政治情報
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2010年7月アルゼンチンの政治情勢(内政・外交)

2010年8月作成
在アルゼンチン大使館

 

T 概要


(1)内政面では,同性婚法案が上院本会議において可決され,成立した。また,政治改革法の実施細則が公布されたほか,年金及び児童手当の増額が発表された。キルチネル前大統領は各種集会で積極的に演説を行い,急進党のコボス副大統領及びアルフォンシン下院副議長等も,各自大統領選挙に向けた活動を展開した。カリオ市民連合代表は,市民社会合意の他の勢力との対立を繰り返した。また,マクリ・ブエノスアイレス市長の訴訟につき,連邦裁判所が起訴相当の議決を下した。


(2)外交面では,フェルナンデス大統領が中国を訪問して胡錦涛同国国家主席等と会談し,キルチネル南米諸国連合(UNASUR)事務局長はチリを訪問してピニェラ同国大統領等と会談した。また,サントス次期コロンビア大統領及びマドゥーロ・ベネズエラ外相がそれぞれ訪亜してフェルナンデス大統領及びキルチネルUNASUR事務局長と会談したほか,ムヒカ・ウルグアイ大統領が訪亜してフェルナンデス大統領と会談し,ウルグアイ川環境モニタリング体制につき合意に至った。

 

U 内政


1 同性婚法案


(1)6日,5月4日に下院本会議で可決されていた同性婚法案が,上院の立法委員会で審議され,下院可決案の承認を拒否する意見書(多数派)及び同可決案を承認する意見書(少数派)が同時に採択された。本法案は,民法等を改正して同性婚を合法化し,同性の夫婦と異性の夫婦を法律上同等に扱う法案であり,同性の夫婦が養子をとることも認めるものである。


(2)カトリック教会は,「婚姻が国家の保護を受けるに値するのは,それが社会的機能を果たすからである。自然の摂理に反する同性同士の関係にまで保護を与えることはできない」等と述べ,同性婚法案への反意を連日表明した。


(3)「フェ」大統領は,教会関係者等の発言を批判して,「私は,かれらの発言のなかに「神の戦争」や「悪魔の計画」といった,かつての異端審問を想起させるような表現がみられることに驚き,これを危惧している。かれらは本件を宗教道徳の問題と捉えているが,我々が行おうとしているのは,現実を見据えることである」等述べた。


(4)13日,ベルゴグリオ枢機卿及びプロテスタント教会の呼び掛けにより,約6万人が国会議事堂前に集合し,同性婚法案に反対するための抗議デモを行った。また,コルドバ市,コリエンテス市等の国内主要都市でも,司教等の指揮により同様のデモが行われた。他方,首都では,同法案に賛成する人々のデモも同時に行われた。


(5)14日,上院本会議において,下院可決案に修正を加えることなく,賛成票33,反対票27,棄権3により可決され,同性婚法が成立した。

 

2 政治改革法の実施細則公布


(1)1日付官報において,昨年12月に成立した政治改革法の実施細則を定めた政令が公布された。


(2)ランダッソ内相は,同政令公布の発表記者会見(6月30日)において,政治改革法の要点を解説し,同法による規定事項を追認する旨述べた。同内相が言及した政治改革法の要点は以下のとおり。


(ア)国政選挙に参加する全ての政党に対し,国民参加型(義務投票)の予備選挙を義務付ける。同予備選挙の実施日は8月第2日曜日(注:本選挙の実施日は10月第4日曜日)とする。


(イ)選挙連合の形成は,上記予備選挙の60日前までに行うよう義務付ける。以後,同選挙連合は本選挙まで継続されるものとし,途中での修正は認められない。


(ウ)人権侵害の前科がある者が公職に立候補することを禁じる。


(エ)所属政党から離党する際に必要な手続を簡略化する。


(オ)当該選挙区において有権者の0.4%以上の党員を有することを,政党の創設・存続の必要条件とする。


(カ)企業による政党への献金を禁じ,個人による献金のみを認める。


(キ)内務省が各政党に配分する選挙活動資金は,全政党に定額で配分される資金(50%),及び前回連邦下院議員選挙における獲得票数に比例して配分される資金(50%)の2種とする。


(ク)国営放送(テレビ・ラジオ)を通じたキャンペーンについては,内務省が各政党に対して放送枠を無料で割り当てる(注:民間放送局との契約は禁じる)。その放送枠は,全政党に均一で割り当てられる枠(50%),及び前回連邦下院議員選挙における獲得票数に比例して割り当てられる枠(50%)の2種とする。

