政治情報
月1回更新

2012年11月アルゼンチンの政治情勢(内政・外交)

2012年12月作成
在アルゼンチン大使館

1 概要


(1)内政: 国内各地及び在外亜公館前等で本年最大規模のカセロラッソ(抗議の鍋叩き)が実施され,中産階級を中心とした市民の政府に対する不満が表明された。マクリ・ブエノスアイレス市長は,2013年1月1日より,同市の地下鉄全6線及び路面電車プレメトロの運営を正式に引き受ける旨発表した。 フェルナンデス大統領は,本年7月から12月までの賃金が月額2万5千ペソを超えない被雇用者の年末のボーナスを,本年に限って所得税の課税対象から除外すると発表した。政府は放送法改正法の一部条項に適用されている執行停止措置が本年12月7日に期限を迎えるとして,同法の完全施行及びクラリン・グループの解体のために司法に対して様々な圧力をかけた。亜の3つの反政府系大規模労組団体が,全国で政府への抗議を目的としたゼネスト及び道路封鎖を実施した。


(2)外交:ガーナのテーマ港で亜海軍練習船「リベルタッド」号が拘留されている問題に関し,亜政府はハンブルクの国際海洋法裁判所に対して右拘留の一時停止措置を取るよう要請した。ニューヨークのグリエサ連邦裁判所第一審判事が亜政府に対して,ハゲタカファンドへの13億3000万ドルの支払いを命じた問題に関し,亜政府は同判決を不服として控訴するとともに,2010年に行った債務交換を,当時と同じ条件で再開する用意がある旨表明した。控訴審は次回の審問が行われる来年2月27日まで第一審判決の執行を停止する判決を下した。

2 内政


(1)憲法改正に反対する署名の提出


(ア)1日,野党上院議員28名が,憲法改正及びフェルナンデス大統領の再々選に繋がるあらゆる法案に反対する意思を署名にて表明した。署名した主な野党は急進党(UCR),革新派拡大戦線(FAP),連邦ペロニズム(Peronismo Federal)及びカタマルカ市民・社会戦線。


(イ)6日,野党下院議員107名が憲法改正及びフェルナンデス大統領の再々選に繋がるあらゆる法案に反対する意思を署名にて表明した。署名した主な野党は急進党(UCR),共和国提案(PRO),ペロニスタ戦線(Frente Peronista),革新派拡大戦線(FAP)及び南プロジェクト等。

 

(2)在亜イスラエル協会(DAIA)の代表選挙


 5日,在亜イスラエル協会(DAIA)の代表選挙が行われ,キルチネル派で現副代表のシュロッセル候補が65票を獲得し,ライバルのアブルフ候補(43票)を破り,新代表に選出された(注:DAIAは各種の在亜ユダヤ・コミュニティーの代表機関であり,社会,文化及びスポーツ等の分野の130以上のユダヤ系組織を取りまとめている。94年に会館を爆破され,85人が死亡したイスラエル共済組合(AMIA)もDAIAに加盟している)。シュロッセル新代表は20日に正式に代表に就任し,任期は2015年までとなる。右選挙後,現職のドンシスDAIA代表は,イラン問題によりDAIAは大変複雑な立場に立たされているとし,新体制DAIAが,可及的速やかに10月29日にジュネーブの国連本部で行われた亜・イラン二国間会談の真相解明に向け,然るべき対応に当たるべきだとの見解を示した(注:右会談では,AMIA会館爆破事件に荷担したとされるイラン人に対する訴訟問題等が協議された模様だが,亜政府は会談の内容に関して明らかにしておらず,DAIAは政府の対応を批判している)。ドンシスDAIA現代表は,イラン側がAMIA問題の捜査及び裁判に関して,亜政府に協力的な姿勢を見せるとは考えていない,とのコミュニケを発表しており,当地報道は,同代表の方針を受け継ぐと見られているシュロッセル現副代表の代表就任は,亜政府とユダヤ・コミュニティーの関係を難しいものにする可能性があると伝えた。当選後に行われたユダヤ系報道機関とのインタビューにおいて,シュロッセル副代表は「個人的には,亜史上最悪のテロに関与した容疑者を引き渡さないイラン政府を全く信用していない。イランはイスラエル国家の崩壊を宣言しており,信用するに足らない国である」と述べた。

 

(3)ブエノスアイレス市及びブエノスアイレス州における大停電


 7日夕刻,ブエノスアイレス市及びブエノスアイレス州の広域で大規模停電が発生し,市民生活及び商業活動等に大きな影響が出た。同大停電はちょうど帰宅ラッシュ時に発生したため,鉄道や地下鉄の駅周辺には多くの市民が溢れかえり大混乱した他,市内の信号機の半数が消えたために,道路は自動車やバス等で無秩序状態となり,大渋滞につながった。翌8日,デビード公共事業大臣は記者会見を行い,大停電が政府のインフラへの投資不足により引き起こされたとのマスコミの見方を否定した上で,何者かが意図的に停電させたサボタージュの可能性もあると示唆し,同停電の原因究明のため提訴する旨発表した。


