アルゼンチン政治情勢(月1回更新)
平成30年12月14日
アルゼンチン政治情勢(2018年11月)
2018年12月作成
在アルゼンチン日本大使館
在アルゼンチン日本大使館
1 内政
(1)大統領府・政府:
6日,労働総同盟(CGT)は政府,企業との間で,一時金5千ペソ(2018年11月と2019年1月の2回払い)の支給及び解雇時の事前通知制度の導入について合意した。2019年3月までは,企業側は従業員を解雇する際に10日前までに生産・労働省への報告義務を伴うことになる。これを受け,年内に再びゼネストを行うことを計画していたCGTは,年内のゼネストを見送る旨発表した。なお,12日,政府は,本件にかかる緊急大統領令(DNU)を官報において発表した。
(2)連邦議会:2019年予算法案
15日早朝,14日より議会上院において審議されていた2019年予算法案は若干の修正はなされたものの,賛成票45,反対票24,棄権票1で可決・成立した(なお,本法案は10月25日にすでに議会下院で可決されている。)
(3)司法・検察:「賄賂ノート」汚職事案:ロカ・テチントグループ社長の訴追
27日,ボナディオ連邦裁判所判事は,テチント・グループ(亜の鉄鋼大手)社長のパオロ・ロカ氏を,賄賂ノート(los cuadernos de las coimas)汚職事案に関し,同氏が不正・贈賄行為に関与したとの疑惑で訴追するとともに,40億ペソの差押えを命じた。
(4)その他:行方不明となっていた海軍潜水艦サンファンの発見
11月17日,アグア国防大臣は,昨年11月15日より行方不明になっていた海軍潜水艦サンファンがサン・ホルヘ湾のコモドロ・リバダビア海岸沖約500キロの海底水深907メートルで発見された旨発表した。サンファンは,米オーシャン・インフィニティー社のシーベッド・コンストラクター号の無人潜水機により,行方不明になってから1年と2日後の17日に発見されるに至ったもの。これを受け,マクリ大統領は,3日間の国喪に服す旨発表した。(なお,本件に関し,福嶌大使はツイッターを通じて,サンファンの乗組員のご家族及び友人に熱い抱擁(Fuerte abrazo)を送る旨のメッセージを発出した。)
2 外交
(1)G20:
11月29日~12月1日,当地でG20ブエノスアイレス・サミットが開催された。マクリ大統領はG20議長国として,全ての公式日程に参加するとともに,同サミットのマージンでアルゼンチンを訪問した17か国(日,米,露,中,独,英,仏,EU,印,西,加,伊,蘭,豪,韓国,トルコ,シンガポール)の首脳とそれぞれバイ会談等を行った。主なバイ日程概要は以下のとおり。
ア 日本:安倍総理のG20ブエノスアイレス・サミット出席
11月29日~12月2日,G20ブエノスアイレス・サミット出席のためアルゼンチンを訪問した安倍総理は,G20サミットの公式日程に参加した他,12月1日16時より,キルチネル文化センター(CCK)において,マクリ大統領と懇談を行った。また,両首脳の立会いの下,フォリー外務大臣と福嶌大使との間で,「投資の促進及び保護に関する日本国とアルゼンチン共和国との間の協定(日・アルゼンチン投資協定)に署名が行われた。署名式に続いて,両首脳は,日アルゼンチン外交関係樹立120周年閉幕式に出席した。なお,麻生財務大臣及び世耕経産大臣も今次機会に訪亜した。
イ 米国:トランプ米大統領のG20ブエノスアイレス・サミット出席
11月30日,アルゼンチンを訪問中のトランプ米大統領は,大統領府において,マクリ大統領と朝食会を行った後,記者発表を行った。また,同日,ドゥホブネ財務大臣とムニューシン米財務長官との間で,インフラ及びエネルギー協力分野の投資促進のための協定に署名が行われた。
11月28日,フォリー外務大臣とウォッシュバーン(Ray Washburne)米海外民間投資公社(OPIC)との間で,亜の様々な投資プロジェクトへの融資を目的とするインテンションレターに署名が行われた。署名が行われたプロジェクトの融資合計額は8.13億米ドル((1)官民連携プロジェクト(PPP)による道路建設(ブエノスアイレス~メンドーサ間):2.5億,(2)ウジュムI,II,III太陽光発電所及びチュブット北部III・IV風力発電所:1.18億,(3)バカ・ムエルタ・ガス・パイプライン:3.5億,(4)カニャドン・レオン(サンタ・クルス州)風力発電所:0.5億,(5)ロジスティック・パーク拡大プロジェクト(ブエノスアイレス州):4.5億)にのぼる。将来的には,インフラ,再生可能エネルギー及びロジスティック分野において,30億米ドル以上の投資も見込まれている。
ウ ロシア:プーチン露大統領のG20ブエノスアイレス・サミット出席
12月1日,アルゼンチンを訪問中のプーチン露大統領は,大統領府においてマクリ大統領と首脳会談を行った。この3年で3回目の顔合わせとなる両首脳は,同首脳会談において,原子力エネルギーの平和的利用に関する協力にかかる戦略的文書,両国の外務省間の政策協議メカニズム,漁業・農業分野における協力協定,亜のテレビ・ラジオ及びTV Novosti(ロシア国営通信社)間のRusia Today(TV Novostiが所有するロシアの国営TV局)のスペイン語放送の再開に関する協定が署名された。なお,会談後に両首脳は,記者発表を行った後,夕食会に臨んだ。
