アルゼンチン政治情勢(月1回更新)
平成31年4月24日
アルゼンチン政治情勢(2019年3月)
2019年4月作成
在アルゼンチン日本大使館
在アルゼンチン日本大使館
1 内政
(1)大統領府・政府:
ア 連邦議会開会に際するマクリ大統領の施政方針演説
1日,連邦議会において,第137回通常議会の開会式が行われ,マクリ大統領は今任期中最後となる4回目の施政方針演説を行った。10月の大統領選挙を念頭にかなり力の入った様子で,公共事業等具体的な数字を挙げつつ,これまでの実績を強調する内容であった。
イ 外務・宗務省次官(外交政策担当)の就任
13日付官報で,ベルトラミノ(Luis Pablo María BELTRAMINO)外務次官(外交政策担当)の就任が公布された。
ウ 子供養育手当増額
15日付官報で,子供養育手当(Asignación Universal por Hijo:AUH)の46%増が緊急大統領令(DNU)として公布された。本手当は,親の限度額以下の収入や失業等を条件として,5人までの子供の養育のために支給されるもので,本手当増額は,1日の国会開会に際するマクリ大統領の施政方針演説で発表された。
エ 与党カンビエモスによる成果文書の発表
20日,カンビエモスは,「政権の3年間(Tres Años del Gobierno)」と題する報告書を発表した。本報告書では,民主主義,治安,世界との賢い統合,成長のための経済,人間開発,インフラとエネルギーの6分野における44のテーマについて,2015年に政権についてからの実績と今後の課題を整理している。
オ 各国の貿易情報ポータルサイト開設
26日付外務省プレスリリースで,検疫,輸入制限や事前許可の必要性など輸出する際に相手国での障害になり得る情報をまとめたウェブサイトが紹介された。ウェブ上で国名を選択すると詳細情報が得られる。
https://www.cancilleria.gob.ar/es/argentinatradenet/consulta-de-barreras-las-exportaciones-argentinas
(2)連邦議会
ア 第137回通常議会開会
1日,第137回通常議会が開会した。
イ 国政選挙における男女平等法の施行
8日,政府は,2017年に国会で可決された国政選挙における男女平等法(比例代表制議員候補者名簿に各党が男女候補者を交互に記載する)を施行し,2019年実施の選挙から同法が適用されることになった。
(3)司法・検察
ア 州知事選挙における現職3選連続出馬の制限
22日,最高裁判所は,本年のラ・リオハ州とリオ・ネグロ州の州知事選挙への現職知事の3選連続出馬はできず,候補者となるには1期4年間空けることを要求した。最高裁は,両州現職知事は,2011年に副知事に就任し,その後州知事を務めていることから,連続再選は2期までしか認めていない州法に照らし,出馬は妥当でないと判断した。
イ 年金受給者からの税金徴収に関する判決
26日,最高裁判所は,年金受給者に所得税を課すことは違憲であると判断し、国会にこの問題を規制する法律を制定するよう要請した。なお,本判決による所得税免除は本訴訟の原告にのみ適用されるものの,今後同種の訴訟が予想されている。
ウ メネム元大統領への懲役判決
27日,連邦裁判所(第一審)は,1991年に不当に安い価格かつ正規の手続きを経ないで行われたアルゼンチン農牧協会(Sociedad Rural Argentina)への土地売却に関し,メネム元大統領(現上院議員)に懲役3年9ヶ月,カバロ元経済大臣には懲役3年6ヶ月の刑を言い渡した。また,両者とも今後の公職への就任資格が停止された。
(4)その他
ア ネウケン州知事選挙
10日,ネウケン州知事選挙が実施され,現職のグティエレス知事(MPN:ネウケン人民運動)が再選した。本年実施される一連の州知事選挙の第1番目の選挙であること,またバカ・ムエルタ・シェールガス油田を有する地域であることから選挙結果への注目を集めていた。
イ 教職員組合スト
6~8日,給料引き上げを求める教職員組合がストを実施した。6日から新学期が始まる予定であったが,引き上げ幅の合意に至らなかったため,実施に至ったもの。報道によれば全国で6割ほどの学校が休みになり,新学期開始が11日となった。(ブエノスアイレス州では,27日にビダル知事から,インフレーションに合わせる形での給料引き上げが提案され,4月1日にブエノスアイレス州教員組合(Udocba)を除いた5つの組合と合意した。)