(4)本年最大規模のカセロラッソの実施


(ア)8日夜,国内の100ヶ所以上でカセロラッソが実施された(注:反政府を唱える抗議の鍋叩き,8 de noviembreに実施されたことから,当地では8Nの呼称で呼ばれている)。ブエノスアイレス市警察の発表によると,今次カセロラッソには同市内の中心部(オベリスコ周辺及び5月広場等)だけでも50万人が参加,また,オリーボスにある大統領官邸前にも6万人(注:3万人との報道も有り)が集結し,2003年以降,政権の座にあるキルチネル派に対して行われた抗議運動としては過去最大規模となった。なお,抗議活動自体は平和裏に行われ,死者や負傷者は出なかったが,一部報道で,メディアのC5Nの記者1名がデモ参加者に暴行されたと伝えられた。


(イ)今回のカセロラッソも前回のカセロラッソ(9月13日)同様,ツイッターやフェイスブック等のSNSで参加が呼びかけられたが,当地報道によると,今回は前回よりもSNS上での事前の反響が大きく,かなりの規模に拡大することが予想されていた。マスメディア等では「私は8Nに参加する!」「私は8Nに参加しない!」という双方の立場の広告合戦が繰り広げられ,参加を呼びかけるポスターには「我々はベネズエラではない(No somos Venezuela)」というフレーズが記載された。政府系を含め,全ての地上波チャンネル及び多くのケーブルテレビがカセロラッソの模様を生中継し,参加者へのインタビューとともに全国の様子を伝えた。政府系チャンネルTV Publicaはカセロラッソに関し,「このような抗議活動は自由と民主主義が保障されているからこそ可能となる」とし,現政権の方針を擁護した。


(ウ)当地報道によると,地方の主要都市でも前回のカセロラッソ(9月13日)を上回る規模の抗議活動が行われ,総計では,亜国内で約80万人が鍋叩きに参加した由。また,当地報道は,国内のカセロラッソ参加者の殆どが中・上流階層で,キルチネル派の支持基盤である低所得者層の参加はなかった旨伝えた。


(エ)今回は海外の亜公館前等でもカセロラッソが実施され,国内同様,SNSで参加が呼びかけられた。当地報道によると,ニューヨーク,マイアミ,ワシントン,ローマ,マドリード,バルセロナ,ロンドン,パリ,シドニー,リオデジャネイロ,サンパウロ,メキシコシティー,サンティアゴ,ボゴタ,ワルシャワ,アゼルバイジャン及び赤道ギニア等で,海外在住亜国民,亜旅行客及び2001年の亜のデフォルトの被害者である外国人債権者等が鍋を叩きながら反フェルナンデス政権の抗議活動を行った。


(オ)カセロラッソの主要な動機として当地報道で挙げられたのは,治安の悪化,インフレの高進,政権幹部等の汚職,フェルナンデス大統領の再々選を可能にするための憲法改正,本来加算される分が支払われていない年金の未払い等であった。


(カ)カセロラッソ前日(7日),フェルナンデス大統領は演説の中で,「自分(「フェ」大統領)が統治者である間は,(国民は)言いたいことを言えるだろうが,我々はこの9年間に,どれだけ亜が発展してきたかを証明することができる」,「全ての亜国民に訴えたいことは,真実を話してほしいということである。(軍政期の人権侵害に対する司法手続を進める等の)現政権の人権問題に対する姿勢が気に入らないなら,はっきりと言ってほしい。あなたが以前2ペソで雇えていた貧困層の人々が,(亜の経済成長と賃金上昇によって)高く付くようになったと感じているなら,それをはっきり言ってほしい」と述べた。また,カセロラッソ翌日の演説では,同大統領は,「真の問題は,(我々のモデルとは別の)代替モデルを牽引する政治組織が存在しないということである。その点に関しては,我々は責任を持てない,というのも我々は自分たちのモデルの有効性を信じているからである。このモデルに同調できないというのなら,自分たちでつくってみたらいい」,「(フェルナンデス大統領が実施する政策は)「社会的包摂」の考え方に基づいており,それは同政策に合意せず,他者を包摂することに不満を漏らす人々までもを包摂してきた」と述べ,「自分(「フェ」大統領)は手持ちの全てを出し切っており,正直言って,これ以上は持っていない。自分の人生では常に,文句一つ言わず,全ての神経細胞及び全ての時間を机の上に広げて執務に当たっている」と発言した。


(キ)今回のカセロラッソには,マクリ・ブエノスアイレス市長率いるPRO(共和国提案)等,一部の野党勢力が市民に混ざって反政府抗議活動を行った(注:但し,参加市民の反感を招きかねないので,「先頭に立って」という形ではなかった)。抗議活動後,マクリ市長は,「(8日のカセロラッソは)前例のない市民の祭り(fiesta)であった。人々は(フェルナンデス大統領の残りの任期である)あと3年も待てないのだから,(同大統領は)人々の要求を聞き入れ,変わらなければならない」と述べるとともに,「野党は学んでいかなければならない。昨年10月の大統領選挙で野党候補が乱立し,誰一人としてまともに国民の支持を取り付けられなかったという惨事を振り返れば,右から学んだ教訓は,国民の期待を裏切ってはならないということだ」と発言した。

 

