1 概要
(1)内政:4月1〜3日,強い低気圧の影響により,ブエノスアイレス首都圏及びブエノスアイレス州で猛烈な雨が降り,広範囲にわたって洪水が発生した結果,ラプラタ市他で66名が死亡した。8日,フェルナンデス大統領は「司法の民主化」6法案を発表した。同法案に対しては,法曹界,野党,カトリック教会,学界及び労組を含む各方面から強い批判が沸き上がり,亜の三権分立の崩壊が危惧されるとともに,司法の政治化(行政府による司法への介入)が懸念された。14日,当地のテレビ番組でキルチネル一家と親しい関係にあるとされるサンタクルス州の実業家ラサロ・バエス氏のマネーロンダリング疑惑が報じられ,その政治的インパクトの強さから亜社会に波紋を呼んだ。18日,国内の主要都市においてカセロラッソ(注:政府に対する抗議の鍋叩き)が行われ,キルチネル派政権に対して行われた抗議運動としては過去最高規模のものとなった。17日,放送法改正の違憲性訴訟において,連邦控訴裁判所は,同改正法の懸案条項(第45条及び第48条)を違憲とする判決を下した。
(2)外交:ウィレム・アレクサンダー新国王及び亜出身のマクシマ新王妃の即位式に出席するため,ブドゥー副大統領を始めとする亜政府代表団計8名が,27日からオランダを公式訪問した。マクシマ王妃の誕生は,フランシスコ・ローマ法王の誕生に次ぐ慶事として,亜国内でも盛り上がった。フェルナンデス大統領は,リマでのUNASUR緊急会合に出席した後,カラカスにおいてマドゥーロ新ベネズエラ大統領の就任式に出席した。また,フェルナンデス大統領は,パラグアイの大統領選挙で勝利したカルテス新大統領に対し,電話にて祝意を伝えると共に,パラグアイのメルコスールへの復帰は保障されていると伝えた。8日に逝去したサッチャー元英首相(フォークランド紛争時の英首相)について,亜政府は「葬儀に招かれるかどうかは重要なことではない」とコメントしたのみで,葬儀には亜政府からは誰も出席しなかった。フェルナンデス大統領はマルビナス戦没者記念日式典にて,約40分間の演説を行い,二国間対話に応じない英国政府を批判した。ナオン新駐米亜大使は,ホワイト・ハウスにてオバマ米大統領に信任状を捧呈した。
2 内政
(1)ブエノスアイレス州及びブエノスアイレス市での洪水被害
(ア)1日夜から3日未明にかけて,発達した強い低気圧の影響により,ブエノスアイレス首都圏及びブエノスアイレス州で猛烈な雨が降り,広範囲にわたって洪水が発生した。特に甚大な被害を受けたのはブエノスアイレス州の州都ラプラタ市であり,2日夜,同市では2時間に191ミリの雨が降り,市内の半分以上が浸水した。豪雨及び洪水の影響により,ブエノスアイレス市,ブエノスアイレス首都圏及びブエノスアイレス州ラプラタ市の広範囲にわたって停電が発生し,最大時には10万世帯が停電になり,約40万人に影響が出た。
(イ)2日,浸水の影響により,ブエノスアイレス市内を走る地下鉄B線のロス・インカス駅構内で,B線の従業員1名が感電により死亡した。
(ウ)2日夜,ブエノスアイレス州エンセナダ市にある国内最大の製油所(YPF社)が,浸水及び停電の影響で大規模な火災を起こし,操業停止となった(注:同製油所の生産量は,亜国全体の生産量の30%を占めている)。YPF社は消火活動及び排水作業を行い,7日,同製油所は操業を再開したが,当地報道では,同製油所の生産量の低下によるガソリン不足の可能性,とりわけ,ガソリン・スタンドでのガソリン供給制限の可能性が取り沙汰された。9日に記者会見をした同社のガルッチオCEOは,ガソリンの供給制限の可能性を否定し,30日〜45日以内に従来の80%まで生産量の回復が可能だと発言した(4月末日現在,特段の販売制限などは行われていない)。
(エ)3日午後,フェルナンデス大統領は予定されていた公務(注:「司法の民主化」法案の発表)をキャンセルし,ヘリコプターでブエノスアイレス州ラプラタ市の被災地を訪問した。ラプラタ市のトロサ地区はフェルナンデス大統領の出身地であり,現在は,同大統領の母親及び実妹が暮らしているが,今回の豪雨・洪水により人的被害が最も多く出た地区の一つとなった。フェルナンデス大統領は避難所を訪問した後,シオリ・ブエノスアイレス州知事とラプラタ市において緊急会合を行い,今回の豪雨・洪水の被害状況について協議した。シオリ知事は3日午後の記者会見において,洪水の死者数及び被害状況に関し,「前例のない悲劇である」と発言した。亜政府は今回の豪雨・洪水を受けて,3日間,国として喪に服することを決定した(政令第341号,4日に官報に掲載)。
(オ)3日,洪水の被災者に対する,食料品,衣料品及びベッドマット等の物資の援助が呼びかけられ,ブエノスアイレス市及びブエノスアイレス州の各地に,20箇所以上の援助窓口が設けられた。
(カ)5日,フェルナンデス大統領は,ブエノスアイレス市及びブエノスアイレス州ラプラタ市における洪水・浸水被害に対する4億ペソの緊急支援を発表した 。
(キ)5日,IDB(米州開発銀行)は20万ドルの無償資金援助及び2,000万ドルの有償資金援助を行う旨発表し,CAF(ラテンアメリカ開発銀行(元アンデス開発公社))は5万ドルの無償資金援助及び1億ドルの有償資金援助を行う旨発表した 。
