アルゼンチン政治情勢(月1回更新)
アルゼンチン政治情勢(2021年3月)
2021年4月作成
在アルゼンチン日本大使館
1 内政
(1)政府:
ア 新型コロナウイルス関連
(ア)必要緊急大統領令(DNU)の延長
11日、必要緊急大統領令(DNU)が公布され、客年3月12日から1年間適用されていた衛生緊急事態が12月31日まで延長された。本大統領令では、全世界が「感染地域」に指定され、変異種の市中感染が発生している地域を「リスクが高い感染地域」と定められた。
(イ)強制距離措置等の延長
13日付官報に掲載された必要緊急大統領令(DNU)により、強制距離措置及び強制隔離措置が4月9日まで延長された。引き続き、全国が強制距離措置の対象となっており、強制隔離措置の適用対象地域は無し。また、同DNUにより、非居住外国人に対する入国禁止措置も4月9日まで延長された。移民局が同禁止措置の例外を設定できるとの規定は維持されている。
(ウ)英国便の停止の延長、減便措置の強化
13日付官報に掲載された行政決定により、英国発着の航空便の運航停止が4月9日まで延長された。同決定により、国際航空便の減便措置が維持、強化又は新たに導入された。
(エ)入国規制措置の厳格化
26日、政府は、隣国における新型コロナウイルス感染拡大を受け行政決定を発表し、英国に加え、伯、チリ、墨からの直行便の運航停止を公布した。同行政決定により、亜への入国者は、入国日及び同日から数えて7日目に自己負担で検査を受けることが義務付けられた。後者の検査での陰性判定が隔離義務の終了の条件となる。
29日、政府は、移民局規定を公布し、1月8日付移民局規定にて認められていた客年4月1日から12月25日の間に陸路で出国した者の陸路による入国が禁止された。同対象者は、同日以降、エセイサ空港(ブエノスアイレス州)等においてのみ入国が可能となった。
(オ)感染者数の急増
29日、1日の新規感染者数が急増し、14,014人(うちブエノスアイレス州が6456例、ブエノスアイレス市が2109例)に上り、昨年10月27日以降で最多となった。
(カ)夜間外出制限に係る措置
30日、ブエノスアイレス州政府は、感染者数の急増を受け、31日から州内110市において、夜間2時から6時の間の商業、娯楽、文化、スポーツ等の活動及び10人以上の集会を禁止する旨発表した。なお、ブエノスアイレス市は新たな措置は発表していない。
イ 新型コロナウイルス変異種
2日、科学・技術・イノベーション省が所掌する新型コロナウイルスのゲノム解析プロジェクト(PAISプロジェクト)の報告書(1月27日~2月21日に実施)は、1例の英国型変異種、2例のマナウス型変異種及び15例のリオデジャネイロ型変異種(同変異種で特徴的なS_E484K変異)が確認されたことを発表した。
また、29日、同プロジェクトの報告書(2月1日~3月15日に実施)は、マナウス型変異種、英国型変異種、リオデジャネイロ型変異種及びカリフォルニア型変異種の市中感染が確認されたと発表した。PAISプロジェクトの報告書によると、英国型が22例、マナウス型が9例、リオデジャネイロ型が35例、カリフォルニア型が2例確認された。
ウ ワクチン関連
(ア)ロシア製ワクチン「スプートニクV」
3月に納入されたロシア製ワクチン「スプートニクV」の本数及び内訳は以下のとおり。
1日:73万2500回分(70万2400回分が1回目接種分、30万100回分が2回目用接種分)。
19日:33万回分(全て1回目接種用)。70歳以上の高齢者への接種に使用される。
22日:50万回分(30万回分が1回目接種分、20回分が2回目接種分)。
26日:37万回分(全て1回目接種分)。
30日:30万回分(25万回分は1回目接種分、5万回分は2回目接種分)。今次納入により、亜はこれまで576万8540回分のワクチンを入手した。30日午前時点で3,774,556人に接種が行われた(うち670,936人は2回接種済み)。
(イ)中国シノファームワクチン
3日、ネウケン州において、中シノファーム製ワクチンの接種が開始された。また4日から、ブエノスアイレス州においても、同ワクチンの接種が開始された。
25日、国家医薬品・食品・医療技術監督庁(ANMAT)は、同ワクチンの60歳以上への接種を承認した。ANMATは、同ワクチンの第3臨床試験において60歳以上への接種による副作用は確認されず59歳以下と同様に抗体の生成が確認された旨説明した。
