政治情報
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2010年5月アルゼンチンの政治情勢(内政・外交)

2010年6月作成
在アルゼンチン大使館

 


T 概要


(1)内政面では,上院本会議において,外貨準備を用いた債務返済を認める法案が可決され,また,下院本会議において,同性間の婚姻を認める法案が可決された。また,フェルナンデス大統領は州債務削減連邦プログラムを発表し,それに伴い金融取引税改正法案の審議が停滞することとなった。更に,マルティネス・デ・オス元経済相が予防拘禁されたほか,マクリ・ブエノスアイレス市長が組織的盗聴事件に関与した容疑で起訴された。


(2)外交面では,南米諸国連合(UNASUR)首脳会合が開催され,キルチネル前大統領(下院議員)がUNASUR事務局長に任命された。フェルナンデス大統領は,第6回EU・中南米カリブ諸国首脳会合に出席するためスペインを訪問したほか,国連「文明間の同盟」第3回フォーラムに出席するためブラジルを訪問した。また,南米7ヶ国の首脳等が,亜建国200周年記念式典に出席するため来亜した。

 

TT 内政


1 外貨準備を用いた債務返済を巡る動き


(1)5日,上院本会議が開催され,外貨準備を用いた「債務削減基金」の創設を定める緊急大統領令とほぼ同内容の法案(ベルナ上院議員(ペロン党独立系)提出)が,賛成票41,反対票29,棄権1により可決され,12日,下院に送付された。


(2)野党側は,4月13日に下院において可決済みの,外貨準備を用いた「債務削減基金」の創設を定める緊急大統領令の無効決議案の上院における可決を目指していた。しかし,ランダッソ内相及びデビード公共事業相が,ホルヘ・ラパンパ州知事に対し,中央政府がラパンパ州政府に対し負っている債務約6億ペソの優先的返済計画を提示したことから,同計画と引き換えに,ラパンパ州選出のベルナ及びイゴネット両上院議員(両議員ともペロン党独立系)は,同無効決議案への反対及び上記法案の推進を約束した由。これにより,同無効決議案が上院で可決される見込みは低くなり,野党側は,中央政府とラパンパ州政府との上記取引を非難した。


(3)なお,上記法案には与党のイニシアティブにより,法案の可決と同時に外貨準備を用いた「債務削減基金」の創設を定める緊急大統領令の効力が停止される旨規定した条項が含まれていた。

 

2 金融取引税改正法案


(1)5日,野党の主張により,上院にて可決済みの金融取引税改正法案が,下院の憲法委員会及び予算委員会に送付された。与党は,本法案につき,絶対過半数によらない上院での「可決」は違憲であるとの立場を改めて表明し,同法案の上記下院委員会への送付を強く批判した。


(2)10日,フェルナンデス大統領が,州債務削減連邦プログラム(下記4参照)を発表したことにより,下院における金融取引税改正法案の審議が停滞する結果となった。野党下院議員は,「州債務削減連邦プログラムの実際の効果が判明するまで,我々は,本法案の審議を待つべきだ。本法案は,最も効果的な時期に用いるための切り札として保持しておこう」等述べた。

 

3 同性間の婚姻を認める法案


(1)4日,下院本会議(特別セッション)において,同性間の婚姻を認める法案が,賛成票125,反対票109,棄権6により可決され,同日,上院に送付された。なお,本法案の賛否を巡っては,各党の内部でも意見が分かれており,野党指導者等は,本法案への賛否は各議員の良心に委ねるとしていた。


(2)31日,上院の立法委員会において本法案が審議されたが,同審議の数時間前,プロテスタント教会の信徒等約8,000人が国会議事堂前に集合し,本法案への反意を表明すると共に,上院での審議に先立ち,本法案の是非を問うための国民投票を行うよう要求した。

 

4 州債務削減連邦プログラム


(1)10日,フェルナンデス大統領は,中央政府に対する州政府の債務655億ペソの繰延等を内容とする州債務削減連邦プログラムを発表した。同プログラムの概要は以下の通り。


(ア)国庫拠出(ATN)基金を用いた債務の削減(98億ペソ)。
(イ)2011年末まで元利返済を猶予し,返済期日を2030年まで繰り延べる。
(ウ)CER指数(インフレ調整指数)による調整を廃止し,年間6%の固定金利とする。