(ク)(5月9日のフェルナンデス大統領の発表に基づくと)今回の洪水により,60人がラプラタ市内で死亡,6人がブエノスアイレス市内で死亡した。政府のプレスリリースは,今回の洪水で深刻な被害を受けた被災者の数を15万3千人と発表した 。
(2)「司法の民主化」改革
(ア)8日,フェルナンデス大統領は,より近代的で迅速(agil)で透明性のある,万人のための司法制度を目的とする「司法の民主化」6法案を発表し,翌9日,3法案が上院に,残りの3法案が下院に提出された。同6法案の概要は以下の通り。
(@)上院に提出された3法案
●「司法評議会」(Consejo de la Magistratura)の改革 司法評議会のメンバーを13名から19名に増やし,行政府及び立法府から選出されるメンバーを除く司法評議会のメンバー(判事,弁護士,学者出身)を,国政選挙と同時に普通選挙によって選ぶ。また,同評議会による判事候補者の選出及び判事の罷免手続きの開始の決定等に必要な得票数を3分の2以上から2分の1以上に引き下げる。
●「上級控訴裁判所」の増設 現在,刑事裁判のみに設けられている「上級控訴裁判所」を,「民事・商事部」,「行政訴訟部」及び「労働・社会保障部」にも設ける。
●「執行停止措置」(Medida Cautelar)の規制 司法が国の法律の執行を一時的に停止する措置を命ずる場合は,公共の利益を保護するため,その執行停止の期間を最長6ヶ月とする。但し,執行停止措置の目的が個人の生命や健康を直接的に保護すること等である場合はその限りではない。訴訟の過程で執行停止措置の延長が不可欠な場合は,最長6ヶ月まで延長可能とする。
(A)下院に提出された3法案
●判決のオンライン無料公開 最高裁判所及び連邦控訴裁判所等は,係争中の案件のリストを日々更新して公開するとともに,判決のうち,個人のプライバシー,尊厳,名誉及び子供と青年の権利が侵害されないものに関しては,オンライン上で無料公開する。また,最高裁判所が判決,和解及び措置を言い渡すことを目的として開く公判において取り扱われる案件は,遅くとも右会合の5日前までには公表する。
●所得申告書のオンライン無料公開 行政府,立法府及び司法の局長級以上の公務員に,宣誓された所得申告書のオンライン上での無料公開を義務づける。その際,配偶者や子の所得申請書の公開は義務づけられない。
●司法組織への就職 司法組織への就職の公平性及び民主性を確保するため,司法官及び司法組織に就職を希望する者(注:受付の職員や清掃員等も含む)は,公募に応じて試験(及び場合によっては実地試験)を受け,合格しなければならない 。
(イ)「司法の民主化」6法案がフェルナンデス大統領により発表されるやいなや,法曹界,野党,カトリック教会,学界及び労組等,各方面から強い批判が沸き上がったが,特に問題視されたのは,上院に送付された3法案であり,「司法評議会の改革」法案に関しては,亜の三権分立の崩壊が危惧されるとともに,司法の政治化(行政府による司法への介入)が懸念された(注:「司法評議会の改革」法案に関しては,憲法第114条違反が指摘されている)。
(ウ)11日,野党勢力がコミュニケを発出し,「司法の民主化」6法案に異議を申し立てた。
(エ)17日,上院(72議席)は長時間に及ぶ審議の末,2法案の採決を行い,上記「司法評議会の改革」法案及び「上級控訴裁判所の増設」法案は賛成多数で修正を行うこと無く可決され,下院に送付された。同日,下院(257議席)も長時間に及ぶ審議の末に3法案の採決を行い,「判決のオンライン無料公開」法案,「所得申告書のオンライン無料公開」法案及び「司法組織への就職」法案は修正を行うこと無く可決され,上院に送付された。
(オ)18日,上院は残りの「執行停止措置の規制」法案の一部を修正して採決を行い,賛成多数で可決し,下院に送付した。
(カ)24日の下院での審議及び採決に際し,そもそも定足数に達するか否かの危うい状況に置かれていたが,政府及びキルチネル派の下院議員が,野党議員も含む立場を決めかねていた議員等に対して「圧力」をかけ,交渉を行った結果,同日午前,下院は定足数に達した。定足数に達したため,それまでは議場外にいた反対派の議員も議場に入り,審議が行われた。
(キ)24〜25日,下院において19時間に及ぶ法案審議の末に,「司法評議会の改革」法案,「上級控訴裁判所の増設」法案及び「執行停止措置の規制」法案の採決が行われ,賛成多数で可決し成立した(注:但し「司法評議会の改革」法案は23日に下院で修正が入ったので,上院(Camara de origen)に差し戻された)。
(ク)24日,下院における審議に合わせる形で,野党関係者,反政府系労組団体(注:労働総同盟(CGT)モジャーノ派及び亜労働者連盟(CTA)ミチェリ派),農牧関係者及び一般市民が国会議事堂前に抗議テントを設け,17時間に及ぶ抗議活動を行った。
(ケ)30日,執行停止措置の規制法が官報に掲載された(法律第26,854号)。