(5)ブエノスアイレス市の地下鉄運営権問題


(ア)13日,マクリ・ブエノスアイレス市長は,2013年1月1日より,同市の地下鉄全6線及び路面電車プレメトロの運営を同市が正式に引き受ける旨,記者会見で発表した。中央政府からブエノスアイレス市への地下鉄運営権の委譲問題は,本年初頭に行われた国と同市による合意文書への署名以降,駅構内の警備,車両の安全対策及び補助金の問題等を巡って双方が対立した事により後退し,両者が地下鉄運営権を押し付け合う構図となっていたため,今回の市側の対応は急展開であり,当地報道では,8日のカセロラッソで聞かれた,野党が与党に代わる選択肢として機能していないとの不満の声に,マクリ・PRO(共和国提案)党首が応える意図があったのではないかと伝えられた。


(イ)マクリ市長自身は今次決断に関し,バルセロナの都市交通専門家チームによる亜地下鉄の監査の結果が決め手の一つになった旨発言した。本年8月から10月に実施された右監査によると,現在の亜の地下鉄車両の多くがかなり老朽化しており,細かい点検及び修理を必要とする状態にあり,とりわけA線のブルジョワーズ社の木造車両に関しては,100年前に製造されたものもあることから,運行から引き上げるべきとの評価がなされた。


(ウ)地下鉄の営業権を持ち,実際に地下鉄の運行に当たっているメトロビーアス社(ロッジオ・グループ)は,ブエノスアイレス市が地下鉄運営権の委譲を受け入れたことに対し,「良い知らせである」とのコメントを発出した。当地報道によると,来年1年間の地下鉄運営に必要な予算は最低でも10億ペソとされており,2013年1月以降,国からの補助金(月額3千万ペソ)がカットされることが決まっている中,ブエノスアイレス市は運賃の値上げ,増税及び高速道路料金の再値上げ等によって,同運営資金を支弁する可能性があるとの報道がなされた。


(エ)16日,ブエノスアイレス市は,中央政府により地下鉄とともに運営権の委譲を求められている,市内の33の路線バス(コレクティーボ)に関し,同運営権を受け入れるつもりはないと発表した。

 

(6)年末ボーナスの所得税非課税政策等


(ア)14日,フェルナンデス大統領は大統領府に政府支持派の労組代表等を招いて演説を行い,本年7月から12月までの賃金が月額2万5千ペソを超えない被雇用者の年末のボーナスを,本年に限って所得税の課税対象から除外すると発表した。右政策を定めた政令第2191号は15日付で官報に掲載された(注:本措置により除外されるのは所得税の課税のみであり,社会保障費等は通常通り年末のボーナスから差し引かれる)。フェルナンデス大統領は,本政策の目的として,消費の活性化を狙った景気対策等を挙げ,亜に存在する900万人以上の全正規雇用者の98%が今次政策の対象になるとした。同大統領によると,本措置の財政負担は21億6千2百万ペソとなる。


(イ)同演説中フェルナンデス大統領は,亜では,正規雇用者の約75%が所得税の課税対象にはなっていないと述べた。また,非正規雇用者に関しては,最低賃金にも届かず,年金や社会保障を得ていないグループと,多くの収入があるにもかかわらず,社会保障費や所得税等を支払わず,インフォーマルセクターにとどまっているグループの2つがあるとの認識を示した。その上で,来年,労組と所得税の課税最低限度額の修正について話し合うつもりであると述べた。また,同大統領は,所得税の課税最低限度額に関する政策は,賃上げ政策と連動すべきものであるとし,良識と用心を伴う見直しが必要であると述べた。


(ウ)フェルナンデス大統領は,同演説中で世銀の報告書(注:11月13日に発表されたレポート)に言及し,亜の中産階級が過去10年間(ママ)に倍増したことを強調した(注:世銀の同報告書によると,2003年から2009年の間に亜の中産階級が約930万人から約1,860万人に倍増したとされている)。同大統領は右データを誇りに思うとした上で,同結果は国の政策の賜であると述べた。

 

(7)「視聴覚コミュニケーション・サービス法」(通称:放送法改正法)


(ア)2009年10月に成立し,2010年9月に施行された「視聴覚コミュニケーション・サービス法(通称:放送法改正法。同法は視聴覚メディアを対象としており,新聞や雑誌等の紙媒体メディア及びインターネット・メディア等は対象としていない)」(法律第26,522号)の一部の条項(注:規定の上限を超える放送ライセンスを所有している企業に対し,超過分のライセンスを手放すよう義務づける条項)の適用が,クラリン・グループからの違憲性を理由とする執行停止請求により,2009年12月より36ヶ月間,最高裁の命令で停止されているが,政府は右措置が本年12月7日に期限を迎えるとして,同法の完全施行及びクラリン・グループの解体のために司法に対して様々な圧力をかけた。


(イ)14日,民事訴訟のうち,明らかに国家制度に重大な影響を与える訴訟に関して,最高裁への「跳躍上告」(Per Saltum)を認める法案が,賛成135票,反対95票で下院を通過し,成立した(注:同法案は10月17日に行政府により上院に提出され,同月31日に,賛成43票,反対26票の賛成多数で上院を通過し,下院に送付されていた。)これにより,国家制度上,重大な訴訟に関しては,第一審から最高裁に対して,直接の「跳躍上告」を行うことが法的に可能となった(控訴審の省略)。政府は,放送法改正法をめぐる訴訟が右条件に合致するとの認識の下,強いイニシアティブで同法の成立を推し進めた(注:「跳躍上告法」(第26,790号)は12月4日に官報に掲載された)。