 

3 年金及び児童手当を巡る動き


(1)13日,上院の予算委員会において,野党の推進する年金最低支給額増額法案が審議された。同法案は,年金の最低支給額を現役労働者の最低賃金の82%(現時点では1,230ペソ(月額))まで増額するものである。同委員会に召喚されたブドゥー経済相及びボッシオ国家社会保障機構(ANSES)総裁は,上記法案は財源確保が不可能であると主張し,同法案への反意を表明したが,同委員会では,同法案を承認する意見書が採択された。


(2)28日,フェルナンデス大統領は,スライド制年金法の定める年金額の定期改定につき(注:同法は2008年10月に成立した法律で,年金額を賃金上昇率等に応じて毎年3月と9月に改定する旨規定している),今年9月より,すべての年金受給者の年金額を16.9%増額する旨発表した。これにより,年金の最低支給額については,これまでの895ペソから1,046ペソ(月額)に増額されることになった。同改正を受け,野党議員等は,「政府に年金額の増額を急がせたのは,議会においてそれを執拗に要求してきた野党の功績である。今次年改正は好ましいことではあるが,増額が不十分であるため,今後とも年金額を増額する法案の審議を推進していく」旨述べた。


(3)また,上記発表において,フェルナンデス大統領は,家族手当法において定められた児童手当(注:就業者世帯のみが対象となり,支給額は各世帯の収入により異なる),及び,昨年10月に導入された失業者世帯等を対象とする児童手当(注:支給額は一律)を,いずれも22.22%増額する旨発表した。これにより,失業者世帯等を対象とする児童手当はこれまでの180ペソから220ペソ(月額)に増額されることになった。

 

4 キルチネル派の動向


(1)13日,キルチネル前大統領は,ブエノスアイレス州議会のキルチネル派議員等を召集して会合を設け,バレストリーニ・ペロン党ブエノスアイレス州支部代表の病状回復に言及し,ペロン党同州支部を再び活性化するよう呼び掛けた。また,同前大統領は,昨年の連邦議会選挙において採用した名目候補の戦略は失敗であったと述べたほか,他党の候補に勝利するためには,ペロン党全体で予備選挙を行い,ペロン党が一丸となる必要がある等の提案を行った。


(2)20日,キルチネル前大統領は,キルチネル社会開発相の主催する政治集会に出席し,演説を行った。同演説において,同前大統領は,「年金の最低支給額を最低賃金の82%まで増額すれば国が崩壊する。どこから資金を調達するのか聞かせてもらいたいものだ」等述べ,野党の推進する法案を強く批判した。


(3)26日,キルチネル前大統領は,モジャーノ労働総同盟(CGT)書記長等が主催した,故エバ・ペロン元大統領夫人の命日を記念する行事に出席し,演説を行った。同演説において,同前大統領は,キルチネル派政権期における政治・経済モデルの深化等を強調したほか,「野党は与党の政策を妨害する機械になっている」等述べ,野党を激しく批判した。

 

5 急進党の動向


(1)2日,アルフォンシン下院副議長は,次期国政選挙において自身の後援組織となる国家革命運動(MORENA)を立ち上げた。同副議長は,「私は大統領になる準備ができたと感じている」等述べた。


(2)6日,サンス急進党党首の呼び掛けにより全国急進党執行委員会の会合が設けられ,コボス副大統領及びアルフォンシン下院副議長がいずれも出席した。同会合において,コボス副大統領及びアルフォンシン副議長は,次期大統領選挙の予備選挙では,徒に票を奪い合うようなことはせず,最終的にはより有力と思われる候補者を支持するという方針で合意した。また,同会合では,これまで通り市民社会合意を重視する方針等が確認された。


(3)13日,コボス副大統領は,ブエノスアイレス州ピラール市において,同州の市長,議員等を召集して会合を設けた。同会合において,同副大統領は,「私は大統領選挙に立候補するだろう。急進党を強化するような党内予備選挙を欲する。他の候補が予備選挙を最後まで戦うならば,私も最後まで戦おう」と述べ,予備選挙におけるアルフォンシン下院副議長との対決を示唆した。