(コ)30日,「裁判官及び弁護士の独立に関する国連特別報告者」ガブリエラ・ナウル氏(ブラジル人)はジュネーブにおいてコミュニケを発出し,国家は国内法を国際基準に合わせ,裁判官の独立を確保する責務があるとして,亜下院が24日(ママ)に可決した「司法評議会の改革」法案及び「執行停止措置の規制」法案について亜政府に対し再考を促した。同特別報告者は,「司法評議会の改革」法案については,司法評議会のメンバーが直接国民投票により選出されるが,その候補者は各政党のリストを通じて提示され,投票に付されることから,同メンバーの独立性が脅かされ,「市民的及び政治的権利に関する国際規約」第14条及び裁判官の独立の基本原則に反すると指摘した。また,「執行停止措置の規制」法案については,司法が国の法律の執行を一時的に停止する措置及びその停止期限が制限されてはならず,かかる制限は「市民的及び政治的権利に関する国際規約」第2条3項及び第14条1項等に反すると警告した。
(サ)これに対し,亜外務省は同日,ナウル特別報告者による「異常な」プレスコミュニケに亜政府は不快感を表明するとのコミュニケを発出した。この中で,同特別報告者のコミュニケの表現は特別報告者に期待される独立性や職業倫理といった基準からかけ離れているだけではなく,公平性,節度,均衡が欠けており,また,特別報告者のマンデートから逸れていると非難した。また,26日夜に同特別報告者から情報提供の要請を受けたが,それから1時間も経たないうちに,亜外務省は全ての質問に迅速に回答すると同特別報告者に正式に返答したにもかかわらず,裁判官を擁護する役目にある同特別報告者が,亜政府からの右回答を得る前に前述のコミュニケを発出したことは正当ではなく,これにより国連は一メンバー国に対する検察官になり,判事になり,死刑執行人にもなった旨非難した。
(3)キルチネル一家と親しい関係にあるとされるサンタクルス州の実業家ラサロ・バエス氏のマネーロンダリング疑惑
(ア)14日に放送されたテレビ番組「Periodismo Para Todos」(注:反政府の姿勢で有名なジャーナリストのラナータ氏が司会を務めるチャンネル13(クラリン・グループ)の有名番組)内で,キルチネル一家と親しい関係にあるとされるサンタクルス州の実業家,ラサロ・バエス氏のマネーロンダリング疑惑がスクープ的に報じられた。右報道は,その政治的インパクトの強さから,亜社会に波紋を呼んだ。
(イ)バエス氏は,故キルチネル前大統領がサンタクルス州の知事に就任した91年以降に急速に大富豪になった人物であり,現在は建設,ホテル及び石油などの各業界の実業家・大株主となって,サンタクルス州の公共事業の多くをバエス一家が経営するアウストラル建設が手がけている。バエス氏はキルチネル一家と非常に親交が深く,キルチネル前大統領が亡くなる前日の夜には,バエス夫妻は,キルチネル夫妻と夕食を共にしており,また,リオガジェーゴスの墓地にある同前大統領の霊廟はバエス氏自身が建てたものとされている。
(ウ)今般報じられたマネーロンダリングの仕組みは以下の通り(注:14日の番組内で発表された資金洗浄のプロセスは,2011年当時のものであり,既にキルチネル前大統領が亡くなった後の話である)。 2011年の上半期に,バエス氏の指示を受けたレオナルド・ファリーニャ氏が,現金5,500万ユーロを数回に分けてサンタクルス州リオガジェーゴスからブエノスアイレス州サンフェルナンド経由でブエノスアイレス市に運搬した。ファリーニャ氏は同現金をプエルトマデロにある「SGIグループ」(ファイナンス会社。当時,フェデリコ・エラスカル氏が経営)を通じて,ウルグアイのモンテビデオの銀行口座を経由してベリーズやパナマ等にあるオフショア・ファンドに送金し,そこから右ファンドがスイスに所有する銀行口座に送金した後,一部をスイスに残しつつも,最終的には殆どの資金を亜の口座に戻していた。上記オフショア・ファンドは50社近く存在し,その名義人はバエス氏自身もしくはその息子のマルティン・バエス氏及びレアンドロ・バエス氏であった 。
(エ)14日のスクープ報道は,上記マネロンに関与していたファリーニャ氏及びエラスカル氏の証言に基づいており,同番組内では,バエス氏が資金洗浄したとされる資金の出所については具体的に明らかにされなかった。また同資金洗浄にキルチネル一家が関与していたという仮説も証明されなかった。
(オ)当地報道では,以前からバエス氏が故キルチネル前大統領のビジネス・パートナーと見なされてきた経緯があり,また,同氏が経営するアウストラル建設がこれまで独占的にサンタクルス州の多くの公共事業を受注してきた経緯があることなどから,バエス氏は名義上の会社経営者に過ぎず,真の黒幕はキルチネル一家であるとの見方がなされている。また問題となった資金は,バエス氏の建設会社が公共事業を割り増し価格で受注したことにより余剰として発生した「元々は公の資金」である可能性が高いとも報じられている。
