1 概要
(1)内政:モレーノ国内取引長官(経済・財政省)の要請により,国内の大手スーパーマーケット,家電量販店及び中国系(小規模)スーパー等が,60日間に及ぶ価格凍結を実施することになった。また,それに関連して広告規制も実施され,新聞,テレビ及びラジオ等のマスメディアを媒介にした特売品の宣伝が制限されることとなった。その他,亜の主要農牧4団体は,政府が亜連邦歳入庁(AFIP)の調査を通して実行に移している大豆の早期売却指導に反対する声明を発出し,外貨獲得のために大豆の在庫管理に乗り出そうとしていると報じられている政府に反発する姿勢を見せた。
(2)外交:ティメルマン外相は,フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題の解決に向けた亜・英二国間対話を促進する目的で,英国を初めて公式訪問したが,へイグ英外相との二国間外相会談については,同諸島の住民代表の同席を条件とする英国側の要求を亜側が最後まで拒否した為,実現には至らなかった。また,1月にティメルマン外相及びサーレヒ・イラン外相が署名した1994年のイスラエル共済組合(AMIA)会館爆破事件の解決に向けた真実委員会の設置を明記した亜・イラン二国間覚書を承認する為の法律が,上下両院で可決され,正式に国内法として発布された。その他,デビード公共事業大臣及びキシロフ経済政策長官は,石油,ガス,鉱業,原子力,農業等の重要分野における亜への投資を促進する目的でアラブ首長国連邦を訪問した。
2 内政
(1)スーパーマーケット及び家電量販店等における価格凍結と広告規制
(ア)4日,モレーノ国内取引長官(経済・財政省)は,亜国内の主要なスーパーマーケットに対し,4月1日まで,国内の全店舗で全商品の価格を凍結するよう要請した。また,国内取引庁は消費者に対し,値上げを実施している店を見かけたら通報するよう呼びかけ,同庁に属する消費者保護庁(Subsecretaria)は,通報用の無料電話回線を設置した旨ホームページ上で発表した。なお,今次価格凍結の目的等に関する経済・財政省のプレスリリース等は一切発出されておらず,当地報道は,インフレ対策及び労組の賃上げ交渉対策をその実施理由として挙げた。
(イ)5日,当地報道は,4月1日までの価格凍結が国内の主要な家電量販店,日用品店及び建築資材店等にも適用されることになる旨伝えた。翌6日,国内の中国系(小規模)スーパーの連合も,モレーノ国内取引長官が要請した価格凍結に応じる旨発表した。
(ウ)15日,消費者保護庁は,同日付のクラリン紙が,スーパーマーケットの店頭での品不足を誇張する虚偽の報道を行い,消費者の不安を煽っている旨糾弾する公式声明を発出した。翌16日付経済・財政省のプレスリリースは,コロンボ消費者保護庁次官補が価格凍結は永遠に継続させるものではないが,「消費者は(価格凍結に)満足しており,政府は亜国民の財布に優しい政策を実施している」と発言した旨報じた。右プレスリリースにおいて同次官補は,一部商品が品薄になっていることはあり得るが,(9日〜12日までの)4日間のカーニバル休暇の後であり,不思議なことではないとの認識を示した。
(エ)当地メディアは,カーニバル休暇中にモレーノ国内取引長官が主要スーパーマーケット等に監査員を派遣して,実際に値上げが行われていないかを店頭表示価格で調査したと報じたほか,同長官が2ヶ月間の価格凍結に合意したスーパーマーケット及び家電量販店等に対し,同要請を遵守しなければ輸入を許可しない,あるいは会社を接収する等と伝え,圧力をかけた旨報じた。
(オ)政府は今次価格凍結に合わせる形で,新聞,テレビ及びラジオ等のマスメディアを通じた安売り広告の規制を開始した。亜では同規制の前例がないため,当地各紙は,生産,販売及び消費に如何なる影響が出るのかは想定の範囲外とする専門家の分析等を掲載し,とりわけ,2ヶ月間にわたる価格凍結及び広告規制が解除された時に大きな混乱が生じるのではないかと懸念する声を報じた。同広告規制が敷かれて以降,独立系のマスメディア各社から成る企業委員会(Cemci)は,関係各紙において,通常,スーパーマーケット等の安売り広告に当てられていたページに,黒い帯で目隠しされた男女一人ずつの写真と,「これまでは当ページで『本日の大安売り』の情報を目にしていたあなただが,今は政府の圧力により,目隠しされた状態で買い物しなければならない」という文言の広告を掲載するとともに,ブエノスアイレス市で販売された主要紙の朝刊紙上で抗議を行った。
