政治情報
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2014年4月アルゼンチンの政治情勢(内政・外交)

2014年5月作成
在アルゼンチン大使館

1 概要


(1)内政:5日,ブエノスアイレス州の深刻な治安状況を前に,シオリ・ブエノスアイレス州知事は,同州における12か月間の治安緊急事態宣言を発出した。10日,反政府系労組団体を中心とした24時間ストライキが,全国各地で行われ,ブエノスアイレス市内では,バス,地下鉄及び鉄道が全面運行停止し,市民の通勤・通学等に大きな影響を与える結果となった。22日,野党8党は,ペロニズムの対抗(代替)勢力として,中道左派のUNEN拡大戦線(Frente Amplio UNEN)を結成する式典を開催した。

 

(2)外交:2日,マルビナス戦没者追悼記念日に際し,フェルナンデス大統領は,式典にて,フォークランド(マルビナス)諸島がNATOの軍事基地となっていることや,同諸島の領有権問題解決に向けた交渉に応じない英国政府の姿勢を非難すると同時に,同諸島への亜の権利を主張する演説を行った。22日〜24日にかけて,王毅中国外交部長が訪亜し,23日にフェルナンデス大統領表敬,ティメルマン外務大臣他,亜政府閣僚との会談を実施し,宇宙インフラ分野の協定に署名すると共に,習近平国家主席の訪問について合意した。28日〜29日にかけて,ティメルマン外務大臣はイスラエルを訪問し,28日,ヤド・バシェム(ホロコースト記念博物館)にて開催された「ホロコーストの日」追悼式典に列席し,献花を行った後,ペレス・イスラエル大統領,次いでリーベルマン・イスラエル外務大臣と会談した。

 

 

2 内政


(1)シオリ・ブエノスアイレス州知事による治安対策の発表

 

 5日,頻繁に報じられているブエノスアイレス州の深刻な治安状況を前に,シオリ・ブエノスアイレス州知事は,同州における12か月間の治安緊急事態宣言を発出し,装備品の購入,新たな拘置所・刑務所の建設,退職した警察官と看守の中から一定の要件を満たす者の警官としての1年間強制徴集,州法改正,州内各市の規則制定,パトロール隊の配備拡大をはじめとする一連の治安対策を発表した。

 2015年の大統領選挙の有力候補者の一人と目されるシオリ知事の今次発表に対し,同様に有力候補者と目されるマサ下院議員やマクリ・ブエノスアイレス市長は,協力姿勢を示した上で,自らの治めている自治体(マサ議員は当選前はティグレ市長を務めていた)でそれぞれが既に実行した取組がシオリ知事の参考になると宣伝し,実際に実行が伴うことが重要であると指摘した。他方,政府や他のキルチネル派要人の間では,係るシオリ知事の取組に対して,カピタニッチ官房長官をはじめとする不支持派と,ランダッソ内務・運輸大臣等の支持派に意見が割れた。

 

(2)反政府系労組団体を中心とした24時間ストライキの実施

 

 10日,反政府系労組団体(労働総同盟(CGT)モジャーノ派(モジャーノ・トラック労組代表が率いるグループ),「CGT青と白」(バリオヌエボ飲食業労組代表が率いるグループ)及び亜労働者連盟(CTA)ミチェリ派の反政府派3グループ)を中心とした24時間ストライキが,全国各地で行われた。ブエノスアイレス市内では,バス及び鉄道が全面運行停止,地下鉄についても,当初B線のみの運行停止予定であったが,その他の路線もスト関係者による運行妨害を理由に,全線が運行停止となった。タクシーは運行していたが,通常のようにメーターを下ろしてメーターの示す料金を支払うのではなく,客との相対の交渉で料金が決められていた。また全国の空港で国内線が運休,国際線では運休ないしは遅延が生じた。港湾関係もストライキに参加し,港湾活動は停止。トラック等の運休により,銀行は窓口対応のみとなり,ガソリンスタンドはガソリンの補給がなされない,ゴミが収集されないといった問題も発生。公立病院は最低限の対応のみ。また公共交通機関のストライキにより,官公庁が開庁していても役人が出勤できない,学校が開校していても先生・生徒が来られない,店を開いていても店員が来られない,客がいないといった状況も見られた。ブエノスアイレス首都圏以外についても,今次ストライキは,コルドバ,サンタフェ,メンドサ等,特に大都市を中心として全国で大きな影響を与えた。なお,ラ・リオハ州,サンティアゴ・デル・エステロ州,ネウケン州についてはほとんどストライキの影響はなかった。また,ストライキに併せ,左派・社会運動団体による道路封鎖が,ブエノスアイレス市内を含むブエノスアイレス首都圏を中心に50か所以上で行われた。但し,これにより暴力行為に発展したのは1か所のみであった。

