政治情報
月1回更新
 

 

 

2009年11月アルゼンチンの政治情勢(内政・外交)

2009年12月作成
在アルゼンチン大使館

 

I.概要


(1)内政面では、予備選挙の実施等を義務づける政治改革法案が、下院で50以上の修正がなされた後可決し、上院に送付された。社会保障の拡充等を求めるピケテロ・グループ(失業者団体)等による道路封鎖などの抗議活動が活発化し、亜カトリック司教会議は、社会的緊張の高まりに深い懸念を表明する教理文書を発表した。


(2)外交面では、フェルナンデス大統領が、バチェレ・チリ大統領と共に、亜・チリ平和友好条約締結25周年を祝うためバチカンを訪問した他、第19回イベロアメリカ・サミットに出席するためポルトガルを訪問した。また、フェルナンデス大統領はブラジルを訪問し、ルーラ伯大統領と定期首脳会談を実施した。その他、タイアナ外相が、第28回リオ・グループ外相会合及びラテンアメリカ・カリブ諸国大臣級会合に出席するため、ジャマイカを訪問した。他方、モラン仏国防相、アラオス・ペルー生産相、デ・ラ・ベガ・スペイン第1副首相、ペレス・イスラエル大統領、アッバース・パレスチナ暫定自治政府大統領、チェスニェク・スロバキア経済相等が訪亜した。

 

II.内政


1.社会闘争


(1)2〜3日、非キルチネル派ピケテロ・グループ(MTD-Anibal Veron、Frente Popular Dario Santillan等)約2000名が、社会プログラム(10万人の雇用創出プログラム、子供手当てプログラム)の不公平な実施に反対し、ブエノスアイレス市内の社会開発省前の主要道路(7月9日通り)にテントを設置し、道路封鎖を行った。


(2)4〜6日、モジャーノ労働総同盟(CGT)書記長親子(ウゴ・モジャーノ及びパブロ・モジャーノ)を支持する一部のトラック労組メンバーが、クラリン紙及びラ・ナシオン紙の印刷所周辺の道路を封鎖し、新聞配達を妨害した。


(3)10日、ブエノスアイレス市内を走る地下鉄の労働組合員は、現在属しているバス・地下鉄労組(UTA)を離脱し、独自の労組創設を要求し、24時間全面ストを実施した。


(4)13日、亜カトリック司教会議は、最近亜で高まっている社会的緊張に深い懸念を表明する教理文書を発表し、言葉による暴力、身体的暴力及び対立姿勢は、社会平和を脆弱化させる旨警告した。また、労組、社会グループ等による道路封鎖及び抗議活動が激化している状況について、憲法、法律、共有財産を尊重するよう求めた。

 

2.政界の動き


(1)4日、ペロン党反キルチネル派次期下院議員約30名が会談し、12月10日に発足する新議会において、統一会派を結成することで合意した。


(2)10日、ペロン党執行部は会合を開き、キルチネル党首(前大統領)が連邦議会選挙翌日(6月29日)に提出した辞表を受理することを改めて拒否した。他方、ダス・ネベス・チュブット州知事(ペロン党執行部調整官)及びレウテマン上院議員(ペロン党執行部スポークスマン)は、キルチネル前大統領の党首続投に反対し、党役員職を辞任した。


(3)コロンビ次期コリエンテス州知事(12月10日就任予定)は、17日に大統領官邸でキルチネル前大統領と、19日に大統領府でフェルナンデス大統領と会談し、州情勢等について話し合った。コロンビ次期知事は、先月の知事選挙で急進党から支持を得て当選したものの、財政支援及び公共事業の実施と引き替えに、2011年の大統領選挙でキルチネル夫妻を支持することで合意したと見られる。これに対し、急進党執行部は、コロンビ次期知事を急進党から除名することを検討している旨明らかにした(注:12月3日、急進党執行部は、コロンビ次期知事の一時除名処分を決定した)。