(2)フェルナンデス大統領は,「(本年から)2015年までの間に,ネットで(元利払いの)約40%が削減される」と述べた。また,各州知事は,本プログラムに対し,概して満足の意を表明した。

 

5 放送法改正法案


(1)19日,最高裁は,3月25日に連邦裁判所(メンドサ州)が下した放送法改正法の効力停止判決に対する政府の上告につき,判決を下す前に,リギ検事総長に調査を依頼し意見を求めることを決定した。


(2)なお,上記連邦裁判所のほか,ブエノスアイレス市,サルタ州等の連邦裁判所も同様に,本法案の全部または一部を効力停止とする判決を下している。

 

6 緊急大統領令の有効性に関する最高裁の見解


(1)19日,最高裁は,ドゥアルデ暫定大統領(当時)により2002年に発出された緊急大統領令第558号/02(注:経済危機への対策として,保険機関について規定した法律第20091号に修正を加えたもの。)を違憲とする判決を下したが,その際,判決文において,緊急大統領令が有効と認められるための条件に関する見解を示した。


(2)同見解によれば,緊急大統領令は,戦争や自然災害といった非常事態の発生により議会の召集が困難となった状況,または,即時の解決を要する緊急の問題が発生し,通常の法案可決手続を経ている時間的余裕がない状況において発出された場合にのみ,有効と認められる。また,同見解によれば,緊急大統領令発出の際には,それが上記例外的状況に相当するか否か,最高裁による判断を仰がなければならない。


(3)20日,フェルナンデス首相は,上記最高裁の見解のうち,緊急大統領令の有効性を「例外的状況」においてのみ認めるとする点には同意するが,その「例外性」を決定するのは大統領であると述べた。

 

7 マルティネス・デ・オス元経済相の予防拘禁


(1)4日、ビデラ軍事政権時代の経済相であったマルティネス・デ・オス元経済相は,オジャルビデ連邦判事の命令により予防拘禁された。同元経済相の容疑は,1976年,香港に綿花を輸出していたサデコ社のグヘイム社長及びその息子の身柄を不法に拘束したというもの。なお,同元経済相は,健康状態を検査するため,病院内での拘禁となった。


(2)オジャルビデ連邦判事による今般の予防拘禁命令は,4月27日に最高裁が下した,ビデラ元大統領,マルティネス・デ・オス元経済相及びアルギンデグイ元内相に対する恩赦を違憲とする判決に依拠するものであった。


(3)弁護側は,マルティネス・デ・オス元経済相は1988年に一度予防拘禁され,連邦裁判所にて裁判を受けているため,今般の予防拘禁は一事不再理の原則に反する等主張し,釈放を要求した。


(4)7日,弁護側の釈放要求をオジャルビデ連邦判事が受理しなかったことを受け,ブエノスアイレス市弁護士組合は,今般の予防拘禁は一事不再理の原則に反するという弁護側の主張を支持し,「このような(不法な)拘禁を続ければ司法の安全に悪影響を及ぼす」との見解を表明した。


(5)20日,検査の結果,同元経済相の健康状態に大きな問題はないと判断され,オジャルビデ連邦判事の命令により,刑務所に移送された。

 

8 マクリ・ブエノスアイレス市長の訴訟問題


(1)14日,オジャルビデ連邦判事は,マクリ・ブエノスアイレス市長及びナロドフスキ元同市教育相を,マクリ市長の義弟であるネストル・レオナルド氏及びAMIA事件被害者の家族であるセルヒオ・ブルステイン氏に対する組織的な盗聴事件に関与していたとして起訴した。


(2)20日,マクリ市長は,上記起訴を不服として連邦裁判所に上訴するとともに,オジャルビデ連邦判事の恣意性を非難し,同判事が本件訴訟の担当から外れるよう忌避要求した。更に,同市長は,キルチネル前大統領が,同市長の名誉を傷つけるために本件訴訟を後押ししているとして,同前大統領を批判し,「本訴訟の調査は歪んでおり,恣意的である」と述べた。

 

9 建国200周年祝賀祭を巡る動き


(1)3日,フェルナンデス大統領は,建国200周年祝賀祭のため,本年5月24日を祝日にするための緊急大統領令第615号/10を発出した(もとより祝日であった革命記念日の5月25日と併せて,4連休とした)。