(2)政府による大豆の早期売却指導に反対する農牧団体の抗議活動
(ア)7日,亜の主要農牧4団体は,政府が亜連邦歳入庁(AFIP)の職員を通じて,大豆を早期売却するよう一部の生産者に対し圧力をかけている問題について,反発する声明を発出した。同問題につき,当地報道は,政府が大豆の売却を渋っている生産者に圧力をかけるため,大豆の在庫管理に乗り出す方向で動いていると伝えた(注:今年に入ってから,亜の外貨準備高は減少し続けており,政府が大豆の早期売却を推し進める理由については,外貨の獲得という目的が当地報道で挙げられている)。
(イ)15日,農業生産者等は亜農牧団体代表会に対し,亜の主要農牧4団体が一致団結して政府の圧力に対抗するよう要請するとともに,同圧力に反対するために,4月にストライキを実施する方向で調整に入るよう要求した。代表会側は生産者等に対し,本件に関する農牧・漁業省との話し合いの場には,4団体がまとまって出席する旨約束した。
(ウ)22日,亜農業連盟(FAA)に属するサンタフェ州南部の中小農業生産者の連合会は,政府による大豆の早期売却指導,農業生産者人口の減少及びインフレ等に抗議する目的で,高速道路及び国道を封鎖する抗議活動を実施した。
(3)2013年の賃上げ交渉
(ア)8日,植物油労組は,ストライキを伴う40日間に及ぶ交渉の結果,22〜25%の賃金上昇及び5,520ペソの一時金支給措置により経営者側と妥結した。多くの業界が,亜の実際のインフレ率と言われている25〜30%のラインを下回る賃上げでは受け入れられないと表明している中,政府にとっては,25%以下で決着した例として意義深いと当地報道は伝えた。政府は植物油労組同様,他の業界,とりわけ繊維,建築,皮革,漁業,プラスチック,機械工及び金属工業労組等に関しても,全体の賃上げ幅を20〜22.5%程度に抑える方向で検討している他,植物油労組同様,職務等級の低い労働者の賃上げ率をより高く設定する方法で妥結させたいと考えている模様と当地メディアは報じた。
(イ)公立教育機関の教員労組の賃上げ交渉が全国各地で難航し,ストライキにより,国内の17の州で新学期の開始が数日遅れることとなった。2月25日前後の新学期開始に間に合う形で賃上げ交渉を終えたのは,ペロン党反キルチネル派のデ・ラ・ソタ州知事が治めるコルドバ州(26%の賃上げ)及びペロン党キルチネル派のウルトゥベイ州知事が治めるサルタ州(22%の賃上げ)のみとなった。亜では,公立教育機関の教員の賃上げ交渉は,まず国がその基準を設定し,同基準及び地方の財政状況に基づいて,地方の教育省と教員労組が話し合いを行い,結論を出すことになっている。本年に関しては,亜教職員連盟(CTERA)を始めとする教職員労組5団体は,公式統計の(実情を反映していないとされる)数字ではなく,実際のインフレ率以上の賃上げを求めるということで,当初から30%の賃上げを要求していたが,中央政府は話し合いによる交渉を打ち切りにし,15日に政令によって,本年の賃上げ率の基準を16〜22%とし,3月,9月及び12月の3回に分けて段階的に引き上げを行う旨発表した。24日,国の教育大臣であるシレオニ教育相は,全国にいる96万人の教員の賃上げに関する責任は,国ではなく,各州政府及びブエノスアイレス市政府が負っている旨発言し,国が提示する賃上げ率の基準というのは,あくまでも指標的なものであるとの認識を示した。(注:本年も例年に続き,とりわけブエノスアイレス州の教員の賃上げ交渉が難航しており,労組が一貫して30%の賃上げ要求を続け妥結にいたっていないため,3月に入っても週に2日はストライキで授業が実施されないような状況となっている。当地では,賃上げ交渉の長期化による子どもたちの学業への影響が懸念されている)。
(ウ)26日,労働省は,電気労組が31.61%の賃上げで企業側と妥結したと公表した(注:2014年6月までの18ヶ月間に31.61%の賃上げを行う)。労使は労働省の仲介のもとに交渉を行い,以下のように賃上げを行うこととなった。