(4)25日、ロペス・ムルフィー元経済相(注:急進党を離党した後、2002年に中道右派「国家再建党」を結党。2003年及び2007年の大統領選挙に出馬し、それぞれ第3位、第6位。2005年議会選挙では、マクリ変革党党首と統一会派「共和国提案」を形成したが、2007年国政選挙では選挙名簿の作成を巡りマクリと決裂。2007年11月、惨敗した大統領選挙の責任を取る形で国家再建党党首を辞任)は、「連邦結束党(Convergencia Federal)」を結成した旨発表した。同元経済相は、「亜は深刻な状況に陥っている。我々は、国及び地方レベルの問題を解決するためのプログラムを有する新党を結成した。ブエノスアイレス市においても、マクリ派に替わり得る勢力を構築する必要がある。マクリ市長は、問題の根源の解決には当たらず、問題を先延ばしにしているのみで、選挙公約を一つも履行していない」等述べた。

 

3.議会の動き


(1)政治改革法案


(イ)17日、政治改革法案は、下院の3つの委員会(憲法、予算及び司法)から成る合同委員会において、50以上の修正が加えられた後承認され、18日、下院本会議において、賛成136票、反対99票、棄権1の絶対多数(注:憲法第77条は選挙及び政党に関する法案の可決は議員定数の過半数以上(129票以上)の賛成が必要と規定)で可決した。


(ロ)法案修正後の主な内容は以下のとおり。


(i)政党創設・存続の要件:政党を創設・存続させるためには、当該選挙区において、有権者の0.4%以上の党員を有しなければならない。全国政党として登録するためには、全国24選挙区(23州及びブエノスアイレス市)の内、5選挙区以上で登録し、活動しなければならない(注:暫定条項として、同要件は2012年以降適用される旨規定されていたが、12月14日大統領は同暫定条項に拒否権を発動)。2回の連続する選挙に出馬しない、または、2回の連続する選挙において、出馬した選挙区の有権者の2%以上の票を獲得しなかった政党は解散しなければならない。


(ii)予備選挙の実施義務:国政選挙(大統領・副大統領及び連邦議会選挙)に参加する全ての政党・選挙連合は、候補者を選出するための予備選挙を8月第2日曜日(本選挙の実施日は10月第4日曜日)に実施しなければならない(候補が一人しかいない場合でも実施)。国民は、予備選挙においても投票する義務を有し、1つの政党(候補者が1名以上いる場合は政党内会派)或いは選挙連合に投票する。なお、選挙連合を構築する場合は、予備選挙の60日前までに登録する必要がある。また、予備選挙に参加する政党・選挙連合は予備選挙の50日前までに候補者名簿を選挙管理委員会に提出しなければならない。


(iii)国政選挙への出馬規制:大統領・副大統領予備選挙に参加する政党・選挙連合の候補者は、5選挙区以上において、全国の有権者の0.1%以上の署名を集めなければならない。大統領・副大統領予備選挙において、全国の選挙区で1.5%以上の得票率を獲得できない政党・選挙連合は、本選挙に参加することはできない。連邦議会予備選挙に参加する政党・選挙連合の候補者は、当該選挙区において、当該有権者の0.2%以上の署名を集めなければならない。連邦議会予備選挙において、当該選挙区で1.5%以上の得票率を獲得できない政党・選挙連合は、本選挙に参加することはできない。


(iv)選挙キャンペーン規制:予備選挙では、30日前に選挙キャンペーン及び20日前にメディアを通じた選挙キャンペーンを解禁し、2日前に終了する。本選挙では、35日前に選挙キャンペーン及び25日前にメディアを通じた選挙キャンペーンを解禁し、2日前に終了する。


(v)政府行事実施規制:政府は、予備選挙及び本選挙の15日前以降、公共事業の発表等の政府行事を実施することを禁止する。


(vi)選挙資金規制:メディア(テレビ・ラジオ)を通じた選挙キャンペーンにつき、民間放送局と契約することを禁じ、政府が各政党・選挙連合に対して放送枠を割り当てる。民間からの選挙献金につき、企業からの献金を禁じ、個人からの献金のみを認める(なお、法令26215が各政党・選挙連合の選挙資金の上限を定めている)。


