アルゼンチン政治情勢(月1回更新)
平成29年9月13日
アルゼンチン政治情勢(2017年8月)
2017年9月作成
在アルゼンチン日本大使館
在アルゼンチン日本大使館
1 内政
(1)大統領府・政府:
ア 連邦議会中間選挙:予備選挙暫定結果
13日,本年10月22日に予定される当国連邦議会中間選挙の予備選挙が実施された。10日には,議会中間選挙の暫定結果を取り纏めるインドラ社(スペインのIT企業大手)アルゼンチン事務所宛に配達された小包が爆発し,2名が負傷する事件があったものの,概ね今次予備選挙は特段の問題なく実施され,投票率は約74%で例年並みであった。
イ 連邦議会中間選挙:予備選挙最終結果
30日,当地主要紙において,13日に実施された予備選挙の最終結果が発表された。最重要選挙区のブエノスアイレス州の上院議員選挙において,暫定結果では与党カンビエモスのブルリッチ前教育大臣が野党ペロン党系のフェルナンデス前大統領を0.08%という僅差でリードしている旨報じられたが,最終結果ではこの順位が逆転し,フェルナンデス前大統領が0.21%差(2万324票差)で得票率1位となった。政府与党側は,同予備選挙について「実質的引き分け(empate tecnico)」であったとの見解を示した。
ブエノスアイレス市下院議員選挙では,カリオー下院議員が筆頭候補を務める与党カンビエモスが暫定結果時より更に得票率を伸ばし,50.13%(暫定結果:49.55%)にのぼった他,地方主要州のコルドバ州及びメンドーサ州(下院議員選挙)等においても,カンビエモスが得票率1位を獲得したことにより,全国的には与党優勢の結果となった。
ウ 投資・貿易促進庁総裁の任命
4日,工業生産省は,先月辞任したプロカチーニ投資・貿易促進庁長官の後任として,ホアン・パブロ・トリポディ同庁国際貿易局長を任命する旨発表した。
(2)その他:
ア マクリ政権の経済政策に反対する抗議デモの実施
22日,労働総同盟(CGT)及び亜労働者連合(CTA)は,5月広場において,マクリ政権の経済政策等に反対する抗議デモを実施した。政府筋によれば,同デモに約4~5万人が参加した旨報じられた。
イ マルドナド氏の行方不明事件
1日,マプーチェ族コミュニティ(チュブット州)のデモにおいて,同日より行方不明になっているサンティアゴ・マルドナド氏の事件について,国境警備隊による暴力的な関与が疑われている件に関し,7日,国連強制失踪委員会は,マルドナド氏の捜索に責任があるとして,亜政府に対し,早急に対応するよう要求した。また,9日,アムネスティー・インターナショナル(人権団体)も,亜政府に対する同様の要請を行うと共に,11日には,5月広場において,人権団体等によるデモが実施された。
2 外交
(1)米国:
ア ペンス米国副大統領のアルゼンチン訪問
14日~16日,ペンス米国副大統領がアルゼンチンを訪問し,マクリ大統領と会談を行った他,ミケティ副大統領及びモンソー下院議長等とも会談を行った。両氏は,二国間貿易アジェンダに関し,米国から亜への牛肉及び豚肉の輸入,及び亜から米国へのレモン,柑橘類等の輸出の可能性を拡大する決定を強調した。また,ペンス米国副大統領は,亜のOECD加盟プロセスへの支持を改めて表明し,次期WTO閣僚会議の開催国として,また,12月1日に就任するG20の議長国として,亜が重要な役割を担っていることを再認識した。
イ 亜産レモンの対米輸出の解禁
17日,亜外務省は,米国農務省が亜産レモンの米国への輸出許可を与えることを通知する旨のプレスリリースを発出した。他方で,16日,トランプ米大統領は,25年ぶりに,米国産豚肉の対亜輸出を再開する旨発表した。
ウ 亜産バイオディーゼルに対するアンチダンピング関税
22日,米国通商代表部(USTR)は,亜産バイオディーゼルに対するアンチダンピング関税に50.29~64.17%のアンチダンピング関税を課すことを決定した。米国の同決定に対し,25日,フォリー外務大臣はコニー米臨時代理大使を招到し,懸念を表明するとともに,同決定の見直しを検討するよう要請すると共に,マクリ大統領は,ペンス米国副大統領宛てに書簡を発出した。
(2)英国:ハモンド英財務大臣のアルゼンチン訪問
2~3日,ハモンド英財務大臣がアルゼンチンを訪問し,マクリ大統領への表敬訪問及びフォリー外務大臣等との会談を行い,二国間貿易の深化の他,来年亜で開催されるG20会合のアジェンダ等について話し合いを行った。また,ハモンド大臣は,ドゥホブネ財務大臣,カプート金融大臣及びディエトリッチ運輸大臣と個別に会談し,英国の対亜輸出の促進及び対亜インフラ投資への可能性等についても話し合いを行った。
