アルゼンチン政治情勢(月1回更新)

令和8年8月6日

アルゼンチン政治情勢(2026年7月)

1 内政

(1)ミレイ政権

●1日、サンティリ元内務大臣は官房長官に就任した。
 
●1日、政府は、ホールドアウト債権者との合意を公布した。
 
●1日、アドルニ元官房長官は、YPFの取締役の職を辞任した。
 
●3日、政府は、内務省を廃止し、内務省の傘下にあった局を内閣官房に移管した。
 
●4日、カリーナ・ミレイ大統領府長官は、ミシオネス州でLLAの指導者養成・研修施設を開設した。
 
●17日、ミレイ大統領は、カリーナ・ミレイ大統領府長官及び閣僚とともにアルゼンチン・イスラエル相互扶助協会(AMIA)会館に対するテロ攻撃から32周年を追悼する式典に参加した。
 
●22日、LLAは、党指導部への支持を背景に、将来の選挙戦に向けた課題を見据えつつ、規律や忠誠心といった価値観の強化を推進することを目的に「団結の日」を祝った。
 
●ラビエル大統領報道官による失言
ア 23日、ラビエル大統領報道官は、今後数ヶ月のうちにドル相場が1800ペソに達する可能性があると述べた。
イ 24日、政府は、報道官の発言が本人の誤りだとし、金融政策に変更はないと説明した。
 
●30日、ミレイ大統領は、移民法を改正するため、必要緊急大統領令(DNU)に署名した。アルゼンチン国民へのヘイトスピーチや暴力扇動、国章・国旗など国家の象徴への冒涜行為を行った外国人について、入国・滞在を禁止し、在留資格の取消しや国外退去・強制送還の対象とすることを定めた。


(2)議会
 
●16日、上院では、司法任命案29件、外交官昇進案27件が可決された。
 
●20日、議会両院が休会となった。翌月3日に再開する。
 
●30日、UCRは、私有財産法について、自党上院議員らに対し反対票を投じるよう要求する声明を出した。
 
●中央銀行の定款改正法案等
ア 30日、ミレイ大統領は、全国放送を通じて、中央銀行の定款改正法案、政府閉鎖法案、資本市場および保険制度における構造改革法案について説明した。
イ 31日、政府は、上記法案を議会に提出した。
 

(3)デモ・スト

●22日、労働組合のCGT、2つのCTA、UTEPは、社会団体、年金受給者と共に、国会前でデモ行進を行った。参加人数が比較的少数だと報じられた。

 
(4)その他
 
●1日、マルティネス・デ・ジョルジ連邦判事は、バスケス税収・税関管理庁(ARCA)長官が米国フロリダ州に所有する3件の不動産を申告していなかった疑いがあるとして、米国に関連情報を求めた。
 
●8日、連邦行政訴訟裁判所(Cámara Contencioso Administrativo Federal)は、労働近代化法の実施を差し止めるよう求めたCGTの申し立てを却下した。
 
●13日、2024年12月に20万米ドルが入ったリュックサックを自動車に置いてパラグアイに入国しようとしたクエイデル元上院議員とその秘書が、密輸未遂の罪で同国で有罪判決を受けた。
 
●14日、サン・マルティン連邦裁判所(Cámara Federal de San Martín)は、人的資本省に対し「職場復帰」プログラム(月給手当支給付き雇用促進施策)の継続を義務付けていた仮処分を取り消す決定を下した。
 
●18日、カトリック教会は、裁判官、労働組合活動家、市長らを一堂に集め、政府に批判的な会合を開催した。ペロン党のキシロフ・ブエノスアイレス州知事が出席した。
 
●28日、国家監査院(AGN)は、マクリ政権及びフェルナンデス政権下における「国家住宅計画」に重大な異常を発見したと公表した。
 
●29日、クリスティーナ・キルチネル元大統領は、国際メディアを通じて、「道路公社事件(Vialidad)」で自身が受けた有罪判決について国連に提訴すると発表した。
 
