アルゼンチン政治情勢(月1回更新)
平成30年1月12日
アルゼンチン政治情勢(2017年11月)
2017年12月作成
在アルゼンチン日本大使館
1 内政在アルゼンチン日本大使館
(1)大統領府・政府:
ア 閣僚交代
21日付官報において,17日付でブルジャイレ農産業大臣及びレムス保健大臣の2名の閣僚交代を行う旨発表した。それぞれの後任にエチェベレ農牧協会(Sociedad Rural Argentina:SRA)会長及びルビンステイン保健省副大臣(衛生振興・予防・リスク管理担当)を任命した。
イ 海軍潜水艦サンファンの行方不明事案
15日,乗組員44人を乗せた亜海軍の潜水艦サンファンは,亜の最南端のウシュアイア港からマル・デル・プラタ亜海軍基地へ向かう途中,サン・ホルヘ湾(アルゼンチン沖)から432キロ離れた海域で最後の通信を絶った。
17日,潜水艦が交信を絶ってから48時間が立ち,正式に捜索が開始されると共に,本事案が報道された。
23日,バルビ亜海軍報道官は報道発表において,「グロッシー・亜ウィーン代大使から,15日10時31分に,異常かつ単発で短く,核ではない激しい爆発があったという報告を受けた」旨述べた。
30日,海軍は,潜水艦サンファンに生存者がいるものとして救助を行う段階は終わったとして,乗組員44名の捜索を断念したと発表する一方で,亜海軍は引き続き,サンファンの捜索を続ける旨付け加えた。
ウ 安全な高速道路・道路網計画の発表
2日,政府は,官民連携による167億米ドル以上の投資により,安全な高速道路及び道路網整備に向け,国内の7千キロ以上の道路の近代化を行うことを発表した。同計画は,運輸省が管轄し,最初の4年で125億,その後の11年間で42億の投資を投入見込み。入札は3期((1)17年11月~18年4月,(2)18年2月~7月,(3)18年6月~11月)に分けて実施予定で,同計画により物流コストの削減,観光の促進,交通事故の減少を目指す。
(2)連邦議会:
ア 企業責任法の可決・成立
8日,企業の汚職関与に対する罰則を定める企業責任法が可決・成立した。
イ 労働規制改革法案,年金改革法案及び財政合意法案
18日,労働規制改革法案,年金改革法案及び財政合意法案の3つが,上院議会に提出された。(これらが議会に提出される前の15日,政府は,労働総同盟(CGT)と労働規制改革案の内容について合意した他,マクリ大統領はサンルイス州を除く22州1市との間で財政合意に署名を行った)。同3法案は,29日,上院議会において可決され,下院に送付された。(なお,年金改革法案は12月19日,また財政合意法案は同21日,下院にて審議され,可決・成立した。労働規制改革法案は,2018年2月の特別国会で審議される可能性がある。)
(3)その他:
ア 水上警察とマプーチェ族団体との衝突
25日,バリローチェ市郊外において国立公園を占拠していたマプーチェ族の団体に対し,連邦裁判所より立ち退き命令を行っていたところ,立ち退きに応じないマプーチェ族の団体と水上警察との間で,衝突がおこり,マプーチェ族のナウエル氏が死亡した他,2名のマプーチェ族が負傷した。
2 外交
(1)米国:
ア ニューヨークにおけるテロ事件に関する亜米外相電話会談
1日,ティラーソン米国務長官は,フォリー亜外務大臣と電話会談を行い,米国政府及び国民の名において,昨日(10月31日)ニューヨークで起きたテロ事件の亜人犠牲者に対し哀悼の意を表明した。
イ マクリ大統領の米国NY訪問
6~8日,マクリ大統領は米国NYを訪問し,グテーレス国連事務総長と会談を行った他,先般のNYテロの亜犠牲者追悼のため献花を行うとともに,投資獲得を目的として,企業家との懇談等を行った。
ウ 亜産バイオディーゼルに対するアンチダンピング関税の引上げ
9日,ロス米商務長官は,亜産バイオディーゼルに対すアンチダンピング関税を71.45~72.28%とする旨正式に発表した。
エ ディエトリッチ運輸大臣の米国訪問
27~28日,ディエトリッチ運輸大臣は,米国(ワシントン)を訪問し,米商工会議所に,亜政府により実施されている交通インフラプロジェクトの進捗状況を説明すると共に,官民連携による最初のプロジェクトとして,亜政府が入札予定の新たな高速道路・道路計画の詳細についても説明を行った。また,28日,同大臣はモレノIDB総裁と会談を行い,亜政府がアグア・ネグラトンネル,サンマルティン鉄道等を含むインフラプロジェクトを進めていくことを説明した。
(2)ロシア:
ア フォリー外務大臣のロシア訪問
16日,フォリー外務大臣はロシアを訪問し,ラブロフ露外相と外相会談を行った。同会談において,様々な二国間アジェンダの深化や両国の戦略的パートナーシップの枠組におけるコミットメントの進展等について話し合われた。また,2018年のマクリ大統領のロシア訪問の可能性についても検討された他,2018年2月には亜企業ミッションのロシア訪問も予定されている。