(vii)世論調査に対する規制:選挙に関する世論調査を実施する機関は、選挙裁判所に登録しなければならず、世論調査を実施する場合には、スポンサー及び実施コストを公表する。本選挙の8日前以降、世論調査結果を公表することを禁止する。


(ロ)24日、上院の3つの委員会(憲法、予算及び司法・刑事)から成る合同委員会において、政治改革法案が修正されることなく承認され、12月2日、上院本会議において、賛成42票、反対24票の絶対多数(37票以上)で可決・成立した。


(2)人権関連法案


 4日の下院に続き、18日、上院において、未成年者略奪等の人道に対する罪を調査する目的でDNA鑑定を行うために、髪・血液・皮膚等の組織・細胞を抽出する権限を司法に認める法案、及び国家遺伝子情報銀行創設に関する法案が、それぞれ賛成多数で可決・成立した。


(3)誹謗中傷罪に関する法案


 4日の下院に続き、18日、上院において、フェルナンデス大統領により提出された誹謗中傷罪に関する法案(誹謗中傷による禁固刑をなくし、罰金を課すよう刑法を改正する法案)が賛成多数で可決・成立した。なお、亜報道機関及び米州人権裁判所が、誹謗中傷による禁固刑をなくし、亜国内法を米州人権条約に適合させるよう求めていた経緯がある。


(4)通常議会の会期延長


 24日、通常議会の会期(3月1日〜11月30日)を12月10日まで延長する大統領令が発布された。

 

4.ベネズエラ人企業家アントニーニ事件


(1)ベネズエラ人企業家アントニーニ(注:米国籍も保有。2007年8月4日にフェルナンデス大統領の選挙資金に使用するため亜に現金約80万ドル持ち込んだと見られるが、空港の税関当局の検査により押収され、現金全額を押収されたまま、同7日亜を出国)事件を担当するペトローネ連邦判事は、2007年8月6日に大統領府で行われた亜及びベネズエラ政府主催の式典を撮影したビデオの中に、アントニーニが写っていることを発見し、19日、同映像が公表された。


(2)亜政府は、これまでアントニーニが大統領府を訪れたことを再三否定してきたが、23日、フェルナンデス首相は、「テレビ局が放映したビデオを通じて、アントニーニが大統領府にいたことを知った」等述べ、アントニーニが大統領府にいた事実を認めた。他方、フェルナンデス首相は、アントニーニが大統領府に入った記録はないとして、大統領府セキュリティー責任者に対して、アントニーニが如何なる理由で、かつ如何にして大統領府に入ったかを調査するよう命じた旨述べた。

 

5.農牧問題


(1)27日、ドミンゲス農牧・漁業相は、主要農牧4団体代表と会談し、小麦の国内価格、小麦輸出等について話し合ったが、具体的な進展は見られなかった。


(2)30日、農牧・漁業省は、8月20日に議会で承認された農牧緊急法を実行に移すための農牧漁業省令(12月1日官報掲載)を発布した。同省令により、計10州(コルドバ州、サルタ州、サンフアン州、ブエノスアイレス州、サンタフェ州、サンティアゴデエステロ州、ラパンパ州、カタマルカ州、サンタクルス州及びコリエンテス州)で同法の対象となる農牧業者に対して、減免、補助金付与、信用補完等の措置が適用される。

 

6.ブエノスアイレス市警察幹部等による諜報行為疑惑


(1)経緯


(イ)7月3日、マクリ市長は、ブエノスアイレス市警察の創設に当たり、パラシオス元連邦警察刑事局長(注:イスラエル共済組合(AMIA)会館爆破事件、ブルンベルグ誘拐・殺人事件等を担当していたが、2004年4月、当時のキルチネル大統領の不興を買い罷免される)をブエノスアイレス市警察長官に任命した。 

