アルゼンチン政治情勢(月1回更新)
平成30年4月10日
アルゼンチン政治情勢(2018年3月)
2018年4月作成
在アルゼンチン日本大使館
在アルゼンチン日本大使館
1 内政
(1)大統領府・政府:
ア 連邦議会開会に際するマクリ大統領の施政方針演説
1日,連邦議会において,第136回通常議会の開会式が行われ,マクリ大統領は就任後3回目となる施政方針演説を行った。マクリ大統領は,インフレ,労働問題,観光産業,IT,治安,教育及び中絶問題等に触れつつ,今後も段階主義による変革に取り組んでいくとする内容の演説を行った。
イ アバド連邦歳入庁(AFIP)長官の辞任
2日,アバド連邦歳入庁(AFIP)長官は辞任を表明し,4月1日より,後任としてクッチオリ現金融省副大臣(金融サービス担当)が就任した。
(2)連邦議会:人工中絶合法化法案及び男女雇用機会均等法案の議会への提出
6日,71名の与野党の下院議員によって,人工中絶合法化法案が議会下院に提出された。また,8日,マクリ大統領は,世界女性デーの機会を捉え,男女雇用機会均等法案を議会下院に提出した。同法案には,雇用機会の均等及び給与格差の減少や父親の育児休暇取得拡大等が含まれている。
(3)その他:
ア 世界女性デーにおけるデモの実施
世界女性デーである8日,先般議会に提出された人工中絶の合法化を求め,5月広場から国会まで大規模デモ行進が行われた。同デモには,約25~30万人が参加した旨報じられた。
イ 貧困率の低下
28日,マクリ大統領はINDEC(亜国家統計局)のデータに基づき,亜の2017年下半期の貧困率が昨年同時期の30.3%から25.7%に減少した旨発表した。また,同時期の最貧困率についても,6.1%から4.8%に減少し,貧困者数は1230万人から1040万人(約190万人減)へ,最貧困者数は250万人から190万人(約60万人減)に減少した。
2 外交
(1)G20:第1回G20財務大臣・中央銀行総裁会議の当地開催
ア 19~20日に当地ブエノスアイレス市において,第1回G20財務大臣・中央銀行総裁会議が行われた。日本より,木原財務副大臣が出席した。また,同会議と平行して,19日,カプート金融大臣主催のリマ・グループ・メンバー国の財務大臣等によるベネズエラに関する会合も開催された。(我が国からは浅川財務官が出席。)
イ ドゥホブネ財務大臣とムニューシン米財務長官等とのバイ会談の実施
19日,ドゥホブネ財務大臣はムニューシン米財務長官とバイ会談を実施した他,グリアOECD事務総長,エスコラーノ西経済・産業・競争力大臣,ショルツ独財務相等との会談を行った。
ウ マクリ大統領とキム世銀総裁との会談
19日,マクリ大統領は,G20財務大臣・中央銀行総裁会議出席のためアルゼンチンを訪問したキム世銀総裁と会談を行った。同会談において,両者は,亜の成長及び投資の強化のために引き続き共に取り組んで行くことについて話し合いを行った。なお,同会談には,カプート金融大臣も同席した。
(2)IDB:
ア 米州開発銀行(IDB)総会の開催
22~25日,メンドーサにおいて第59回米州開発銀行(IDB)総会が行われ,48か国から約4千人が出席した。22日,カプート金融大臣は,モレノIDB総裁とともに亜のインフラ,金融包摂及び制度の近代化にかかる4プロジェクトに向けた8.35億米ドルの融資に関する署名を行った。なお,日本はIDBを通じて,メンドーサ州の教育水準向上のため,70万米ドルの支援を行った。(我が国からは,うえの財務副大臣が代表として出席し,署名に立ち会った。)
イ カプート金融大臣と金立群AIIB総裁との会談
26日,IDB総会の機会を捉え,カプート金融大臣は金立群アジア・インフラ投資銀行(AIIB)総裁と会談を行った。同会合において,亜の既存のプロジェクトやAIIB融資に関する優遇措置等に関する情報の提供や意見交換が行われた。
(3)IMF:ラガルドIMF専務理事のアルゼンチン訪問
15日,アルゼンチンを訪問したラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事は,ドゥホブネ財務大臣と会談を行い,亜政府の政策に対し,賞賛の意を表した。翌16日,同理事はマクリ大統領と会談を行った。同理事は,19~20日に開催された第1回G20財務大臣・中央銀行総裁会議に出席した。
