio」,白物家電を25%~75%引きで購入できる「Renovate」,プロパンガスのボンベの購入にあたり,消費者が20ペソを支払い,政府が残額を負担する「HogAr」などがある。

 

 (カ)大統領長男による内政関連発言

 31日,フェルナンデス大統領の長男のマキシモ氏は,ラジオ番組を通じ,同氏自身の連邦議会議員立候補等を示唆する発言を行った。また,2007年頃アルゼンチンはベネズエラの仲介でイランに対して核技術を提供する代わりに金銭を受け取るという密約を交わし,そこにマキシモ氏も関与していた可能性がある,とした31日付当地「クラリン」紙の報道に対し,マキシモ氏はその内容を否定した。

 

(2)連邦議会:一般教書演説

 

 1日,第133回連邦通常議会開会式が行われ,フェルナンデス大統領は一般教書演説を行い,雇用の増加をはじめとする現政権の成果を強調する一方で,司法権やニスマン連邦検事に対する批判を行った。

 なお,連邦議会議事堂の外には,多数のキルチネル派市民が集まった。(ブエノスアイレス市警察発表は3万5千人。他方,連邦警察は25万人と発表。)

 

(3)司法・検察

 

 (ア)ロレンセッティ最高裁判所長官の発言

 3日,ロレンセッティ最高裁判所長官が,全国の裁判所の始業式典における年頭演説を行い,司法の役割や他権力との協調の必要性を述べた。同式典には,アラク司法大臣やヒルス・カルボ検事総長,その他連邦判事等400名が出席した。

 

 (イ)フェルナンデス大統領等に対する予審打切判決に対する控訴の棄却

 ラフェカス予審判事が,イランとの密約疑惑に関するフェルナンデス大統領等に対する予審を2月26日に打ち切る判決を下したことに対し,4日,ポリシータ連邦検事は,同判決に対し連邦控訴裁判所(Cámara Nacional de Apelaciones en lo Criminal y Correccional Federal)に控訴した。26日,連邦控訴裁判所は犯罪を構成する事実は認められないとして同控訴を棄却した。これを受け,31日,本件控訴審を担当したモルデス連邦検事は,連邦刑事上告裁判所(Cámara Federal de Casación Penal)に対し,本件を上訴した。

(4)労働組合:反政府系労組によるゼネスト

 

 31日,反政府系を中心とした鉄道,地下鉄,バス,トラック,銀行,飲食店等の労組団体は,政府に対し所得税の非課税対象額引き上げ等を求めて全国主要都市で24時間のゼネストを行い,市民生活に影響が出た。また,主要幹線道路等における道路封鎖も行われた。

 同日,フェルナンデス大統領は全国放送を通じ,約10%の高給の労働組合員が,残りの90%の組合員を働かせなかったことは恥であるとして,同ストを非難した。

 

(5)選挙

 

 (ア)ブエノスアイレス市長選挙予備選挙に関する世論調査結果

 29日付「ラ・ナシオン」紙に掲載された,当地コンサルタント会社のポリアルキア社が発表したブエノスアイレス市長選挙予備選挙に関する世論調査結果概要は,以下の通り。

 (なお,フェルナンデス大統領は,10日,エセイサ空港での演説にて,レカルデ・アルゼンチン航空CEOを,勝利のための戦線から立候補させる旨表明した。)

 

  (i)ロドリゲス・ラレタ・ブエノスアイレス市官房長官(共和国提案):24.7%

  (ii)ミケティ上院議員(共和国提案): 23.4%

  (iii)ルストー下院議員(組織市民エネルギー): 9.7%

  (iv)レカルデ・アルゼンチン航空CEO(勝利のための戦線): 8.1%

 

 (イ)共和国提案・急進党等による選挙連合の形成

 14日,急進党(野党)の大統領選挙の戦略を決める党大会が行われ,党内投票の結果,サンス党首(上院議員)が主導した共和国提案(党首:マクリ・ブエノスアイレス市長(大統領選挙の3主要候補の1人))及び市民連合(党首:カリオー下院議員)との選挙連合方針案が,多数決で採択された。これにより,野党の選挙連合が形成された。

 

(6)その他

 

 (ア)農牧団体による対政府抗議活動

 11~13日,農牧3団体(アルゼンチン農牧協会(SRA),アルゼンチン農牧連盟(CRA),及び農協団体全国連盟(CONIAGRO))(アルゼンチン農業連合(FAA)は,一部の加盟者のみ抗議活動に参加)は,政府による価格統制,輸出課徴金,外貨購入制限等の政策に対し抗議し,生鮮食品を除く農牧産品の出荷を停止した。

 

 (イ)フェルナンデス大統領所有のホテルに対する営業停止処分

 13日,連邦歳入庁(AFIP)は,フェルナンデス大統領がサンタ・クルス州に保有する「ラ・アルデア」ホテルが,納税申告を怠っていたとして,納税者番号(CUIT)を剥奪し,営業停止処分を下した。

 

 

 外交


(1)イスラエル

 