 
(ロ)8月25日、パラシオス・ブエノスアイレス市警察長官が、個人的理由により辞任したため、チャモロ同市警察副長官が市警察長官に昇格した。


(ハ)10月初め、パラシオス前市警察長官は、AMIA会館爆破事件の捜査過程に不正があったことを隠蔽した容疑で告発された。また、ジェームス弁護士(ブエノスアイレス市教育相法律アドバイザー。元連邦警察官)が、AMIA会館爆破事件の被害者家族及び亜企業家を盗聴していたことが確認され、10月末に逮捕・起訴された。


(2)11月16日、チャモロ新市警察長官のコンピューターから、ロドリゲス・ブエノスアイレス市首相、ブエノスアイレス市与野党議員、企業家、労組関係者等の財産状況など個人情報を含む資料が発見された。


(3)これを受けて、17日、マクリ市長は、チャモロ市警察長官を更迭し、ブルサコ連邦下院議員をその後任に任命した。また、同日、パラシオス前市警察長官が、AMIA会館爆破事件の被害者家族を盗聴した容疑で逮捕された。


(4)23日、マクリ・ブエノスアイレス市長は、経験は豊富ではあるが、パラシオス氏を同市警察長官に任命したのは間違いであった旨述べるとともに、プライオリティは市民の安全及び市警察の創設である旨強調した。

 

III.外交


1.日本


 10日、亜外務省において、亜外務省及びJICA共催による、日亜技術協力協定締結30周年記念式典「アルゼンチンにおける日本の技術協力の歩み」が開催された。同式典には、亜側からはキンタナ外務副大臣(調整・国際協力担当)、ダロット外務副大臣(外務大臣首席補佐官)等が、日本側からは高島JICA中南米担当理事等が出席した。同式典において、キンタナ外務副大臣より、日本に対する謝意が表明された。

 

2.ペルー


 2日、アラオス・ペルー生産相が訪亜し、フェルナンデス大統領と会談した。両者は、南米諸国連合(UNASUR)の現状につき意見交換を行い、アラオス生産相は、ガルシア・ペルー大統領が提案する不可侵条約及び平和軍の創設を含む「南米における平和、安全及び協力のための議定書」に関する書簡をフェルナンデス大統領に手交した。

 

3.フランス


2日、モラン仏国防相が訪亜し、タイアナ外相と会談した。両者は、国防分野における二国間協力、G20等の多国間フォーラム、安保理改革、地域統合(メルコスール、UNASUR、南米国防理事会等)、両国共通の価値観(民主主義の強化、人権尊重、地域間統合、社会開発、核不拡散、平和維持、国際テロ・麻薬密輸・マネーロンダリングとの闘い等)等につき協議した。また、モラン国防相は、ガレ国防相とも会談した。

 

4.タイ


 2日、パニッチ・タイ外務副大臣及びパンチェット・タイ商工会議所名誉事務局長を筆頭とするミッションが、亜・タイ三角協力に関する覚書の署名式に出席するため訪亜し、タイアナ外相とも会談した。同日、キンタナ外務副大臣(調整・国際協力担当)及びOsathanond在亜タイ大使は、第三国協力の実施を可能とする「亜・タイ共同協力のためのパートナーシップ・プログラムに関する覚書」に署名した。亜は、今後、タイと共同で東南アジア及びアフリカにおける第三国協力を実施予定。

 

5.ホンジュラス


(1)6日、タイアナ外相は、ジャマイカにおいて開催されたラテンアメリカ・カリブ諸国大臣級会合の場で、「ホンジュラス暫定政権は、統一政府を一方的に成立させようとしており、テグシガルパ・サンホセ合意を侵害している」と批判し、「セラヤ・ホンジュラス大統領の即時復職は、次期ホンジュラス総選挙の結果を承認するために不可欠な要件である」等述べた。


(2)29日、タイアナ外相は、外遊先ポルトガルにおいて、クリントン米国務長官との電話会談後、「クリントン国務長官は、選挙は一歩前進であり、先に進まなければならないとの米国の立場を表明したが、今次選挙は正当性がなく、国際的な承認を得ることはできない」旨述べた。