(ウ)COVAXワクチン
28日、亜がCOVAXの枠組みを通じて入手予定のワクチン900万回分のうち、最初の納入分21万8400回分が亜に到着した(英アストラゼネカ製ワクチン)。
(エ)独ベイヤーズ製ワクチン「キュアバック」
独ベイヤーズ製ワクチン「キュアバック」の第三段階治験がブエノスアイレス州内の公立病院及び私立病院において実施されることが決定され、8日から治験参加者の登録が始まった。
(オ)キューバ製ワクチン「ソベラナ2」
29日、ビソッティ保健相は、キンテロ駐亜キューバ大使と会談を行い、キューバ製ワクチン「ソベラナ2」の現地生産に係る交渉を行った。
(カ)ワクチンの1回目接種の優先方針
26日、保健省は、1回目の接種を優先的に進め、2回目の接種は間隔を12週間以上あけて行う方針を発表した。
エ フェルナンデス大統領による国会演説
1日、本年の通常国会が開会し、フェルナンデス大統領が施政方針演説を行った。同大統領は、IMF融資を巡るマクリ前政権に対する刑事訴訟手続きの開始、司法への強烈な批判等の発言を行い波紋を呼んだ。
オ 両院合同司法委員会の設立
3日、当地各紙は、フェルナンデス大統領が裁判官と検事を調査するための両院合同司法委員会の設立を推進しており、司法及び野党から強い反発が起きている旨報じた。
カ 司法・人権相の後任の選出
9日、ロサルド元司法・人権相が辞表を提出し、15日、後任にソリア下院議員が就任する旨発表された。
(2)司法:
12日、汚職防止局(OA)は、2018年にIMFとの合意に係る手続きに関し、マクリ前大統領及び関係者に対し、「詐欺、不誠実な行政及び公的資金の横領」を行ったとし、刑事告発した。
(3)その他:
10日、運輸省は、パラグアイ-パラナ河川水路の次期コンセッションに関し、浚渫開発計画の入札案を検討する委員会の設立についてプレスリリースを発出した。
2 外交
(1)中国:
3日付当地主要紙「エル・クロニスタ」は、中国の亜における戦略的分野における4つの投資案件につき報じた。同4つの案件は、ティエラ・デル・フエゴ州の物流センター、ネウケン州の宇宙観測施設、サン・フアン州の中亜電波望遠鏡(CART)計画、パラグアイーパラナ河川水路で構成される。
(2)米国:
23日、グスマン経済相は、ワシントンにおいてゲオルギエバIMF専務理事と会談を行い、IMFとの450億ドルの債務に関し、4年半の返済猶予期間と最長10年間の返済期間を持つ新しい拡大信用供与措置(EFF)を通じた再交渉を求めた。
(3)英国:
16日、外務省は、ジョンソン英国首相による、フォークランド(マルビーナス)諸島における英国軍駐留を維持し、同主権を力で守る旨の発言に対する抗議声明を発出した。
(4)ボリビア:
11日、ソラー外相はボリビアを訪問し、ルイス・アルセ同国大統領、チョケワンカ同国副大統領及びマイタ同国外相と会談を行った。
(5)パラグアイ:
18日、ソラー外相は、亜を訪問したアセベド・パラグアイ外相と会談を行った。
(6)メルコスール:
ア 12日、ソラー外相は、米シンクタンク「大西洋評議会(Atlantic Council)」が主催するメルコスールに関するオンライン講演会に出席した。
イ 26日、当初亜にて開催予定であったメルコスール首脳会合が、域内各国の感染状況を踏まえ、オンライン形式に変更し開催された。同会合において、対外共通関税の改定及び域外経済ブロックとの自由貿易協定の前進の観点において、域内各国大統領の差異が明瞭となった。ボルソナーロ伯大統領は会合から中途退出し、ラカジェ・ポウ・ウルグアイ大統領は「メルコスールが重荷になるべきではない」と述べた。これに対し、フェルナンデス大統領は、「荷物は船から降ろせるものであるし、荷物が重ければ最も簡単なのは船から降りてしまうことだ。我々が重荷であればどうぞ他の船に乗っていただきたい」と応酬した。同会合において、伝統的な最後の首脳宣言は行われなかった。
(7)リマグループ:
24日、政府はリマグループから脱退する旨発表した。
(8)要人往来:
ア 往訪
ボリビア:ソラー外相他。
米国:グスマン経済相。
イ 来訪
アセベド・パラグアイ外相。
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