アルゼンチン政治情勢(月1回更新)

令和3年8月18日

アルゼンチン政治情勢(2021年4月)

2021年5月作成
在アルゼンチン日本大使館

 

1 内政
(1)政府:
ア 新型コロナウイルス関連
(ア)必要緊急大統領令(DNU)の公布(1)
8日、政府は、新たな行動制限に係る必要緊急大統領令DNUを公布し、9日から30日まで、ブエノスアイレス首都圏にて以下の新たな行動制限を課すと発表した。非居住外国人に対する入国禁止措置に関しても、30日まで延長された。
●午前0時から6時までの外出禁止(不可欠な活動に従事する者等は例外。)
●午後11時から午前6時までの飲食店の営業禁止。
●公共交通機関の使用を、不可欠な活動に従事する者、その他許可を受けた者に限定。
(イ)必要緊急大統領令(DNU)の公布(2)
15日、政府は、必要緊急大統領令(DNU)を公布し、ブエノスアイレス首都圏に対して以下(抜粋)の行動制限を実施する旨発表した。
●午後8時から午前6時までの夜間外出禁止。
●商業施設の午後7時から午前6時までの営業禁止。
●飲食店は、午後7時から午前6時まではテイクアウト及びデリバリー営業のみ可能。
(ウ)行動制限措置の延長
 30日、フェルナンデス大統領は、上記行動制限措置を5月21日まで延長する旨ビデオメッセージで発表した。
(エ)航空便の運行停止措置の延長
10日、政府は、行政決定を発出し、英国、伯、チリ、墨からの直行便の運航停止を30日まで延長。30日、上記に加え、インドからの航空便を5月21日まで停止することを発表した。
イ 変異株サーベイランス調査(PAISプロジェクト:科技省所掌)
(ア)14日付報告書
3月2日から4月4日の調査で、新たに英国型変異株が54例、マナウス型変異株が25例確認された。
(イ)29日付報告書
4月中旬の1週間でブエノスアイレス首都圏において行われた調査において、全体の27.1%が英国型、31.3%がマナウス型、6.3%がリオデジャネイロ型、33.3%が俗に「アンデス型」と呼ばれるL_452Q型変異株であり、第1波の時点で流行していた従来型は僅か2%であった。
ウ ワクチン関連
(ア)ロシア製ワクチン「スプートニクV」
露直接投資基金(RDIF)は、亜Richmond Sacif社が「スプートニクV」の生産を開始し、亜はラ米で初めて同ワクチンを生産した国となった旨発表した。
(イ)中国シノファーム製ワクチン
30日、当地「アンビト」紙電子版は、mAbxience社CEOであるウゴ・シグマン氏が、中国シノファーム製ワクチンを亜国内にて生産する可能性につき報じた。
(ウ)英アストラゼネカ製ワクチン
 2日、ソラー外相は、ブリンケン米国務長官との電話会談の中で、オハイオとボルチモアの倉庫に保管されている米国内で生産されたアストラゼネカ製ワクチンの調達可能性につき話し合った。
 28日、ビソッティ保健相は、アストラゼネカ亜事務所幹部と会合を行い、同社ワクチンの亜における現地生産の進捗と品質管理について早急に報告するよう正式に要請した。
(エ)米ファイザー社製ワクチン
 27日、ニコリーニ大統領顧問は、ラジオの取材に対し、米ファイザー社とワクチンに係る交渉を再開した旨発表した。
(オ)キューバ製ワクチン
 28日、ソラー外相は、プラダ駐亜キューバ大使と会談を行い、キューバ製ワクチンの生産に係る亜の財政提案につき意見交換を行った。
(カ)インド製ワクチン「コビシールド」(注:英アストラゼネカ社インド生産)
 28日、ソラー外相は、バティア駐亜インド大使と会合を行い、コビシールドの納入につき話し合った。
エ 感染状況
(ア)13日、新型コロナウイルスによる1日の新規感染者数が、過去最多の27,001人を記録した。
(イ)22日、新型コロナウイルスによる1日の新規死者数が、過去最多の537人を記録した。
(ウ)ICU使用者数は、26日に5134人、27日に5178人に達し(いずれも全国)、2日連続で新型コロナウイルス発生以降最多を記録した。27日時点でICU使用率は全国で68.3%、ブエノスアイレス首都圏で76.8%となった。
オ フェルナンデス大統領のPCR検査陽性判定
抗原検査により新型コロナウイルス陽性判定を受けていたフェルナンデス大統領は、3日、PCR検査でも陽性判定を受けた。その後、16日から通常の執務に戻った。
(2)国会:
ア クリスティーナ・フェルナンデス副大統領の汚職事件
第5口頭審理法廷は、「Hotesur」及び「Los Sauces」の管理権への司法介入及び差押が必要以上に長期に及んだことを理由として、両物件の管理権をクリスティーナ・フェルナンデス副大統領に返却する旨決定した。
イ 中間選挙の延期
23日、与野党は、中間選挙を1か月延期する旨決定し、国会承認にかけられることとなった。
(3)司法:
ア 対面授業中止に係るブエノスアイレス市政府の最高裁提訴等
16日、ラレタ・ブエノスアイレス市長は、コロナ感染対策措置としての対面授業の中止を阻止すべく、15日に発出されたDNUはブエノスアイレス市の自治権を侵し違憲であるとして、同DNUの差止めを求めて最高裁に提訴した。
18日、ブエノスアイレス市裁判区控訴裁判所は、対面授業の中止措置に反発する保護者の訴えを認め、ブエノスアイレス市政府に対面授業の継続を命じる判決を下した。同判決を受け、19日より、ブエノスアイレス市では対面授業が再開された。これに対し政府は、ブエノスアイレス市裁判区控訴裁判所の判決の取り消しを求めて最高裁に上告した。
他方、一部の教職員組合(亜教育労働者連盟(CTERA)及び教育労働者組合(UTE))は、対面授業継続に反発しストライキの実施を表明した。
(4)メオニ運輸相の逝去:
23日、メオニ運輸相が交通事故にて逝去した。28日、政府は官報を通じて27日付大統領令を発出し、正式な後任が決定するまでの間、関連法に基づき、カトポディス公共事業相が暫定的に運輸相を兼務する旨発表した。
 