 10日午後,モジャーノ労働総同盟(CGT)書記長,ミチェリ亜労働者連盟(CTA)代表及びバリオヌエボ「CGT青と白」書記長は,共同記者会見を開き,今次ストライキへの高い参加率を強調するとともに,「全国で(労働者の)95%(ママ),場所によっては98%(ママ)が今次呼びかけに参加した。(社会が麻痺したのは)国民が道路封鎖のために職場に向かえなかったからと信じさせようとする者(注:政府側を指す)がいるが,それは全くの嘘だ。これは明確なメッセージを伝える国民の意思であると,我々は理解している。インフレ,購買力低下,治安,給料,所得税,年金問題に関して政府の回答がないことに対する国民の抗議と幻滅が示された。政府がこれらの要求の重要性を理解し,回答を示すことを期待する。回答がない場合は,新たな行動をとる可能性は常にある」と述べた。

  本件に関し,カピタニッチ官房長官が,(今回の24時間ストは)交通機関のストライキを伴う全国的な封鎖(ピケ)であり,これにより仕事に行きたい人々の交通を妨げた旨述べた他,国民の評判の悪い労組指導者の一人であるバリオヌエボ「CGT青と白」書記長を今次抗議活動の中心人物に位置づけると共に,マサ下院議員のストへの関与を強調した。また,ランダッソ内務・運輸大臣は,(労働者に)ストライキの権利はあるが,仕事に行く権利もあり,国民に職場に向かうか否かを選択する可能性が与えられないことは恥ずべきことである旨述べると同時に,同日夜,政令に署名し,今次ストライキに参加し運休したバス会社に対し,ストの際の運休回数に相当する補助金をカットすることを明らかにした。

 

(3)2015年大統領選挙に向けた中道左派野党連合の結成

 

 22日,野党8党(急進党(UCR),社会党,GEN,南の自由(Libresdel Sur),市民連合(Coalicion Civica),南プロジェクト(Proyecto Sur),真社会主義(Socialismo Autentico),コルドバ市民戦線(Frente Civico de Cordoba))は,ペロニズムの対抗(代替)勢力として,中道左派のUNEN拡大戦線(Frente Amplio UNEN)を結成する式典を開催した。

 右式典において,2015年選挙の大統領選挙及び国会議員選挙の同拡大戦線の候補者を予備選挙(PASO)で決定すること,各選挙区の特徴を尊重しながらUNEN拡大戦線の基盤を全国に拡大することなどに加え,政権目標として,完全雇用の促進,社会インフラ投資の秩序確立,マクロ経済の安定,租税改革の促進,科学の発展のためのアジェンダ策定,地域開発の促進,機構強化,環境政策の促進,メルコスール及びUNASURの強化などを掲げるUNEN拡大戦線結成文書が発表され,各党代表2名により署名が行われた。他方,同式典においては,いずれの代表者も演説を行わず,式典自体は1時間にも満たない短時間なものであった。

 

(4)デ・ラ・ソタ・コルドバ州知事の訪米

 

 25日〜30日にかけ,2015年の大統領選挙の候補者の一人と目されているデ・ラ・ソタ・コルドバ州知事(反キルチネル派のペロニスタ)が米国を訪問した。今次訪米中,デ・ラ・ソタ・コルドバ州知事は,28日,ウィリアム・オスティック米国務省西半球局南米南部・ブラジル部長と会合し,麻薬対策における協力を取り付けた他,ケニス・ハイヤット米商務次官補(国際通商担当)との会合やインターアメリカン・ダイアログにおける講演を行った。29日には米国商工会議所での企業家との会合,マット・サルモン共和党議員との会合を行った。同州知事は,2015年の大統領選挙では刷新議員の大統領候補選に参加することが一つの選択肢であると述べると共に,PJの大統領候補選に参加する可能性も示唆した。