●2013年1月(18%) 100+100×0.18=118
●2013年6月(5%) 118+100×0.05=123
●2014年1月(7%) 123+123×0.07=131.61
(4)「5月広場の母」による社会住宅建設事業を巡る汚職問題
14日,オジャルビデ連邦判事は,人権団体「5月広場の母」(注:亜軍政期の行方不明者問題の真相究明を求める行方不明者家族会)の元代理人セルヒオ・ショクレンデルとその弟のパブロ・ショクレンデル,及び同団体のアレハンドロ・ゴトキン会計士を業務上横領の容疑で再逮捕した。亜連邦裁判所の調べによると,ショクレンデル被告らは,2009年から2011年の間に,社会開発省から同団体に助成された低所得者層向け住宅建設用資金,約11億ペソの一部を横領した疑いがもたれている(注:同3名は,2012年5月にも同容疑で逮捕されたが,保釈金を支払い,釈放されていた)。
(5)亜農牧協会所有の大型展覧会施設「ラ・ルラール」の再国有化をめぐる裁判
(ア)18日,ブエノスアイレス市のパレルモ地区にある亜農牧協会(SRA)所有の大型展覧会施設「ラ・ルラール」の再国有化をめぐる裁判に関し,SRAは,亜の主要農牧団体で構成される亜農牧団体代表会が,政府によって推し進められようとしている大豆の早期売却指導への対応を協議している間に,政府がトーレス連邦判事にSRAをラ・ルラールから立ち退かせるよう要請していたことを明らかにした。同立ち退きを定めた政令第2,552号の執行は,現在,1月の連邦控訴裁判所の民事・商事部の判決により一時的に停止されている。
(イ)21日,政府は連邦控訴裁判所の民事・商事部が下した政令第2,552号の執行停止措置判決を不服として,連邦最高裁判所に上訴した。
(6)オンセ駅における列車衝突事故の一周忌
(ア)21日,フェルナンデス大統領は,地デジ放送の政府系スポーツ・チャンネル(Depor TV)の開設に関する演説の中で,1年前に発生したブエノスアイレス市のサルミエント線オンセ駅における駅端への列車衝突事故(注:51人が死亡,700人以上が重軽傷を負った)に関し,「愛する人を失う辛さは自分(フェルナンデス大統領)にも分かる,事故の責任の所在を明らかにするために司法がある」とごく手短に言及した。右発言において,フェルナンデス大統領は,自身が2010年に夫であるキルチネル前大統領を失った際の悲しみ,また,17日に亡くなった同前大統領の実母の死による悲しみを表現するとともに,オンセ駅での列車事故の遺族を,軍事政権下(76年〜83年)に誘拐された「行方不明者たち」の家族である「5月広場の母たち及び祖母たち」に重ね合わせ,右被害者が35年の年月を経て,キルチネル派政権の努力により司法の場に到達したことを想起させる発言を行った。
(イ)22日,事故が発生した午前8時半,オンセ駅の2番ホームにおいて,被害者及び遺族等関係者が黙祷を捧げた。同日夜,大統領府前の5月広場には,事故の被害者,遺族,野党及び一般市民等,約2万人が集結し,政府の鉄道事業のずさんな監視体制,とりわけ補助金の使途管理の不備及び不正蓄財の横行に対し,強い怒りをぶつけた。オンセ駅の事故に関しては,以前からフェルナンデス大統領の関心の薄さが非難の的となってきた経緯があり(注:同大統領は事故が発生した際,早急に公式声明を発することなく,5日経って初めて本件に手短に言及した),今回も前日の演説で,キルチネル前大統領の心不全による病死とオンセ駅での事故死を重ね合わせるかのごとく話すなど,事故における政府の責任の認識の甘さを露呈する発言が被害者遺族の感情を逆なでしたと当地メディアは報じた。
(ウ)本件に関しては,連邦第一口頭審理裁判所のボナディオ判事が,事故の責任を問われて起訴された28名の公判を開始することになっている。28名の中には,中央政府から補助金を受け取っていたブエノスアイレス鉄道会社(TBA:Trenes de Buenos Aires)の元経営陣であるシリグリアーノ兄弟及び事故列車を運転していたコルドバ運転手の他,ハイメ元運輸長官及びスキアビ前運輸長官等,元政府高官5名も含まれている。
(7)フェルナンデス大統領の再々選の行方
