1 概要
(1)内政:第131回通常国会開会式が行われ,フェルナンデス大統領は,債務再編問題,イスラエル共済組合(AMIA)会館爆破事件,フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題,司法の民主化などに関し,3時間40分に亘る一般教書演説を行った。連邦控訴裁判所は,クロアチア及びエクアドルへの武器の密輸容疑で,メネム元大統領に対し有罪判決を下した。経済・財政省の国内取引庁とスーパーマーケット連合の代表等は,4月1日までとされていた亜国内の主要なスーパーマーケットにおける価格凍結を,6月1日まで延長することで合意した。
(2)外交:ブエノスアイレス大司教のホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿が第266代ローマ法王に選出されたことを受け,フェルナンデス大統領はバチカンを訪問し,新ローマ法王と会談した他,新法王の就任式に参列した。フォークランド(マルビナス)諸島にて,同諸島住民が「フォークランド諸島が現状のまま英国の海外領土としての政治的地位を維持することを望むか」という質問に回答する住民投票が実施され,投票者の99.8%が,英国の海外領土としての地位を維持することを望むと回答する結果が出た。チャベス・ベネズエラ大統領の逝去の知らせを受け,フェルナンデス大統領が閣僚等とともに弔問のためにカラカスを訪れた。ティメルマン外相が米国を訪問し,ワシントンにてビル・バーンズ米国務副長官と会談,ニューヨークにおいて潘基文国連事務総長と会談した。
2 内政
(1)第131回通常国会開会式
(ア)1日,第131回通常国会開会式が開催され,フェルナンデス大統領は3時間40分に亘り一般教書演説を行った(注:今次一般教書演説はフェルナンデス政権誕生以降,最長のものとなった)。演説内容は以下の通り。
(イ)冒頭
第131回通常国会は特別な意味をもっている。それは本年が亜の民政移管30周年(12月10日)とキルチネル派政権誕生10周年(5月25日)という2つの重要な記念の年だからである。
(ウ)「勝利の10年」(Decada ganada)
(@)(2003年のキルチネル派政権の発足から2013年までの)成長と発展の10年を,自分(「フェ」大統領)は「勝利の10年」と命名する。右は4千万人の亜国民の社会的,経済的,文化的,民主的平等の回復における「勝利」である。
(A)「勝利の10年」の証拠は数多くある。まず雇用では,社会的包摂を伴う経済成長により,亜の正規雇用者数は過去38年間で最高となった。失業率は67%下がり,昨年の第4四半期のデータでは6.9%となっている。最低賃金は1,338%増加し,現在は月額2,875ペソとなっているが,右数字は中南米諸国において最高水準である。また,亜では年金受給対象者の94.3%が年金を受け取っているが,これも中南米諸国で最高水準である。その他,児童手当及び家族手当の給付拡大,教育機関におけるネットブックの配布プロジェクト,社会住宅の建設,貧困率及び極貧率の低下等も実現した 。
(エ)科学技術
亜の人口1,000人当たりの科学技術者数は3人で,中南米諸国の中で最も多く,自分(「フェ」大統領)は亜大統領として同事実を大変誇りに思う。世界レベルでは日本がトップであり(人口1,000人当たり10人),その次に米と仏が続く。ちなみに伯は1.4人,ウルグアイは1人,チリは0.7人である。
(オ)債務再編問題
(@)国際破産法というものは存在しないが,各国は国内法としての破産法を有している。亜では,ある会社が倒産した場合,同社の債券保有者の66%が債務再編に応じれば,裁判所は右破産を認め,同再編額が債権者に支払われることになる。我々亜国民は,2001年に史上最大規模のデフォルトを経験したが,今日,緊縮財政等を実施し,何とかして債務危機からの脱却を遂げようとしている(欧州)諸国も,認めたくはないだろうが,早晩,大規模な債務再編を強いられることになるであろう。