 

(5)治安問題:犯罪者に対する暴行(リンチ)

 

 強盗やひったくり等を目撃した一般市民が,自ら犯人を捕らえ,犯人に暴行(リンチ)を加える事件が多発している現状に関し,1日,フェルナンデス大統領は,ツイッター上で「排除の傾向が強まるほど(ママ),多くの暴力行為や,亜国民間での対立が増える。我々はこのような事態を回避したい」と発言した。本件に関し,マサ下院議員(元ティグレ市長で大統領候補者の1人)が,このような暴行(リンチ)が発生する原因は,国家(政府)の(存在の)不在によるものであると述べたことに対し,カピタニッチ官房長官は,このような(全責任を政府に押しつける)理論は,不合理に(物事を)単純化する傾向であると指摘した。右発言に対し,マサ下院議員は,治安問題への取り組みに関する政府からの回答を再度要請した。なお,3日,教会,最高裁判所副所長及びNGOは,国内各地で発生しているこのような犯罪者に対する暴力(リンチ)を拒絶する姿勢を表明した。

 

 

 

3 外交

 

(1)フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題

 

(ア)マルビナス戦没者追悼記念日式典

 2日,マルビナス戦没者追悼記念日に際し,フェルナンデス大統領は,大統領府の「マルビナスの中庭」で開催された式典にて,フォークランド(マルビナス)諸島がNATOの軍事基地となっていることや,同諸島の領有権問題解決に向けた交渉に応じない英国政府の姿勢を非難すると同時に,同諸島への亜の権利を主張する演説を行った。また,ブエノスアイレス市内では,市内のカテドラルでのブエノスアイレス大司教であるポリ枢機卿によるマルビナス戦没者追悼記念ミサ(マルビナス戦争で戦った元兵士の列席)や,写真展開催等,関連行事が行われた。

 

(イ)マルビナス諸島をデザインした新50ペソ札の発行

 2日,大統領府1階の「マルビナスの中庭」で実施されたフェルナンデス大統領主催の式典にて,フェルナンデス大統領は,マルビナス戦没者を讃え,青と水色の色彩で,マルビナス諸島の輪郭,大西洋沿岸に生息する典型的な鳥である鵜及び,ガウチョ・リベロ(1833年の英国によるマルビナス諸島侵攻の際に,最後まで抵抗した亜の英雄)がデザインされた新50ペソ札を発行する旨発表した。右発表に際し,フェルナンデス大統領は,「(今次紙幣発行の)決定は,法定紙幣と同様に,本来(マルビナス諸島について亜に)備わっている主権要素に対する平和的主張によるものである。また,右は,我々の権利の歴史的,社会的,政治的要求に基づく行為である」と述べた。亜造幣局の情報によると,同紙幣が巷に流通するまでには数ヶ月を要する由。

 

(ウ)英国への抗議文発出

 11日,亜政府は,「14日〜27日にかけて,フォークランド(マルビナス)諸島で,英国がミサイル発射を含む軍事訓練を行う」というティメルマン外務大臣からの告発に基づき,英国に対し「強い抗議文」を発出した。また,記者会見にて,ティメルマン外務大臣は,スアイン筆頭外務副大臣に,フリーマン駐亜英国大使を外務省に呼び,抗議文を手交するよう指示を出したと発表すると同時に,このような英国の行動は,英国による国連決議無視の姿勢を新たに示すものであると述べた。

 

(エ)スアイン筆頭外務副大臣のパプアニューギニア訪問

 2日,パプアニューギニアを訪問したスアイン筆頭外務副大臣は,国連脱植民地化特別委員会での,フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題に関するパプアニューギニア政府による亜政府の立場支持に対し謝意を表明した。

 

