2010年6月アルゼンチンの政治情勢(内政・外交)
2010年7月作成
在アルゼンチン大使館
T 概要
(1)内政面では,下院本会議において,「超権限」を廃止する法案及び司法審議会を改革する法案が可決された。次期国政選挙に向けた動きとしては,ブエノスアイレス州急進党執行部選挙を経て,アルフォンシン下院副議長が同党の大統領候補として有力視されるに至り,ペロン党反キルチネル派議員等による協力覚書署名が実現したほか,キルチネル前大統領はペロン党党首として積極的に地方遊説を行った。また,産業・観光省が再編され,産業省及び観光省が創設された。
(2)外交面では,タイアナ外相が辞任し,ティメルマン駐米大使が新外相に就任した。フェルナンデス大統領は,ウルグアイを訪問してムヒカ同国大統領と会談を行ったほか,G20サミット等に出席するためカナダを訪問した。また,キルチネル前大統領が,UNASUR事務局長としてパラグアイ及びエクアドルを訪問し,タイアナ外相は,米州機構(OAS)総会に参加するためペルーを訪問した。
U 内政
1 「超権限」を廃止する法案
(1)23日,下院本会議において,予算の歳出項目を首相の裁量により変更できる権限(通称「超権限(superpoderes)」)を廃止する法案が,賛成票136,反対票90により可決され,上院に送付された。
(2)同法案は,首相に対し同権限を恒久的に付与する規定(国家予算執行管理法(2006年8月に改正))を改正するものであり,資本支出を減少させて経常支出を増加させる等の修正,及び,歳入超過によって生じた資金の使途の決定を,議会の承認無しに行うことを禁じている。
2 年金の最低支給額を増額する法案
29日,上院の労働委員会は,年金の最低支給額を最低賃金の82%まで増額する野党の法案を承認する意見書を採択した。同意見書は,次いで上院の予算委員会にて審議される予定。なお,与党は,ブドゥー経済相及びボッシオ国家社会保障機構(ANSES)総裁を上院の予算委員会に召喚し,上記法案の財源確保が不可能である旨証言させる予定。
3 司法審議会を改革する法案
(1)30日,下院本会議において,司法審議会(注:下級判事の任免,司法予算の執行等の司法行政を担う機関)を改革する法案が,賛成票134,反対票86(主にキルチネル派)により可決され,上院に送付された。
(2)同法案は,司法審議会の構成員を以下のように変更するものである。
(ア)国会議員:6名(与党4名,野党2名)→6名(与党2名,野党4名)
(イ)弁護士:2名→4名
(ウ)学者:1名→3名(内1名は社会科学系)
(エ)最高裁長官:0名→1名(議長)
(オ)判事3名及び政府代表1名については変更なし。
(カ)合計:13名→18名
4 放送法改正法を巡る動き
(1)15日,最高裁は,3月25日にメンドサ州の連邦裁判所が下した放送法改正法の効力停止判決に対する政府の上告につき,同連邦裁判所の効力停止判決を無効とする判決を下した。なお,最高裁は,同判決につき,連邦判事には法律の全部を効力停止する権限はないと判断したものであり,放送法改正法の有効性に関する判決ではないと明言した。フェルナンデス大統領は,今次判決を受け,「今次判決は政府の勝利ではないか。アルゼンチンの民主主義にとって非常に重要な日となった」等述べた。
(2)なお,上記メンドサ州のほか,サンフアン州,ブエノスアイレス市及びサルタ州の連邦裁判所が,放送法改正法の全部または一部を効力停止とする判決を下しており,それらの判決は依然有効であるため,同法は未だ効力停止状態にある。
5 急進党の大統領候補等
(1)6日,ブエノスアイレス州急進党の執行部選挙が行われ,アルフォンシン下院副議長が,コボス副大統領の支持を受けたモロー元上院議員及びストラニ元下院議員という重鎮勢力を凌ぎ,全国執行委員会ブエノスアイレス州代表に選出された。同副議長は,国内最大選挙区である同州の執行部選挙でコボス派勢力に勝利したことにより,次期大統領選挙の党内候補者選出において,コボス副大統領の対抗馬として有力視されることとなった。
