アルゼンチン政治情勢(月1回更新)
平成29年5月29日
アルゼンチン政治情勢(2017年4月)
2017年5月作成
在アルゼンチン日本大使館
在アルゼンチン日本大使館
1 内政
(1)大統領府・政府:
ア 住宅建設に関する連邦協定の署名
3日,亜政府は,建設関連労組,建設企業代表及び銀行との間で,住宅建設のための連邦協定(Acuerdo Federal) に署名した旨発表した。同協定では,約1500万ペソの民間セクターからの投資により10万軒の住宅建設を行うことを目標としており,約10万人の雇用創出が期待されている。
イ エネルギーに関する連邦協定の署名
20日,マクリ大統領は,中央政府と地方自治体との間で中・長期的なエネルギー供給の保証に向けた国家政策の調整のための連邦協定に署名を行った旨発表した。同協定には,エネルギー連邦審議会の創設,石油・天然ガスに関するデータバンクの創設等を含む条項が含まれている。
ウ 繊維,衣服及び革靴セクターとの政労使間の合意
4日,亜政府は,繊維,衣服及び革靴セクターとの間で,質の高い雇用の創出及び同産業の競争力向上を目的とした政労使間の合意を結んだ。同合意には,同セクターの売上げの回復や国産商品を購入した場合の消費促進を目的として,分割払い(3回・6回払い)の際の利子をゼロとすること等が含まれている。
(2)その他:
ア 政府を支援するデモの実施
1日,ブエノスアイレス市内の5月広場において,亜政府を支持するデモが実施された。マクリ大統領は,民主主義を擁護するために国民自らがソーシャルメディアを通じた呼びかけにより実施された大規模デモについて,国民からの後ろ盾を得ている証であると述べた。
イ 労組等によるゼネストの実施
6日,労働総同盟(CGT)は,マクリ政権の経済政策や労働者解雇,外国製品の輸入拡大,賃上げ交渉における政府の対応等に抗議すべく,全国主要都市でゼネストを実施した。今次ゼネストは,バス,鉄道,地下鉄及びタクシーの他,空港,銀行,学校,病院(緊急対応のみ受付)及びゴミ収集等の労組団体が加わったため,特に,ブエノスアイレス市やその他都市部では市民の生活や経済活動に対する影響が出た。また,ブエノスアイレス州のパナアメリカン・ハイウェイ付近の道路では,左派系グループにより道路封鎖を伴う街頭抗議が行われたため,政府は,約2千名の連邦警察及び国境警備隊を動員し,催涙ガスや放水により抗議者を強制的に排除した。
ウ サンタクルス州の財政赤字問題
アリシア・キルチネル氏(故キルチネル元大統領の姉)が州知事を務めるサンタクルス州において,約68億ペソにのぼる州政府の財政赤字により,州政府職員の賃金支払いが遅延している問題で,21日,賃金支払いを求める職員らは,同州知事の住居前でデモを行い,警察官との間で衝突が起こった。
2 外交
(1)米国:
ア ドゥホブネ財務大臣及びカプート金融大臣のワシントン訪問
18~22日,ドゥホブネ財務大臣及びカプート金融大臣は,国際通貨基金(IMF)・世銀春季会合出席のため,ワシントンを訪問した。ドゥホブネ財務大臣は,20日,ターマン・シャンムガラトナム・シンガポール副首相兼経済・社会政策調整相,フィリップ・ハモンド英財務大臣,イェンス=ウェイドマン・ドイツ連邦銀行総裁と会談を行った他,21日,カプート金融大臣は,ジム・キム世銀総裁及びGilbert Huonangbo国際農業開発基金(IFDA)総裁等と会談を行った。なお,上記会合には,亜よりストルセネゲル中銀総裁も出席した。
イ マクリ大統領の米国訪問
26~27日,マクリ大統領は米国を公式訪問し,トランプ米大統領等との首脳会談を実施した。両首脳は,二国間の貿易及び投資の拡大に改めてコミットした他,ベネズエラの状況が悪化していることに対し強い懸念を表すると共に,ベネズエラの民主主義制度の擁護のため緊密に取り組んでいくことで一致した。
ウ リック・スコット米国フロリダ州知事のアルゼンチン訪問