●31日、連邦行政訴訟裁判所は、18歳未満の若者が性別変更治療を受けることを禁じていた政府の必要緊急大統領令(DNU)の効力を停止した。
 

2 外交
 
(1)対米関係

●1日、ミレイ大統領は、予定していた訪米を取り止めた。
 
●4日、ミレイ大統領は、米国独立記念日を祝し、「アルゼンチンも、[米国の]この同じ願いのもとで建国された国である」と述べた。
 
●15日、政府は、米国と同様に、報道の自由を求める「メディアの自由連合(Media Freedom Coalition)」の宣言に署名しなかった。署名しなかったのは、この2か国のみ。
 

(2)その他
 
●1日、キルノ外相は、ヴァーデフール・ドイツ外相と会談、エネルギー分野におけるドイツの主要企業との会合を行い、アルゼンチンの鉱業セクターの発展に向けた貿易、サプライチェーンの安全保障、および投資を強化するため、鉱業および鉱物資源に関する覚書に署名した。
 
●2日、ミレイ大統領は、電話会談でケイコ・フジモリ・ペルー次期大統領を称賛し、ペルーとの二国間関係における新たな段階を宣言した。
 
●5日、政府は、ベネズエラ独立記念日を機に、ベネズエラ国民に連帯の意を表するとともに、大地震の影響を受けている困難な時期に引き続き支援を提供していくというアルゼンチンの決意を改めて表明した。
 
●10日、政府は、「米州の盾」加盟国と共に、コロンビア国民および合法的かつ民主的に選出された同国の当局に対する支持を表明した。
 
●11日、キルノ外相は、フォークランド(マルビーナス)諸島に対する主権主張を訴える新聞寄稿(La Nacion)を行った。
 
●英国軍船通航問題
ア 13日、ペロン党(UxP)の議員らは、英国の軍船HMSメドウェイが7月上旬にアルゼンチン本土沿岸に向けて、事前の協議なしに航行したとする報道を受けて、同軍船について政府に対し説明を要請した。
イ 13日、政府は、同軍船が事前の協議なしに航行したとして、英国に正式な抗議文を提出した。
ウ 18日、英国は、アルゼンチン政府の抗議に対し、同軍船は無害通航を行い、アルゼンチン海軍と事前に協議したと主張した。
 
●FIFAワールドカップでのフォークランド(マルビーナス)諸島横断幕問題
ア 15日、イングランド戦終了後、アルゼンチン代表選手数人が、フォークランド(マルビーナス)諸島に対する主権を主張する横断幕を掲げた。
イ 17日、米政府は、アルゼンチン代表がフォークランド(マルビーナス)諸島問題について意見を表明する権利を支持することを表明した。
 
●15日、ベネズエラで発生した地震の救援活動にあたったアルゼンチン代表団が帰国した。
 
●外国協定等公布(17日)
ア 政府は、サンマリノとの社会保障協定およびその実施に関する行政協定を公布した。
イ 政府は、スイスとの社会保障協定およびその実施に関する行政協定を公布した。
ウ 政府は、違法・無報告・無規制(IUU)漁業の防止・抑止・根絶を目的とする寄港国措置協定を公布した。
エ 政府は、フランスとの二重課税防止・租税回避防止条約の改正議定書を公布した。
 
●18日、ブラジルの裁判所は、自宅軟禁中のジャイル・ボルソナーロ元ブラジル大統領に対し、ミレイ大統領との面会を許可しないことを決定した。
 
●国際的な反アルゼンチンキャンペーン
ア 22日、駐スペイン・アルゼンチン大使は、いわゆる反アルゼンチンキャンペーンを否定し、「我々は兄弟のような関係にある2つの国だ」と述べた。
イ 22日、ミレイ大統領は、同キャンペーンは「ウォーク(Woke)」思想をアルゼンチンに取り入れたキルチネル派に責任があると発言した。
ウ 26日ミレイ大統領は、同キャンペーンに資金を提供したとして、ブラジル政府、メキシコ政府、米国民主党を非難した。
 