(カ)14日の番組によると,本件が同番組で報じられるに至った経緯は以下のとおり。 バエス氏の資金を実際に運搬していたファリーニャ氏は,バエス氏の資金の一部を横領したとの嫌疑をかけられ,突然,バエス氏と連絡が取れない状態になった。身の危険を感じたファリーニャ氏は,亜の有名モデルと結婚し,急にメディアへの露出を増やして,豪華な生活ぶりを連日のようにワイドショーに報じさせ,自己防衛を始めた。それと同時に,ジャーナリストのラナータ氏の自宅において,内密に事の内幕の一部を暴露した。その後,ファリーニャ氏は半年間ほど姿を消したが,再びラナータ氏の自宅で2回目の会合を行い,身に覚えのない資金横領の嫌疑でバエス氏に完全に手を切られたことに対して強い怒りを表現し,ラナータ氏に対し,資金の国内運搬及び海外送金の仕組みについての具体的な説明を行った。ラナータ氏は自宅で行われた上記の2回の会合の模様を隠しカメラで撮影し,「Periodismo Para Todos」の番組内で報じた。 同番組で,本件について詳細な証言をしたもう一人の人物は,2011年当時,送金手続きを担っていた「SGIグループ」の元代表のエラスカル氏であるが,同氏も,後にバエス氏側から資金を横領したと脅され,殺害をほのめかされたと証言した。右証言によると,この脅迫によってエラスカル氏は「SGIグループ」をバエス氏の会計士兼コンサルタントであるダニエル・ペレス・ガディン氏に安価で売却せざるを得なかった由。ファリーニャ氏の説明では,バエス氏の資金を横領したのは,ガディン氏ということになっている 。
(キ)17日,「Periodismo Para Todos」の反響の大きさを受け,ファリーニャ氏及びエラスカル氏は,それぞれ個別にメディアの取材に応じ,14日のラナータ氏の番組内で行った自らの証言は嘘であるとして,これを撤回した。
(ク)フェルナンデス大統領は,本件が明らかになって以降,演説やツイッター上でバエス氏のマネーロンダリング疑惑に関しては,一切コメントしていない。また,殆どのキルチネル派議員や政治家が,本件に関しては沈黙を守っており,その中には,バエス氏と長年親しい関係にあるとされているデビード公共事業大臣も含まれている。17日,同大臣は,バエス氏が経営するアウストラル建設が受注した「ネストル・キルチネル」と「ホルヘ・セペルニック」という2基のダムにつき,「サンタクルス州の公共事業の受注の背後にお友達企業は存在しない」と発言した。当地各紙は,政府内部に本件を芸能ネタ化しようとする動きがある旨報じた(注:バエス氏の現金を運搬したファリーニャ氏の妻がモデルであり,また,パナマにある人脈を利用して送金の仲介を行ったとされる「SGIグループ」の社員のファビアン・ロッシ氏の妻がバラエティーショーのスターであるためとされている)。
(ケ)長年にわたってキルチネル派政権の汚職を追及している野党・市民連合のカリオ下院議員は,バエス氏を故キルチネル前大統領の名義人(ダミー:testaferro)であるとし,14日の番組放送後,本件を裁判所に告発した。また,その他の数名の下院議員及び弁護士等も本件を裁判所に告発した。本件はカサネロ連邦判事により裁かれることになり,18日夜,同判事は,ブエノスアイレス市にある「SGIグループ」のオフィス及びファリーニャ氏とエラスカル氏の各々の自宅を捜索した。
(コ)24日,マリフアン連邦検事がファリーニャ氏及びエラスカル氏のマネーロンダリングの捜査を担当することが発表された。
(サ)29日,バエス氏はファリーニャ氏及びエラスカル氏に対する裁判を裁判所(カサネロ連邦判事)に申し立てた。
(シ)30日,スイスのメディアによると,同国の検事総長はバエス氏等のマネーロンダリングに関する捜査を開始した(注:スイス司法による本件の捜査は,18日の亜の野党下院議員の告発及び捜査協力要請を受けて行われることとなったもの)。
(4)全国規模のカセロラッソの実施
(ア)18日夜,亜国内の主要都市において,カセロラッソ(注:街頭で鍋などをたたくことで政府に反対の意を表する抗議行動)が行われた。ブエノスアイレス市警察の発表によると,本カセロラッソには同市内の中心部(オベリスコ周辺及び5月広場等)だけでも約150万人が参加したとされる(注:参加者数については,ブエノスアイレス市警察を管理するマクリ・ブエノスアイレス市長が反政府派のリーダーの一人であることを考慮する必要あり)。
今回は昨年の2度の大型カセロラッソの規模を大幅に上回り,2003年以降,政権の座にあるキルチネル派政権に対して行われた抗議運動としては過去最高規模のものとなった(注:昨年11月8日のカセロラッソには,ブエノスアイレス市内で約50万人,同市及びブエノスアイレス州全体では約70万人が鍋叩きに参加したと報じられていた) 。
(イ)主なカセロラッソ実施場所は以下の通り。
ブエノスアイレス市内及びその近郊(オベリスコ,5月広場,国会議事堂,市内の幹線道路,オリーボスの大統領官邸等),ラプラタ市(1万3千人),マル・デル・プラタ市,コルドバ市,ロサリオ市(1万5千人〜1万8千人),メンドーサ市(1万人強)及びその他の地方都市。
また,当地報道によると,東京,シドニー,ワシントン,ローマ及びマドリード等,少なくとも海外の15都市でもカセロラッソが実施され,その多くが,亜の大使館及び総領事館前で行われた。