(3)FEALAC:フォリー外務大臣の第8回FEALAC外相会合への出席
8月31~9月1日,韓国を訪問したフォリー外務大臣は,31日,釜山で開催されたアジア・中南米協力フォーラム(FEALAC)第8回外相会合に出席した他,中根外務副大臣とバイ会談を実施した。同バイ会談において,日亜関係の重要性につき言及すると共に,亜のOECD加盟希望に対する日本の支持に感謝の意を表明すると共に,両国の外交関係が2018年に120周年を迎え,記念される年となることについても強調した。
(4)ベネズエラ:
ア メルコスールにおけるベネズエラの加盟資格停止問題
5日,ブラジル(サンパウロ)においてメルコスール外相会合が開催され,亜からはフォリー外務大臣が出席した。同会合において,ウシュアイア議定書に基づく民主主義条項の適用によりベネズエラの「資格停止」が正式に決定された。
イ ベネズエラ情勢に関する米州地域緊急外相会合の開催
8日,ペルー政府の呼びかけにより,リマにてベネズエラ情勢に関する米州地域の緊急外相会合が開催され,亜からはフォリー外務大臣が出席した。同会合において,メルコスールによるウシュアイア議定書の適用を通じたベネズエラの資格停止の決定を支持する旨の内容を含む「リマ宣言」が採択された。
ウ ベネズエラ情勢に関するトランプ米国大統領の発言に対するメルコスール声明
現下のベネズエラ情勢に関し,11日,トランプ米国大統領がベネズエラに対し軍事的な選択肢も排除しないと発言したことについて,12日,亜外務省は,メルコスールとして「民主主義促進のために受入れ可能な唯一の手段は対話及び外交であると考える。暴力及び(武)力の行使を含む一切の選択肢の否認は不可避であり,それは(ベネズエラ)国内及び国際関係における民主的共存にとり根本的な基盤をなすものである。」とするプレスリリースを発出した。
(5)ウルグアイ:フォリー外務大臣のウルグアイ訪問
3日,フォリー外務大臣はウルグアイを訪問し,ニン・ノボア・ウルグアイ外相と会談を行った。二国間のアジェンダについては,両国の経済関係拡大に向けた展望及び課題,両国の貿易及び協力の円滑化等について話し合いが行われた他,地域に関するテーマでは,メルコスール・EU自由貿易協定交渉の進展に向け,ブロック内での統合を強化する必要性についても話し合いが行われた。
(6)ボリビア:ワナクニ・ボリビア外相のアルゼンチン訪問
4日,フォリー外務大臣はアルゼンチンを訪問したワナクニ・ボリビア外相と会談を行った。同会合において,二国間及び地域の重要な問題について話し合いを行った他,二国間貿易・投資・経済関係委員会創設のための覚書への署名が行われた。
(7)ASEAN:東南アジアにおける友好協力条約への亜の加入
8日,亜外務省においてASEAN設立50周年記念式典が開催された。同式典において,同7日にフィリピンで開催されたASEAN外相会合において承認された,東南アジアにおける友好協力条約への亜の加入が発表された。亜の同条約への正式な加入は,本年11月にフィリピンで開催される署名式典において具体化されることになる。
(8)世銀:キム世銀総裁のアルゼンチン訪問
17日,ジム・ヨン・キム世銀総裁がアルゼンチンを訪問し,マクリ大統領と会談を行った。同会合において,キム世銀総裁は,亜経済が良い方向に向かって前進しており,来年世銀は,20億米ドルの対亜融資を行う見込みである旨述べると共に,今年の亜の経済成長率は2.7%になる見通しである旨付け加えた。なお,世銀総裁のアルゼンチン訪問は25年ぶり。
(9)北朝鮮:北朝鮮のミサイル発射に対する非難声明
28日及び29日,亜外務省は,北朝鮮によるミサイル発射を非難するプレスリリースを発出した。
(10)要人往来
ア 往訪
●3日: フォリー外務大臣のウルグアイ訪問
●5日: フォリー外務大臣のブラジル訪問(メルコスール外相会合)
●8日: フォリー外務大臣のペルー訪問(米州地域緊急外相会合)
●31日~9月1日: フォリー外務大臣の韓国訪問(第8回FEALAC外相会合)
イ 来訪
●2~3日: ハモンド英財務大臣
●4日: ワナクニ・ボリビア外相
●9~10日: オルギン・コロンビア外相
●14~16日: ペンス米国副大統領
●16日: ピニェラ前チリ大統領
●17日: キム世銀総裁
(了)
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