2 外交
(1)中国:
ア 22日、フェルナンデス大統領は、ロッシ国防相、ビソッティ保健相、ゴジャン・ブエノスアイレス州保健相とともに、ラ・マタンサ市の病院を訪問し、中国から寄贈された移動式医療センターの視察を行った。
イ 23日、与党ペロン党(正義党)と中国共産党はオンラインで幹部会議を開催した。
ウ 28日、亜保健省は、中国から21台の人工呼吸器、5000着の防護服、8000枚のN95マスクの贈与(34万2400ドル相当)を受けた旨プレスリリースにて発表した。
(2)米国:
ア 2日、ソラー外相は、ブリンケン米国国務長官と電話会談を行い、亜は、パリ協定への復帰や気候変動サミットへの出席呼びかけなど、米国による気候変動分野における最近の発表に賛同する旨伝えた。
イ 7~9日、米国南方軍司令官ファラー海軍大将が当地を訪問し、ロッシ国防相を表敬した。また、南極基地へのアクセスを巡り米中の関心が高いとされるティエラ・デル・フエゴ州のウシュアイアを訪問し、現地の救助隊に捜索・救助用機材の供与を行った。
ウ 13日~14日、ゴンザレス米国NSC西半球担当上級部長が訪亜した。
エ 22日、フェルナンデス大統領は、バイデン米国大統領主催の気候サミットにオンライン形式で出席した。
オ 29日、ビソッティ保健相とニコリーニ大統領顧問は、大統領府において、カールソン米大使館臨代と会合を行い、医薬品、医療用酸素及びワクチンの供給について協議した。
(3)英国:
29日、外務省は、マルビーナス(フォークランド)諸島における英国の軍事演習実施に対する抗議の声明を発出した。
(4)ドイツ:
 13日、グスマン経済相は、欧州外遊における最初の訪問先のベルリンにおいて、シュミット独財務次官と会談した。
(5)イタリア・バチカン:
 14日、グスマン経済相は、イタリアにおいてフランコ伊経済財務相と会談を行い、バチカンにおいてローマ教皇フランシスコを謁見した。
(6)スペイン:
 15日、グスマン経済相は、マドリードにおいてレドンド西内閣官房長官及びカルビーニョ第二副首相兼経済・デジタル変革大臣と会談を行った。
(7)フランス:
 16日、グスマン経済相は、パリにおいてルメール仏経済・財務相及びムーラン仏経済・財務省国庫総局長と会談を行った。
(8)ロシア:
ア 5日、プーチン大統領は、フェルナンデス大統領の新型コロナウイルス陽性反応の報を受けフェルナンデス大統領に架電し、双方は電話会談を行った。 
イ 19日、欧州外遊中のグスマン経済相は、ニコリーニ大統領顧問とともに、モスクワにおいてリャブコフ露外務次官と会談を行った。
(9)ブラジル:
 10日、ソラー外相は、フランサ伯外相と電話会談を行った。
(10)エクアドル:
 12日、フェルナンデス大統領は、エクアドル大統領選挙において選出されたラッソ候補に対して祝意を表する書簡を送った。
(11)イベロアメリカ・サミット:
 21日、フェルナンデス大統領はイベロアメリカ・サミットにオンラインで出席した。
(12)メルコスール:
 26日、ソラー外相は、オンラインで開催されたメルコスール外相会談に出席した。
(13)要人往来:
ア 往訪
欧州(ドイツ、イタリア、バチカン、スペイン、フランス及びロシア):グスマン経済相他。
イ 来訪
 米国:米国南方軍司令官ファラー海軍大将、ゴンザレスNSC西半球担当上級部長。


アセベド・パラグアイ外相。