(2)15日,サンス急進党党首の呼びかけにより全国の急進党執行部等による臨時会合が設けられ,次期大統領選挙に向けた同党の戦略につき協議された。同会合では,市民社会合意の連携を再び強化するという方針で合意に至ったほか,コボス副大統領及びアルフォンシン下院副議長の両者を次期大統領選挙の候補者とする方針が検討された。なお,コボス及びアルフォンシン両議員は同会合には出席せず,両議員とも自身の立候補につき明言はしていない。
6 ペロン党反キルチネル派の協力覚書
9日,ペロン党反キルチネル派の主要議員等が会合を設け,次期大統領選挙に向け協力体制を確立するための覚書に署名がなされた。同覚書には,ドゥアルデ元暫定大統領,ソラ下院議員,ダスネベス・チュブット州知事,デ・ナルバエス下院議員,レウテマン上院議員,ロドリゲス・サア上院議員,ロドリゲス・サア・サンルイス州知事,ロメロ上院議員,プエルタ下院議員,ドゥアルデ上院議員(上記元暫定大統領夫人),ブスティ前エントレリオス州知事,バスアルド上院議員,モンディーノ前護民官,トマ元国家情報庁(SIDE)長官という,いずれもペロン党反キルチネル派の重鎮議員が署名した。
7 反キルチネル勢力の議会戦略合意
(1)29日,反キルチネル勢力の主要議員等は,今年下半期の議会における法案審議の戦略を協議するため会合を設けた。同会合の議長はモラレス急進党上院議員団長が務め,サンス同党党首,アグアッド同党下院議員団長,カリオ市民連合代表,ピネド下院議員(共和国提案),ロドリゲス・サア上院議員(ペロン党反キルチネル派),ソラ下院議員(ペロン党反キルチネル派),ベルナ上院議員(ペロン党中立系),ストルビセル下院議員(GEN),フェイン下院議員(社会党),フエス上院議員(市民戦線)等が出席した。なお,ソラナス下院議員(南プロジェクト)及びサバテラ下院議員(新たな会合)は,上記勢力との連携を拒否しているため,今次会合にも参加しなかった。
(2)同会合では,今後優先的に審議を進めるべき法案として,司法審議会を改革する法案,年金の最低支給額を増額する法案,子ども扶養手当を拡充する法案,首相の「超権限」を廃止する法案,輸出課徴金を撤廃する法案,国庫拠出(ATN)基金を地方政府に配分する法案,国家統計局(INDEC)を改革する法案等が挙げられた。
(3)また,各法案につき,下院から審議を始めるべき法案と,上院から審議を始めるべき法案とに選別された。この際,特に重要な法案については,野党勢力が過半数を占めている下院から先に審議を始めることが決定された。
8 キルチネル前大統領の遊説
(1)8日,キルチネル前大統領は,サルタ州のペロン党行事に出席するため,同州を訪問した。同行事にはウルトゥベイ・サルタ州知事,バリオヌエボ・フフイ州知事等が同席した。演説において,同前大統領は,「2002年には破産状態にあった生産者たちが,現在では繁栄に至っている」と述べ,キルチネル前政権以降の経済状況の改善を強調したほか,フェルナンデス大統領による子ども扶養手当の導入や放送法改正法の成立に言及し,同大統領が亜の民主主義を深化させたと主張した。
(2)9日,キルチネル前大統領は,ブエノスアイレス州のペロン党行事に出席した。同行事には,シオリ同州知事等が同席した。演説において,同前大統領は,フェルナンデス大統領による子ども扶養手当の導入や放送法改正法の成立に再び言及し,同大統領の成果を改めて強調したほか,「我々は7年間(キルチネル前政権以降)本気で政権を司り,亜を回復へと導いて来た」と述べ,キルチネル夫妻の政権運営能力を強調した。また,「2003年5月25日(キルチネル前大統領の大統領就任日)の時点で亜がいかなる状況であったかを記憶しておいてほしい」と述べ,キルチネル前政権以降の急速な経済状況の改善を主張した。
(3)25日,キルチネル前大統領は,ネウケン州のペロン党行事に出席するため,同州を訪問した。演説において,同元大統領は,「この7年間(キルチネル前政権以降),亜はIMFによる支援を全く受けなかった。先般終了した債券交換により,(民間債務の)デフォルト状態からの脱出にほぼ成功した」等述べて経済状況の改善を強調したほか,外貨準備を用いた債務返済を拒否してきた野党を批判した。