(3)30日、フェルナンデス大統領は、サパテロ西首相との会談後の記者会見において、「ホンジュラスにおけるクーデターを承認しない」旨改めて述べるとともに、ホンジュラスに関する中南米諸国の意見の相違に懸念を表明した。

 

6.スペイン


(1)8〜9日、デ・ラ・ベガ・スペイン第1副首相が訪亜し、9日、フェルナンデス大統領と会談した。両者は、ポルトガルで開催されるイベロアメリカ・サミット、債務問題等に関し協議するとともに、亜独立200周年祝賀行事の準備の進捗状況や、2010年前半に予定されている亜のメルコスール議長国就任及びスペインのEU議長国就任準備の進捗状況をレビューした。


(2)30日、訪問先のポルトガルにおいて、フェルナンデス大統領は、サパテロ西首相と会談した。両首脳は、2010年前半に亜がメルコスール側の議長国を、西がEU側の議長国を務めることから、メルコスール・EU間で地域パートナーシップ協定締結の合意に至れるように協議を進めていくことを確認した。

 

7.ブラジル


(1)9日、タイアナ外相は、ブラジルを訪問し、今月18日のフェルナンデス大統領とルーラ伯大統領の会談に向け、アモリン伯外相との準備会合を実施した。


(2)17〜18日、フェルナンデス大統領は、伯を訪問し、ルーラ伯大統領と二国間統合・連携メカニズムの枠組みにおける第4回定期首脳会談を実施した。両大統領は、両国の更なる統合・連携を目指し、共同宣言により、両国共通ポジションを再確認すると共に、進行中の両国共同プロジェクトを更に推進するよう各プロジェクトへの指示や今後の予定を示した。また、両大統領は、亜が伯製品に課している非自動輸入許可措置を巡る問題の解決を図るため、「2010年以降、両国は、60日以内に非自動輸入許可を発出する。生鮮食品及び季節産品については、貿易の流れを遮断せぬよう、非自動輸入許可に関し、十分に前もって周知する体制を構築する」等明記した共同コミュニケを発出した。

 

8.スイス


 10日、タイアナ外相及びデル・ポンテ在亜スイス大使は、二国間司法共助協定に署名し、同協定署名への満足の意を表明した。

 

9.エジプト


 11〜12日 El-Zimaityエジプト外務省米州担当副大臣が二国間関係を強化する目的で訪亜し、12日、タイアナ外相と会談した。両者は、二国間共通テーマ、各地域の現状等につき協議すると共に、世界的経済・金融危機に対処するためには南南協力が必要である旨合意した。

 

10.イスラエル


 15〜17日、ペレス・イスラエル大統領が企業ミッションを率いて訪亜し、フェルナンデス大統領と会談した。両大統領は、二国間協力関係強化のための各種プロジェクトのレビューを行うと共に、通信分野における協力協定等に署名した。フェルナンデス大統領は、同会談後の記者会見において、パレスチナとイスラエルの二国家共存を支持する亜政府の立場を表明した。

 

11.パレスチナ


 22〜24日、アッバース・パレスチナ暫定自治政府大統領が、中東情勢やパレスチナ・イスラエル交渉の現状に関する意見交換及び中東地域における亜による協力の可能性につき協議するため訪亜し、フェルナンデス大統領と会談した。23日、フェルナンデス大統領主催昼食会において、同大統領は、パレスチナ国家及びイスラエル国家の双方が各々の領域内で平和に共存する必要性を強調した一方、アッバース大統領は、イスラエルとの交渉再開及び国際法に沿った紛争解決を目指した亜による国際場裡での尽力に謝意を表明した。

 

12.スロバキア


 23日、チェスニェク・スロバキア経済相が訪亜し、タイアナ外相と会談すると共に、二国間経済協力協定に署名した。同協定は、貿易に関する計画・予測・戦略に関する情報交換、公共・民間セクターの専門家・技術者・投資家・企業家間交流、第3国における協同進出等を可能とするものであり、また、二国間経済合同委員会を設置する旨定めているものである。タイアナ外相は、同協定締結により、二国間貿易・投資関係が活性化するだろう旨述べた。