●ミレイ大統領によるブラジル訪問・外交問題
ア 25日、ミレイ大統領は、ブラジルを訪問し、サンパウロ州の最高栄誉であるイピランガ勲章を受章し、のちにフラヴィオ・ボルソナーロ・ブラジル大統領候補の出馬表明式典において演説を行った。右演説において、ルーラ・ブラジル大統領、及びミレイ大統領のジャイル・ボルソナーロ元ブラジル大統領との会合を禁じた裁判官を非難し、ボルソナーロ・ブラジル大統領候補の支持を表明した。また、ブラジル政府が「反アルゼンチンキャンペーン」に資金を提供しているとして非難した。
イ 25日、ブラジル政府及びブラジル連邦最高裁は、ミレイ大統領の発言を問題視し、「外国によるブラジル大統領選挙への干渉」として批判した。
ウ 26日、ブラジル政府は、ミレイ大統領の発言を受け、駐アルゼンチン大使を召還した。
エ 27日、習近平中国国家主席は、ブラジルの主権擁護への支持を表明するとともに、中国・メルコスールFTAについても協議した。
オ 28日、ラビエル大統領府報道官は、アルゼンチン政府としては、両政権間の対立を拡大させる意図はないと述べた。
カ 28日、アルキミン・ブラジル副大統領は、ミレイ大統領のせいで「アルゼンチンが損をしている」と発言した。
キ 28日、ルーラ・ブラジル大統領の労働者党(PT)は、ブラジル選挙管理当局に対し、ミレイ大統領のブラジル訪問について調査を行うよう求めた。
 
●ゲオルギエバIMF専務理事によるアルゼンチン訪問
ア 27日、ゲオルギエバIMF専務理事は、ミレイ大統領、カプート経済相と会談し、同経済相と共に基調講演を行った。
イ 28日、ゲオルギエバIMF専務理事は、カプート経済相と共に、バカ・ムエルタを訪問し、マリンYPF社長と会談した。
 
●28日、ミレイ大統領は、ペルーを訪問し、ケイコ・フジモリ大統領と会談を行い、同大統領の就任式に出席し、サン・マルティン・デ・ポレス大学から名誉称号を授与された。
 
●31日、ミレイ大統領は、李在明韓国大統領と首脳会談を行った。
 
●31日、キルノ外相は、金正官韓国産業通商資源部長官と、重要鉱物、特にリチウム分野における協力のための覚書に署名した。

(3)要人往来

 往訪:
米国:キルノ外相(16日、「極左テロ対策」国際会議出席)
ブラジル:ミレイ大統領、カリーナ・ミレイ大統領府長官、キルノ外相(25日、フラヴィオ・ボルソナーロ氏の大統領選出馬表明式典参加)
ペルー:ミレイ大統領、カリーナ・ミレイ官房長官、キルノ外相(28日、フジモリ・ペルー大統領の就任式出席)

来訪:
ヴァーデフール・ドイツ外相(1日、キルノ外相との会合)
ゼイユーディUAE対外貿易相(1日、キルノ外相との会合)
バイエル(化学工業及び製薬会社)の幹部団体(13日、ミレイ大統領、キルノ外相、ルゴーネス保健相との会合)
ルイ・ドレフュス・カンパニー・グループ(農産物の販売・加工企業)の幹部団体(16日、ミレイ大統領、カリーナ・ミレイ大統領府長官、カプート経済相、ルゴーネス保健相、イラエタ農牧漁業庁長官との会合)
ゲオルギエバIMF専務理事(27日~28日、ミレイ大統領、カプート経済相との会合、バカ・ムエルタ訪問)
李韓国大統領、趙韓国外交部長官、金韓国産業通商部長官、(30日~翌月1日、ミレイ大統領とのバイ会談) (了)

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