9 観光省の創設
(1)28日,フェルナンデス大統領は,産業・観光省に属する観光庁を観光省に昇格し,産業・観光省のメイヤー観光長官を,新たに観光大臣に任命する旨発表した。
(2)30日付官報において,産業・観光省が産業省と改名され,産業・観光省に属していた観光庁が観光省に昇格され,ジョルジ産業・観光大臣が産業大臣に,メイヤー観光長官が観光大臣に任命された。
10 農牧関連
16日,フェルナンデス大統領はブエノスアイレス州カルエ市を訪問し,農牧セクターに向けて演説を行った。同訪問にはドミンゲス農牧相等が同行した。フェルナンデス大統領は,「生産者の収益拡大のため,国と農牧セクターとの間の協力体制を確立する」必要性を唱えたほか,原材料輸出のみに留まらず,商品の付加価値を追求していくよう生産者等に呼び掛けた。また,生産を促進するため,種子や燃料等を購入するための資金として,農地100ヘクタールにつき12万ペソの貸付を行う計画を発表した。
11 教会
(1)7日,ベルゴグリオ枢機卿は,1994年7月のイスラエル共済組合(AMIA)会館爆破事件後初めて,同共済組合を訪問し,ボルヘルAMIA組合長と会談を行った。同組合長は,同枢機卿を「あらゆる社会問題に立ち向かう闘士」と称して歓迎した。同会談では,貧困問題の解決等につき意見交換がなされた。
(2)16日,国の発展のための指針を記した元閣僚等による提案書「発展のためのコンセンサス」の発表会が行われ,ベルゴグリオ枢機卿は,同提案書の発表を祝して説教を行った。同説教には,デ・ナルバエス下院議員(ペロン党反キルチネル派),サンス急進党党首,ストルビセル下院議員(GEN)等反キルチネル勢力の議員等が参列した。同説教において,ベルゴグリオ枢機卿は,「国の発展のためには,団結が不可欠である。対立は我々を不毛に導くのみである。我々に必要なものは,政権が代わってもなお存続し得るようなコンセンサスである」等述べたほか,報道の自由,司法の独立等の重要性を主張した。
(3)26日,マリノ・ラプラタ市補佐司教は,5月4日に下院で可決された,同性間の婚姻を認める法案につき,同法案を推進しようとする与党に対する反対の姿勢を明示し,上院での審議に先立ち,本法案の是非を問うための国民投票を行うよう,改めて要求した。
12 社会問題
17日,リオネグロ州バリローチェ市において,窃盗の容疑をかけられた少年が同州警察の警官に射殺される事件が発生した。その後,同事件の被害者遺族等を中心とする抗議デモが発生したが,警察との対立のなかで,同抗議デモの参加者2名が新たに死亡するという事態に陥った。他方,21日,同市では,リオネグロ州警察を支持し,更なる治安対策強化を求める住民等による約3000人規模のデモが発生した。カスコン・バリローチェ市長は,「リオネグロ州政府は,治安対策強化の要求に対し,具体的な対策を取るべきである」と表明した。
III 外交
1 外相交代等
(1)18日,フェルナンデス首相は,急遽記者会見を開き,「本日,フェルナンデス大統領は,タイアナ外相からの辞表を受理した。タイアナ外相は,完全に個人的な理由により辞任した。次期外相には,ティメルマン駐米大使が任命されることになる。」旨発表した。22日,フェルナンデス大統領は,ティメルマン駐米大使を正式に新外相に任命した。
(2)また,タチェッティ筆頭外務副大臣も辞任し,23日,ダロット外相特別補佐官が新筆頭外務副大臣に任命された。
2 中国
(1)5月31日〜1日,中国を訪問したキアラディア外務副大臣(通商・国際経済担当)は,1日,中国商務部幹部と会談し,二国間通商問題につき協議した。同会談後,キアラディア副大臣は,「今次会談において,双方ともに,問題解決に向けて対話を維持する意思を表明した。我々は,今後数週間以内に合意に至ることができるよう,外交チャンネルを通じた対話を継続する。」等述べた。