 

13.バチカン


 27〜29日、フェルナンデス大統領は、バチェレ・チリ大統領と共に、亜・チリ平和友好条約締結(ビーグル海峡を巡る亜・チリ間の領土紛争において、バチカンの仲介により締結)25周年を祝い、バチカンに謝意を表明するため、バチカンを訪問し、ローマ法王ベネディクト16世等と会談した。

 

14.アンデス開発公社(CAF)


 3〜4日にガルシア・アンデス開発公社(CAF)総裁が訪亜し、ブドゥー経済相及びデビード公共事業相と会談した。3日、ガルシア総裁及びブドゥー経済相は、亜がCAFの株式1.9億米ドルを新たに引き受ける協定に署名した。なお、2007年10月、亜は、CAFの正式加盟国となるため、CAFの株式5.43億米ドルを引き受ける協定に署名済みである。

 

15.メルコスール・EU間協定交渉


(1)4〜6日、キアラディア外務副大臣(通商・国際経済担当)は、メルコスール・EU間貿易協定交渉技術会合に出席するため、ポルトガルを訪問した。メルコスール及びEUは、均衡が取れ且つ野心的な自由貿易協定交渉を行うことを再確認した。


(2)19日、タイアナ外相は、在亜EU各国大使22名と、メルコスール・EU間地域パートナーシップ協定締結に向けた協議を再開する可能性につき協議した。

 

16.リオ・グループ会合及びラテンアメリカ・カリブ諸国大臣級会合


 5〜6日、タイアナ外相は、第28回リオ・グループ外相会合及びラテンアメリカ・カリブ諸国大臣級会合に出席するためジャマイカを訪問した。6日、タイアナ外相は、両会合において、マルビーナス(フォークランド)諸島における亜の主権につき確固とした支持を再表明する共同宣言が各々採択されたことに深い満足の意を表明した。そして、同外相は、「今次表明された亜への一貫した支持は、国連及びOASによる数々の決議・宣言を遵守しようとしない英国に対する国際社会の要請が、現在も有効であることを再確認するものである。今次表明された亜への支持により、英国は、論争の平和的解決を求められている全ての民主的国家同様、責任を持った行動を取ることとなろう」旨述べた。

 

17.米州報道協会(SIP)


 6〜9日、第65回米州報道協会(SIP)会合がブエノスアイレスにおいて開催された。同会合最終報告書には、「米州地域の各国政府によるメディア規制及びメディアに対する誹謗中傷は、報道に対する暴力行為であり、また、報道を制限するための規制及び恣意的な判決を増幅させるものである。従って、各国政府によるメディア規制及びメディアに対する誹謗中傷は、報道の自由の侵害、ひいては民主主義体制の弱体化に繋がる明白な兆候である」等記載された。

 

18.イベロアメリカ・サミット


(1)11月29日〜12月1日、フェルナンデス大統領は、ポルトガルで行われた「イノベーションと知識」をテーマとする第19回イベロアメリカ・サミットに出席した。同サミットでは、「リスボン宣言」、「リスボン行動計画」のほか、任期満了までセラヤ・ホンジュラス大統領の復権を求める「ホンジュラス情勢に関する首脳特別コミュニケ」、マルビーナス諸島領有権問題解決に向けて亜・英両国に早期交渉再開を求める「マルビーナス諸島問題に関する特別コミュニケ」など計13のコミュニケが採択された。


(2)12月1日に行われた閉会セッションにおいて、亜はイベロアメリカ・サミットの議長国を引き継ぎ、フェルナンデス大統領は、次期サミットは来年11月に亜マルデルプラタ市で開催する予定であり、「教育及び包摂(Educacion e Inclusion)」が中心テーマになるであろう旨述べた。


(3)また、フェルナンデス大統領は、サミット終了後の記者会見において、同日(12月1日)に発効したリスボン条約(EUの運営規則を定めた新基本条約)の英国領域リストに、マルビーナス諸島、南ジョージア諸島、南サンドイッチ諸島が含まれていることに言及し、同諸島における亜の領有権を改めて主張するとともに、英国に対して、同問題を解決するために交渉の席に着くよう求めた。