(オ)スアイン筆頭外務副大臣のパキスタン訪問

 8日,パキスタンを訪問したスアイン筆頭外務副大臣は,フセイン・パキスタン大統領と会談し,フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題における亜の立場に対するパキスタン政府からの支持に対し謝意を表明した。

 

(カ)ティメルマン外務大臣のパラグアイ訪問

 21日,ティメルマン外務大臣のパラグアイ訪問中に実施された亜・パラグアイ二国間外務大臣会合にて,ロイサガ・パラグアイ外務大臣は,フォークランド(マルビナス)諸島への主権に関する亜政府の主張に対するパラグアイ政府の支持を表明した。

 

(キ)インドからの亜政府の立場に対する支持表明

 9日,亜を訪問したクラー・インド外務次官は,フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題におけるインド政府の亜政府の立場支持を表明した。ブドゥー副大統領との会合の際には,同副大統領は,本件に関するインド政府からの支持に対し感謝の意を表した。

 

(ク)中国からの亜政府の立場に対する支持表明

 22日〜24日にかけて,訪亜した王毅中国外交部長は,23日,ティメルマン外務大臣との会合において,「我々はこれまでの道を継続し,信頼と相互支持に向けての新しい地平を開くことを希望する」と述べ,「マルビナス諸島のアルゼンチンの所有との立場への(en la posicion de la posesion de la Argentina en las Islas Malvinas)」支持を繰り返し表明した。右に対し,ティメルマン外務大臣は,「マルビナス諸島への(亜の)正当な要求における中国政府の常なる支持に対する亜国民の感謝の念」を示すと共に,「兄弟国の領土の一体性に関し,「ひとつの中国」政策を支持し続けるとの我々の信念」を強調した。

 

(2)中国

 

 22日〜24日にかけて,王毅中国外交部長が訪亜し,23日にフェルナンデス大統領表敬(カピタニッチ官房長官,ティメルマン外務大臣,キシロフ経済・財務大臣,デビード公共事業大臣,Hengmin Yin在亜中国大使,Zhiliang Shen中国外交部ラテンアメリカ・カリブ司長同席)及び,ティメルマン外務大臣他,亜政府閣僚との会談を行った。ティメルマン外務大臣,デビード公共事業大臣及びキシロフ経済・財務大臣は,王毅中国外交部長と会合し,習近平国家主席の訪問(一部報道では7月19日とされている)について合意した。  

 会合後,デビード公共事業大臣と王毅中国外交部長は,中国国外では初となる,ネウケン州での「中国深宇宙(観測)ステーション」の建設及び運用のための協力協定に署名した。中国の惑星間探査ミッションのデータ受信,管理及びモニターを目的とする右施設は,深宇宙への中国の活動の管理ステーションとなるものであり,中国国営企業CLTによって建設され,モニターされる。今次協定署名により,亜は,国内及び地域・国際協力のプロジェクト実施を目的とした(同施設の)アンテナ利用,惑星間探査プログラへの参加を通じ,限られた数の宇宙探査国の一員に加わることが可能となる他,アンテナ建設のために多くの国内労働者との契約が期待されている。

 

(3)イスラエル

 

 28日〜29日にかけて,ティメルマン外務大臣(ユダヤ人)はイスラエルを訪問し,28日,ヤド・バシェム(ホロコースト記念博物館)にて開催された「ホロコーストの日」追悼式典に列席し,献花を行った後,ペレス・イスラエル大統領,次いでリーベルマン・イスラエル外務大臣と会談した。亜・イスラエル外務大臣会談では,パレスチナ和平における問題についてイスラエル側から説明があったのに対し,ティメルマン外務大臣は,双方の国民が求める和平と治安が達成されることを望む旨表明した。また,教育及び映画に関する協力協定2本が締結された。29日,リブニ・イスラエル法務大臣(パレスチナ和平首席交渉官)とのワーキングランチが実施され,リブニ・イスラエル法務大臣は,中東での紛争に関するラテンアメリカでの関心及びビジョンに関心を示した模様。

 

(4)イラン

 