(4)22日,フェルナンデス大統領及び閣僚等が,故アルフォンシン元大統領(注:アルフォンシン下院副議長の父)の出身地であるブエノスアイレス州チャスコムス市を訪問し,公共事業の完遂を祝うと同時にアルフォンシン元大統領を追悼するための行事を行い,同行事にアルフォンシン副議長が出席した。同行事において,アルフォンシン副議長は,フェルナンデス大統領がアルフォンシン元大統領に授与した賞牌を代理として受け取った。コボス副大統領及びカリオ市民連合代表は,アルフォンシン副議長が政府主催の同行事に出席したことを強く非難した。同副議長は,「私の選挙区であるチャスコムス市で,まして私の父が追悼されるのに,出席しないわけにはいかないだろう」と述べ,行事への出席を正当化した。

 

6 その他野党の動向


(1)25日,ストルビセルGEN代表は,カリオ市民連合代表が,22日に政府主催の行事に出席したアルフォンシン下院副議長を非難したこと(上記7(4))につき,「カリオ代表が口を開くたびに野党は分断され弱体化する。これではキルチネル派を利するばかりである」と述べて批判した。翌日,カリオ代表は,市民社会合意の盟友であるストルビセル代表から上記批判を受けたことにつき,「極めて深い遺憾」を感じたと述べた。


(2)26日,ストルビセルGEN代表は,ビネル・サンタフェ州知事(社会党)と会談し,次期国政選挙での協力を約束するとともに,市民社会合意の候補者選定を急ぐべきとの意向を伝えた。翌日,ビネル知事は,次期国政選挙においてカリオ市民連合代表と選挙連合を形成する意向はない旨公言した。


(3)28日,カリオ市民連合代表は,「我々が互いを妨害し不快にさせるようであれば,市民社会合意とは別の枠組みをとることになるだろう」と述べ,市民社会合意を解消する可能性を示唆した。翌日,同代表は,「市民社会合意の2大政党は市民連合及び急進党であり,その他(注:社会党及びGEN)は取るに足らない政党である。我々は急進党,特にアルフォンシン下院副議長の勢力とは良好な関係にある」と述べた。

 

7 ペロン党反キルチネル派の動向


(1)1日,ドゥアルデ元暫定大統領,レウテマン上院議員,プエルタ下院議員,デ・ナルバエス下院議員,ソラ下院議員,ブスティ前エントレリオス州知事,ダス・ネベス・チュブット州知事等,全国のペロン党反キルチネル派の有力議員が会合を設け,次期国政選挙で提示すべき政策方針につき協議した。同会合では,憲法の堅持及び対話の強化を表明した合意文書に署名がなされたほか,正義,治安,人権,社会開発,健康,教育,及び地方分権というテーマにつき議論が交わされた。


(2)25日,ドゥアルデ元暫定大統領及びダス・ネベス・チュブット州知事は,次期大統領選挙の予備選挙を巡るそれぞれの見解を示した。ドゥアルデ元暫定大統領は,ペロン党内の予備選挙でキルチネル派候補と対決することは「実利上あり得ない」と述べ,党外で立候補するのが得策であると主張した。他方,ダス・ネベス知事は,「ペロン党の変革に挑戦せず,党外で立候補するというのは間違いである」と述べ,党内予備選挙でキルチネル派候補と対決する意向を示した。

 

8 マクリ・ブエノスアイレス市長の訴訟


(1)15日,ブエノスアイレス市連邦裁判所は,5月にオジャルビデ連邦判事により起こされた,マクリ・ブエノスアイレス市長の組織的盗聴事件への関与を巡る訴訟につき,起訴相当の議決を下した。ブエノスアイレス市議会の野党勢力は,マクリ市長に対し,無罪判決が下されるまで市長の職を休職すべきだと主張した。19日,マクリ市長は,本訴訟のために休職することはないと断言した。また,同市長は,本訴訟はキルチネル前大統領の陰謀に基づく政治的迫害であると主張し,同前大統領を非難した。


(2)21日,マクリ派は,長い月日を要する司法の判決を待っていては来年の国政選挙に支障を来すとの理由から,マクリ市長の弾劾裁判を行うための法案を,ブエノスアイレス市議会に提出した。これに対し,市議会野党勢力は,弾劾裁判では多くの議席を占めるマクリ派にとって有利に展開する可能性が高いとの理由から,弾劾裁判の実施に反対し,代わりに,本件のための特別調査委員会の設置を市議会に要求した。上記弾劾裁判法案及び特別調査委員会の設置を巡る裁定は,8月,市議会の憲法委員会を経て,本会議にて審議される見込み。