(ウ)14日,サバテラAFSCA代表は記者会見を行い,ライセンス数の上限に関する規定等,放送法改正法が定める内容に違反している企業が21社存在すると発表した。同代表は右企業に対し,12月7日までに同法に見合う事業計画書を自主的に提出するよう求めた他,右を提出しない企業に関しては,12月8日以降にAFSCAの判断でライセンスの譲渡等に踏み切る旨発表した(注:「連邦視聴覚コミュニケーション・サービス機構」(Autoridad Federal de Servicios de Comunicacion Audiovisual:AFSCA)は,放送法改正法の成立を受け,2010年に放送事業の監督を行うことを目的に設立された。右独立行政法人は放送法改正法が各メディアにおいて遵守されているかどうかの監督を行う主体であり,また,メディア各社に対して,放送ライセンスを付与または剥奪する権限を持っている)。


(エ)22日,クラリン・グループは最高裁判所に対し,放送法改正法の第161条等の違憲性訴訟が進んでいないため,当該条項に適用されている執行停止措置を延長するよう申請した。右を受け,アラク司法・人権大臣は,法を遵守することを避けるために,クラリン・グループは永久的に執行停止措置を延長しようとしていると批判した。また同大臣は,同グループは,過去に連邦裁判所の民事・商事部に申し立てた執行停止措置の更なる延長を求めているが,本件は議会を通過して成立した法律を取り扱っており,本来(公権力の行使の適法性の問題は)行政訴訟部に対して提訴するべき性格のものであると述べた。


(オ)27日,最高裁判所は,連邦第一審裁判所の民事・商事部(アルフォンソ判事)に対し,当該条項の違憲性訴訟を即刻開始するよう命じた。29日,最高裁判所は右判決を補足する形で,最高裁自らが,クラリン・グループの要求する当該条項の執行停止措置の延長に関する法的な判断を下すことはできないとの立場を明らかにし,右は連邦控訴裁判所の民事・商事部が判断すべき問題とした。


(カ)上記(オ)により,執行停止措置の延長の有無に関する判断は,連邦控訴裁判所の民事・商事部に委ねられることとなったが,既に,同裁判所の判事に対しては,政府が立て続けに忌避を発表していたため,裁判所としての機能が麻痺しており,右法的判断ができない状態に陥っていた。そのため,同控訴裁判所は,11月27日から12月4日までの間に,各判事に対する忌避の法的正当性に関する審判を下す必要性に迫られた。


(キ)27日,AFSCA,労働省及び内閣府報道局は3者間合意を締結し,放送法改正法の完全施行後,超過したライセンスを手放す企業に勤める社員が失業しないよう,雇用を保証する取り決めを行った。

 

(8)女性に対する殺人事件(フェミシディオ)に適用される法定刑の加重


 14日,下院は,10月に上院で修正議決されたフェミシディオ厳罰化法案を満場一致で再可決した。同法はドメスティック・バイオレンス等で女性(トランスジェンダーを含む)が殺害された場合に適用される殺人罪の法定刑を加重するものであり,4月に下院を通過していた。

 

(9)反政府系労組団体によるゼネスト及び道路封鎖の実施


(ア)20日,亜の3つの反政府系大規模労組団体が,全国で政府への抗議を目的としたゼネスト及び道路封鎖を実施した。特に影響が大きかったのはブエノスアイレス市内であり,同市への入り口となる幹線道路,高速道路及び橋等の一部区間が封鎖されたため,市内の交通量が激減した。また同日朝,市内の中心部(Avenida de Mayo沿い)では,ストライキに応じずに通常通り営業していた飲食店や商店等が,飲食業労組の関係者に窓ガラスを割られる等の「脅し」行為を受けた(注:同労組の発表では,右脅し行為を実施したのは,労組ではなく国の機密諜報組織SIDEであったとされている)。なお,2003年のキルチネル派政権の開始以降,今回のような労組によるゼネストが実施されたのは初めてのことであり,当地各紙は,8日の全国規模のカセロラッソと合わせて,現政権に対する社会的抗議活動が拡大しているとの見方を伝えた。


(イ)今次ゼネスト及び道路封鎖に参加した労組団体は以下のとおり。


(@)労働総同盟(CGT)モジャーノ派(注:モジャーノ・トラック労組代表が率いるグループ)に属する労組:トラック労組,農業関係労組,司法労組,銀行労組,港湾浚渫労組,新聞販売労組,高速道路の料金所の労組,アルゼンチン航空のパイロット労組及びリオ・ネグロ州,ネウケン州及びラ・パンパ州の石油・ガス労組等。


(A)亜労働者連盟(CTA)ミチェリ派に属する労組:国家公務員労組ATE及び反政府系失業者団体(CCC,Barrios de Pie)等。


(B)「CGT青と白」(注:バリオヌエボ飲食業労組代表が率いるグループ)に属する労組:飲食業労組及び航空技師労組等。


(C)その他,労組以外には亜農業連盟(FAA)のブッシ会長ら農業関係者,極左セクター(MST),労働者党(Partido Obrero)及びブエノスアイレス大学連盟(FUBA)等の参加があった。