(2)24日,マクリ・ブエノスアイレス市長は,修復工事のため3年半に亘り閉鎖状態にあったコロン劇場の再オープン・コンサートに,政治家等計2400名を招待した。しかし,フェルナンデス大統領は,先般マクリ市長が自身の訴訟問題を巡りキルチネル前大統領を批判したことを不服としてコンサートを欠席した。25日,フェルナンデス大統領は,国内外の政治家等200名を大統領府に招き,建国200周年祝賀晩餐会を開催した。しかし,コボス副大統領や反キルチネル派の元大統領等は同晩餐会に招待されなかった。


(3)25日,建国200周年を記念して,国内各司教区においてミサが執り行われた。主要なミサは,フェルナンデス大統領の決定により公式行事として開催されたブエノスアイレス州ルハン市におけるミサ,及び亜カトリック司教会議議長ベルゴグリオ枢機卿主催のブエノスアイレス市におけるミサの2つがあった。フェルナンデス大統領,キルチネル前大統領,閣僚等はルハン市でのミサに出席した一方,マクリ・ブエノスアイレス市長等はブエノスアイレス市でのミサに出席した。野党政治家はブエノスアイレス市でのミサに出席すると見られていたが,多くはそれぞれの出身司教区で行われたミサに出席した。ベルゴグリオ枢機卿は,ブエノスアイレス市でのミサにおいて,政治的常時対立状態の克服と団結を呼びかけた。なお,亜カトリック教会関係者等は,キルチネル前大統領以前の大統領はブエノスアイレス市で実施されるミサに出席することが伝統となっていたとして,フェルナンデス大統領によるルハン市でのミサ出席決定を批判していた。


(4)同日,フェルナンデス大統領は,建国200周年を記念する演説を行った。同演説において,大統領は,現在の亜は民主主義と愛国心に満ちており,100年前の亜よりも遙かに良い国になっていると述べ,また,キルチネル前大統領の大統領就任以後7年間(注:同前大統領の大統領就任日は2003年5月25日)で亜が良い方向に進展してきたと主張した。

 

10 社会闘争


(1)12日,ブエノスアイレス市内で,各種団体による抗議デモや道路封鎖が続発し,大規模な交通網の遮断を招いた。食品会社クラフト社の社員,ガソリンスタンド職員,及びファクンド・モジャーノ(モジャーノ労働総同盟書記長の息子)率いる高速道路料金所職員の労働組合等が,各社への賃上げを要求し,また,反キルチネル派ピケテロ・グループ(Movimiento Barrios de Pie等)が政府による雇用創出プログラムの不平等な実施を批判して,市内各地で抗議デモ及び道路封鎖を行った。


(2)18日,クラフト社,アルコル社,モリナス社及びネスレ社等が参加する食品産業の労使交渉において,35.2%の賃上げ合意がなされた。同労使交渉の結果は,労使交渉におけるベースの引き上げを招いたと指摘されており,19日,建設産業は27%の賃上げに合意した。

 

III 外交


1 南米諸国連合(UNASUR)


(1)3〜4日,亜ブエノスアイレス州のホテルにおいて,南米諸国連合(UNASUR)臨時首脳会合・外相会合が開催された。4日,同首脳会合において,キルチネル前大統領(下院議員)が,満場一致によりUNASUR事務局長に任命され,宣誓した。

 

(2)また,今次会合では,ホンジュラス問題,EU・中南米首脳会合,対ハイチ支援,対チリ支援,パラグアイへの連帯表明,フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題,アリゾナ州移民法,地域統合等につき協議された。


(3)なお,今次首脳会合には,UNASUR加盟国12箇国のうち,亜,ボリビア,ブラジル,チリ,エクアドル,パラグアイ,ウルグアイ及びベネズエラの大統領が出席した。また,コロンビア,ペルー,スリナム及びガイアナからは外相が大統領代理として出席した。

 

2 英国


(1)4日,亜において開催された南米諸国連合(UNASUR)臨時首脳会合において,フォークランド(マルビナス)諸島領有権紛争に関する亜の合法的権利への支持及び同紛争の平和的解決のための亜・英国間の交渉再開への関心を表明するとともに,亜大陸棚における英国による非合法な石油採掘活動を国連決議違反であるとして拒絶する宣言が採択された。