(2)9〜10日,タイアナ外相は中国を訪問し,10日,上海万博・亜ナショナルデーに出席したほか,呉海龍(WU Hailong)中国外交部部長助理と会談を行い,フェルナンデス大統領の中国訪問(本年7月13日予定),二国間貿易問題,G20トロント・サミット等につき協議した。
3 ウルグアイ
(1)2日,フェルナンデス大統領は,ウルグアイを訪問し,二国間協力関係強化への共通の意志を再確認するため,ムヒカ・ウルグアイ大統領と会談した。同会談では,運輸,エネルギー(ウルグアイにおける液化天然ガス再気化工場設置,二国間水力発電ダムの発電量増加,ボリビア産天然ガスの亜経由ウルグアイ輸送等),生産的統合,軍事(軍事分野における戦略的対話実施のための二国間委員会の設置等),医療(臓器提供者・受領者情報の共有等)等の27のテーマにつき協議された。また,特にUPM社(旧ボトニア社)製紙工場の活動に関し,ウルグアイ川の環境モニタリング体制を今後60日以内に整備することにつき協議された。
(2)また,フェルナンデス大統領は,上記会談において,UPM社の工場撤去を求め続けているグアレグアイチュ市民団体の抗議活動に反対の立場を示し,同市民団体による両国間の国際橋梁の封鎖が解除されないままになっている原因を,司法が判断を下さないためであるとした。
(3)8日,ピメンテル連邦判事は,橋梁封鎖の解除を要求してグアレグアイチュ市周辺住民等が起こしていた訴訟において,これまで3度に亘り,橋梁の通行の自由の保障を命じる判決が下されていたことを指摘し,それらの判決の有効性を改めて確認する判決を下した。また,同判事は,判決文において,橋梁封鎖という事態が生じた当初から,憲法にて定められた通行の自由を保障するよう司法は命じてきたが,国境警備隊を管轄する内務省が判決の遵守に必要な命令を下してこなかったとの見解を表明した。
(4)8日,上記判決を受け,ランダッソ内相は,「我々は,橋梁封鎖を行っている人々の安全を保障しながら,国境警備隊を通じて,今次判決を遵守する」と述べた。しかし,9日,フェルナンデス首相は,国境警備隊の派遣により橋梁封鎖を解除するのではなく,代わって,橋梁封鎖の責任者に対し刑事訴訟及び民事訴訟を起こす旨の亜政府の決定を発表した。
(5)16日,橋梁封鎖を行ってきたグアレグアイチュ市民団体は,今後の抗議活動の方針を議論するための集会を開催し,橋梁封鎖解除の賛否を巡り投票を行い,賛成402票,反対315票により,橋梁封鎖の60日間限定解除を決定し,19日から橋梁封鎖解除を開始した。同時に,同市民団体は,橋梁封鎖解除の交換条件として,UPM社製紙工場の環境汚染の実態を追求するため,同工場内部の立ち入り調査の実施等を亜・ウルグアイ両国政府に要求する旨決定した。
(6)29日,ティメルマン外相は,ウルグアイを訪問し,ムヒカ・ウルグアイ大統領及びアルマグロ・ウルグアイ外相と会談した。ティメルマン外相は,アルマグロ外相に対し,ウルグアイ川の環境モニタリングに関する亜側提案書を手交した。
4 南米諸国連合(UNASUR)
(1)2日,キルチネルUNASUR事務局長は,同事務局長就任後の初の訪問先として,UNASUR設立条約批准を国会が未承認のパラグアイを訪問し,ルゴ・パラグアイ大統領及びカリソサ・パラグアイ上院議長とそれぞれ会談し,UNASURの目的及び機能について説明した。
(2)2008年5月23日,亜政府はUNASUR設立条約に署名し,2008年12月17日,亜上院において同条約批准案が可決されていた。9日,下院本会議おいて,同批准案が賛成176票,棄権2により可決され,亜はUNASUR設立条約への第6番目の加盟国になることとなった。
(3)14〜15日,キルチネルUNASUR事務局長は,エクアドルを訪問し,コレア・エクアドル大統領及びパティーニョ・エクアドル外相と会談した。コレア大統領との会談では,各国の与野党代表から成る南米議会(Parlamento