(3)カリオ市民連合代表は,連邦裁判所による起訴相当の議決を称賛し,特別調査委員会の設置への支持を表明する等,本件を巡りマクリ派と対立する立場を表明した。他方,ドゥアルデ元暫定大統領,ダス・ネベス・チュブット州知事及びソラ下院議員は,本訴訟はキルチネル前大統領の陰謀であるというマクリ派の主張を支持する立場を表明した。フェルナンデス大統領は,21日,本訴訟がキルチネル前大統領の陰謀であるというマクリ派の主張に対し,「極めて滑稽な主張である」と述べて同主張を否定した。

 

9 キルチネル夫妻の訴訟


(1)7日,カリオ市民連合代表等は,政府が,サンフアン州にて地下資源の採掘を行っている民間企業バリック・ゴールド社との間で不正な取引を交わしている疑惑があるとして,連邦裁判所に告発した。カリオ代表は,上記企業との取引が,2008年11月,フェルナンデス大統領が氷河保護法案(注:氷河地帯の環境保護のため,同地帯における地下資源の採掘等を禁じたもの)に対し拒否権を発動したことの一因となっていた疑いがあると主張した。


(2)12日,市民連合の議員等は,2004年から現在までの間に,キルチネル前大統領の資産が7倍に増加したこと等を指摘し,キルチネル夫妻が,政府の事業を受注している民間企業との間に不正な取引を交わし,また,同取引から生じた利益の資金洗浄を行っていた疑惑があるとして,エルコリーニ連邦判事に告発した。

 

III 外交

 

1 外務省人事


(1)21日,タイアナ外相辞任(6月18日)に伴い辞表を提出していたキンタナ外務副大臣(調整・国際協力担当)の後任として,オルドゥナ前外務次官補(法務・技術・官房担当)が任命された。なお,オルドゥナ前外務次官補(法務・技術・官房担当)は,タイアナ外相辞任直後に同次官補職を辞任していた。


(2)30日,ティメルマン外相は,キアラディア外務副大臣(通商・国際経済担当)を次期駐米亜大使に任命する方向で米国にアグレマンを申請中である旨発表した。

 

2 シリア


 2〜3日,訪亜したバッシャール・シリア大統領は,2日,フェルナンデス大統領と会談し,運輸,情報通信及び文化分野の3件の二国間協力協定に署名した。また,歓迎昼食会において,フェルナンデス大統領は,中東和平の重要性,亜・シリア貿易関係強化の可能性,フォークランド(マルビナス)諸島における亜の主権へのシリアの支持に対する謝意,ゴラン高原回復への亜の支持等につき演説した。

 

3 チリ


 3日,中南米カリブ諸国外相会合に出席するためベネズエラを訪問したティメルマン外相は,モレノ・チリ外相と会談し,2009年10月にフェルナンデス大統領及びバチェレ・チリ前大統領により署名された,二国間統合協力協定(マイプ協定)に定められている様々な分野での協力を推進していくことで合意した。

 

4 ウルグアイ


(1)6日,ティメルマン外相は,グアレグアイチュ市民団体との会合を持ち,ウルグウルグアイ川環境モニタリング体制に関する亜政府案につき概要を説明した。


(2)6日及び21日,アルマグロ・ウルグアイ外相が訪亜し,ティメルマン外相と会談し,ウルグアイ川環境モニタリング体制に関し協議した。


(3)28日,フェルナンデス大統領は,訪亜したムヒカ大統領と会談し,ウルグアイ川環境モニタリング体制に関し,今後30日以内に,ウルグアイ川及び同川に排水している全ての農業・産業・都市施設のモニタリングを担うことになる科学委員会を,ウルグアイ川管理委員会(CARU)内に設置する旨合意に至ったところ,同合意の概要以下のとおり。


(ア)30日以内に,それぞれの国が選定する科学者(ウルグアイ人2名,アルゼンチン人2名)から成る科学委員会を,CARU内に設置する。科学委員会の任務は,ウルグアイ川及び同川に排水している全ての農業・産業・都市施設のモニタリングを実施することである。