(2)6日,英企業Rockhopper Exploration社が,フォークランド(マルビナス)諸島沖合における油田発見の可能性につき発表したのに対し,同日,亜外務省は,「亜は,亜国民の財産である天然資源を不法に取得しようとする試みを強く拒絶する。また,かかる不法行為に許可を与えた英国政府,及び同社に対し,亜政府は,あらゆる国際会議において英国の不法行為の非難を行い,また,それを中断させるために,国際法に従いつつ,あらゆる手段を講じる旨を明らかにする。」旨の抗議声明を発表した。


(3)14日,フェルナンデス大統領は,キャメロン英首相に対し,首相任命を祝うともに,フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題に関する交渉再開への亜政府の意志を表明し,同諸島領域における英国による一方的な石油採掘活動の停止につき検討を求める書簡を送付した。


(4)24日,ダロット外務大臣特別補佐官は,在亜英国大使を外務省に召喚し,亜本土とフォークランド(マルビナス)諸島間の運航を亜政府の事前許可制とする亜の政令及び同施行令に関する英国政府の抗議につき,「亜政府は,本件政令及び同施行令が,国際法に反するという英国の主張を拒絶する。本件政令及び同施行令は,亜領域内に位置する港湾間の運航につき規定するものであり,海洋法に則ったものである。これまで,亜政府は,本件紛争を平和裡に解決すべきであるという立場を維持してきており,英国に対し,改めて本件紛争解決に向けた交渉を再開するよう呼びかける。亜政府は,英国が,マルビナス諸島大陸棚において,一方的且つ非合法に石油採掘活動を行っていることを非難する。同活動は,国際法及び国連決議に反するものである。亜政府は,マルビナス諸島における亜の合法的主権を再確認する。」旨の口上書を手交した。

 

3 ウルグアイ


(1)7日,亜政府は,ウルグアイ川管理委員会(CARU)に対し,ウルグアイ川沿いの製紙工場UPM社(旧ボトニア社)及び同社の活動がウルグアイ川の生態系にもたらす影響を継続的に監視するためのプロジェクトを提出した。


(2)16日,ウルグアイ川沿いの製紙工場撤去を求めて,2006年11月以降亜・ウルグアイ間の国際橋梁を封鎖している,亜エントレリオス州グアレグアイチュ市の市民団体は,大規模な集会を開催し,今後も橋梁封鎖等による抗議活動を継続していく旨決定した。


(3)20日,国際橋梁封鎖に反対の立場をとるグアレグアイチュ市住民は,亜連邦裁判所に対し,社会的・経済的損害をもらしているとして国際橋梁封鎖行為を提訴した。

 

4 米国


 4月9〜13日,フェルナンデス大統領は訪米し,核セキュリティ・サミットへの出席,オバマ米大統領との初の二国間会談等を行ったところ,10日,オバマ米大統領は,フェルナンデス大統領に対し,「先般開催された核セキュリティ・サミットへの貴大統領の出席に感謝する。自分(オバマ大統領)は,我々が,核テロリズムに対抗するためのグローバル・イニシアティブへの亜の参加決定,米国のメガポート・プログラムへの亜の協力等につき協議できたことを嬉しく思う。(核セキュリティ・サミットの)次期シェルパ会合の開催オファーにつき,亜に対し謝意を表明する。」等記した書簡を送付越した。

 

5 南極条約


 12日,タイアナ外相は,ウルグアイで開催された第33回南極条約協議国会議に出席した。同会合では,南極条約事務局が正式に発足し,ホスト国である亜と事務局との間で本部協定への署名式が行われた。

 

6 EU・中南米カリブ諸国首脳会合


(1)15〜19日,フェルナンデス大統領は,中南米・カリブ諸国側議長として第6回EU・中南米カリブ諸国首脳会合等に出席するためスペインを訪問した。


(2)17日,フェルナンデス大統領,サパテロ・スペイン首相,ファン=ロンパイ欧州理事会常任議長及びバローゾ欧州委員会委員長は,記者会見において,EU・メルコスール貿易協定の交渉を再開することに決定した旨発表した。


(3)18日,「フェ」大統領は,第6回EU・中南米カリブ諸国首脳会合閉会式において演説を行い,「今次会合の最も重要な成果の1つは,多国間主義が,経済・社会分野のみならず政治分野等の全ての問題について議論するための適切な方法であると再確認されたことであろう。更に別の重要な成果としては,グローバル・ガバナンスのための新たな機構の必要性が確認されたことが挙げられる。世界は大きく変化し,今日は多極化の時代となっているにもかかわらず,現行の国際機関は,二極化の時代,つまりイデオロギー対立の時代に合わせて設計されたものとなっている。」等述べた。