ウ 世界女性デーにおけるデモの実施
世界女性デーの8日,昨年上院で否決された人工中絶の合法化,女性への暴力やセクハラの防止,男女の賃金格差是正等を求め,ブエノスアイレス市で大規模デモ行進が行われた。報道によると同デモには,30万人が参加した。
エ 公共料金値上げ
1日,電気,ガソリン,携帯電話料金等が値上げされた。国営石油会社YPFの給油所では,2.8%の値上げとなった。また,15日,バス及び列車の運賃が値上げされ,バスは初乗が18ペソになった。
オ 公共料金値上げに反対するデモ行進
20日,全国23州で20万人(報道発表)が参加するデモが実施された。雇用や食料品への政府の支援増を求めており,ブエノスアイレス中心部では,100カ所以上の道路が封鎖された。
カ 軍事クーデター43周年式典
軍事クーデター発生から43年目にあたる24日,5月広場で大規模な行進と記念式典が行われた。報道によれば,3万人が集合した。
キ 2018年旅客数の歴史的記録
24日,運輸省はプレスリリースで,2018年に国内線・国際線合計の旅客数が29百万人を超え,これまでで最も多い記録になったと発表した。
ク 第13回スペイン語国際大会の開催
27~29日,当地コルドバ市にて第13回スペイン語国際大会が開催された。この大会は,スペイン語及び文化に関するもので,3年ごとに開催されている。27日の開会式では,マクリ大統領が挨拶し,訪亜中のフェリペ6世・同妃両陛下が出席した。
2 外交
(1)日本:ミケティ副大統領のWAW!及びW20出席
22~24日,ミケティ副大統領は日本を訪問し,23日には東京で開催されたWAW! 及びW20開会式でスピーチを実施した。なお,同副大統領は,日本の後,韓国とポルトガルを訪問し,韓国では国会議長等議会関係者,政府機関関係者等と面談,ポルトガルでは,29日レベロ・デ・ソウザ大統領と会談した。
(2)米国: ドゥホブネ財務大臣とロペテギ・エネルギー国務大臣の米国訪問
11日~14日,ドゥホブネ財務大臣とロペテギ・エネルギー国務大臣は、米国を訪問した。12日,両大臣は,テキサス州ヒューストンで開催されたエネルギー会議に出席した他,米国のペリー・エネルギー長官と会談した。また,ドゥホブネ財務大臣は,13日ワシントンでIMFのラガルド専務理事とスタンバイ融資について話し合った他,ムニューシン米財務長官とも面談した。
(3)中国:鉄道ロカ線改善への中国からの2億3600万ドルの融資
25日,財務省は,中国開発銀行から2億3600万ドルの融資を受ける予定であることをプレスリリースで発表した。融資は,アルゼンチン鉄道再編・回復・近代化戦略の一環として車両の購入などロカ線の改善に使われる予定。
(4)国連:第2回南南協力ハイレベル会合の当地開催
20~22日,ブエノスアイレスで第2回国連南南協力ハイレベル会合(BAPA+40)が開催され,130を超える国と関係機関から出席があった。また,同会合のマージンで,マクリ大統領は,バスケス・ウルグアイ大統領,胡春華・中華人民共和国国務院副総理等と二国間首脳会談を持った他,ピニェラ・チリ大統領,バスケス・ウルグアイ大統領,ベニテス・パラグアイ大統領とは,2030年のサッカーワールドカップ4カ国共同開催への立候補について合意した。フォリー外務大臣,スラウビネン筆頭外務副大臣もマレーシア,モザンビーク等約40の国及び関係組織代表との会談を行った。
(5)ベネズエラ:グアイド・ベネズエラ暫定大統領来亜
1日, グアイド・ベネズエラ暫定大統領が来亜し,大統領公邸にてマクリ大統領と会談を持ったほか,フォリー外務大臣と共にサン・マルティン宮殿で記者会見等を行った。
(6)デンマーク:マルグレーテ・デンマーク女王来亜
18日,訪亜中のマルグレーテ・デンマーク女王は,サン・マルティン広場での歓迎式典後,大統領府でマクリ大統領に表敬し,昼食会に出席した。また,19日には,女王に同行した30社ほどのデンマーク企業と亜企業との合同フォーラムが実施された。なお,今次訪問には,フレデリック皇太子,サムエルセン・デンマーク外務大臣も同行した。
(7)ボリビア:フリーゾーン移転に関する合意