(A)(債務再編問題に関し)亜は世界のリーディング・ケースである。右は経済分野にとどまる話ではなく,政治分野においても同じ事が言える。G20等の世界のリーダー国や国際機関は,(ハゲタカ・ファンドのような)一握りの人々の思うがままにさせることが,社会に如何なる悲劇を生み出すのか,よく自覚すべきである。
(B)亜は債務再編に応じなかった債権者にも債務を支払う用意があるが,その額は,亜を信用し,亜(の将来に)に賭けてくれた93%の新債券保有者(債務再編に応じた人々)の受取額を上回ることにはならない。そうしないと,亜政府は債務再編に関する2つの国内法に違反してしまうだけでなく,債務再編に応じた93%の人々を欺くことになってしまう。(ハゲタカ・ファンドの)要求通りに支払えば,(93%の人々からも同額を要求されることになり)亜は再びデフォルト状態に陥ってしまうであろう。
(C)数日前(2月27日)に,米国連邦第2巡回区控訴裁判所において,残存債務問題に関する口頭弁論が行われたが,同問題は,亜だけにとどまる話ではなく,また,財界だけにとどまる話でもない。全亜国民の大統領として,この場ではっきりと申し上げたいことは,我々は,2005年以降ずっとそうしてきたように,今後も債務をドルで返済し続けていくということである。また,亜政府は国内法に違反することも,93%の債権者を裏切る行為も行わない。93%の債権者と同額を同じ返済ペースで支払うことが,(パリパス条項の言う)平等と正義に該当するからである 。
(カ)州知事及び農牧団体批判
(@)現政権は,州財政の健全化のため,州債務の削減を積極的に行ってきた。その中には(反キルチネル派の急先鋒となっているペロン党デ・ラ・ソタ州知事が治める)コルドバ州があり,また,(フェルナンデス大統領からライバル視され,政治・経済的な圧力を受けていると言われるペロン党シオリ州知事が治める)ブエノスアイレス州がある(注:デ・ラ・ソタ知事は,国が州に対して負っている国家社会保障機構(ANSES)関連の債務の返済が大幅に遅れていることを批判しており,また,シオリ知事は,中央からの地方交付金の減額に対して懸念を示している)。
(A)農業分野における発展は産業化モデルとともに達成された。現政権中に開墾された農地面積は,兌換制(メネム大統領)時代に開墾された面積の78%増となっている。分かって頂きたいのは,(国が農業セクターに対して)輸出課徴金を課していなかった時代の方が,農業関係者は経済的に困窮していたということである。国内にもハゲタカはいるものだが,国のためになることを考えて行動したいものである 。
(キ)フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題
(@)マルビナス問題に関し,この10年は外交分野においても「勝利の10年」であった。「偉大なる祖国」(注:2011年2月に,キルチネル前大統領の遺志を継ぎ,中南米諸国の連帯を強化することを目的に設立された機構),UNASUR,そしてCELACが,亜の立場を支持している他,「マラボ宣言」(第3回南米・アフリカ首脳会合で可決)中では,全アフリカ諸国も亜の立場への支持を表明している。この場において,今一度,国連決議に基づいて,マルビナス諸島の領有権問題に関する対話を行うことを英国に要求する。
(A)現政権はマルビナス紛争を引き起こした軍事政権とは何の関係も無く,主権は得たいが,平和的に得たいと考えている。何故英国はジェノサイド関与者(注:亜軍事政権を指す)との対話には応じたのに,人権分野を国家政策の柱の一つとしている,この民主政権との対話には応じないのか 。
(ク)在亜イスラエル大使館爆破及びイスラエル共済組合(AMIA)会館爆破事件
(@)自分(「フェ」大統領)は議員時代に,1992年の在亜イスラエル大使館爆破及び1994年のイスラエル共済組合(AMIA)会館爆破事件の両院調査委員会のメンバーとして,両事件の真相解明に携わってきた。自分(同)が主張してきたことは,重要なのは裁判を行うことではなく,真実に到達することであるということである。これまで両事件は,内政と国際政治のチェス(の駆け引き)に利用されてきた経緯があり,自分(「フェ」大統領)はそれを身をもって経験した。