(ウ)上記の労組団体等の政府に対する主な要求内容は(1)所得税の課税最低限度額の引き上げ,(2)所得税納税による給料の減額を補填するための臨時手当(4,000ペソ)の給付,(3)家族手当の給付対象の拡大(右手当に設けられている所得制限の撤廃),(4)労組が管理する健康保険に対して国が滞納している資金の支払い,(5)年金の増額等であった。


(エ)労組側の発表によると,20日は全国で約300ヶ所の道路が封鎖された。鉄道労組のストへの参加は,当初サルミエント線以外は予定されていなかったが,線路が封鎖に遭った影響,並びに鉄道の信号機を管理する労組がスト入りしたこともあり,大半の鉄道が運休となった。地下鉄は,B線及びプレメトロ(注:プレメトロは正午から運行開始)がストを実施したが,他線はほぼ通常通りの運行となった。路線バス(コレクティーボ)に関しては,ブエノスアイレス市外と市内を行き来する路線が運休または本数減になった他,5台の路線バスが運行中に破壊行為に遭った由。航空便はアエロパルケ空港発着の国内線が全便キャンセルになった他,エセイサ国際空港発着の便にも遅延が見られた。なお,正午過ぎ頃からブエノスアイレス市内への入り口の道路封鎖が解除され始めた。


(オ)20日午後に記者会見を開いたモジャーノCGT書記長は,「ゼネストは全面的な成功に終わった。街の静けさこそ政府が聞かなければならない声である」と述べ,政府が所得税の課税最低限度額の引き上げ等,労働者の要求に応えないのであれば,今回のような措置を繰り返すことも可能だとした。また,ミチェリCTA書記長は「フェルナンデス大統領は労働者の要求を無視している。現政権はバーチャル国家の建設に勤しんでいる」とし,「(ゼネスト参加者は)異なる考え方を受け入れない政府に対し,尊厳とは何かを例示しているのである」と述べた。なお,20日にミチェリCTA書記長が予定していた5月広場までの反政府デモ行進は,プエイレドン橋での同書記長の演説をもって代えられたため,実施には至らなかった(注:当地報道によると,デモ行進が行われなかったのは,モジャーノ書記長の説得によるものとされており,同書記長が,8日のカセロラッソの規模と右行進の規模を比較されるのを回避したためと伝えられた)。


(カ)20日夜,フェルナンデス大統領は「国家主権の日」の演説において,「今日の出来事は,ゼネストでも道路封鎖(piquete)でもなく,締め付け(apriete)と脅し(amenaza)であった。(昔の)道路封鎖は社会学的現象であり,(当時)人々は絶望していた」とし,ネウケン州で初めて道路封鎖が行われるようになった時代を振り返り,同行為の「本来の」社会的役割を強調した。また,同大統領は「人々は働きたかったのに,道が塞がれていた(cortes de rutas)ために,働けなかっただけである」と述べ,労働者がモジャーノ書記長等の労組団体に賛同して,主体的にストに入ったとの労組側の見方を否定した。同演説の最中,フェルナンデス大統領は,モジャーノ書記長及びミチェリ書記長の名前には一切言及しなかったが,「(同両書記長を指して)これらの労組のリーダーは,ペロンとエバが求めていた指導者ではない」と述べた。さらに同大統領は「自分(「フェ」大統領)は脅しでもやくざ(matones)でも暴力団(patoteros)でも何でも耐えるつもりである」と発言した。


(キ)22日,政府支持派のCGT書記長を務めるカロー冶金業労組代表は,フェルナンデス大統領に対し,要求の手法は異なるものの,右CGTも反政府系CGT等と同内容の主張を対話によって行っているとした上で,同大統領はゼネストで訴えられた労組のメッセージを聞き入れるべきと発言した。

 

(10)改正株式公開法の成立


 21日,下院は有価証券取引等に関して,証券取引委員会(CNV)の上場会社に対する権限拡大を定めた株式公開法改正法案を,賛成184票,反対24票,棄権3票で可決し,上院に送付した。29日,上院は右法案に修正を加えることなく,賛成43票,反対19票で可決した。これにより,証券取引委員会は,小口投資家等の利益が侵害されていると判断される場合,同利益を擁護する目的で,上場企業の役員会における監査等を実施することが可能となった(注:拒否権をもつ監査人の指名も同取引委員会の権限に含まれる)。また同改正法は,上場企業に対し,来年3月までに保有する有価証券の最低5%分を実体経済に投資することを義務づける内容を含む他,証券市場への参加要件として従来定められていたルール(MervalやRofexの株主でなければならないという規定)を撤廃する内容を持つ。

 

(11)ガス料金及び電気料金の値上げ


 23日,デビード公共事業大臣及びキシロフ経済政策長官は記者会見を行い,全国のガス料金の最大27%までの値上げ及びブエノスアイレス市及びブエノスアイレス州の電気料金の10%?20%の値上げを実施する旨発表した。右値上げは11月1日以降のガス及び電気使用量に適用され,その対象には一般家庭,商業施設及び産業施設が含まれる。今次値上げにより,政府は新たに20億ペソの歳入を見込んでおり,同資金はナシオン銀行による公共事業投資に割り当てられるとされている。