 28日,イスラエルを訪問したティメルマン外務大臣は,1994年のイスラエル共済組合(AMIA)会館爆破事件解決に向けたイランとの覚書に関し,「同覚書についてイスラエル(政府)と交渉することはない。関心事項としてテーマに挙げることはあっても,協議することはない。なぜなら,決断するのは被害を被った国であるからだ。イスラエルとパレスチナ間の和平交渉と同様に,本件AMIA会館爆破事件は,亜のテーマである」と発言した。また,ペレス・イスラエル大統領との会談にて,同覚書については触れられなかった旨述べた。

 

(5)コスタリカ

 

 7日,亜政府は,6日の大統領選挙で選出されたルイス・ギジェルモ・ソリス新コスタリカ大統領に対する亜政府及び亜国民の祝意を表明した。また,亜政府は,亜・コスタリカ二国間の伝統的友好関係及び協力関係の深化に向け,5月8日に就任予定のソリス新コスタリカ大統領と協働していく意思を表明した。

 

(6)パラグアイ

 

 21日,パラグアイを訪問したティメルマン外務大臣は,カルテス・パラグアイ大統領表敬及び,ロイサガ・パラグアイ外務大臣との会合を実施した。ロイサガ・パラグアイ外務大臣との会合では,ヤシレタ水力発電所の契約をめぐる再交渉を開始することで合意した。また,会談後の共同宣言にて,亜・パラグアイ両国外務大臣は,二国間関係は深まっており,11月には,第2回二国間大臣・国境を接する県の県知事会合を開催予定である旨発表した他,今次会合では,国境地帯での交流活発化,インフラ発展,人・商品の往来のコントロール最適化について協議した旨述べた。

 

(7)チリ

 

 14日,亜政府は,チリのバルパライソでの火災による被災者に対し弔意及び連帯を表明した他,消火活動の為の航空機6機及び偵察機1機,地上での活動に携わる25名の軍人を派遣した。なお,バチェレ・チリ大統領は,この火災発生に伴い,15日に予定されていた訪亜を5月12日に延期した。

 

(8)パキスタン

 

 8日,パキスタンを訪問したスアイン筆頭外務副大臣は,フセイン・パキスタン大統領と会合した。亜外務省が発出したプレスリリースによると,フセイン・パキスタン大統領は,2001年のデフォルトからの亜の復活に対し,フェルナンデス大統領に祝意を伝えるよう依頼した由。今次訪問中,スアイン筆頭外務副大臣は,パキスタン側の閣僚(外務大臣,下院議長,上院外交委員長,亜パキスタン友好議連議員(下院))と会合した他,第3回亜・パキスタン二国間政策協議が開催され,二国間関係における主要テーマの見直し及び,投資促進,文化協力に関する2件の合意文書への署名が行われた。

 

(9)インド

 

 9日,亜を訪問したクラー・インド外務次官は,大領府にてカピタニッチ官房長官と会合し,将来的な亜におけるインド企業の投資及びインドにおける亜企業の投資の定着に関し分析した他,亜産果物及び野菜のインド市場への輸出に関し協議した。また,クラー・インド外務次官は,スアイン筆頭外務副大臣と共に,第1回亜印二国間政策協議を開催した。亜外務省発出のプレスリリースによると,今次協議により,原子力の平和的利用における協力,宇宙開発,防衛,文化・教育,投資・貿易促進,南南協力に関する交渉において,重要な進展が見られた模様。

 

(10)アラブ首長国連邦

 

 24日,ムハンマド・アラブ首長国連邦副大統領・首相・ドバイ首長が訪亜し,同日正午,大統領官邸においてフェルナンデス大統領との会談,アラブ首長国連邦における原子力エネルギーの平和的利用における協力のための両国間覚書の署名式が実施された。また,同副大統領からフェルナンデス大統領に対し,ドバイ公式訪問への招待が伝達された。署名式の後,フェルナンデス大統領は,「今次合意は,両国の(より)深化した協力関係の始まりである。我が国は,不拡散の基準の下,原子力エネルギーを生産することのできる少数かつ独占的な国々の一員であり,このことから,我が国との署名は,科学面における質の確かさだけではなく,安全性,原子力エネルギーの平和的利用と平和の再確認も意味する」と述べた。また,同大統領は,「今次会合では,両国経済の補完性,アルゼンチンへの投資及び食糧安全保障に関連するプロジェクトの実施に対するア首連の大きな関心,その他両国関心事項について話し合った。また,投資するア首連及び投資を受けるアルゼンチンの利益を保護することを目的に,他国と結ばれたのと同様の協定の署名について検討する下部委員会を設置することが合意された」と述べた。