(A)在亜イスラエル大使館爆破事件の全容解明は未だに殆ど進んでいないが,自分(「フェ」大統領)にとって大変気がかりなのは,一国の大使館の爆破という領土侵犯に関して,誰も心配しているようには見えないということである(注:右発言により,「フェ」大統領は,本件の裁判を担当している亜最高裁判所の形式的な捜査及びその遅さを批判していると報じられている)。
(B)(本年1月27日の,亜・イラン二国間覚書の締結の背景にある)亜政府の目論見は(イランに対する)穀物や原子炉等の輸出交渉であるとの批判が聞かれるが,亜は核不拡散を唱えており,原子力の平和的利用を推進するリーダー国の一つなので,イラン他,原子力の平和的利用が確保されない如何なる国とも,原子力に関する交渉は行わない。
(C)イランとの二国間覚書に署名したのは,自分(「フェ」大統領)が問題に立ち向かう人間だからである。AMIA事件の真実を知ることが自分(「フェ」大統領)の決意であり,事件の全容を(司法のように)外側からだけでなく,内側からも知りたい。亜は同覚書を国会に送付し,両院を通過させた。今,イラン議会が同じ事を行っているに違いない。AMIA事件から19年が経とうとしているが,状況は何も変わっておらず,かかる状態を解消する必要があった。イランが覚書を守らなければ,国際社会から批判を浴びるであろうし,また,状況はいずれにせよ今と変わらないのであるから,このように(二国間覚書の締結及びそれに伴う「真実委員会」の設置という方途を)試みてみるべきだ 。
(ケ)司法の民主化
(@)亜では,キルチネル前大統領の功績により行政改革は進んだが,正当な司法及び民主的な司法を追求する司法改革はまだ進んでおらず,司法評議会(Consejo de la Magistratura)のような失敗の産物を改める必要性がある(注:同評議会は連邦裁判所判事の選出等に携わる)。周知の通り,自分(「フェ」大統領)は94年の憲法改正議会のメンバーであったが,当時から司法評議会の設置には反対であり,司法におけるコーポラティズムの蔓延に繋がると懸念していた。
(A)司法の民主化のどさくさに紛れて,憲法改正を試みようとしているとの指摘があるが,如何なる憲法も改正されることはないので心配しないでほしい。自分(「フェ」大統領)が求める「司法の民主化」の主眼は,経済界の利益に左右されない司法づくり,というところにある(注:今次演説でフェルナンデス大統領が言及した司法の民主化の主な内容は,司法評議会のメンバーを国民による直接投票で選出する点,各法律の執行を一時的に停止するために裁判所が出す「執行停止措置」を規制する点,最高裁判所と控訴裁判所の間に3つの「上級控訴裁判所」を新たに設置し,控訴審で出された判決に関する「無効・有効」及び「違憲・合憲」を審理する点,司法界への就職の窓口を,より公正且つ民主的にする点等であった) 。
(2)国境警備隊,水上警察及び国軍の賃上げ
5日,政府は政令246号を官報に掲載し,国境警備隊,水上警察及び国軍の賃金を9%〜21%上げる旨発表した。同政令は,国境警備隊及び水上警察が,賃上げ要求のための抗議活動を行うとされていた日に発表された(注:国境警備隊,水上警察及び国軍は労働組合を有していないため,賃上げ交渉は政府との間で直接的に行われる)。
(3)地下鉄A線の運行再開と地下鉄運賃の値上げの執行停止
(ア)中国製新車両導入の為,54日間にわたって閉鎖されていた地下鉄A線が,6日,運行を再開した。再開セレモニーには,マクリ・ブエノスアイレス市長(野党「PRO」)及びビダル副市長(同)の他,国の代表としてランダッソ内務・運輸大臣が出席した。翌7日朝,新車両のパンタグラフが外れ,駅と駅の間で列車がストップしてしまったため,乗客が線路を歩いて移動するという事態が発生した(注:その後もA線では,新車両及び旧車両が,2度ほど発煙等のトラブルに見舞われた)。