総参加人数に関する正確な数字は不明とされているが,マクリ・ブエノスアイレス市長のツイッターによると,全国で200万人以上が参加した由。他方,ガレー治安大臣は,全国で17万8千人がカセロラッソに参加したと発表し,政府側は今回のカセロラッソをかなり小さいものと見なしている 。
(ウ)参加した主な反政府派の政党は以下の通り。 急進党(UCR),共和国提案(PRO),反キルチネル派のペロニスタ系政党,市民連合(Coalicion Civica),社会党系の連合「進歩主義派拡大戦線」(FAP),GEN等(注:当地報道で注目された今次カセロラッソの「欠席者」は,マクリ・ブエノスアイレス市長(PRO)及び反キルチネル派のモジャーノ労働総同盟(CGT)書記長) 。
(エ)昨年(9月13日及び11月8日)の全国規模のカセロラッソ同様,今回もツイッターやフェイスブック等のSNSで参加が呼びかけられたが,野党が公に参加するという事以外には事前の反響等は特段報じられていなかったため,今回のカセロラッソにどれだけの市民が参加することになるのかは,実施されるまで不明瞭であったが,結果的に過去最大規模になった。
(オ)今回のカセロラッソの主要な動機は,政界における汚職(とりわけ,14日の夜に当地のテレビ番組(「Periodismo Para Todos」)で放送された,故キルチネル前大統領の友人且つビジネス・パートナーとされているサンタクルス州の実業家,ラサロ・バエス氏によるマネーロンダリング疑惑のスクープ報道の反響が大きかった),及び政府が強行に推し進めた「司法の民主化」改革への反発であった。また,昨年のカセロラッソ同様,フェルナンデス大統領の再々選反対,治安の悪化への憂慮及びインフレへの不満等も引き続き訴えられた。
(カ)18日のカセロラッソ当日,フェルナンデス大統領はリマでのUNASUR緊急会合への出席及びマドゥーロ・ベネズエラ新大統領の就任式への出席のため,午後18時20分頃に大統領専用機「タンゴ01」で国外に向けて出発した。頻繁にツイッターで発信を行う同大統領であり,飛行中にも種々ツイートしていたが,本カセロラッソには一切言及しなかった。当地報道によると,大統領府関係筋は今回のデモにつき,前回の規模を上回った旨認めたが,デモが「司法の民主化」等の政府のイニシアティブを頓挫させることにはならず,むしろ改革のスピードが早まることになるだろうと発言した 。
(5)放送法改正法:控訴審による「違憲」判決
(ア)2009年10月に成立し,2010年9月に施行された「視聴覚コミュニケーション・サービス法(通称:放送法改正法)」(法律第26,522号)の一部の条項(注:規定の上限を超える放送ライセンスを所有している企業に対し,超過分のライセンスを手放すよう義務づける条項等)の適用が,クラリン・グループからの違憲性を理由とする保護請求により,2009年12月より執行停止状態にある。
(イ)政府は司法に圧力をかけ,放送法改正法の完全施行によってクラリン・グループを解体に導こうと躍起になってきたが,17日,連邦控訴裁判所は同グループの主張の一部を支持し,同改正法の懸案条項(第45条及び第48条)を違憲とする判決を下した(注:客年12月14日の第一審では,政府の主張が支持され,合憲との判決が出されていたので,控訴審は右判決を覆したことになる)。
(ウ)同17日,マスメディアを管理するサバテラ「連邦視聴覚コミュニケーション・サービス機構」(AFSCA)代表は,控訴審による上記判決を不服とし,最高裁に上訴する手続きに入る旨発表した。
(エ)18日,フェルナンデス大統領は演説において今般の控訴審判決を酷評し,(オリーボスの大統領官邸で判決を聞いた際には)「一瞬言葉を失ったほどだった」,と怒りをあらわにした。
(6)ガソリン及びガスオイルの最高価格の凍結
(ア)10日,経済・財政省は決議第35号を官報に掲載し,翌11日から10月11日までの6ヶ月間,国内の全ガソリン・スタンドのガソリン及びガスオイルの最高価格を凍結する旨発表した。同決議は,4月9日時点のガソリン及びガスオイルの各地での最高販売価格を,今後半年間の価格の上限にするとした。今回の最高価格凍結措置は全国で実施されるが,凍結される最高価格は地域ごとに異なり,全国が6つの地域に区分される(ブエノスアイレス市及びブエノスアイレス州,北西部各州,北東部各州,クージョ地方,パンパ地方,パタゴニア地方)。
(イ)11日以降,YPF社,エッソ社及びシェル社を始めとする各社は,ガソリン及びガスオイルの値上げを発表した(注:9日時点の「最高価格」までの値上げは可能とされている) 。
3 外交
(1) オランダ
27日〜5月1日にかけ,ウィレム・アレクサンダー新国王及び亜出身のマクシマ新王妃の即位式に出席するため,ブドゥー副大統領を始めとする亜政府代表団計8名が,オランダを公式訪問した。マクシマ王妃の誕生は,フランシスコ・ローマ法王の誕生に次ぐ慶事として,亜国内でも盛り上がった。なお,フェルナンデス大統領自らが即位式に出席しなかった理由については特段説明されていない。マクシマ王妃とフェルナンデス大統領は,本年3月19日に開催されたフランシスコ・ローマ法王の就任式の際にバチカンで会っている。