del Sur)の創設等につき協議された。また,パティーニョ外相との会談では,UNASURの構造,加盟国によるUNASUR設立条約の批准,南米銀行創設を含む新たな地域金融秩序,本年8月中旬に予定されているガイアナのUNASUR議長国就任等につき協議された。
(4)24日,キルチネルUNASUR事務局長は,在亜コロンビア大使公邸において開催された,在亜UNASUR加盟各国大使等との昼食会に出席し,UNASURによる対ハイチ支援等につき発言した。
5 第40回米州機構(OAS)総会
7〜8日,タイアナ外相は,第40回OAS総会に出席するためペルーを訪問した。7日,同外相は,第40回OAS総会において演説を行い,米州地域における信頼と多国間協力に基づく安全を擁護したほか,従来からの脅威のみならず,組織的国際犯罪,武器密輸,人身売買,麻薬密輸,マネーロンダリング,テロ,誘拐,サイバー犯罪等の新たな脅威をも含む多元的安全保障の概念を提起し,亜外務省ホワイト・ヘルメット委員会(注:国連の下で活動する当国緊急援助隊)の活動を紹介するとともに,対ハイチ支援等を呼びかけた。
6 英国
(1)8日,タイアナ外相は,ペルーで開催された第40回OAS総会において,フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題に関する亜の立場を説明した。その後同総会において,「長期に亘る本件問題を平和的に解決するため,亜及び英国による,主権論争に関する早期の交渉の必要性を再確認する」旨の宣言がコンセンサスにより採択された。
(2)23〜24日,ティメルマン外相は,外相就任後初の外遊として訪米し,24日,国連非植民地化特別委員会会合において,フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題につき演説を行い,英国による同諸島周辺海域における石油採掘活動は植民地主義精神によるものであり,国連決議に違反する等批判した。同日,国連非植民地化特別委員会は,「平和的解決策を見出すために対話プロセスの確立と交渉の再開」を当事者双方に呼びかける決議を満場一致で採択した。
(3)24日,G20サミットに出席するためカナダを訪問中のフェルナンデス大統領は, 記者会見において,英国に対し,フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題に関する交渉の再開と国連決議の遵守を要請した。
7 ロシア
13〜15日,ミロノフ・ロシア連邦院(上院)議長が訪亜し,フェルナンデス大統領及びタイアナ外相との会談等を行った。フェルナンデス大統領との会談においては,メルコスール議会とロシア連邦院間の協力協定への署名が行われた。また,タイアナ外相との会談においては,二国間関係及び国際政治における主要テーマにつき協議された。
8 人道支援に関する中南米地域会合
17〜18日,亜ブエノスアイレスにおいて,亜政府及び国連人道問題調整部(OCHA)の共催により,人道支援に関する中南米地域会合が開催され,タイアナ外相が同会合議長を務めた。同会合では,対ハイチ支援及び対チリ支援の調整メカニズム等につき協議された。
9 コロンビア
20日,フェルナンデス大統領は,サントス・コロンビア次期大統領に電話し,大統領選挙における勝利を祝福した。また,両者は,二国間関係の更なる強化のための尽力を約束したほか,地域の各種テーマについても協議した。
10 ベネズエラ
(1)16日,サドウス元駐ベネズエラ亜大使は,下院外交委員会からの求めに応じ,同委員会会合において,対ベネズエラ通商における汚職疑惑(亜政府関係者による対ベネズエラ通商により生じた利益の不正着服疑惑,及び,亜公共事業省職員等による対ベネズエラ輸出に従事する亜企業家への金銭の不正要求疑惑)につき説明する予定であったが,外務省からの出席許可が下りなかった由で欠席した。
(2)23日,サドウス元大使は,再度の下院外交委員会からの求めに応じ,同委員会会合において,対ベネズエラ通商における汚職疑惑につき説明した。