(イ)20日以降,地下鉄運賃は2.5ペソから3.5ペソに値上げされることが予定されていたが,前日の19日,ブエノスアイレス市の行政・税務裁判所の判断により,同値上げを定めた市政令(官報に掲載済み)の執行が一時停止されることとなった(注:4月18日現在も,地下鉄の運賃は2.5ペソのままとなっている)。
(4)クロアチア及びエクアドルへの武器の密輸容疑:メネム元大統領に対する控訴審による有罪判決
(ア)8日,連邦控訴裁判所の犯罪部は,メネム元大統領がカミリオン元国防大臣等とともに,在職中(1989〜1999年)の1991年及び1995年に3つの政令を発出し,パナマ及びベネズエラ向けに武器を輸出すると偽って,その実クロアチア及びエクアドルに対して,6,500トンの武器及び弾薬を密売したとして,同元大統領及び同元大臣,他10名に対し,有罪判決を宣告した。これにより,2011年9月に下級審(第一審に当たる経済刑事口頭裁判所)が下した無罪判決が覆される結果となった。
(イ)当時,クロアチア及びエクアドルは各々紛争状態にあった。メネム元大統領は,ユーゴスラビア紛争(91−2000年)の最中に出されたバルカン半島諸国に対する武器輸出の全面的停止を定めた安保理声明に賛同する政令に署名していた。他方,国境をめぐってペルーと紛争中であったエクアドルに関しては,亜は当時,同国の平和の保証人(garante de la paz)を務めていた。
(ウ)本件は95年にクラリン紙の記者によって明るみに出され,同年より裁判が開始された。メネム元大統領は本件への関与を指摘され,ウルソ判事の命により,2001年に6ヶ月間,自宅にて軟禁された(注:同軟禁は最高裁判所の判断により解除)。今回の控訴審の有罪判決を受けて,同元大統領は懲役4年〜12年の実刑判決を受ける可能性がある旨指摘された(注:26日,メネム元大統領側の弁護士は上告手続きを行った。)現在,同元大統領は連邦上院議員であるため(任期は2017年まで),仮に服役することになる場合は,刑確定後に上院が服役を承認してからとなる。なお,本件に関して,同じく関与が疑われていたジョマ元大統領コンサルタント(メネム元大統領の義理の兄弟)は,今回無罪判決を受けた。
(エ)今回の判決を受けて,本件が明るみに出された後の95年11月に発生したテルセロ川軍需工場爆破事件へのメネム元大統領の関与に関し,再審を求める声が高まったことを受け,20日,最高裁は同再審を指示した。(注:同爆破事件に関しては,武器の密輸の証拠隠滅のために,何者かによって同軍需工場が故意に爆破されたと指摘されている。7名が死亡し,300名以上が負傷した。)
(オ)今次判決により,メネム元大統領は,憲法の規定に則って民主的に選出された亜大統領の中で,初めて汚職により有罪判決(控訴審)を宣告された大統領となった。82歳の同元大統領は現在,ラ・リオハ州選出の連邦上院議員を務めているが,昨年は殆ど国会議員としての職務を行わなかった旨、当地報道で伝えられた。
(5)ブエノスアイレス州フニン市での破壊行為と略奪
(ア)9日22時,フニン市の警察署から1ブロックの場所にあるキオスクが,強盗犯(男)により襲撃された。店内には女性店員が3人がいたが,強盗犯はレジに居合わせた17歳の店員から現金を奪うと,抵抗しようとした同店員の胸部を拳銃で撃ち,そのまま外で待っていた男のバイクに乗って逃走した。難を逃れた別の店員は,急いで近くの警察署に駆けつけて事態を説明したが,同店員によると,警察はすぐには出動せず,約15分後に歩いてキオスクに到着した(注:フニン市はブエノスアイレス市から西に260キロの地点に位置する,人口10万人弱の市であり,ブエノスアイレス州北西部では最も大きい都市の一つとなっている。本キオスク強盗殺人事件の容疑者2名は後に逮捕された)。