(4)米国:
ア 米政府による鉄鋼及びアルミニウムの輸入に関する追加関税措置に対する亜外務省プレスリリース
8日,亜外務省は,米による鉄鋼及びアルミニウムの輸入にそれぞれ10%及び25%の追加関税を課すとする発表を受け,亜政府は亜産の鉄鋼及びアルミニウムに対する関税の除外を求め,関連する米当局との協議を行う予定である旨のプレスリリースを発表した。
イ 米国の追加関税措置に関するマクリ大統領とトランプ米大統領との電話会談
9日,マクリ大統領は,米国の鉄鋼及びアルミニウムの輸入に関する追加関税措置について,トランプ米大統領と電話会談を行った。同会談において,マクリ大統領は,これらの措置による潜在的な強い影響力に対し懸念を表明した。これに対し,トランプ米大統領は,亜の鉄鋼及びアルミニウムに対する関税措置の除外を求める亜の要求について検討することをコミットする旨述べた。
ウ 米国の鉄鋼・アルミ追加関税措置に関する適用除外国の発表及び同措置の除外に対する亜政府の正式要請
トランプ米政権が23日より発動する鉄鋼・アルミ追加関税措置の発動段階の適用除外対象国としてアルゼンチンが含まれていることが明らかになった。
一方,22日,亜外務省は,フォリー外務大臣及びカブレラ工業生産大臣がライトハイザーUSTR代表に対し,鉄鋼及びアルミニウムに対する米国の新たな輸入制限措置について,亜を除外国の対象とするよう要請する正式な書簡を送付したことを明らかにした。
エ 米国の一般特恵関税制度(GSP)への亜の復帰に対する米国の正式承認
23日,亜外務省はプレスリリースを発出し,米国の一般特恵関税制度(GSP)への亜復帰の効力が発生し,正式に認められた旨明らかにした。同日,2020年12月末までの同制度の更新を含む歳出法案が米国議会によって可決され,トランプ米大統領により公布されたもの。これを受け,(昨年12月末に亜が復帰を達成した旨報じられていた)米国の一般特恵関税制度(GSP)への亜の復帰が正式に認められることとなった。
(5)チリ:マクリ大統領のチリ訪問
11日,マクリ大統領はチリを訪問し,ピニェラ・チリ新大統領就任式へ出席した他,同新大統領とバイ会談を行った。同会談において,両首脳は,より良いエネルギーの活用や国境地帯及び税関における迅速なメカニズム等の更なる開放等を含む亜とチリの統合につきコミットしていくことで一致した。また,両首脳の間で,4月24日にピニェラ・チリ新大統領が亜を公式訪問することについて合意した
(6)モロッコ:フォリー外務大臣のモロッコ訪問
30日,モロッコを訪問したフォリー外務大臣は,同国との政治・経済関係の深化を目的として,ブリタ・モロッコ外務・国際協力大臣と会談を行った。両外相は,共通の様々なアジェンダについて話し合いを行った他,良好な二国間関係について強調しつつ,貿易,技術,農産加工業及び文化協力を引き続き強化していくことをコミットした。(同大臣はその後,チュニジア(4月2日)及び仏(4月3日)を訪問した。)
(7)ノルウェー:ハラルド・ノルウェー国王同妃両陛下のアルゼンチン公式訪問
4~7日,アルゼンチンを公式訪問したハラルド・ノルウェー国王同妃両陛下は,マクリ大統領と会談(6日)を行った他,企業フォーラム(7日)に出席した。また,5日,フォリー外務大臣は,同国王同妃両陛下に同行したソーライデ・ノルウェー外務大臣及びイーサクセン・ノルウェー貿易・産業大臣と会談を行った。また,今次訪問中,両国間の間で以下の3文書に署名が行われた((1)亜及びノルウェー王室間の南極大陸協力に関する覚書,(2)亜外務省及びノルウェー外務省間の政策協議メカニズムに関する覚書,(3)亜行政最新化省及びノルウェー地方自治・近代化省間の国際協力開発のための覚書)。
(8)クロアチア:グラバル=キタロビッチ・クロアチア大統領のアルゼンチン公式訪問
11~13日,グラバル=キタロビッチ・クロアチア大統領がアルゼンチンを公式訪問し,12日,マクリ大統領と会談を行った。同会談において,二国間関係の強化の他,貿易,投資,文化及び科学分野における更なる交流の促進につき一致した。マクリ大統領との会談後,グラバル=キタロビッチ大統領は両国政府間の文化協力プログラム(2018~21年)に署名を行った。