26日,デビード公共事業大臣はアバル・メディーナ官房長官及びサニーニ大統領府法制長官とともにサンタフェ州のキルチネル派市長等を大統領府に招集し,公共事業向けの資金供与を行う旨発表した。当地報道によると,同資金提供の見返りに,デビード公共事業大臣と会合したサンタフェ州の25の市と175の町村の首長は,今年10月に予定されている連邦議会選挙に向けた協力につき,行政府より指導を受けた由。同大臣は,「我々にとって,(キルチネル派の政治・経済)モデルの存続は,間違いなく,フェルナンデス大統領が次の4年間に亜の未来を率いることができるか否かにかかっている」と発言し,同大統領の再々選を想起させる発言を行った。また,フェルナンデス大統領の政策決定に係わる数少ない側近の一人であるサニーニ大統領法制長官も,現行の憲法下でフェルナンデス大統領の任期が終わる2015年以降もキルチネル派のモデルは存続していくとの発言を市長等に対して行った。当地報道によると,同法制長官は2003年以降のキルチネル派政権において,常に政策決定に携わる小さな輪の中に入り続けており,現在はフェルナンデス大統領の右腕のような存在となっているが,目立った発言をすることはこれまで殆どなかった為,今回の同長官の発言が何かを予言しているのではないかと波紋を呼んだ。現在,フェルナンデス大統領が署名する公文書は,必ず事前にサニーニ法制長官が決裁することになっており,また,同長官は各政令や決議の起案も行っていると伝えられており,一部ではフェルナンデス大統領の後継者候補とも取り沙汰されている。
(8)上院の次期執行部役員の選出
28日,上院において,今年の同院の執行部役員を選出するための準備セッションが開催され,以下の通り選出された。
(ア)議長代理:ロフケス・デ・アルペロビッチ上院議員(ペロン党キルチネル派)
(イ)副議長:マリーノ上院議員(急進党)
(ウ)第1副議長:フエス上院議員(社会党を中心とする革新派拡大戦線(FAP))
(エ)第2副議長:ロメロ上院議員(ペロン党反キルチネル派)
3 外交
(1) フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題
(ア)ティメルマン外相の英国訪問
ティメルマン外相は,国連決議に基づき,フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題の解決に向けた亜・英二国間対話を促進する目的で,4日から6日にかけ英国を初めて公式訪問し,英国国会議員との会合,関水国際海事機関(IMO)事務局長との会談,本件対話に向けた欧州18ヵ国グループとの会合及び記者会見を実施したが,へイグ英外相との二国間外相会談については,同諸島の住民代表の同席を条件とする英国側の要求を亜側が最後まで拒否した為,実現には至らなかった。
5日,亜・英多党間会合に出席したティメルマン外相は,フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題に関する亜の要求を20名の英国両院議員に対し英語で主張し,「直ちに対話を開始する」ことを要請した。他方,同会合後,同諸島からかけつけていたサウレ・フォークランド(マルビナス)諸島顧問は,「要請していた貴大臣とのロンドンでの会合が実現できないことを遺憾に思う。貴政府は,(本件解決に向けた)対話の実現を望むと主張しながらも,対話の機会が訪れるとそれを拒否している」と記した書簡をウエストミンスター宮殿(国会議事堂)の出口にて手交しようとしたが,ティメルマン外相は同書簡の受け取りを拒否した。
5日,関水国際海事機関(IMO)事務局長との会合にて,ティメルマン外相は,南大西洋における石油と天然ガスの違法採掘及び,同地域の軍事化に対する亜政府の懸念を表明した(カストロ駐英亜大使同席)。また,亜海軍の練習船「リベルタッド」号の拘留解除の為に,同機関が諸手続きを実行したことに対し謝意を表した。会合後のテレビインタビューにて,ティメルマン外相は、「『リベルタッド』号の拘留解除の為に,国際海事機関(IMO)が実施した全ての行為に対し謝意を表した。同機関は,同船が軍艦である旨証明し,拘留解除に向け様々な手続きを行った。また,我々は、南大西洋における自由航海,アフリカ及びラテンアメリカ諸国が告発している英国による同地域の軍事化問題,石油と天然ガスの採掘等,国際海事機関(IMO)に関連する南大西洋に関するテーマについても協議した」と述べた。