(イ)翌10日未明,フニン市の住民は,警察の初動捜査の遅れ及び治安の悪化等に抗議する目的で,キオスクに最も近い警察署の前に集まり,治安の改善,犯人の逮捕及び適切な処罰を求めた(注:フニン市では,7日に住民等が治安の改善を求めて抗議運動を行ったばかりであった)。同抗議運動は徐々に暴力的な様相を帯び始め,パトカーを含む自動車数台がその夜のうちに放火され,夜が明けても同市は終日緊張に包まれた。10日夜には,同市の別の警察署に投石を行う者や火炎瓶を投げる者が出始めた。防護服に身を包んだ警官隊は,ゴム弾及び催涙ガスで暴徒化した住民(その多くが若者)の攻撃を鎮圧しにかかったが,事態は時間と共に悪化し,警察署の次には市役所や市長の自宅が標的になる等,最終的には同市内の広域において混乱状態が発生し,商店及び銀行等が略奪の被害に遭った(注:コンピュータ,モニター及びテレビ等が略奪された)。殺害されたキオスクの店員の家族が平和裏に抗議活動を行うよう訴える様子がテレビ等で生中継されたが,暴徒化した集団はそれを聞き入れず,キオスク強盗殺人事件の容疑者逮捕のニュースも,破壊行為の勢いを抑えることにはならなかった。当地報道によると,どのくらいの人数が暴徒化したのかは明らかにされていないものの,全体で約2,000人の市民が抗議活動に参加したとされた。なお,暴力行為は11日未明になっても続き,クラリン・グループのニュース・チャンネル(TN)の女性ジャーナリスト1名を含む,6名の負傷者が報告された。
(ウ)今次暴動後,フニン市のメオニ市長(注:コボス元副大統領派,急進党)は,同市の治安の悪化に歯止めをかける方途がないと発言するとともに,治安の悪化は全国レベルで生じている問題だと述べた。同市長は,危機的なフニン市の治安情勢に関し,事件の3ヶ月以上前にカサル・ブエノスアイレス州治安大臣に報告し,パトロール隊の増強を行った旨述べるとともに,事件の40日前に同問題に関して国の治安省にも相談を持ちかけた事実を明らかにし,国が配備する連邦警察及び国境警備隊の人員数では,犯罪の対処には追いつかないと発言した。
(エ)上記のメオニ市長の発言に対し,国の治安省のガレー治安大臣は,国の治安部隊は「第2ブエノスアイレス州警察」のごとく活動することはできないとした上で,本当に治安の悪化が危機的であると事件の前に気づいていたのなら,シオリ・ブエノスアイレス州知事及びカサル同州治安大臣にその旨警告し,必要数の州警官隊を配備していたはずだと発言し,メオニ市長を「無責任」と糾弾した(注:ガレー大臣は,州の治安維持は州の責任である旨憲法に記載されていることを強調した)。またガレー大臣は,ブエノスアイレス州警察は6万人規模で同州のみを管轄しているのに対し,国の治安機関は10万人規模で全国を管轄していると発言した。
(オ)当地メディアは,今回の暴力事件の背景には,キルチネル派(フェルナンデス大統領派)とシオリ派(シオリ・ブエノスアイレス州知事派)の対立関係があるという趣で報じた(注:2015年の大統領選挙をめぐる対立で,同選挙に立候補する意思があるシオリ知事(ペロン党)に対して,3選を狙っているとも言われるフェルナンデス大統領が,各界のキルチネル派を総動員してシオリ州知事の行政を邪魔しているとされている)。12日の当地報道は,カサル・ブエノスアイレス州治安大臣が,今次暴動は計画されたものであり,暴力行為を行った人間はフニン市民ではなかったと述べた旨伝えた。また,メオニ・フニン市長は,今回の暴動計画者につき,ラ・カンポラ及びコリーナ等のキルチネル派の若手活動家組織であった旨発言した。他方,国の治安省のナンバー2であるベルニ治安活動長官(キルチネル派)は,言い逃れをして他者に責任を擦り付けるのはメオニ市長の常套手段であるとし,州の治安維持は州の責任以外の何ものでもないと,同市長及びシオリ州知事を批判した。
(6)反政府系労組のデモ
14日,モジャーノ労働総同盟(CGT)書記長及びミチェリ亜労働者連盟(CTA)書記長等の反政府系大規模労組団体は,労働省前で幹線道路封鎖を伴う反政府抗議活動を行い,政府の経済政策等を批判した。主催者側によると,当日のデモ参加者は約2万人とのことであったが,当地報道は右数字を否定し,デモは通常より手短に,非常に小規模なものに終わった旨報じた。