23~26日,リック・スコット米国フロリダ州知事(共和党)は観光,エネルギー,医薬品研究,公共交通及び航空会社等の60社以上の企業団と共にアルゼンチンを訪問し,マクリ大統領と会談を行い,フロリダ州からの投資促進に関する協議を行った。
(2)ベネズエラ:
ア ベネズエラ情勢に関するメルコスール緊急外相会合
1日,亜において,メルコスール原加盟4か国(亜,伯,パラグアイ及びウルグアイ)の外相は,ベネズエラの深刻な情勢を分析すべく,メルコスール緊急外相会合を実施した。4か国の外相は,ベネズエラの民主主義秩序の崩壊に対する姿勢を表明するための宣言に署名を行った。
イ 米州機構(OAS)におけるベネズエラ情勢に係る臨時特別会合及び関連決議の採択
3日,ワシントンを訪問したマルコーラ外務大臣は,米州機構(OAS)常設理事会によるベネズエラ情勢に係る臨時特別会合に出席した。同会合では,同国情勢に係る決議が採択されるとともに,マルコーラ外務大臣は,1日付メルコスール外相による宣言について説明し,ベネズエラにおける権力分立や法の支配などに係る懸念を表明した。
ウ メルコスール・太平洋同盟の合同閣僚会合
7日,当地において,メルコスール・太平洋同盟加盟国の外相及び対外貿易・生産担当大臣による閣僚会合が実施された。同会合では,メルコスール及び太平洋同盟が双方の歩み寄りに向けた取組を継続することで一致した。また,両地域機構は,双方のブロック統合に向け既に特定されているテーマに基づいてロードマップに署名し,今後右をフォローするために定期的な会合を行うこととなった。
(3)スイス:
ア ロイタード・スイス連邦大統領のアルゼンチン訪問
17~20日,ロイタード・スイス連邦大統領がアルゼンチンを公式訪問し,18日,マクリ大統領と首脳会談を行った他,19日,マルコーラ外務大臣とともに企業フォーラムを実施した。首脳会談において,マクリ大統領は,メルコスール-欧州自由貿易連合(EFTA)の協力協定が進展するよう期待している旨述べた。
イ マルコーラ外務大臣のスイス訪問
24日,マルコーラ外務大臣はジュネーブ(スイス)を訪問し,アセベド世界貿易機関(WTO)事務局長と会談を行い,本年12月に当地で開催予定のWTO閣僚会議に関する準備等の調整を行った。
(4)ベルギー:マルコーラ外務大臣のベルギー訪問
20日,マルコーラ外務大臣はベルギーを訪問し,マルムストローム欧州委員(貿易担当)と会談を行った他,ディディエ・レンデルス・ベルギー外相と会談を行った。
(5)イタリア:マルコーラ外務大臣のイタリア訪問
21日,マルコーラ外務大臣は,イタリア(ローマ)を訪問し,アンジェリーノ・アルファーロ伊外務・国際協力と会談を行い,来る5月7~10日のマッタレッラ伊大統領訪亜に向けた準備会合を行った。また,同日,マルコーラ外務大臣はバチカンを訪問し,フランシスコ・ローマ法王へ謁見を行った。同謁見では,平和,治安,貿易・経済の他,現下のベネズエラ情勢や世界情勢等についても話し合われた。
(6)ブラジル:フリヘリオ内務・公共事業・住宅大臣のブラジル訪問
24日,フリヘリオ内務・公共事業・住宅大臣は,ブラジルを訪問し,メイレレス伯財務大臣等と両国の統合,投資,戦略的開発等に関する協議を行った他,ブラジルを公式訪問中のラホイ西首相のためのテメル伯大統領主催昼食会に参加した。
(7)フランス:ドゥホブネ財務大臣のフランス訪問
25日,パリを訪問したドゥホブネ財務大臣は,経済協力開発機構(OECD)を訪問し,OECD加盟に向けた亜のステイタス改善の開発アクションプラン(2016~17)を提出した。
(8)中国:協力及び経済調整のための第3回戦略対話の開催
20日,中国を訪問したレイセル外務副大臣(国際経済担当)は,亜中間の協力及び経済調整のための第3回戦略対話に出席した。同対話では,「包括的な戦略的パートナーシップ」の現状に対する評価が行われるとともに,亜中関係が,安定的かつ発展性のあるものであるとの一致した見方が示された。
(9)北朝鮮: ミサイル発射に対する非難声明
5日及び17日,アルゼンチン政府は,北朝鮮によりミサイルが発射されたことを改めて強く非難する旨の亜外務省プレスリリースを発出した。
