アルゼンチン政治情勢(月1回更新)

令和4年5月16日

アルゼンチン政治情勢(2022年4月)

2022年5月作成
在アルゼンチン日本大使館



1 内政

(1)政府:
ア 新型コロナウイルス関連
 6日、政府は行政決定を発出し、非居住外国人の入国前のPCR検査陰性証明書等の条件及びワクチン接種未完了者の入国後の隔離の免除を発表した。
イ 年金受給者及び非正規労働者等への臨時給付金支給
 18日、フェルナンデス大統領及びグスマン経済相は、年金受給者及び非正規労働者等への臨時給付金を支給することを発表した。
(2)その他
ア 司法審議会を巡る動き
 客年12月16日、最高裁は、2006年の司法審議会改革(構成人数が20名から13名に変更。同審議会会長の最高裁判事を除外)は、同審議会から判事及び弁護士の権力を弱体化させるとともに、政治勢力の権力を増大させたとして、憲法に規定される各分野間の均衡を履行する新たな法律を制定するために120日間の猶予を与え、新たな法律が制定されない場合は、改革以前の20名に戻す判決を下していたが、4月15日に同猶予期間が失効した。
司法審議会を構成する議員は、上下両院ともに議員数が最も多い党から2名、2番目に多い党から1名、3番目に多い党から1名、計4名が各々選出されるが、上下両院からの各3名は既に同審議会に所属しているため、今回の構成人数の変更を受けて上下両院から各1名追加されることとなる。
19日夜、クリスティーナ・フェルナンデス副大統領(上院議長)は、司法審議会を構成する上院議員の追加選出(今回追加選出の対象は党員数が3番目に多い党)において、与党関係者を選出することを目的として、上院の与党連合の議員35名を以下のとおり二分割することを決定した。
(1) 「Frente Nacional y Popular」党:21名
 党首:マジャンズ議員(上院与党会派会長)
(2) 「Unidad Ciudadana」党:14名
 党首:ディ・トゥリオ議員
イ 野党連合総会の開催
 27日、野党連合「変革のために共に」は総会を開催し、2023年大統領・議会選挙に向けた直近のアジェンダを決定し、コミュニケを発出した。今次総会にてミレイ下院議員との共闘は行わない旨決定され、同コミュニケは野党連合の団結を崩そうとしているとして同議員を名指しで批判した。
ウ フェルナンデス大統領の日産新型車発表式典への出席
 29日、フェルナンデス大統領は、日産アルゼンチンのコルドバ州サンタ・イサベル工場における新型ピックアップトラックの発表式典に出席した。

 
2 外交

(1)米国:
ア 5日、ブエノスアイレスで第17回亜・米国原子力エネルギー協力常設委員会(JSCNEC)会合が開催され、テタマンティ筆頭外務副大臣及びガンザー米国務次官補(国際安全保障・不拡散担当)が出席した。
イ 18日~24日にかけて行われた世銀・IMF年次総会出席のために米国を訪問中のベリス大統領府戦略長官は、サリバン米国国家安全保障担当大統領補佐官と会談した。
ウ 26日~27日、リチャードソン米南方軍司令官(陸軍大将)が訪亜し、クリスティーナ・フェルナンデス副大統領、タイアナ国防相及びフレデリック・ホワイトヘルメット理事長等と会談した。
(2)カナダ:
 8日、フェルナンデス大統領は、トルドー加首相と電話会談を行い、ウクライナ情勢につき協議した。
(3)イタリア:
 20日~25日、カフィエロ外相はイタリアを訪問し、ディ・マイオ同国外相らと会談した。同外遊にはローマ教皇フランシスコとの会談が予定されていたが、同教皇の健康上の理由により中止された。また、20日にロンバルディア州知事、23日にビーズリーWFP事務局長及び屈冬玉(Qu Dongyu)FAO事務局長と会談した。
(4)チリ:
 4日、フェルナンデス大統領は、亜を訪問したボリッチ・チリ大統領と会談した。また同日、カフィエロ外相及びタイアナ国防相は、ボリッチ大統領に同行したウレホラ・チリ外相及びフェルナンデス・チリ国防相と会談した。
(5)ボリビア:
 7日、フェルナンデス大統領は、亜を訪問したアルセ・ボリビア大統領と首脳会談を行い、共同声明の発表等を行った。
(6)パラグアイ:
 8日、カフィエロ外相は、二国間多分野貿易ミッションを率いてパラグアイを訪問し、亜・パラグアイ外相会談等を実施した。
(7)ドミニカ共和国:
 12日、マサ下院議長はドミニカ共和国を訪問し、アビナデル同国大統領と会談した。
(8)エクアドル:
 18日、フェルナンデス大統領は、亜を訪問したラッソ・エクアドル大統領と会談を行い、共同記者会見を行った。
(9)ベネズエラ:
 18日、亜外務省は、ラボルデ現メルコスール議会副議長を2015年以降空席となっていた駐ベネズエラ大使として任命するため、在亜ベネズエラ大使館を通じてマドゥーロ政権に対し正式にアグレマンを要請した。
(10)ベトナム:
 18日、カフィエロ外相は、ブイ・タイン・ソン・ベトナム外相とオンライン形式で会談した。
(11)インド:
 24日~26日、カフィエロ外相はインドを訪問し、24日にジャイシャンカル同国外相と、25日にゴヤル同国商工相兼G20シェルパと会談し、26日にモディ同国首相を表敬した。
(12)イスラエル:
 22日~28日、デ・ペドロ内相はイスラエルを訪問し、ヘルツォグ同国大統領を表敬し、ラピード同国首相代理兼外相、シャケド同国内相及びギデオン・サアル同国司法相と各々会談した。
(13)チュニジア:
 6日、カフィエロ外相は、ジェランディ・チュニジア外務・移民・在外チュニジア人大臣とオンライン形式で会談した。
(14)G20:
 12日付当地報道は、フェルナンデス大統領がG20バリ・サミットへの出席を決定した旨報じた。
(15)米州機構(OAS):
 21日、亜は、米州機構(OAS)総会におけるロシアのオブザーバー資格停止に係る決議を棄権した。
(16)IMF:
 22日、グスマン経済相は、訪問先の米国にて、ゲオルギエバIMF専務理事と会合した。
(17)欧州・ラ米議会(EUROLAT):
 11日、カフィエロ外相は、第14回欧州・ラ米議会(EUROLAT)会合のために亜を訪問したロペスEUROLAT共同議長と会合した。また13日、EUROLAT会合が開催され、クリスティーナ・フェルナンデス副大統領が開会演説を行い、同演説内容に対し野党及び欧州人民党から反応があった。
(18)要人往来:
ア 往訪
 パラグアイ:カフィエロ外相。
 ドミニカ共和国:マサ下院議長。
 イスラエル:デ・ペドロ内相他。
米国:ベリス大統領府戦略長官、グスマン経済相。
 イタリア・インド:カフィエロ外相。
イ 来訪
 チリ:ボリッチ大統領他。
 米国:ガンザー米国務次官補(国際安全保障・不拡散担当)、リチャードソン米南方司令官(陸軍大将)。
 ボリビア:アルセ大統領。
 エクアドル:ラッソ大統領。
 

(了)