 

7 スペイン


(1)15〜19日,第6回EU・中南米カリブ諸国首脳会合等に出席するためスペインを訪問したフェルナンデス大統領は,17日,停職処分を受けたガルソン・スペイン判事と会談し,同判事への支持を表明した。


(2)19日,フェルナンデス大統領は,バルセロナを訪問し,モンティージャ・カタルーニャ州知事と会談したほか,亜・スペイン企業関係者との会合において演説し,2001年亜経済危機後からの回復を図るためにキルチネル前政権以降とられた方策等につき説明した。

 

8 アルメニア


 20〜21日,タイアナ外相はアルメニアを訪問し,20日,サルグシャン・アルメニア大統領及びナルバンジャン・アルメニア外相とそれぞれ会談したほか,在アルメニア亜大使館開所式に出席した。

 

9 韓国


 21日,亜外務省は,韓国哨戒艦沈没事件に関する調査結果が発表されたことを受けて,「亜政府は,3月26日に発生し,46名の乗組員が死亡した韓国哨戒艦「天安」の沈没事件に関する調査報告書において,同事件が北朝鮮の魚雷の爆発により引き起こされたと結論づけられたことに深い驚愕を受けた。亜政府は,この悲惨な事件を固く拒絶し,如何なる武力行使をも拒否するとともに,国際法と国連憲章の尊重に基づき,朝鮮半島の平和と安定を維持するよう呼びかける。」旨の声明を発表した。

 

10 亜建国200周年祝賀祭


(1)亜建国200周年日である25日,フェルナンデス大統領は,大統領府において,来亜した南米7箇国の大統領や各国駐亜大使等から祝辞を受けた後,各国招待客,キルチネル前大統領(UNASUR事務局長)及び閣僚とともに各種記念行事に出席した。


(2)祝賀式典等への各国からの主な出席者は以下のとおり。ルーラ・ブラジル大統領,チャベス・ベネズエラ大統領,コレア・エクアドル大統領,ピニェラ・チリ大統領,モラレス・ボリビア大統領,ムヒカ・ウルグアイ大統領,ルゴ・パラグアイ大統領,インスルサOAS事務総長,トレキ国連総会議長,セラヤ・ホンジュラス(前)大統領(注:当国政府はdepuesto presidente constitucionalとの表記をしている。),トリホス・パナマ前大統領等。


(3)24〜26日,タイアナ外相は,亜建国200周年記念式典に出席するため訪亜したケント・カナダ米州担当相,シュピンデルエッガー・オーストリア外相,コール・インド外務担当閣外相,バコンスキ・ルーマニア外相,ローチ・アイルランド外務省国務相及びマーリキ・パレスチナ暫定自治政府情報庁長官兼外務庁長官とそれぞれ会談した。

 

11 ホンジュラス


 26日,フェルナンデス大統領は,同大統領の招待を受け,亜建国200周年祝賀式典に出席するため訪亜したセラヤ(前)ホンジュラス大統領(注:当国政府はdepuesto mandatario de Hondurasとの表記をしている。)と会談した。亜外務省プレスリリースは,「セラヤは,2005年の選挙でホンジュラス大統領に選出され,2006年1月27日に2010年までの任期にて大統領に就任したが,2009年6月28日にクーデターにより解任され,国外追放となり,ミチェレッティーがデファクト政権に就くこととなった。亜政府,OAS,国連等を含む国際社会は,セラヤ解任を批判し,セラヤ復職を擁護した。26日,セラヤより,ホンジュラスの国際社会への復帰のための平和・和解計画の提案があった。また,同日,セラヤは,インスルサOAS事務総長との会談後の記者会見において,同提案には,人権侵害に終止符を打つこと,及び政治的表現の自由を保障するがクーデター首謀者を無処罰にはしないことが含まれる旨発表した。」等発表した。

 

12 文明間の同盟


 27〜28日,フェルナンデス大統領はブラジルを訪問し,28日,国連「文明間の同盟」第3回フォーラムに出席し,演説を行ったところ,同演説要旨以下のとおり。


(1)亜は,「文明間の同盟」イニシアティブが推進された当初から,人種的・宗教的違いが障害と成らない世界を構築するための場であるという理由により,同イニシアティブを積極的に支持してきた。