(9)パレスチナ:マーリキ・パレスチナ外務庁長官のアルゼンチン公式訪問
12日,中南米訪問の枠組で,アルゼンチンを訪問したマーリキ・パレスチナ外務庁長官は,フォリー外務大臣と外相会談を行った。同会談において,両外相は,二国間アジェンダについて話し合いを行った他,両国の友好協力関係の強化についてもコミットした。また,フォリー外務大臣より,亜が,農業・牧畜,テクノロジー,スポーツ,保健衛生及び人道分野における二国間協力を維持したいとする意志が表明された。
(10)フィンランド:ソイニ・フィンランド外相のアルゼンチン訪問
26日,両国の外交関係樹立100周年に際して,アルゼンチンを訪問したソイニ・フィンランド外相はフォリー外務大臣と会談を行った。両外相は,主な二国間アジェンダ,地域及びグローバルな問題について話し合いを行った他,EU・メルコスールFTAの締結に向けて取り組んで行くことについてコミットした。また,両外相は,航空便の増加に向け,航空サービス協定に署名を行った。
(11)ベラルーシ:シェスタコフ・ベラルーシ外務次官のアルゼンチン訪問
12日,アルゼンチンを公式訪問したシェスタコフ・ベラルーシ外務次官は,ライモンディ筆頭外務副大臣と会談を行った。両者は,2017年11月に両国の外交関係が25周年を迎えたことを強調するとともに,両国外務省間の政策協議に関する覚書に署名を行った。
(12)メルコスール:
ア カナダ・メルコスールFTA交渉の開始
9日,パラグアイ(アスンシオン)において,メルコスール諸国の外相はシャンパーニュ・カナダ国際貿易大臣と会合が行い,カナダ・メルコスールFTA交渉を開始することで一致した。第1回交渉ラウンドは,3月20~23日,カナダ(オタワ)にて実施することとなった。亜側より,フォリー外務大臣が出席した。
イ メルコスール諸国の外相及び通商大臣会合の実施
16日,パラグアイ(アスンシオン)において,メルコスール諸国外相及び通商大臣会合が行われ,EU・メルコスールFTA交渉について話し合いが行われた。亜からは,フォリー外務大臣,カブレラ工業生産大臣及びエチェベレ農産業大臣が出席した。同会合において,同協定の締結に向けた交渉を迅速に行う意思について全会一致をみた。
(13)メキシコ:亜・メキシコ議会間会合の実施
12~13日,当国国会において,亜・メキシコ議会間会合が実施され,両国議員の間で政治・経済協力及び社会開発における公共政策を中心に意見交換が行われた。
(14)UAE:亜・UAE二国間投資協定の締結
20日,亜外務省はプレスリリースを発出し,5か月間に及ぶ5回の交渉ラウンドを経て,亜とUAEとの間で二国間投資協定が締結された旨発表した。レイセル外務副大臣(国際経済担当)は,両国の交渉団の取組みについて強調するとともに,同協定の特徴は,投資家と国家の間のバランスのとれた関係を確立するための条項を組み込んだことである旨述べた。
(15)要人往来
ア 往訪
● 9日: | フォリー外務大臣のパラグアイ訪問 |
● 11日: | マクリ大統領のチリ訪問 |
● 16日: | フォリー外務大臣,カブレラ工業生産大臣及びエチェベレ農産業大臣のパラグアイ訪問 |
● 30日: | フォリー外務大臣のモロッコ訪問 |
イ 来訪
● 4~7日: | ハラルド・ノルウェー国王同妃両陛下 |
● 11~13日: | グラバル=キタロビッチ・クロアチア大統領 |
● 12日: | シェスタコフ・ベラルーシ外務次官 |
● 12日: | マーリキ・パレスチナ外務庁長官 |
● 19~20日: | 木原財務副大臣,ムニューシン米財務長官,エスコラーノ西経済・産業・競争力大臣,ショルツ独財務相,グリアOECD事務総長,キム世銀総裁等,ラガルドIMF専務理事等(第1回G20財務大臣・中央銀行総裁会議への出席) |
● 22~25日: | うえの財務副大臣,モレノIDB総裁,金立群AIIB総裁等(IDB総会への出席) |
● 26日: | ソイニ・フィンランド外相 |
(了)
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