(イ)ウルグアイ川のウルグアイ側におけるモニタリングを実施する場合には,ウルグアイ環境局(DINAMA)が科学委員会と共に,CARU及びウルグアイの規則に従い実施する。ウルグアイ川の亜側におけるモニタリングを実施する場合には,亜担当機関が科学委員会と共に,CARU及び亜の規則に従い実施する。


(ウ)それぞれの国の担当機関は,サンプルを2部ずつ採取し,1部については採取した場で科学委員会に提出する。ウルグアイ川への排水及び排気ガスのモニタリングのために,双方が利用を合意した科学技術が用いられる。


(エ)科学委員会によるコントロールのための各施設内への立ち入り回数は,施設毎に年最大12回までとする。


(オ)モニタリングによって得られた情報は公開される。科学委員会により得られた結果・結論は,CARU及び該当する国に提出される。


(カ)科学委員会によるモニタリングは,UPM社製紙工場から開始され,続いてウルグアイが選定する亜側にある1施設のモニタリングが実施される。その後は,ウルグアイ側,亜側とで交互に実施される。

 

5 米国


(1)7日,ティメルマン外相は,クリントン米国務長官と電話会談し,二国間・多国間テーマについて協議するとともに,近々両者間の会談を開催することで合意した。


(2)8日付亜外務省プレスリリースは,亜政府が,メキシコ湾における原油流出事故に関し,米国からの要請を受け,流出原油の拡散を防止するためのフェンス及び高速大量処理フィルターを提供済みであり,科学者・技術者チームの派遣,人道支援,大洋沿岸・生態系保全のための計画立案に従事する特別チームの編成についても協力を提供した旨発表した。

 

6 南米諸国連合(UNASUR)


(1)6〜7日,キルチネルUNASUR事務局長は,チリを訪問し,ピニェラ大統領,バチェレ前大統領,ラゴス元大統領,エンリケス=オミナミ前大統領候補,ピサロ上院議長等と会談し,チリ国会によるUNASUR設立条約批准承認を働きかけた。


(2)29日,UNASUR特別外相会合に出席するためエクアドルを訪問したティメルマン外相は,パティーニョ・エクアドル外相に対し,UNASUR設立条約批准書を寄託した。これにより,亜は,UNASUR設立条約を批准した第6番目の国となった。

 

7 中国


 11〜15日,亜企業関係者70名以上を率いて中国を訪問したフェルナンデス大統領は,13日,胡錦濤中国国家主席と会談し,二国間関係,国際テーマ,地域テーマにつき協議した。フェルナンデス大統領は,胡錦濤主席に対し,前回の中国訪問予定が亜内政上の理由で延期となったことにつき謝罪するとともに,今次訪問により二国間関係は一層強化されると確信している旨述べた。一方,胡錦濤主席は,フェルナンデス大統領を,二国間関係強化に尽力してきた偉大な友人であるとし,今後の二国間関係進展への期待を表明した。同会談後,両者は,二国間協定等12件の署名式に出席したところ,締結された協定等は以下のとおり。なお,フェルナンデス大統領は,中国訪問中,中国企業関係者との懇談,上海万博の視察等も実施した。


(ア)共同声明
(イ)二国間貿易投資関係拡大・多様化のための覚書
(ウ)交通・インフラ分野における協力協定
(エ)漁業分野における協力協定
(オ)中国産装飾用竹の輸入のための植物衛生議定書
(カ)亜産梨・林檎の輸出のための植物衛生議定書附属書
(キ)亜国営エネルギー会社(ENARSA)・中国石油化工集団公司(SINOPEC)間の協力覚書
(ク)ENARSA・中国水利水電建設集団公司(SINOHYDRO)間の覚書
(ケ)亜ナシオン銀行・中国開発銀行間の融資に関する覚書
(コ)亜公共事業省運輸庁・中国機械設備進出口総公司(CMEC)間の亜ベルグラーノ貨物線復旧・近代化のための契約(投資総額100億米ドル)
(サ)亜経済省・中国開発銀行間の亜ベルグラーノ貨物線復旧・近代化のための融資に関する枠組協定
(シ)亜ベルグラーノ貨物線復旧・近代化のための4者間協力枠組協定

 