 デビード公共事業大臣及びアブダッラー・ア首連外務大臣との間で署名された同覚書の主な目的は,核不拡散という両国共通の約束を再確認しつつ,平和目的の原子力エネルギープログラムの開発と実施における協力促進及び,政府間の枠組みでのア首連における技術的な安全性改善である。なお,2013年1月にフェルナンデス大統領がア首連を公式訪問した際,アブダビにおいて,平和目的の原子力エネルギーの開発と利用における協力を促進するための二国間協定が署名されている。

 今次覚書により,両国が,原子力エネルギーの平和的利用における,ア首連における原子力エネルギーの安全かつ一体的な開発のための教育及び人的能力開発,原子力廃棄物の扱い,技術的な安全性確保,企業の参加とア首連の民間原子力プロジェクトへの参加等,の分野での協力について合意し,原子力エネルギーの平和的利用に関する科学技術情報の交換,セミナー等の開催,科学者・技術者育成,共同プロジェクト,共同開発・調査の促進,プロジェクトや研究に対する技術支援,指導書の作成を含む原子力施設の運営維持に関する経験の交換といった形で協力が実施される見込みである。なお,同協力の有効期限は覚書の署名から5年間である。

 

(11)要人往来

 

(ア) 往訪

 

2日 スアイン筆頭外務次官のパプアニューギニア訪問
5日 ティメルマン外務大臣及びデビード公共事業大臣のチリ訪問(マイプ条約の枠組みにおける亜・チリ二国間大臣会合出席)
5日〜8日 ランダッソ内務・運輸大臣の米国訪問(国連交通安全会議出席)
7日〜8日 ティメルマン外務大臣のベネズエラ訪問(UNASUR諸国8ヵ国外務大臣会合出席)
8日 スアイン筆頭外務副大臣のパキスタン訪問
10日〜13日 キシロフ経済・財務大臣の米国訪問(IMF春季会合出席)
21日

ティメルマン外務大臣のパラグアイ訪問

23日 ブドゥー副大統領及びメイヤー観光大臣のブラジル訪問(サンパウロでの「カサ・アルヘンティーナ」(観光,貿易,産業,文化活動促進を目的とした施設)竣工式列席)
24日〜25日 ロッシ国防大臣のベネズエラ訪問
25日〜30日 デ・ラ・ソタ・コルドバ州知事の米国訪問
27日 ティメルマン外務大臣のバチカン訪問(亜代表団と共に,ヨハネス23世及びヨハネ・パウロ2世の列聖式出席)
28日〜29日 ティメルマン外務大臣のイスラエル訪問
29日 モリーナ薬物依存症予防・麻薬取引対策局(SEDRONAR)長官の米国訪問(全米麻薬濫用取締委員会(CICAD)会合出席)
29日 キシロフ経済・財務大臣及び,ジョルジ産業大臣のブラジル訪問

 

(イ)来訪

 

(以下の日程で下記要人が当地で会談等を実施したとの情報あり)

 

1日 アセベドWTO事務局長
8日 カリカルテ・キューバ貿易・経済協力次官
9日 クラー・インド外務次官
10日 ブルゴス・バレラ・チリ国防大臣
12日〜15日 ゼルボ包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)事務局長
14日 ハンビサ・ボンサ・エチオピア科学・産業・教育大臣
14日 ルポIDB南米南部諸国局長
15日 アモリン伯国大臣防
22日 ボルヘス伯産業・貿易大臣,アウレリオ・ガルシア伯大統領顧問,カファレリ伯財務次官
23日 グリーンスパン・イベロアメリカ事務局(SEGIB)事務局長
22日〜24日 王毅中国外交部長
24日 ムハンマド・アラブ首長国連邦副大統領・首相・ドバイ首長
25日 ロンドーニョ・コロンビア外務次官