30日,在亜オランダ大使館は,アルゼンチン時間の午前7時半より,ブエノスアイレス市のパレルモ地区にある競馬場において,ウィレム・アレクサンダー新国王及びマクシマ新王妃の即位を祝う為に,亜在住のオランダ国民を招待しての朝食会を開催し,会場では即位式の模様を巨大モニターで生中継で放映した。同日昼には,同競馬場において祝賀レセプションが開催され,在亜の各国大使などが出席した 。
(2)ベネズエラ
14日に実施されたベネズエラ大統領選挙の結果,マドゥーロ候補の当選が発表されると,フェルナンデス大統領は,ツイッター上で祝意を表明するメッセージを発信し,15日,亜外務省も祝意を表する声明を発出した。
フェルナンデス大統領は,18日にリマにて開催されたベネズエラの現状に関する協議を目的としたUNASUR緊急会合に出席した後,19日午前7時にカラカスに到着し,マドゥーロ新ベネズエラ大統領の就任式に出席した(ティメルマン外相,デビード公共事業相,パリーリ大統領府長官,サニーニ大統領府法制長官及びウリバリ・エントレ・リオス州知事同行)。また,20日の帰国前に、同行者なしで,チャベス前ベネズエラ大統領の墓を訪れ,白い蘭の花を捧げた 。
(3)パラグアイ
21日夜,パラグアイ大統領選挙でのカルテス候補の勝利が伝えられると,フェルナンデス大統領は,電話にて,同次期大統領に対する祝意を表明した。また「パラグアイは,今まで通り,我々(全メルコスール諸国)と共に,メルコスールの一員と位置づけられている」と述べ,2012年6月のルゴ・パラグアイ大統領(当時)弾劾以来,参加が停止されていた同国のメルコスールへの参加停止措置の解除は保障されている旨発言した。
右に対し,カルテス次期大統領は「フェルナンデス大統領に多くの祝福がありますように。そして改めて御礼申し上げます。貴国にて近いうちにお目にかかれることを願っております」と返答した。
同日22時近く,パラグアイでの票の集計が確定すると,フェルナンデス大統領は,ツイッター上で約15件のメッセージを発信し「カルテス次期大統領からは,歴史的な友好関係の絆と,亜国民のパラグアイ国民に対する伝統的な歓待に対し,亜への暖かい御礼の言葉があった。右に対し,私(「フェ」大統領)からは,英雄であるパラグアイ国民に対する私の賞賛と,最も偉大な歴史上の人物であるソラーノ・ロペス元帥に対する人々の敬意を知っていただきたい。パラグアイ国民に私の祝意を伝えていただきたい。また,最も重要なのは,我々は,(パラグアイを)メルコスールで待っているということである」と述べた。また,メルコスールへのパラグアイ復帰について繰り返し言及し「民主主義とメルコスールというのは最良の方策である」「再び,南米諸国が完全に揃うことになり,そうなることが必要とされている」と発言した。
25日から26日かけてのルセーフ伯大統領の訪亜に際し,両国首脳は共同宣言において,カルテス・パラグアイ大統領の選出を経てメルコスールが再び統合されることに満足の意を表明した。他方,27日付ペルフィル紙によると,右亜・伯首脳会談では,フェルナンデス大統領及びルセーフ伯大統領が,パラグアイのメルコスール復帰の条件の一つとして,パラグアイ国会によるベネズエラのメルコスール加盟承認を決定したと報じられている 。
(4)ブラジル
(ア)ルセーフ伯大統領訪亜
25日から26日にかけ,ルセーフ伯大統領が亜を訪問し,フェルナンデス大統領との二国間首脳会談等,約7時間におよぶ会合が実施された。議題としては,伯バーレ社撤退問題(メンドーサ州でのカリウム採掘プロジェクトに多額の投資を行っていた伯バーレ社が,ドル建ての開発費の上昇の他,亜政府に求めていた税制上の優遇措置が認められないことから,撤退を決定したもの)をはじめ,両国間の通商・経済分野における問題が協議された。両国首脳からは,具体的な解決策の詳細についての発表はなく,今次会合は,二国間関係を混乱させるのではなく,強化しようという考えの下で進められたとのみ公式に発表されている。また,25日夜に200周年記念博物館にて開催された夕食会にて,フェルナンデス大統領は,「先進国及び欧州諸国で起こっている経済危機・経済問題は,我々(両国)の経済を強化する上での試練である」と述べた他,亜の貿易収支が黒字を維持していることを強調した。他方で,この貿易黒字は伯の貿易赤字の上に成り立っているものであるところ,ルセーフ伯大統領は,同夕食会の乾杯の際に「我々は通商面における困難や障害を乗り越える為に行動せねばならない」と述べ,この問題に正面から向き合っていく姿勢を示した。しかしながら,実効的な解決策が明らかにされた訳でもなく,問題とされていた自動車及び自動車部品の関税廃止合意についても,当面延期されることとなり,2014年まで現行制度が継続することとなった。また,伯ペトロブラス社が亜国内に有する資産の売却,伯国立経済社会開発銀行(BNDES)による亜の公共事業に対する貸し付け等,具体的結論が出なかった案件も多々あった。亜アウストラル航空への航空機販売に際しての伯エンブラエル社の贈賄問題については言及されなかった模様 。