(イ)住民投票記念切手の発行
19日,フォークランド(マルビナス)自治政府は,3月10日及び11日に実施予定の住民投票を記念する切手を発行した。
(ウ)マラボ宣言
22日,赤道ギニアのマラボにて開催された第3回南米・アフリカ首脳会合の際に可決された「マラボ宣言」では,初めて全アフリカ諸国が,フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題における亜の合法的権利を宣言するラテンアメリカ諸国への賛同を表明し,国連をはじめとする国際機関の決議に基づき,平等,平和的且つ最終的な解決方法を早期に見出せるよう,英国に対し亜との交渉再開を要請することを支持した。
(エ)亜による告訴
25日,スイスのジュネーブで開催された国連軍縮世界会合にて,スアイン筆頭外務副大臣は,南大西洋地域に,英国の軍隊が「不釣り合い且つ根拠のないまま」駐屯している旨告訴した。右告訴に対し,英国側は,同地域での軍事力強化を否定し,軍隊配置の唯一の目的は,同地域住民の自由と権利を保護することであると回答した。
(オ)米の立場
25日,ケリー米国務長官は,オバマ政権は,英国が同諸島を実行支配している事実は承知しているが,主権については意見する立場にあらず,亜・英は,本件の平和的解決を探求すべきであるという米国政府の姿勢を表明した。
(カ)インド政府による支持
7日〜8日にかけ訪亜したクルシード・インド外相は,ドミンゲス下院議長との会合において,フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題に関し,インド政府は,亜の立場を支持する旨表明した。
(2)日本
4日,亜外務省は,「日本が再び南大洋鯨類サンクチュアリー内における調査捕鯨を開始したことについて,国際捕鯨委員会(IWC)加盟国であり,且つブエノス・アイレス・グループ(GBA)のメンバー国であるアルゼンチン,ブラジル、コロンビア、チリ、コスタ・リカ、エクアドル、メキシコ、パナマ、ペルー、ドミニカ共和国及びウルグアイ政府は、日本が絶滅が危惧される鯨類を含む捕鯨を継続していることに対し、断固とした反対を繰り返し表明する」というプレスリリースを発表した。
(3)アラブ首長国連邦
(ア)6日,デビード公共事業大臣及びキシロフ経済政策長官は,1月にフェルナンデス大統領がアラブ首長国連邦を訪問した際に,ハーリーファ・ビン・ザイード・アール・ナヒヤーン同国大統領との間で交わしたエネルギー,鉱業,インフラ整備に関する合意文書の内容を実行する目的で,同国を訪問した。今次訪問には,石油,ガス,鉱業,原子力,農業等の重要分野での亜への投資を促進する目的で,ガルッチオYPF社CEO,マジョラル鉱業長官,コスタ外務副大臣も同行し,石油企業グループとの会合に出席した。
(イ)24日から25日にかけ,ジャウアル農牧・漁業大臣は,食品とホテル・飲食店業に関するフェリア「Gulfood 2013」に参加する亜企業に同行し,アラブ首長国連邦を訪問した。
(4)インド
7日〜8日にかけ,クルシード・インド外相が亜を訪問し,7日,大統領府にてフェルナンデス大統領と会合した。8日にはティメルマン外相との間で二国間外相会談が実施され(ジョルジ産業大臣,バラニャオ科学技術・生産革新大臣同席),両国外相は,原子力の平和的利用の為の協力協定,情報交換及び税金徴収への支援に関する協定が効力を発したこと,過去3年間に二国間貿易が81%成長したことに対し,満足している旨共同でコミュニケを発表した。また,両国外相は,投資及び両国企業のイノベーション技術を利用した共同事業を促進し,今後半年以内に,動物・植物衛生に関する覚書,2013年〜2015年にかけての科学技術協力プログラム及び文化協力実行プログラムに関する交渉を完了することで合意した。
(5)北朝鮮
13日,亜外務省は,朝鮮民主主義人民共和国が2月12日に新たに実施した核実験に対し,右核実験は、核拡散防止条約及び包括的核実験禁止条約に公然と矛盾するもので,国際社会の平和と安全に対する明らかな脅威である旨記した非難声明を発出した。また,同国は,直ちに(核に)関連する全ての活動を終了し,現存する全ての核兵器及び核プログラムを完全,実証可能且つ不可逆的な方法で放棄し,核拡散防止条約及び国際原子力機関(IAEA)の保障措置に復帰すること及び,弾道ミサイルの技術を使用した打ち上げ,核実験又は挑発行為を行わぬよう勧告する国連安保理決議を遵守する必要があるとした。