イ 亜・ロシア政府間委員会の実施
9日,当地において,亜・ロシア政府間委員会が実施された。亜側からは,レイセル外務副大臣(国際経済担当)が,露側からは,Dankvert衛生・植物検疫監視連邦事業局長が出席した。レイセル副大臣は,ロシアとの総合的戦略パートナーシップを進展させるための最高の舞台であると強調しつつ,両者の間で,次回の同委員会を2018年2月モスクワで実施することで一致した。
(3)ペルー:クチンスキー・ペルー大統領のアルゼンチン訪問
3日,クチンスキー・ペルー大統領はアルゼンチンを訪問し,マクリ大統領と首脳会談を行った。両首脳は,二国間の共通関心分野における協力の深化の他,貿易関係の再活性化,メルコスール及び太平洋同盟の統合に向けた努力等に引き続き取り組んで行くこと等について合意した。また,両国の間で麻薬密輸対策,人身売買,組織犯罪,社会・文化・教育に係る協力に関連する8つの合意文書に署名が行われると共に,共同コミュニケが発出された。
(4)バチカン:ギャラガー・バチカン市国外務長官のアルゼンチン訪問
4日,ギャラガー・バチカン市国外務長官はアルゼンチンを訪問し,マクリ大統領と会談を行った他,フォリー外務大臣と会談及びワーキングランチを行った。両外相は,亜政府及びローマ法王が持つ亜地域及び世界的に重要なアジェンダに関する共通の展望や課題について議論を行った。(なお,3日,ラレタ・ブエノスアイレス市長はバチカンを訪問し,ローマ法王と亜政府関係強化を目的とする非公式会合を行った。)
(5)セルビア:ダチッチ・セルビア第一副首相兼外相のアルゼンチン訪問
21~22日,ダチッチ・セルビア第一副首相兼外相がアルゼンチンを公式訪問し,ミケティ副大統領及びフォリー外務大臣と会談を行った。同会談において,二国間,多国間のアジェンダ及び地域問題について話し合いを行った他,同会談終了後,両者は,経済関係発展のための法的枠組となる経済・貿易協力協定に署名を行った。
(6)ベルギー:ペーテルス・ベルギー連邦副首相兼経済大臣のアルゼンチン訪問
15日,アルゼンチンを訪問したペーテルス・ベルギー連邦副首相兼経済大臣はレイセル亜外務副大臣と共に,港湾セクター等への対亜投資に関心のあるベルギー企業と二国間ワーキング会合を行った。2018年6月には,アストリッド王女の訪亜と共に経済ミッションの派遣が予定されている。
(7)チリ:二国間貿易協定の署名
2日,当地において,フォリー外務大臣とムニョス・チリ外相との間で,両国の新たな二国間貿易協定に関する署名が行われた。同協定は,貿易に関する現行法の拡大及び深化を目的としており,投資,サービス,政府調達,通信,eコマース等の様々な分野で適用される。新協定により,両国の通信ローミング費用の撤廃(1年間),電子証明の相互認証等が導入される。(注:二国間の物品貿易は,発効20年経つチリ・メルコスール経済補完協定(ACE35)によって自由化されているが,今次協定は新たに20章加わってACE35を補完するもの。)
(8)ウルグアイ:国境地域開発協力委員会(CODEFRO)の再開
29日,フォリー外務大臣はニン・ノボア・ウルグアイ外相と共に,国境地域開発協力委員会(CODEFRO)の再開にかかる会合に出席のためウルグアイを訪問した。同委員会は,国境地帯の統合,経済・文化・社会開発を目的とするもの。
(9)スペイン:二国間対話の実施
13日,当地において,亜西二国間対話が実施された。亜側からは,ライモンディ筆頭外務副大臣が,西側からは,フェルナンド・ガルシア・カサス(Fernando Garcia Casas)国際協力・イベロアメリカ担当大臣が出席した。両国は,2017年2月のマクリ大統領がスペイン訪問の際に署名された戦略的パートナーシップの深化に向けた行動計画にかかるロードマップ及び12の署名協定について話し合いを行うと共に,両国の繁栄に向けた二国間及び多国間アジェンダを引き続き進めていくことで一致した。また,両者は,メルコスール・EU自由貿易協定交渉の締結の必要性について一致すると共に,2017年末の署名に向け,共に努力していくことを約束した。
(10)中国:カウチャリ太陽光発電所に関する政府間クレジット
23日,北京において,ソト亜金融省次官(国際金融関係担当)は,中国輸出入銀行(Eximbank)代表者と間で,フフイ州カウチャリ太陽光発電所I,II及びIII建設に係る3.31億米ドルの融資に関し,金利3%,償還期間15年間(内据置期間5年)とする協定に署名を行った。これは,中国政府によって指定されている中国輸出入銀行のコンセッション方式によるクレジットラインで資金手当がなされる初の政府間プロジェクトとなる。