 

(12)軍政期の人権侵害に対する裁判の開始


 28日,連邦刑事犯罪口頭審理裁判所は,軍政期(1976?1983年)の人権侵害に対する裁判を開始した。被告68名は,反体制活動家の収容所となっていた海軍機械学校(ESMA)における789件の誘拐,拷問及び殺害等の罪に問われており,右には「死のフライト」(Vuelos de la muerte)も含まれる。ESMAにおける人権侵害を扱う裁判は今回が2回目であり,前回は16名の元軍人が起訴され,12名が無期懲役の判決を受けた。本裁判には900名以上の証人の出廷が見込まれている。

 

(13)亜カトリック教会司教団による政府批判


(ア)29日,亜カトリック教会司教団は「司教団の熟考の上のクリスマス前の忠告(reflexiones)」と題する文書を発出し,亜における報道の自由の在り方等の問題を取り上げ,政府に対する批判を行った。右文書の主な内容は以下の通り。


(@)民政移管後,約30年に及ぶ民主主義を経験した亜は,再び和解が望めない程度に大きく分裂する危機にさらされている。


(A)マスコミに対する圧力により,亜における表現の自由が危機にさらされている。また,司法の独立が危ぶまれている。


(B)各行政機関の調和のとれた発展を阻害するかのようなカウディージョ主義,即ち個人による権力掌握の行き過ぎも認められる。


(C)立法府における中絶の合法化議論の進展,若者の向学心及び労働意欲の低下,複雑化した麻薬密売組織の躍進による麻薬の普及,犯罪の増加及び治安の悪化,さらには政党による教育機関に対する干渉等も懸念される。


(イ)上記,亜カトリック教会司教団の文書は,直接的に政府を批判する内容であったが,当地報道によると,フェルナンデス大統領は閣僚等に対し,右文書に対するコメント等の発出を控えるよう命じた。同文書が発表された29日,同大統領は国営放送を通じて住宅建設プログラムの演説を行ったが,右文書に関する言及は一切無かった。

 

(14)ブエノスアイレス州住宅機会均等法案


 29日,ブエノスアイレス州議会上院で,住宅機会均等法案(Ley de Acceso Justo al Habitat)が可決し,成立した。同法は,大型不動産プロジェクト(注:所謂「カントリー」と呼ばれる郊外の高級住宅地,ゴルフ場,大型ショッピングセンター等)のディベロッパー又は土地所有者に対し,事業用地の10〜33%,または,右に相当する面積を持つ別の土地,もしくはそれに相当する金額を,同州に納付することを義務付ける内容を持つ。同法は同州議会のキルチネル派のイニシアティブのもとに提出され,その目的は,低所得者層の居住地区の環境改善にあるとされた。

 

(15)サルタの戦い200周年記念の祝日


2 9日,サルタの戦い200周年を記念して,来年2月20日を特別に祝日と定める法案が上院を通過し,可決した。これにより,2013年に限って,同日(水曜日)が国民の祝日となることに決まった(注:なお,本年12月31日を公務員の休息日とする旨定めた政令第2412号が,12月17日付けで官報に掲載された。右公務員には,銀行及び金融機関の職員は含まれない)。

 

(16)地下鉄労組によるストライキ


 29日及び30日,28%の賃上げ要求で譲らない地下鉄労組のメトロデレガードスがストライキを実施した。今回は各6線が3時間ずつ交代のローテーションで,朝から晩までストライキに入るという方法が採用された。

 

3 外交


(1)亜海軍練習船「リベルタッド」号拘留問題


(ア)ハンブルク国際海洋法裁判所における動き


 亜海軍の練習船「リベルタッド」号がガーナのテーマ港で拘留されている問題に関し,亜外務省は亜・ガーナ両国が,国連海洋法条約の締約国である事実に鑑み,ハンブルクの国際海洋法裁判所に本件を付託すべく,二国間係争解決プロセスにおける仲裁手続を10月末に開始した。同練習船の拘留を解除する為にガーナ政府に与えられた期限は,11月13日までであったが,同日になっても拘留が解除されなかったため,国連海洋法条約第290条5項の規定に従い,翌14日,亜政府はハンブルクの国際海洋法裁判所に対し,同練習船の拘留一時停止措置を取るよう要請した(注:右措置の内容は,直ちに「リベルタッド」号を無条件で解放し,同練習船がテーマ港から速やかに出港できるよう燃料等の補給を再開することを,同裁判所がガーナ政府に対して要求するもの)。29日及び30日,亜政府代表は,ハンブルグの国際海洋法裁判所にて,本件に関する亜の立場を口頭審問の場で説明した。(亜側代表:スサナ・ルイス・セルティ大使(亜外務省公式顧問),マルセロ・コーエン弁護士,オラシオ・バサベ亜外務省国際司法局書記官)。