(イ)伯政府による洪水への援助
19日,アバル・メディーナ官房長官及びアリシア・キルチネル社会開発大臣を訪問したコルデイロ在亜伯大使は,伯政府は,大雨の影響で,ラプラタ市及びブエノスアイレス市及びその周辺で発生した洪水の被害者に対し,2万枚のベットマット及びシーツ、ベット・カバーを供与する旨伝達した 。
(5)英国
(ア)8日のサッチャー元英首相(フォークランド紛争時の首相)の逝去に関しては,亜政府は沈黙し,特段のコメントは出されなかった。
(イ)しかし,葬儀への参列についてのみ,以下の動きやコメントがあった。
フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題との関係で,当初,サッチャー元英首相の葬儀に,同元首相の家族は,フェルナンデス大統領を招くことに消極的であると報じられていた(最終的には亜にも声はかかった由)。これに関し,ティメルマン外相が,「行く予定でなかった葬儀に招待を受けなかったことは重要ではない」と発言した。一時は,カストロ在英亜大使が参列するのではないかとされていたが,最終的に同大使も葬儀には参列しなかった 。
(6)フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題
(ア)マルビナス戦没者記念日式典
2日,マルビナス戦没者記念日式典にて,フェルナンデス大統領は,約40分間の演説を行った。右演説にて,フェルナンデス大統領は,対話に応じない英国政府を批判し,本件は亜1国の問題ではなく,メルコスール,UNASUR,CELAC等の枠組における地域の問題になってきており,英国は今の態度をいつまでも続けられるものではないという従来の亜の主張を繰り返すと同時に,英国に対し,フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題をヨーロッパで起こっている経済・社会問題の隠蔽に利用しないよう要請した。
(イ)英国による軍事演習実施に対する非難
15日,亜外務省は,英国政府が15日から26日にかけて,フォークランド(マルビナス)諸島からのミサイル発射を含む,亜領土内での新たな軍事演習実施を計画しているという情報を察知したとし,右を「亜への新たな挑発」であると非難した 。
(7)ウルグアイ
(ア)4日,ムヒカ・ウルグアイ大統領は,ウルグアイ大統領府のホームページ上で生中継されていた記者会見にて,マイクが入っていることに気づかずに「あの女(フェルナンデス大統領)は片目の男(キルチネル前大統領)よりひどい(Esta vieja es peor que el tuerto)」,「片目の男はもっと政治家だったが,あの女は強情だ。(フェルナンデス大統領は)自らが何をやっているのか分かっていない(El tuerto era más político, esta es terca. No sabe lo que está haciendo)」と述べた他,フェルナンデス大統領がフランシスコ・ローマ法王の就任式に合わせてバチカンを公式訪問した際の同大統領によるお土産披露の様子に関し,「77歳の亜出身のローマ法王に対して,何がマテだの,何が魔法瓶だの(いちいち)説明するか」と批判的な発言を行った。
(イ)ムヒカ大統領の右発言内容が耳に入るなり,フェルナンデス大統領はティメルマン外相を呼び,ウルグアイ政府に公式の抗議を行うよう指示した。右を受け,亜外務省はポミ駐亜ウルグアイ大使に書簡を手交し,「亜は,反論も防御も出来ない死者(キルチネル前大統領)の記憶と地位を侮辱する中傷的な発言が,故人が友人だと思っていた人物によってなされたことを受け入れることはできない」と伝えた。亜外務省での同書簡手交前に,ポミ大使は,事態沈静化に向け,亜政府関係者(サニーニ大統領府法制長官,デビード公共事業大臣及びティメルマン外相)を訪問し,ムヒカ大統領の発言は公式なものではなく,本意ではなかった旨説明して回ったが,効果はなかった。
(ウ)11日,ムヒカ大統領は,本件に対し公式に謝罪を表明すると同時に,フェルナンデス大統領に対し書簡を発出した。
(エ)18日から20日にかけてのペルー及びベネズエラ訪問に際し,フェルナンデス大統領は,ムヒカ大統領に,大統領専用機「タンゴ01」に同乗するよう持ちかけた。18日,出発前にアエロパルケ空港にてムヒカ大統領と再会したフェルナンデス大統領は,「ぺぺ(ムヒカ大統領)安心して。もう大丈夫(Está todo bien)」と声をかけた。右に対し,ムヒカ大統領は,カラカスよりウルグアイ国営放送を通じて「私の(フェルナンデス大統領に関する)発言が非常に冷酷であったことは分かっている。(…)亜のような国を管理する亜の大統領には, 頑固さと揺るぎなさの両方が必要で,そうでなければ、おそらく統治することはできないだろう。(…)亜とは常に対話を行っていく必要がある。亜はできる限り我々の声に耳を傾ける。(亜・ウルグアイ)二国間関係は最高でもなければ最低でもなく,常に交渉あるのみだ」と述べた。また18日,フェルナンデス大統領はツイッター上で「私はかなり頑固(medio terca)な上に,年老いてもいる。でも,年とるほど生きられるのは幸運だと思わない?」と発信した 。