(11)韓国:政策協議の実施
28日,当地において,亜・韓国間の政策協議が実施された。亜側からは,ライモンディ筆頭外務副大臣,韓国側からは,Lim Sung-Nam韓国外務次官が出席した。両者は,良好な二国間関係を強調した他,政治及び亜農畜産品の韓国市場へのアクセスを含む経済・貿易・投資の拡大,技術協力,南南協力等の強化について一致した。
(12)北朝鮮:北朝鮮のミサイル発射に対する非難声明
29日,亜外務省は,28日に北朝鮮によるミサイル発射を非難する旨の同日付プレスリリースを発出した。
(13)EU:カタイネン欧州委員会副委員長のアルゼンチン訪問
9日,カタイネン欧州委員会副委員長兼雇用・成長・投資・競争力担当委員は,アルゼンチンを訪問し,マクリ大統領及びフォリー外務大臣と会談を行った。カタイネン副委員長は,「マクリ大統領との会談において,(我々が単なる)自由貿易協定の交渉を行っているだけではなく,戦略的合意について話し合っているのだということを確認できた。同協定が署名されれば,世界におけるメルコスールの地政学的地位が強化されるとともに,投資家に対する信頼度も高まるだろう。」旨述べた。(なお,10日,メルコスール加盟国外相との会談のため,カタイネン副委員長はブラジルへ出発した。)
(14)メルコスール:
ア メルコスール・カナダ自由貿易協定交渉にかかる予備的対話の実施
7~8日,ブラジリアにおいて,メルコスール・カナダ自由貿易協定交渉にかかる予備的対話が実施された。亜側からは,レイセル外務副大臣が出席した。
イ フォリー外相のブラジル訪問(メルコスール加盟国外相とカタイネン欧州委員会副委員長との会談への出席)
10日,ブラジリアにおいて,メルコスール加盟国外相はカタイネン欧州委員会副委員長と会談を行い,亜側からは,フォリー外相が出席した。メルコスール外相は,メルコスール側の「包括プロポーザル」をカタイネン副委員長に提出し,双方の間で,EU・FTA交渉の年内合意に向け,交渉終盤に勢いをつけたいとの考えで一致した。
ウ メルコスールとチュニジア及びモロッコとの自由貿易協定
13~14日,ブラジルにおいて,メルコスールはチュニジア及びモロッコとの間で,工業及び農業セクターにおけるFTA交渉を行った。2018年の締結を目指し,同交渉では,前向きな進展が見られた。
(15)G20:G20議長国就任イベントの実施
30日,当地キルチネル文化センター(CCK)において,マクリ大統領夫妻出席の下,アルゼンチンのG20議長国就任イベントが実施された。なお,同イベントにおいて,G20トロイカを組むことになる安倍総理のビデオメッセージが流された。
(16)米州機構(OAS):アルマグロOAS事務総長のアルゼンチン訪問
2日,当地で開催されたイベロアメリカ・フォーラ出席のためアルゼンチンを訪問したアルマグロOAS事務総長はフォリー外務大臣と会談を行った。同会談において,地域アジェンダやOASのイニシアティブ及び組織の役割等について話し合いが行われた。
(17)欧州投資銀行(EIB):対亜投資
6日,EIBは,亜の雇用創出を引き続き可能とするための資金を提供するため,亜の中小企業への投資ファイナンスを行う旨発表した。エスコラーノEIB副総裁(ラテンアメリカ担当)は,カプート金融大臣との間で,亜貿易投資銀行(BICE)を通じた亜企業支援に対し,7100万米ドルの融資を行う旨の署名を行った。
(18)2023年認定博覧会:ブエノスアイレス開催決定
1日,メルコスールは,2023年認定博覧会の候補地に立候補しているブエノスアイレスに対する支持を表明した。15日,博覧会事務局(BIE)は,2023年認定博覧会の開催地としてブエノスアイレスを選出した旨発表。
(19)要人往来
ア 往訪
●3日: ラレタ・ブエノスアイレス市長のバチカン訪問
●6~8日: マクリ大統領の米国NY訪問
●6~17日: ベルグマン環境・持続的開発大臣のドイツ訪問(COP23出席)
●10日: フォリー外務大臣のブラジル訪問
●16日: フォリー外務大臣のロシア訪問
●27~28日: ディエトリッチ運輸大臣の米国訪問
●29日: フォリー外務大臣のウルグアイ訪問
イ 来訪
●2日: アルマグロOAS事務総長
●2日: ムニョス・チリ外相
●3日: クチンスキー・ペルー大統領
●4日: ギャラガー・バチカン市国外務長官
●9日: カタイネン欧州委員会副委員長
●13日: ペーテルス・ベルギー連邦副首相兼経済大臣
●21~22日: ダチッチ・セルビア第一副首相兼外相
(了)
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