(イ)ニューヨーク連邦裁判所における動き


 21日,(ハゲタカファンドに対する債務支払いの方法を細かく明示すべきとの控訴審の判断を受け)本件を差し戻されたニューヨークのグリエサ連邦裁判所第一審判事は,亜政府に対し,12月15日までにハゲタカファンドを含む債権者に対し,元本100%,計13億3000万ドルの支払いを行うよう命じる判決を下した。同日,ロレンシーノ経済・財政大臣は記者会見を行い,右グリエサ判決を不服とし,控訴するつもりであると述べるとともに,2005年及び2010年に債務交換に応じた債権者に対しては,元本100%の支払は約束されていない為,ハゲタカファンド等に元本100%の債務支払を行うことは,全ての債権者を平等に扱うよう規定するパリパス条項に違反することになると主張した。

 26日,亜政府はグリエサ判決に対し,控訴の申し立てを行った。27日,同経済・財政大臣は,2010年に行った債務交換を再開し,当時,債務交換に応じなかった債権者に対し,2010年時と同じ条件を提示する意向を明らかにした。28日,米連邦控訴裁判所は,第一審のグリエサ判決による支払い命令の執行を,次回審問が行われる来年2月27日まで停止するとの判決を下した。

 

(2)南アフリカ


 1日〜2日にかけ南アフリカを訪問したティメルマン外相は,第3回亜・南アフリカ二国間委員会会合にて,マイテ・ヌコアナ=マシャバネ南アフリカ外相と会談した。両国外相は,ハゲタカファンドの活動によるネガティブな影響に立ち向かう必要性について一致し,フォークランド(マルビーナス)諸島領有権問題に関する対話実施を要請する国連決議案の実行を奨励した。

 

(3)パラグアイ


 5日,パラグアイ政府は,亜が高い関税率を設定したり,亜の港で,パラグアイ製品が入ったコンテナを開封する等の貿易妨害を行っているというパラグアイ企業家からの告発にもとづき,世界貿易機関(WTO)に訴える旨告知した。また,フランコ・パラグアイ大統領も,亜市場へのパラグアイ製品の輸出に悪影響を与える亜の輸入制限措置に対し,亜政府に正式に苦情を提出する旨決定した。

 

(4)米国


 6日,フェルナンデス大統領は,今次米大統領選挙で再選を果たしたオバマ米大統領に対し祝意を表明する書簡を発出した。

 

(5)チリ


 7日〜8日にかけ,ブエノスアイレスにて,第4回亜・チリ二国間大臣会合及び第2回二国間州知事・市長会合が開催され,亜より大臣14名,チリより大臣9名,その他両国州知事及び市長等が参加した。

 

(6)国連


 12日,ニューヨークで開催された第67回国連総会において,亜政府は176票の賛成票を獲得し,2013年〜2015年までの国連人権理事会理事国に選出された。

 

(7)スペイン


(ア)16日〜17日かけ,スペイン・カディスにて第22回イベロアメリカ・サミットが開催され,亜からはブドゥー副大統領及びティメルマン外相が出席した。当初は,フェルナンデス大統領の出席が予定されていたが,健康上の理由ということで取り止めとなった。


(イ)サミット開催中,ティメルマン外相は,ガルシア・マルガージョ西外相と会合した。会合後,両国外相は,全てのテーマに関し,率直な意見交換を行った旨述べるに留まり,会合内容詳細については発表されなかった。

 

(8)イスラエル・パレスチナ問題


(ア)ガザ地区での武力紛争激化に伴い,19日,フェルナンデス大統領は,国連安全保障理事会議長及びUNASUR諸国首脳宛に右紛争停止に向けた支持を呼びかける書簡を発出した。


(イ)在亜イスラエル大使館前で,イスラエル国旗を燃やす等のデモが行われたことに伴い,21日,亜外務省は,右デモは少数派により実行されたもので,暴力に反対し平和を希求する亜国民の意思を代弁するものではない旨プレスリリースを発出した。


(ウ)29日,亜政府は国連でのパレスチナ決議に対し,賛成票を投じた。

 

(9)メキシコ


 21日,メキシコは,亜の輸入制限措置に関し,世界貿易機関(WTO)に対して正式にパネル設置を要請した。

 

(10)サウジアラビア


 23日,サウジアラビアを訪問したジャウアル農牧・漁業大臣は,ビン・アブドゥルラーマン・サウジアラビア農業大臣と会談し,通商貿易の現状に関し分析すると同時に,既に締結済みの議定書に関し協議した。また,アル・マライ乳製品会社によるサン・ルイス州への100百万米ドルの投資告知に関する評価を行った。

 

(11)フォークランド(マルビーナス)諸島領有権問題


(ア)英国政府が,国際海事機構(IMO)海上安全委員会にて,亜の船舶部員組合が,外国国旗を掲げた船舶の入港を遅らせたり,英国籍の船舶の入港を拒否している旨申し立てを行ったことに対し,26日,カストロ駐英亜大使は,亜は国際規定に反する行為を行っていない旨断言し,英国の主張を却下した。


(イ)亜政府は,来年予定されているフォークランド(マルビーナス)諸島での住民投票の非合法性について国際会議や各国の亜大使館で広報を行っている。また,ティメルマン外相は,亜の2名の外交官に対し,カリブ,アフリカ諸国に対して亜の主権に関する説明を行うよう指示するとともに,住民投票実施の際に監視員を送ることは不適切であると警告するよう命じた。

 