(3)25日,ティメルマン外相は,フェルネル下院議長に対し,憶測に基づく報道を終わりとするために,サドウス元大使による下院外交委員会での説明内容の公表を要請する書簡を送付した。同様に,27日,フェルナンデス大統領も,サドウス元大使による説明内容の公表を要請した。なお,当初政府は外交機密を理由に同説明の非公開を求めていた。
(4)30日,下院本会議において,サドウス元大使による説明内容を非公開とする案が審議・採決され,賛成123票,反対105票により,非公開とされることになった。
11 ブラジル
(1)24日,亜政府は,ブラジル北部における洪水被害に関し,ブラジル政府及び遺族への連帯と哀悼の意を表明するとともに,物資供給ロジ要員,救援要員,精神科医,移動式病院等を提供する用意がある旨ブラジル政府に伝達した。
(2)30日,ティメルマン外相は,ブラジルを訪問し,アモリン・ブラジル外相と会談した。同会談では,二国間政治・貿易関係,次期二国間首脳会談,メルコスール,UNASUR等につき協議された。
12 カナダ
(1)24日,カナダ・バンクーバーを訪問したフェルナンデス大統領は,第2回国際労働組合総連合(ITUC)世界大会に出席し,亜の2001年経済危機の経験,経済回復のための国家の役割の重要性等につき演説を行った。
(2)26日,G20サミットに出席するためカナダ・トロントを訪問したフェルナンデス大統領は,鉱山分野等に従事するカナダ企業関係者との昼食会に出席し,企業と亜の双方が利益を得る形での対亜投資を呼びかけた。
13 G20サミット
25〜27日,フェルナンデス大統領はカナダ・トロントを訪問し,G20サミットに出席した。
14 要人往来
(1)往訪
5月31日〜1日 |
キアラディア外務副大臣(通商・国際経済担当)の中国訪問(中国商務部幹部と会談) |
2日 |
フェルナンデス大統領のウルグアイ訪問(ムヒカ・ウルグアイ大統領と会談) |
2日 |
キルチネルUNASUR事務局長のパラグアイ訪問(ルゴ・パラグアイ大統領及びカリソサ・パラグアイ上院議長と会談) |
5〜6日 |
ブドゥー経済相の韓国訪問(G20会合に出席) |
7〜8日 |
タイアナ外相のペルー訪問(第40回OAS総会に出席) |
7日 |
タチェッティ筆頭外務副大臣のベトナム訪問(ビン・ベトナム外務次官と会談) |
9〜10日 |
タイアナ外相の中国訪問(上海万博・亜ナショナルデーに出席,呉海龍中国外交部部長助理と会談) |
10日 |
スキアビ公共事業省運輸長官のロシア訪問(ヤクーニン・ロシア国営鉄道総裁と会談) |
14〜15日 |
キルチネルUNASUR事務局長のエクアドル訪問(コレア・エクアドル大統領及びパティーニョ・エクアドル外相と会談) |
14〜15日 |
トマダ労働相のスイス訪問(第99回国際労働機関(ILO)年次総会に出席) |
15日 |
ロレンシノ経済省金融長官の日本訪問(残存民間債務にかかる債券交換関連) |
16〜17日 |
ロレンシノ経済省金融長官のイタリア訪問(残存民間債務にかかる債券交換関連) |
23〜24日 |
ティメルマン外相の米国訪問(国連非植民地化特別委員会会合に出席) |
24日 |
ブドゥー経済相,ジョルジ産業・観光相及びモレーノ経済省国内取引長官のブラジル訪問(マンテガ・ブラジル財務相及びジョルジ・ブラジル開発商工相と会談) |
24日 |
フェルナンデス大統領のカナダ・バンクーバー訪問(第2回国際労働組合総連合(ITUC)世界大会に出席) |
25〜27日 |
フェルナンデス大統領のカナダ・トロント訪問(G20サミットに出席) |
29日 |
ティメルマン外相のウルグアイ訪問(ムヒカ・ウルグアイ大統領及びアルマグロ・ウルグアイ外相と会談) |
30日 |
ティメルマン外相のブラジル訪問(アモリン・ブラジル外相と会談) |
(2)来訪
13〜15日 |
ミロノフ・ロシア連邦院(上院)議長(フェルナンデス大統領及びタイアナ外相と会談)
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