アルゼンチン政治情勢(月1回更新)

平成29年8月7日

アルゼンチン政治情勢(2017年7月)

2017年8月作成
在アルゼンチン日本大使館
 1 内政
(1)大統領府・政府
 ア 閣僚交代及び省庁再編
 11日,マクリ大統領は今次議会中間選挙立候補に伴う閣僚の交代及び省庁再編を発表した。上院議員選挙に立候補のため辞任するブルリッチ教育大臣及びマルティネス国防大臣に代わり,17日,後任にフィノキアロ・ブエノスアイレス州文化教育局長及びオスカル・アグア通信大臣がそれぞれ就任した。また,下院議員選挙に立候補のため辞任したカノ内閣府ベルグラーノ貨物計画長官(閣僚級ポスト)の後任には,ビニョロ・コリエンテス州長官が就任した。省庁再編については,通信省(Ministerio de Comunicacion)を副大臣組織に降格すると共に,同組織は行政最新化省の管轄となる。
 
 イ 投資・貿易促進庁総裁の辞任及び中銀理事の解任
 21日,プロカチーニ投資・貿易促進庁長官が辞任した他,31日付官報において政府は,ビスカイ中銀理事を解任し,後任にセワッチ元国立ナシオン銀行副総裁を任命した。
 
 ウ 脆弱層向け融資の創設
 18日付官報における緊急大統領令により亜政府は,国家社会保障機構(ANSES)の基金を通じて,失業者等を対象とする児童手当(AUH:Asignación Universal por Hijo)及び脆弱層向け恩給(Pensiones no contributivas)の受給者に対する融資制度を創設した。
 
(3)その他
 ア ブエノスアイレス州教員労組の賃上げ交渉妥結
 4日,6か月に渡る対立と交渉を経て,ブエノスアイレス州政府と同州教員労組は24%の賃上げで合意に至った。
 
 イ ペプシコ工場の移転・解雇問題
 13日,ブエノスアイレス州のペプシコ工場(6月20日に閉鎖)において,解雇された一部の従業員が,先月26日から同工場を占拠していたところ,警察及び国境警備隊が催涙ガス及びゴム弾等を使用して,強制退去を行った。労働総同盟(CGT)は,同強制退去が暴力的だったとして批判を行った。また,13日及び18日,ペプシコ従業員,左派団体及び労組等がブエノスアイレス市内中心部で抗議活動を行った。
 
2 外交
(1)G20:マクリ大統領のドイツ訪問(G20ハンブルク・サミット出席)
 ア G20ハンブルク・サミット
 6~9日,マクリ大統領は,G20ハンブルク・サミット出席のためにドイツを訪問した。7日,マクリ大統領は20ハンブルグ・サミットに出席し,スピーチにおいて次期会合に向けドイツからの円滑な引き継ぎを行う旨述べた。
 
 イ G20サミットのマージンでのバイ会談
(ア)フランス
 予定されていたマクロン仏大統領とのバイ会談については,デモ隊による市内交通への影響により,マクリ大統領側が会場に到着できず不成立となった。他方,マクリ大統領はサミットの合間にマクロン大統領に歩み寄り,メルコスール-EU自由貿易協定交渉の早期妥結の重要性につき言及した。これに対し,マクロン大統領も同交渉の障害を取り除くための努力を行っていく点で一致した。
(イ)イギリス
 予定されていたマクリ大統領とメイ英国首相とのバイ会談についても,メイ首相のスケジュールに変更が生じ,最終的に成立しなかった。他方,マクリ大統領に同行したドゥホブネ財務大臣は,ハモンド英国財務大臣とのバイ会談を行った。
(ウ)カナダ及びその他
 6日,マクリ大統領はトルド-加首相と会談を行った他,インドのモディ首相,シンガポールのリー首相,トルコのエルドアン大統領と首脳会談をそれぞれ行い,アルゼンチンへの投資を呼びかけた。
 
(2)メルコスール
 ア メルコスール-EU自由貿易協定交渉の実施
 3~7日,ベルギー(ブリュッセル)においては,メルコスール-EU自由貿易協定交渉が実施され,今次交渉における進展に満足の意を表明するとする共同声明が発出された。なお,次期交渉は9月にブリュッセルで事前会合,10月にブラジリアで本会合が実施される予定。
 
 イ 第50回メルコスール首脳会合の実施
 17~21日,当国メンドーサ州メンドーサ市において,第50回メルコスール首脳会合が実施された。21日の首脳会合では,メルコスール議長国が亜から伯へ引き継がれると共に,メルコスール首脳会合に関する共同声明が発出された他,ベネズエラ情勢に関する声明が発出された。また,メルコスール・コロンビア経済補完協定と共に,伯亜サービス貿易に関する二重課税防止協定への署名が行われた。また,同日,マクリ大統領は,メルコスール首脳会談のマージンにおいて,ウルグアイ,ボリビア及びパラグアイの大統領との首脳会談をそれぞれ行った。
 