エ 中国:習近平国家主席のG20ブエノスアイレス・サミット出席及び亜公式訪問
12月2日,G20ブエノスアイレス・サミット出席の機会にアルゼンチンを公式訪問した習近平中国国家主席は,大統領公邸においてマクリ大統領と首脳会談を行った。まずはテタテで会談が行われた後,両国関係省庁の大臣出席の下,ワーキング会合を行い,両首脳は共同声明を発表し,その後昼食会に出席した。
同会談において,2019~23年共同アクションプラン,二重課税撤廃条約,亜産チェリー輸出にかかる衛生規約及び10億米ドルのワーキング・キャピタル・フォンドの創設,電子貿易・電子サービスの他,道路・エネルギー分野における官民連携プロジェクト(PPP)に係る投資協定,亜産羊肉の市場開放,フフイ州のエネルギーインフラ及びサン・マルティン貨物鉄道の改修等に関する協定など合計で30余りの協定に署名が行われた。また,サンドレリス中銀総裁と易綱(Yi Gang)中国人民銀行行長(総裁)の間で,90億米ドルの「通貨スワップ協定の拡大」についても,署名が行われた。
(2)米国:
ア 米通商代表部による亜産バイオディーゼルのアンチダンピング措置の状況改善への検討の開始
7日,米通商代表部は,亜産バイオディーゼルのアンチダンピング措置の状況の改善及び亜産バイオディーゼルの対米輸入に適用する補償についての検討を開始する決定につき発表した。
イ ポンペオ米国務長官とフォリー外務大臣との電話会談
15日,フォリー外務大臣はポンペオ米国務長官との電話会談を行い,11月末のG20ブエノスアイレス・サミットにおけるトランプ米大統領の訪問に関する話し合いを行った。ポンペオ国務長官は,亜との関係性を重要視していると述べつつ,共通の優先課題について共に取り組んで行く旨述べた。また,同長官は,G20議長国としての亜のリーダーシップに賞賛するとともに,同サミットの成功への期待を共有する旨述べた。
(3)フランス:ドゥホブネ財務大臣及びフォリー外務大臣のフランス訪問
21日,ドゥホブネ財務大臣及びフォリー外務大臣はフランス(パリ)を訪問し,グリアOECD事務総長と会談を行い,亜のOECD加盟についての意思を改めて表明した上で,亜のアクションプランの継続性について,OECD事務局に対し提出した。
(4)パラグアイ:カスティグリオーニ・パラグアイ外相のアルゼンチン訪問
12日,フォリー外務大臣はアルゼンチンを初めて公式訪問したカスティグリオーニ・パラグアイ外相と外相会談を行った後,ワーキングランチを行い,様々な二国間アジェンダ,特に,連携性,経済・貿易,インフラ,亜産品のパラグアイ市場へのアクセス等について意見交換を行った。
(5)グアテマラ:ミケティ副大統領のグアテマラ訪問(イベロアメリカ・サミットへの出席)
15~16日,ミケティ副大統領は,グアテマラ(ラ・アンティグア)で開催された「繁栄・包摂・持続可能」をスローガンとする第26回イベロアメリカ・サミットに出席した。16日,同会合に出席した22か国の首脳等らにより,持続可能な開発を目指す「グアテマラ宣言」が全会一致で採択された。
(6)ウクライナ:政策協議の実施
1日,ライモンディ筆頭外務副大臣は,Sergiy Kyslytsyaウクライナ外務副大臣との間で,亜ウクライナ間の政策協議を実施した。両者の間で,二国間関係の現状について確認を行った他,領事関連,交渉中の協定及び最近署名された3つの司法分野の協力協定の他,域内の主要課題や人権及びジェンダーを含む相互に関心のある多国間問題等についても意見交換を行った。二国間の経済関連については,2019年中に二国間の経済・貿易協力委員会会合を当地で実施することで一致した。
(7)要人往来
ア 往訪
●15~16日: ミケティ副大統領のグアテマラ訪問(イベロアメリカ・
サミットへの出席)
●20日: フォリー外務大臣及びドゥホブネ財務大臣のフランス訪
問(グリアOECD事務総長との会談)
イ 来訪
●12日: カスティグリオーニ・パラグアイ外相
●11月30~12月1日: 安倍総理及び同総理夫人,麻生財務大臣,世耕経産大臣,
トランプ米大統領,プーチン露大統領,習近平国家主席,
メルケル独首相,メイ英首相,マクロン仏首相,トゥス
ク欧州理事会議長,ユンカー欧州委員会委員長,モディ
印首相,サンチェス西首相,トルドー加首相,コンテ伊
首相,モリソン豪首相,文韓国大統領,エルドアン・ト
ルコ大統領,リー・シェンロン・シンガポール首相,マ
キシマ蘭王妃,モレノIDB総裁,ラガルドIMF専務
理事(G20ブエノスアイレス・サミット出席。注:各
国首脳のイン・アウト日程はそれぞれ異なる。)
(了)
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