(7)マルティネス・デ・オス元経済大臣の死去
16日,ブエノスアイレス市内で自宅軟禁中だったマルティネス・デ・オス元経済大臣が心停止により,87歳で死亡した。同元大臣は76〜83年の軍政期の最初の経済大臣(76〜81年)。
(8)軍事クーデタ開始記念日
24日(注:1976年の軍事クーデター開始日であり,同開始日を記憶するべく,故キルチネル前大統領政権下において,「記憶と真実と正義の日」として制定された),軍事クーデタの開始から37年を迎え,例年同様,5月広場における記念式典が執り行われた。右式典には人権団体「5月広場の祖母たち」の他,ラ・カンポラやコリーナ等のキルチネル派の左派若手活動家組織が多く出席した。本年の同式典では,最近,益々政治色を強めていると当地報道で指摘されている「5月広場の祖母たち」のカルロット代表が,「司法の民主化」及び反コーポラティズムを演説で主張した点が注目された(注:フェルナンデス大統領は22日に事前に演説を行っていたため,24日の式典には出席しなかった。また「5月広場の母たち」のエベ・デ・ボナフィニ代表も入院中で出席せず)。
(9)政府による大豆の売却指導:「反テロリスト法」の適用の可能性
(ア)25日,当地報道は,政府が4月以降に,大豆の売却を拒否する生産者等に対し,「反テロリスト法」の適用を試みる可能性がある旨報じた(注:当地では,本年2月より,政府が亜連邦歳入庁(AFIP)の職員を通じて,大豆を売却するよう生産者に圧力をかけていることが農業関係者の間で批判されている。報道では,同売却指導の理由は,外貨の獲得にあるとされている)。「反テロリスト法」は本来,テロ資金対策としてのマネーロンダリング対策を目的としており,「金融活動作業部会(FATF)」における亜の評価を回復するために,2011年に制定された。同法が,国民を脅かし,行政に深刻な影響を与える行為一般をテロ行為等とみなしているため,拡大解釈が可能であり,危険性をはらんでいる旨,法案審議の段階から野党等により批判されてきた経緯がある。当地報道は,大豆の売却を渋る生産者に対して,同法の適用が可能であるか否かを,政府が大統領府内で協議している旨伝え,「反テロリスト法」の適用を主張しているのは,モレーノ国内取引長官と不仲とされている,亜金融情報機構(UIF)のスバテラ代表であると報じた。
(イ)25日,トゥクマン州で開催された農牧生産者等の会合において,亜の主要農牧団体の代表は,一様に大豆生産者への「反テロリスト法」の適用を反民主的であると批判するとともに,もし,同法の適用が現実のものとなれば,政府が輸出課徴金制度の改正を試みようとした時以来の,政府と農牧団体の激しい対立が展開されることになる旨指摘した。また,農牧団体代表等は,政府への抗議の意味も込めて,本年の大豆の売却の開始時期を延期することもあり得ると発言した。
(10)スーパーマーケットでの価格凍結の延長及び「スーパーカード」の導入の検討
(ア)26日,経済・財政省の国内取引庁とスーパーマーケット連合の代表等は,本年2月1日に開始され,4月1日までとされていた亜国内の主要なスーパーマーケット(全店舗)における価格凍結(全商品)を,6月1日まで延長するということで合意した。
(イ)同日,モレーノ国内取引長官は,スーパーマーケット連合と「スーパーカード」を導入することで合意した。同カードはスーパーマーケットのみで使用できる専用のクレジットカードであり,通常店側がカード会社に支払う加盟店手数料が3%のところ,同「スーパーカード」の場合は右手数料が1%になる由。当地報道によると,今回の新カードの導入の目的は,価格凍結による消費の活性化,という政府が推進するモデルを補強すること,すなわち,価格凍結によってスーパーマーケットが被る負担を,支払い手数料を軽減することにより救済するためとされている。同カードの運営を行うのはスーパーマーケット自身であり,政府やナシオン銀行ではない。同カードの利用限度額は3,000ペソ(月あたり)で,金利(年)は最大22%とされている(注:普通の銀行のクレジットカードの金利は現在45%程度)。なお,政府は,「スーパーカード」の導入により,既存のクレジットカードやデビットカードの利用が制限されることはないとした。