 ウ エジプト・メルコスール自由貿易協定
 19日,本年5月に亜国会において承認されたエジプト・メルコスール自由貿易協定の批准書が寄託された。これにより,同協定は30日後に発効予定。(同協定は2010年に署名されていたが,亜の承認が最後となった。)
 
 エ メルコスール・カナダ通商協定の交渉開始に向けた実務者会合の実施
 24日,当地において,メルコスール・カナダ通商協定の交渉開始に向けた実務者会合が実施された。同会合において,双方は合意に含まれ得るチャプター(財・サービス貿易,非関税障壁(技術的障害,衛生食物検疫措置),投資等)について,それぞれの考え方を表明した。
 
(3)ブラジル:フォリー外務大臣のブラジル訪問
 14日,フォリー外務大臣は伯を訪問し,テメル伯大統領への表敬訪問を行うと共に,ヌネス伯外相と外相会談を行った。テメル伯大統領とは,メルコスール・EUの自由貿易協定交渉にかかる進展の見通し等について話し合った他,本年2月に両国の首脳間で合意した行動計画(往電第178号参照)の実施状況についてもレビューを行った。
 
(4)スペイン:フォリー外務大臣のスペイン訪問
 3日,フォリー外務大臣は,スペイン(マドリッド)を訪問し,ダスティス西外相と外相会談を行った。両外相は二国間のアジェンダにつき協議を行った。また,亜で開催されるWTO閣僚級会合(2017年)及びG20(2018年)といった国際会議において,両国で取り組んで行くことを改めて確認すると共に,メルコスール・EU自由貿易協定交渉について,本年末までに合意する必要性について一致した。
 
(4)ベネズエラ
 ア ベネズエラの国民投票に関する亜外務省プレスリリースの発出
 17日,亜外務省は16日にベネズエラで実施された野党による国民投票に祝意を表すると共に,投票中に起こった暴力行為への非難及び犠牲者に対する遺憾の意を表明する旨のプレスリリースを発出した。
 
 イ ベネズエラの制憲議会選挙に対する亜外務省プレスリリースの発出
 30日,亜政府は,ベネズエラ政府が同日実施した制憲議会選挙の結果を認めないとする亜外務省プレスリリースを発出した。
 
(5)アフリカ:ミケティ副大統領のモロッコ・エジプト訪問
 ア モロッコ訪問
 12~17日,ミケティ副大統領は付加価値のある亜農産加工品の輸出の多様化及び拡大を目的として,モロッコ及びエジプトを訪問した。12日,ミケティ副大統領は,エル・オトマニ・モロッコ首相と会談を行った他,ベンシャマシュ・モロッコ参議院議長とも会談を行った。13日,同副大統領はアハヌッシュ農業・海洋漁業大臣及びサジッド観光大臣とも会談を行った。
 
 イ エジプト訪問
 16日,エジプトでは,エルシーシ・エジプト大統領とエジプト・メルコスール自由貿易協定について話し合いを行った他,同日,シュクリ・エジプト外相とも会談を行った。17日,イスマイール・エジプト首相,モネイム農業・土地開拓大臣及びアブドゥルアール代議院議長と会談するとともに,亜エジプト経済合同フォーラムに出席した。
 
(6)北朝鮮:北朝鮮のミサイル発射に対する非難声明
 4日及び31日,亜外務省は,北朝鮮によるミサイル発射を非難する旨のプレスリリースを発出した。
 
(7)要人往来
 ア 往訪
●3日:     フォリー外務大臣のスペイン訪問
●4日:     ドゥホブネ財務大臣及びディエトリッチ運輸大臣の米国(マイアミ)訪問
●6~9日:   マクリ大統領のドイツ訪問(G20ハンブルク・サミット出席)
●14日:    フォリー外務大臣のブラジル訪問
●12~17日: ミケティ副大統領のモロッコ・エジプト訪問
 
 イ 来訪
●20~21日: テメル伯大統領,カルテス・パラグアイ大統領,バスケス・ウルグアイ大
         統領,バチェレ・チリ大統領,ニン・ノボア・ウルグアイ外相,ムニョス・
         チリ外相,ロイサガ・パラグアイ外相,ペレイラ伯産業貿易相,グリーニッ
         ジ・ガイアナ外相(メルコスール首脳会合) 
                                         (了)