 (ア)在アルゼンチン・イスラエル大使館爆破事件に関するフェルナンデス大統領発言

 1日,フェルナンデス大統領は,1992年に発生した在アルゼンチン・イスラエル大使館爆破事件に関し,イスラエル政府の対応に疑問を投げかける発言を行った。同発言に対し,3日,シャビット駐アルゼンチン・イスラエル大使は,イスラエル政府の懸念等を表明した。

 

 (イ)在アルゼンチン・イスラエル大使館爆破事件追悼式典

 1992年に発生した在アルゼンチン・イスラエル大使館爆破事から23年を迎える17日,フェルナンデス大統領は,同爆破事件の被害者家族や生存者と面会した。また,19日には,本件追悼式典が催され,アニバル・フェルナンデス官房長官が出席した他,イスラエル政府からはシャミール農業大臣が出席した。

 

(2)フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題

 

 24日,ファロン英国防大臣は,英国議会に対し,フォークランド(マルビナス)諸島領域の防衛の強化に向けた,軍事費用増額プログラムを提出した。これに対し,フェルナンデス大統領は,ツイッター上で,同発表に対する遺憾の意を表明するとともに,アルゼンチン外務省も,これに反発する内容の声明を発表した。


(3)中国

 

 (ア)フェルナンデス大統領のアルゼンチン・中国関係擁護発言

 1日,フェルナンデス大統領は,連邦議会における一般教書演説の中で,最近のアルゼンチン・中国関係強化につき,投資を申し出てくれる国と関係を強化しない訳にはいかない,と述べた上で,国内の懸念を念頭に,ばかげた考えはやめるように,と述べた。

 

 (イ)駐アルゼンチン中国大使発言

 23日,Yang駐アルゼンチン中国大使は,「アルゼンチンから要請があれば,中国は通貨スワップを拡大することに何の問題もない」旨発言した。また,Yang大使は,アルゼンチン国内の,アルゼンチン・中国の二国間で署名・批准された投資等に関する合意文書に対する批判に対し,反論を行った。

 

(4)チュニジア

 

 18日,アルゼンチン政府は,チュニジアのバルドー博物館で発生した襲撃事件を非難する声明を発表し,平和及びテロとの闘いに向けた変わることのない決意を表明した。

 

(5)ボリビア

 

 26日,デビード公共事業大臣,及びサンチェス・フェルナンデス・ボリビア炭化水素大臣は,原子力の平和的利用に関する合意文書への署名を行った。同合意文書は,原子力の平和的利用におけるアルゼンチン・ボリビア間の二国間協力強化を目的とする。これにより,アルゼンチンは,ボリビア政府による「原子力に関するボリビアのプログラム」に対する技術支援を行うこととなる。

 

(6)ICC

 

 11日,アルゼンチン出身のシルビア・フェルナンデス・デ・グルメンディ判事が,国際刑事裁判所(ICC)裁判所長に選出された(任期3年)。

 (なお,裁判所第一副所長に,ケニア出身のジョイス・アルーチ判事,裁判所第二副所長に,日本の尾﨑久仁子判事が選出された。)

 

(7)国連

 

 16日,ジュネーブで開催された国連人権理事会にて,アルゼンチン出身の法学者ファビアン・サルビオリ氏が,満場一致で議長に選出された。

 

(8)チリ

 

 1日,ロッシ国防大臣は,ブルゴス・バレーラ・チリ国防大臣との間で,ティエラ・デル・フエゴにおける対人地雷撤去作業が完了した旨宣言する文書に署名した。1970年代に,アルゼンチン・チリの間で武力紛争が勃発する寸前に至った際に,チリ側が同地域に対人地雷を設置したが,1997年に署名されたオタワ条約により,2020年までの撤去が義務づけられていた。

 

(9)米国

 

 12日,アルゼンチン外務省は,ベネズエラ情勢を米国の安全保障及び対外政策上の脅威であるとして米国政府が発出した国家緊急事態宣言について懸念している旨表明した。また,米国の訴えを,ばかげていて不公平であるとした上で,米国政府に対し,制裁の回避を呼びかけた。

 

(10)要人往来

 

 (ア) 往訪

 

1日

ブドゥー副大統領のウルグアイ訪問(タバレ・バスケス新大統領の就任式出席)
9日
モリーナ大統領府薬物依存症予防・麻薬取引対策長官のオーストリア訪問(第58会期麻薬委員会(CND)出席))
14日
ティメルマン外務大臣のエクアドル訪問(UNASUR外務大臣会合出席)
18日~19日
ティメルマン外務大臣の米国訪問(OAS臨時総会出席)
25日
ティメルマン外務大臣のパナマ訪問
26日~27日
ティメルマン外務大臣のグアテマラ訪問

 

 (イ)来訪

 

5日
ニン・ノボア・ウルグアイ外務大臣
9日~10日
YuKangzhen中国農業副大臣
19日
シャミール・イスラエル農業大臣
30日~31日
サンペールUNASUR事務総長

 

   



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