(2)亜は移民の国であり,希に見る多様性に富んだ国である。亜で社会統合が達成されている理由は,教育にある。学校教育や報道は,社会統合のために重要な役割を持つ。

 

(3)世界,特に先進国において生じている,移民に対する差別等の問題を憂慮する。また,我々は,ある宗教の信仰者に対し,そのアイデンティティー或いは信仰に則った衣類の着用を禁止するような法規則を拒絶する。


(4)国際社会によるパレスチナ国家の承認,また,イスラエルの国際的に認められた国境線内での平和的存続は,文明間の同盟及び世界の平和のために資することである。

 

(5)人権尊重,富のより公平な分配,教育・医療・住居へのアクセス,生活の質の向上,国際司法,国際的ダブルスタンダードの撤廃等は,文明間の同盟構築のために重要である。我々南米の人間は,南米が人種的・宗教的対立のない地域であることを誇りに思う。差別されることなく,自身の望む神を信仰でき,自身の望む衣服を着用できる社会に到達することこそが,我々全ての者の目的である。

 

13 ブラジル


 27〜28日,国連「文明間の同盟」第3回フォーラムに出席するためブラジルを訪問したフェルナンデス大統領は,28日,ルーラ・ブラジル大統領と会談を行った。同会談後の記者会見において,フェルナンデス大統領は,二国間貿易関係強化の意図を表明するとともに,亜による食料品輸入制限措置を否定した。

 

14 トルコ


 29日,エルドアン・トルコ首相は,ブエノスアイレスで開催予定であったアタチュルク・トルコ初代大統領記念碑除幕式が,在亜アルメニア・コミュニティーの圧力により中止となったことを受け,31日に予定されていた訪亜を取り止めた。タイアナ外相は,ブエノスアイレス市政府が,上記除幕式開催の許可を与えないと直前になって決定したことにより,エルドアン首相の訪亜中止を引き起こした旨述べた。

 

15 イスラエル


 31日,亜政府は,コミュニケを発出し,イスラエルによる,ガザ地区に向かっていたトルコ船籍の人道支援船に対する攻撃に関し,同攻撃被害に哀悼の意を表明し,事件の徹底的解明を要請するとともに,中東情勢を悪化させるような暴力的行為の即時中止等を呼びかけた。

 

16 要人往来


(1)往訪

 

2〜3日 ブドゥー経済相のイタリア訪問(残存民間債務にかかる債券交換関連)
4〜5日 ブドゥー経済相の英国訪問(残存民間債務にかかる債券交換関連)
5日 タイアナ外相の米国訪問(NPT運用検討会議に出席)
11〜13日 ブドゥー経済相の米国訪問(残存民間債務にかかる債券交換関連)
12日 タイアナ外相のウルグアイ訪問(第33回南極条約協議国会議に出席)
14日 デビード公共事業相のウルグアイ訪問(ムヒカ・ウルグアイ大統領と会談)
15〜19日 フェルナンデス大統領のスペイン訪問(第6回EU・中南米カリブ諸国首脳会合に出席)
17日 ブドゥー経済相のイタリア訪問(残存民間債務にかかる債券交換関連)
20〜21日 タイアナ外相のアルメニア訪問(サルグシャン・アルメニア大統領及びナルバンジャン・アルメニア外相と会談)
26日 デビード公共事業相のパラグアイ訪問(ルゴ・パラグアイ大統領と会談)
27〜28日 フェルナンデス大統領のブラジル訪問(国連「文明間の同盟」第3回フォーラムに出席,ルーラ・ブラジル大統領と会談)
31〜6月1日 キアラディア外務副大臣及びビアンチ商工中小企業長官の中国訪問(Zhong Shan中国商務部副部長と会談)

 

(2)来訪

 

2〜3日 内藤総務副大臣(第2回ISDB−Tインターナショナル・フォーラムに出席,デビード公共事業相・バラニャオ科学技術相・サラス公共事業省通信長官と会談)
3〜4日 南米諸国連合(UNASUR)諸国首脳・外相(UNASUR臨時首脳会合・外相会合に出席)
25日

南米諸国首脳等(亜建国200周年記念式典に出席)

 

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