8 イスラエル共済組合(AMIA)会館爆破事件16周年追悼式典


 16日,ブエノスアイレス市内のAMIA本部において,AMIA会館爆破事件16周年追悼式典が開催された。同式典には,遺族やユダヤ・コミュニティーのほか,キルチネル前大統領(UNASUR事務局長),コボス副大統領,フェルナンデス首相,ガルソン・スペイン判事(停職中)等が出席した。また,同式典において,遺族代表,ガルソン判事等が演説を行った。ユダヤ・コミュニティー及び遺族は,亜政府に対し,AMIA会館爆破事件の真相究明,同事件の責任者の処罰に関するより一層の尽力を要求した。

 

9 ベネズエラ・コロンビア外交関係断絶問題


(1)23日,ティメルマン外相は,マドゥーロ・ベネズエラ外相,パティーニョ・エクアドル外相及びベルムデス・コロンビア外相とそれぞれ電話会談を行い,ベネズエラ・コロンビア間外交関係断絶問題につき意見交換を行うとともに,引き続き緊密な連絡を保つことで合意した。


(2)24日,キルチネルUNASUR事務局長は,ベネズエラ・コロンビア間外交関係断絶問題の解決のために尽力する意向を表明した。


(3)26日,訪亜したサントス次期コロンビア大統領は,フェルナンデス大統領及びキルチネルUNASUR事務局長とそれぞれ会談した。フェルナンデス大統領とサントス次期大統領は,二国間及び地域のテーマについて協議し,中南米の統合強化のために尽力することを約束した。また,キルチネルUNASUR事務局長は,会談後に記者会見を行い,米州地域における各国の共存のために尽力していく旨表明した。


(4)27日,訪亜したマドゥーロ・ベネズエラ外相は,フェルナンデス大統領及びキルチネルUNASUR事務局長と会談し,ベネズエラ・コロンビア間外交関係断絶問題につき協議した。同会談に同席したティメルマン外相は,記者会見を行い,「亜は,サントス次期大統領やマドゥーロ外相から聴取した情報に基づき,中南米における和平の構築及び地域統合の強化に向けて,これまでと同様に尽力していく所存である。亜は,今般の兄弟国同士の問題について,両国が平和のための道筋と対話の可能性を見つけることができるよう,最大限協力していきたい。」等述べた。


(5)29日,ティメルマン外相は,エクアドルを訪問し,ベネズエラ・コロンビア間外交関係断絶問題につき協議するため開催されたUNASUR特別外相会合に出席した。同外相は,会合前に,当事国双方の意見を聞いて平和的解決に至ることが今次会合の唯一の目的である旨述べた。

 

10 クウェート


 27〜29日,訪亜したナーセル・クウェート首相は,27日,フェルナンデス大統領と会談した。同会談後,両国は,両国外務省間の協力メカニズムに関する覚書,文化・芸術協力協定,技術協力・科学技術協力協定,及び環境・持続可能は発展分野における覚書に署名した。

 

11 エジプト


 29〜8月3日,訪亜したラシード・エジプト通産相は,29日,ティメルマン外相と会談したほか,29〜30日,ティメルマン外相とともに第2回亜・エジプト合同委員会会合に出席した。同会合では,亜・エジプト間三角協力覚書案,通関協力協定案,貿易促進協力協定案等につき協議された。

 

12 要人往来


(1)往訪

2〜3日 ティメルマン外相のベネズエラ訪問(中南米カリブ諸国外相会合に出席,マドゥーロ・ベネズエラ外相及びモレノ・チリ外相と会談)
6〜7日 キルチネルUNASUR事務局長のチリ訪問(ピニェラ・チリ大統領等と会談)
11〜15日 フェルナンデス大統領の中国訪問(胡錦濤中国国家主席等と会談)
29日 ティメルマン外相のエクアドル訪問(UNASUR特別外相会合に出席)

 

(2)来訪

2〜3日 バッシャール・シリア大統領(フェルナンデス大統領と会談)
6日 アルマグロ・ウルグアイ外相(ティメルマン外相と会談)
21日 アルマグロ・ウルグアイ外相(ティメルマン外相と会談)
23日 イドラック仏貿易担当相(デビード公共事業相と会談)
26日 サントス次期コロンビア大統領(フェルナンデス大統領及びキルチネルUNASUR事務局長と会談)
27日 マドゥーロ・ベネズエラ外相(フェルナンデス大統領及びキルチネルUNASUR事務局長と会談)
27〜29日 ナーセル・クウェート首相(フェルナンデス大統領と会談)
28日 ムヒカ大統領(フェルナンデス大統領と会談)
29〜8月3日 ラシード・エジプト通産相(ティメルマン外相と会談)

 

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