 

19.要人往来


(1)往訪

 

4〜6日 キアラディア外務副大臣(通商・国際経済担当)のポルトガル訪問(メルコスール・EU間貿易協定交渉技術会合に出席)
5〜6日 タイアナ外相のジャマイカ訪問(第28回リオ・グループ外相会合及びラテンアメリカ・カリブ諸国大臣級会合に出席)
6〜7日 ブドゥー経済相のイギリス訪問(G20財務相・中央銀行総裁会議に出席)
9日  タイアナ外相のブラジル訪問(アモリン伯外相と会談)
13〜18日 マクリ・ブエノスアイレス市長のスペイン訪問(フアン・カルロス西国王、アスナール西前首相、ラホイ西民衆党党首等と会談)
17〜18日 フェルナンデス大統領のブラジル訪問(ルーラ伯大統領との定期首脳会談)
23〜24日 コボス副大統領(兼上院議長)及びフェルネル下院議長のポルトガル訪問(第5回イベロアメリカ議会フォーラムに出席)
27〜29日  フェルナンデス大統領のバチカン訪問(バチェレ・チリ大統領と共に法王ベネディクト16世と会談)
29〜12月1日 フェルナンデス大統領のポルトガル訪問(第19回イベロアメリカ・サミットに出席)

 
(2)来訪

 

1日 フレイ・チリ大統領候補(選挙キャンペーン実施、コボス副大統領との会談)
2日 モラン仏国防相(タイアナ外相及びガレ国防相と会談)
2日 アラオス・ペルー生産相(フェルナンデス大統領と会談)
2日 パニッチ・タイ外務副大臣(タイアナ外相と会談)
3〜4日 ガルシア・アンデス開発公社(CAF)総裁(ブドゥー経済相及びデビード公共事業相と会談)
4日 コックス世銀中南米・カリブ海地域担当副総裁(フェルナンデス大統領、ブドゥー経済相及びデビード公共事業相と会談)
8〜9日 デ・ラ・ベガ・スペイン第1副首相(フェルナンデス大統領と会談)
11〜12日 El-Zimaityエジプト外務省米州担当副大臣(タイアナ外相と会談)
15〜17日 ペレス・イスラエル大統領(フェルナンデス大統領と会談)
15〜16日 ジビッシュ大司教(元法王ヨハネ・パウロ2世秘書)(フェルナンデス大統領と会談)
22〜24日 アッバース・パレスチナ暫定自治政府大統領(フェルナンデス大統領と会談)
23日 チェスニェク・スロバキア経済相(タイアナ外相と会談)

 

バックナンバー
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002

2009年10月

2009年9月

2009年8月

2009年7月

2009年6月

2009年5月

2009年4月

2009年3月

2009年2月

2009年1月

2007年12月

2007年11月

2007年10月

2007年9月

2007年8月

2007年7月

2007年6月

2007年5月

2007年4月

2007年3月

2007年2月

2007年1月

2006年12月

2006年11月

2006年10月

2006年9月

2006年8月

2006年7月

2006年6月

2006年5月

2006年4月

2006年3月

2006年2月

2006年1月

2005年12月
2005年11月
2005年10月
2005年9月
2005年8月
2005年7月
2005年6月
2005年5月
2005年4月
2005年3月
2005年2月
2005年1月
2004年12月
2004年11月
2004年10月
2004年9月
2004年8月
2004年7月
2004年6月
2004年5月
2004年4月
2004年3月
2004年2月
2004年1月
2003年12月
2003年11月
2003年10月
2003年9月
2003年8月
2003年7月
2003年6月
2003年5月
2003年4月
2003年3月
2003年2月
2003年1月
 
2002年12月
2002年11月
2002年10月
2002年9月
2002年8月

2002年7月

2002年6月
2002年5月
2002年4月
2002年3月
2002年2月
2002年1月