(10)シリア:メルコスール・太平洋同盟によるシリア情勢に関する声明(往電第532号参照)
7日,亜において,メルコスール・太平洋同盟の合同閣僚会合が実施された際に,アルゼンチン,チリ,コロンビア,メキシコ,パラグアイ,ペルー及びウルグアイは,シリアにおける暴力の拡大に対し深い懸念を表明すると共に,一般市民,特に子供に対する化学兵器の非人道的な使用を激しく非難する旨の共同プレスリリースを発出した。
(11)シンガポール:メルコスール加盟国外相とシンガポール外相との会談(往電第531号参照)
5~7日,亜を訪問中のバラクリシュナン・シンガポール外相は,メルコスール加盟国外相との間で会談を実施した。その中で双方は,メルコスールとアジア,特にASEAN諸国が経済関係を強化していくことの重要性につき強調した。また今後,両地域間の対話深化を目的として,メルコスール・シンガポール間ワーキンググループを創設するとともに,本年9月の国連総会のマージンでメルコスール及びASEAN諸国の外相会合を実施することで合意した。
(12)世界経済フォーラム:ラテンアメリカ世界経済フォーラムの当地開催
5~7日,当地において,ラテンアメリカ世界経済フォーラムが開催された。6日,約1200社の企業家が参加したとされる開会式において,マクリ大統領は,「亜は,無限に成長する能力がある。」と述べ,亜への新たな投資を呼びかけた。
(13)南米諸国連合(UNASUR):亜の議長国就任
20日,亜はUNASURの議長国(2018年4月17日まで)に就任した。
(14)要人往来
(ア)往訪 | |
●3日: | マルコーラ外務大臣の米国(ワシントン)訪問 |
●18~22日: | ドゥホブネ財務大臣及びカプート金融大臣の米国(ワシントン)訪問 |
●20日: | レイセル外務副大臣(国際経済担当)の中国訪問 |
●20日: | マルコーラ外務大臣のベルギー訪問 |
●21日: | マルコーラ外務大臣のイタリア訪問 |
●24日: | マルコーラ外務大臣のスイス訪問 |
●24日: | フリヘリオ内務・公共事業・住宅大臣のブラジル訪問 |
●25日: | ドゥホブネ財務大臣のフランス訪問 |
●26~27日: | マクリ大統領の米国訪問 |
(イ)来訪 | |
●1日: | ヌネス伯外相,ロイサガ・パラグアイ外相,ニン・ノボア・ウルグアイ外相 |
(メルコスール緊急外相会合) | |
●4日: | クリスチャン・マセ仏外務・国際開発省次官 |
●5~7日: | バラクリシュナン・シンガポール外相 |
●7日: | ヌネス伯外相,ロイサガ・パラグアイ外相,ニン・ノボア・ウルグアイ外相, |
外相,オルギン・コロンビア外相,ビデガライ墨外相,ルナ・ペルー外相 | |
ムニョス智(メルコスール・太平洋同盟の合同閣僚会合) | |
●17~20日: | ロイタード・スイス連邦大統領 |
●18日: | アスナール元スペイン首相 |
●23~26日: | リック・スコットフロリダ州知事 |
(了)
バックナンバー
2017年
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2016年
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|||
2015年
|
||||||||||||
2014年
|
||||||||||||
2013年
|
||||||||||||
2012年
|
||||||||||||
2011年
|
||||||||||||
2010年
|
||||||||||||
2009年
|
||||||||||||
2008年
|
||||||||||||
2007年
|
||||||||||||
2006年
|
||||||||||||
2005年
|
||||||||||||
2004年
|
||||||||||||
2003年
|
||||||||||||
2002年
|