19日,フォリー外務大臣とパリ・ボリビア外務大臣は,サンタ・フェ州ロサリオ市のボリビアのフリーゾーンの移転を規定した合意書に署名した。
(8)モザンビーク:二国間技術協力及びポルトガルとの三角協力協定への合意
フォリー外務大臣は,19~20日,亜を公式訪問中のパシェコ・モザンビーク外務大臣と会談し,二国間技術協力に関する協定とモザンビーク,ポルトガル,アルゼンチン間の経済及び投資分野での三角協力実施に関する協定に署名した。
(9)パラグアイ:国際交通及びフリーゾーン移転に関する二国間合意
20日,マクリ大統領とベニテス・パラグアイ大統領立ち会いの下,フォリー外務大臣とカスティグリリオーニ・パラグアイ外務大臣は,当地コリエンテス州イツサインゴ市とパラグアイ領アヨラスの間での国際交通を可能とする外交口上書を交換した。また,両大臣は,当地サンタ・フェ州ロサリオ市にあるフリーゾーンの移転に関する合意書に署名した。
(10)チリ:南米地域連合PROSUR結成にかかるマクリ大統領のチリ訪問
22日,ピニェラ・チリ大統領の招きで,マクリ大統領はチリを訪問し,南米地域連合UNASURに代わる組織としてPROSUR結成に関する協議に参加した。アルゼンチン,チリ,パラグアイ,ブラジル,コロンビア,ペルー,エクアドル,ガイアナが合意書に署名した(ウルグアイ,ボリビア,スリナムがオブザーバー参加)。
(11)スペイン:フェリペ6世・同妃両陛下の来亜(上記1(4)ク参照)
25日,国賓として来亜中のフェリペ6世・同妃両陛下は,歓迎式典の後,マクリ大統領と会談し,昼食会に出席した。同国王は,このほか,上院・下院議長,最高裁判所長官・同裁判官と会談し,晩餐会に出席した。26日には,両国企業関係者との朝食会に出席,夜は大統領主催のレセプションに出席した。その後,第13回スペイン語国際会議出席のため当地コルドバ市に移動し,27日には同会議開会式に出席した。
(12)要人往来
ア 往訪
● 4日~5日 | ミケティ副大統領スペイン訪問 |
● 4日~5日 | シカ労働大臣スペイン訪問 |
● 7日 | ブルリッチ治安大臣英国訪問 |
● 11日~12日 | ミケティ副大統領インド訪問 |
● 11日~14日 | ドゥボネ財務大臣・ロペテギ・エネルギー国務大臣米国訪問 |
● 22日 | マクリ大統領チリ訪問 |
● 22~31日 | ミケティ副大統領日本・韓国・ポルトガル訪問 |
イ 来訪
● 1日 | グアイド・ベネズエラ暫定大統領(国会議長) |
●18日~20日 | マルグレーテ・デンマーク女王,フレデリック・デンマーク皇太子,サムエルセン・デンマーク外務大臣 |
●18日~19日 | サイフディン・マレーシア外務大臣 アブダッラー・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン・アラブ首長国連邦外務大臣 |
●20日 | ピニェラ・チリ大統領,バスケス・ウルグアイ大統領,ベニテス・パラグアイ大統領 |
●20日~22日 | エスピノサ 第73回国連総会議長,グテーレス国連事務総長ほか(第2回国連南南協力ハイレベル会合出席) |
●25日~26日 | スペイン国王フェリペ6世・同妃両陛下,ボレル・スペイン外務大臣(第13回スペイン語国際会議出席) |
(了)
バックナンバー
2019年
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2018年
|
|
|||||||||||
2017年
|
||||||||||||
2016年
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|||
2015年
|
||||||||||||
2014年
|
||||||||||||
2013年
|
||||||||||||
2012年
|
||||||||||||
2011年
|
||||||||||||
2010年
|
||||||||||||
2009年
|
||||||||||||
2008年
|
||||||||||||
2007年
|
||||||||||||
2006年
|
||||||||||||
2005年
|
||||||||||||
2004年
|
||||||||||||
2003年
|
||||||||||||
2002年
|