(6)ベネズエラ
18日,ティメルマン外相は,ラジオにて,キューバで療養中であったチャベス・ベネズエラ大統領のベネズエラ帰国は,ラテンアメリカ諸国にとって重要である旨発言した。また同日,在亜ベネズエラ大使館前に集合した政治・社会団体が,チャベス大統領帰国に祝意を表した。
(7)ブラジル
19日,リオデジャネイロを訪問したティメルマン外相は,パトリオタ伯外相と会談した。同会談後,両国外相は,亜及び伯は,パラグアイで4月21日に予定されている大統領選挙及び次期大統領の就任後,同国のメルコスールへの復帰を待ち望んでいると述べた。また,4月のパラグアイでの選挙後,EUとの交渉にも進展があるだろうと発言した。
(8)イラン
(ア)両院での亜・イラン二国間覚書可決
1月27日にティメルマン外相及びサーレヒ・イラン外相が署名した1994年のイスラエル共済組合(AMIA)会館爆破事件の解決に向けた真実委員会の設置を明記した亜・イラン二国間覚書を承認する為の法律が,21日に上院(賛成票39票,反対票31票),27日に下院(賛成票131票,反対票113票)にて可決され,正式に国内法として発布された(3月1日付で法律第26.843号として官報に掲載)。
与党は,真実委員会の設置により,亜・イラン両国の司法関係者がイラン人容疑者を尋問することができるようになることから,AMIA会館爆破事件解決に向けたプロセス前進に繋がるとし,覚書の内容を擁護したが,野党及び国内のユダヤ・コミュニティーは,本覚書の違憲性(憲法第109条(行政府はいかなる場合にも,司法に介入してはならない)及び第18条(国のいかなる住人も,法律に基づく事前の裁判なしには処罰されず,特別の委員会によって裁かれず,また法律が選任する裁判官により裁判される権利を剥奪されないものとする。何人も,自己に不利益な供述を強制されず,また権限ある官憲の令状によるのでない限り逮捕されない。裁判における個人および諸権利の弁護権は,侵害されてはならない)に違反),テヘランでの尋問実施がインターポールの指名手配命令の取消しにつながり,犯人を自由にしてしまう可能性等を指摘し,激しい拒絶を表明した。在亜イスラエル協会(DAIA)及び同爆破事件被害者家族が形成する「罰せられていないAMIA虐殺の解明に向けた団体(APEMIA)」が,27日の下院議会での審議に合わせ,大規模な反対運動の呼びかけを行った結果,国会議事堂前には本覚書を批判する多くの国民が集合した。
(イ)伯の立場
19日,ティメルマン外相とリオデジャネイロにて会談したパトリオタ伯外相は,「本覚書は,平和的,透明且つ外交的な裁判実施に貢献するのだから,伯は本件に反対する理由はない」と述べた。
(9)ILO
26日,国際労働機関(ILO)の専門家委員会は,亜における労働組合の自由を支持し,亜労働者連盟(CTA)の同業組合代表者を承認する必要性を繰り返し主張した。
(10)要人往来
(ア) 往訪
●5日〜7日:ティメルマン外相英国訪問
●6日:デビード公共事業大臣,キシロフ経済政策長官アラブ首長国連邦訪問
●15日〜16日:コセンティーノ金融長官ロシア訪問(G20財務相・中央銀行総裁会議出席)
●17日〜18日:ブドゥー副大統領エクアドル訪問(大統領選挙列席)
●18日〜19日:バラニャオ科学技術・生産革新大臣キューバ訪問
●19日:ティメルマン外相ブラジル訪問
●20日〜21日:デビード公共事業大臣ベネズエラ訪問
●20日〜23日:ティメルマン外相南アフリカ訪問(第3回南米・アフリカ首脳会合出席)
●24日〜25日:ジャウアル農牧・漁業大臣アラブ首長国連邦訪問
●25日〜27日:ブドゥー副大統領,ロレンシーノ経済大臣米国訪問
●25日:スアイン筆頭外務副大臣スイス訪問(国連軍縮世界会合出席)
(イ)来訪
●7日〜8日:クルシード・インド外相
(11)今後の主要外交日程(予定等)
●モレーノ国内取引長官ニジェール訪問
●ルセーフ伯大統領訪亜
●アセベド次期WTO事務総長候補訪亜