(8)イラン
(ア) 二国間覚書を巡る二国間関係
19日にカラカスで開催されたマドゥーロ新ベネズエラ大統領の就任式には,アフマディネジャード・イラン大統領も列席したが,フェルナンデス大統領は,同イラン大統領とは距離を置き,亜政府関係者は,両国首脳が一緒に写真におさまることのないよう最大限の注意を払っていたと報じられている。
これは,1月27日に,両国外相間で署名された,1994年のイスラエル共済組合(AMIA)会館爆破事件の解決に向けた真実委員会を設置する為の二国間覚書のイラン議会での承認の遅れが,亜側において疑問視されており,亜の反政府派が一団となって同覚書への拒絶を表明している現状において,アフマディネジャード・イラン大統領との接触は,国内及び国際社会,特に米国からの疑念を招きかねない為と見られている。
就任式でも,フェルナンデス大統領が中央に設置された壇の左側に着席したのに対し,アフマディネジャード大統領は右側に着席した他,同行した大臣は,二国間会合,会談等の実施を全面的に否定した。
(イ)地震による被害に対する弔意表明
16日,亜外務省は,亜政府及び亜国民を代表して,「イランのシスタンバルチェスタン州で発生した地震に伴う,死者,負傷者及び物的損害に対する深い悲しみ」を表明した
(9)メキシコ
15日から18日にかけ,ティメルマン外相はメキシコを訪問し,16日,ミード・メキシコ外相と会談し,両国間の戦略的協力関係を強化する旨合意に至ると同時に,今年の二国間共同案件詳細に関し協議した。また,両国外相は,第1回国会議員間会合をメキシコ・シティーで,第4回薬物乱用防止合同委員会会合をブエノスアイレスで実施する旨決定した。ティメルマン外相は,フェルナンデス大統領からのペニャ・ニエト大統領に対する亜への招待を伝達した。
(10)米国
(ア)ナオン新駐米亜大使の信任状捧呈
15日,ナオン新駐米亜大使は,ホワイト・ハウスにてオバマ米大統領に,信任状を捧呈した。信任状捧呈式にて,オバマ米大統領は,ナオン新大使に,G20の枠組みにおいて,フェルナンデス大統領と引き続き協働していきたい旨伝達したとされている。
(イ)ボストン・マラソン開催時の爆破事件被害者に対する弔意表明
16日,亜政府は,ボストン・マラソン開催時に発生した爆破事件被害者に対する弔意を表明するプレス・リリースを発出し,亜政府及び亜国民は,今回の犯罪行為を強く非難する旨述べ,米国民,米国政府,被害者家族に対し連帯を表明すると同時に,今次テロにて,再び無実な者を殺害する為に使われた武器の取引を制限する為に行動するよう,世界中の国々に対し,改めて団結を呼びかけた 。
(11)要人往来
(ア) 往訪
● 3日〜5日:ブドゥー副大統領メキシコ訪問(第4回G20議長会議出席)
● 9日:ブドゥー副大統領アルメニア訪問(サルグシャン大統領就任式出席)
● 9日:プリチェリ国防大臣のブラジル訪問(第9回ラテンアメリカ航空防衛ショー(LAAD)出席)
●12日〜14日:ブドゥー副大統領ベネズエラ訪問(大統領選挙)
●15日〜18日:ティメルマン外相メキシコ訪問
●15日〜17日:スアイン筆頭外務副大臣中国訪問
●16日:バラニャオ科学技術大臣オランダ訪問
●19日:バラニャオ科学技術大臣ベルギー訪問(第7回科学技術・改革協力条約委員会会合出席)
●17日:ロレンシーノ経済・財政大臣及びコセンティーノ金融長官米国訪問(国際通貨基金(IMF)・世界銀行春季会合出席)
●18日:フェルナンデス大統領ペルー訪問(UNASUR特別会合出席)
●19日〜20日:フェルナンデス大統領ベネズエラ訪問(マドゥーロ大統領就任式出席)
●19日:スアイン筆頭外務副大臣カザフスタン訪問
●22日〜24日:バラニャオ科学技術大臣米国訪問(「BIO2013」(バイオテクノロジーに関するイベント)出席)
●23日〜26日:スアイン筆頭外務副大臣ハイチ訪問(第5回カリブ諸国連合首脳会議出席(亜はオブサーバ参加))
●27日〜5月1日:ブドゥー副大統領オランダ訪問(ウィレム・アレクサンダー新国王即位式出席)
●26日〜28日:中亜友好議員連盟亜下院議会メンバー中国訪問
(イ)来訪
●4日:アムラニ・モロッコ外務次官
●5日:マルティネス・エルサルバドル外相
●10日:ハウア・ベネズエラ外相
●12日:ビチコフIAEA事務次長
●14日:アウグスト・アンゴラ外務副大臣及びクルス・エ・シルバ文化大臣
●15日〜16日:マロン派アンティオキア教会総大主教・東方正教会総主教イバネス・バチャラ・ブトロス・ライ枢機卿
●17日:ステルマッチ・ポーランド外務次官
●25日〜26日:ルセーフ伯大統領
●26日:グルエフスキー・マケドニア共和国首相
●29日:グラシア外務・協力省西イベロアメリカ担当長官
●30日:カレラ・ガテマラ外相 。
(12)今後の主要外交日程
●5月8日:マドゥーロ・ベネズエラ大統領訪亜
●5月9日〜11日:李中国副主席訪亜 。