(12)イラン


 27日及び28日,チューリッヒにて,1994年のイスラエル共済組合(AMIA)会館爆破事件解決に向けた亜・イラン二国間会合が開催され,亜側代表としてアボナ国庫監査官及びスアイン筆頭外務副大臣が出席した。

 

(13)ペルー


(ア)27日,フェルナンデス大統領は,当国を訪問したウマラ・ペルー大統領と会談し,フォークランド(マルビーナス)紛争時のペルーからの支援に対し,「永遠の謝意」を表明した。ウマラ・ペルー大統領は,21世紀,植民地主義を容認するわけにはいかず,フォークランド(マルビーナス)諸島領有権問題を巡る植民地主義との戦いにおいて亜に連帯を表明する旨述べた。両国首脳は,6件の合意文書への署名を行った他,共同声明を発出し,フェルナンデス大統領は,ウマラ・ペルー大統領に解放者サン・マルティン勲章を授与した。また,今次訪問中,ウマラ・ペルー大統領は,ロレンゼッティ亜最高裁判所裁判長及びマクリ・ブエノスアイレス市長と会合した。


(イ)4日,ペルー政府は,1月17日,執務室にて,テロリスト・グループ,センデロ・ルミノソの合法組織であるMOVADEF関係者と面会したリンチ駐亜ペルー大使の辞職を正式に発表した。

 

(14)アラブ首長国連邦


 27日,アラブ首長国連邦を訪問したジャウアル農牧・漁業大臣は,二国間協力協定署名に向けた交渉を進める目的で,ビン・ファード同国環境・水大臣と会合した。両国は二国間協力協定に強い関心を示しており,来年1月にフェルナンデス大統領が同国を訪問する可能性があり,右訪問時に本計画が具体化することも考えられる。

 

(15)アゼルバイジャン


 28日,アゼルバイジャンを訪問したジャウアル農牧・漁業大臣は,農牧業分野における発展を目的とした協力協定に関する交渉を進める為に,アリエフ・アゼルバイジャン大統領,アバソフ農業大臣,ヘイダロフ緊急事態担当大臣及びムスタファヤフ経済発展大臣と会合した。ジャウアル大臣とアリエフ・アゼルバイジャン大統領間の会合では,2件のパイロット・プログラムの実施が決定した。

 

(16)UNASUR


(ア)30日,ブドゥー副大統領は,ペルー・リマで開催された第6回南米諸国連合(UNASUR)首脳会合に出席した。当初は,フェルナンデス大統領の出席が予定されていたが,キャンセルされた。ブドゥー副大統領の報告によると,UNASUR諸国は,フォークランド(マルビーナス)諸島で来年3月に予定されている住民投票の実施を拒否した。また,UNASUR諸国の国防大臣らは,ガーナのテーマ港での亜海軍練習船「リベルタッド」号の拘留問題に関し,亜政府への連帯を表明した。


(イ)第6回UNASUR南米防衛委員会大臣会合に出席したプリチェリ国防大臣は,27日,ベジード・ペルー国防大臣と会合し,科学技術及び南極協力に関する協定に関し協議した。


(ウ)29日,UNASUR諸国の外務大臣(亜からはティメルマン外相出席)は,ルゴ大統領弾劾裁判後,参加停止となっているパラグアイの政治状況に関し協議した。

 

(17)ジャマイカ


 亜政府は,亜外務省ホワイト・ヘルメット委員会(注:国連の下で活動する亜の緊急援助隊)を通じて,ハリケーン・サンディーにより大きな被害を受けたジャマイカに対し,毛布1000枚,60万リットルの水を飲料にできるよう消毒するカプセル及びテントを供与した。

 

(18)要人往来


(ア) 往訪

1日〜2日 ティメルマン外相南アフリカ訪問
3日〜6日 ロレンシーノ経済・財政大臣メキシコ訪問(G20財務大臣サミットに参加)
7日 マジョラル鉱業長官中国訪問(「China Mining2012」参加)
8日 マジョラル鉱業長官訪日
8日 モレーノ国内取引長官,パグリエリ国際通商長官ブラジル訪問
13日 ブドゥー副大統領仏訪問
14日 ブドゥー副大統領オランダ訪問(世界年金サミット出席)
16日〜17日 ブドゥー副大統領及びティメルマン外相スペイン訪問(第22回イベロ・アメリカサミット出席)
23日〜25日 ジャウアル農牧・漁業大臣サウジアラビア訪問
26日〜27日 ジャウアル農牧・漁業大臣アラブ首長国連邦訪問
28日 ジャウアル農牧・漁業大臣アゼルバイジャン訪問
27日〜30日 ブドゥー副大統領,ティメルマン外相,プリチェリ国防大臣ペルー訪問(第6回UNASUR首脳会合出席)

 

(イ)来訪

2日 カール16世グスタフ・スウェーデン国王(非公式訪問)
14日 ノゲイラ外務副次官
19日 チャン世界保健機構(WHO)長(低品質,偽医療品に関する第1回メンバー諸国メカニズム会合開会式出席)
23日 シャーバン・シリア大統領顧問
27日 ウマラ・ペルー大統領
27日 コン・ギェップ・ベトナム財務副大臣
28日 ルーセフ伯大統領(第18回亜工業連盟(UIA)会合出席)

 

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