3 外交
(1) バチカン
(ア)亜出身のローマ法王の選出
13日,バチカンにて行われたコンクラーベの結果,ブエノスアイレス大司教のホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿(76歳)が第266代ローマ法王に選出され,新法王がフランシスコを名乗ることになる旨発表された。米州出身のローマ法王が選出されたのは歴史上初めてのことであり,新法王の発表後,亜国内のマスコミは,亜出身のローマ法王選出のニュースを一斉に報じ,国内は熱狂的な祝賀ムードに包まれた。また,同日,フェルナンデス大統領は,新法王に対し祝意を表明する書簡を発出した。
(イ)フェルナンデス大統領のバチカン訪問
17日から19日にかけバチカンを訪問したフェルナンデス大統領は,18日,国家元首等の中で最も早く,フランシスコ新ローマ法王と面会し,約2時間に亘る会合及び昼食会を実施した。フェルナンデス大統領は,同法王に,ビクーニャという動物の毛で作られたショールと亜の労働プログラムの組合員が作成したマテ茶セットを贈呈し,フランシスコ法王は,フェルナンデス大統領に,バチェレ前チリ大統領と第265代ローマ法王ベネディクト16世が,「ビーグル海峡周辺諸島領有権問題におけるローマ法王ヨハネス・パウロ2世の仲介30周年」の際に署名した議事録写し,サン・ピエトロ広場がデザインされたマジョリカ焼の陶器,ラテンアメリカ・カリブ司教協議会(CELAM)の最新版の本及び法王の好きな聖人,聖テレジアの象徴である白い薔薇を贈った。同会合後,フェルナンデス大統領は,今次会合は「重要且つ有益」なものであったと発言した。
19日の就任式のTV生中継では,式典に参列するフェルナンデス大統領とティメルマン外相の姿が放映された。同就任式の模様は,ブエノスアイレス市内の5月広場に面するカテドラルの横に設置された大型スクリーンでも,朝5時30分(当地時間)より生中継され,早朝にもかかわらず,多くの人々が,この歴史的瞬間を目にしようと広場に押し寄せた。
18日付の当地報道によると,今回のバチカンへの外遊に際し,ハゲタカファンドによる大統領専用機「タンゴ01」の差し押さえを懸念したフェルナンデス大統領は,同専用機でモロッコまで飛行し,友人であるモハメッド6世モロッコ国王に同機を預け,モロッコからバチカンまではジェット機を借上げて向かった由 。
(2)ベネズエラ(チャベス大統領死去)
(ア)国内での反応
5日16時25分(ベネズエラ時間)のマドゥーロ・ベネズエラ副大統領によるチャベス大統領逝去に関する発表直後,フェルナンデス大統領は,同日午後に予定されていた国内教育機関への約13百万冊の書籍購入及び配給の発表をはじめとする全ての公式日程をキャンセルした。また,フェルナンデス大統領,アバル・メディーナ官房長官及びランダッソ内務・運輸大臣の署名が入った政令第250号が発出され,亜は3日間,国としての喪に服し,同期間中,公共機関の建物では半旗を掲揚した。 チャベス・ベネズエラ大統領逝去のニュースを受けて,ブエノスアイレス市パレルモ地区にあるベネズエラ大使館前及び同市のオベリスコ周辺には,亜及びベネズエラの国旗を掲げた市民とキルチネル派の政治団体関係者が駆けつけ,一部道路が封鎖される等,一部で混乱も生じた。在亜ベネズエラ大使館前ではマルティネス・ベネズエラ大使が記者会見に応じ,チャベス大統領が推進してきたボリバル革命は同大統領の死によって終わることはないと発言し,駆けつけた亜国民の弔意及び連帯の意に感謝した。また,同大使は「あの世の存在を信じる我々は,今頃チャベス大統領と(2010年10月に他界した)キルチネル前大統領が手をつないで一緒にいる場面を想像する」と述べた。在亜ベネズエラ大使館では,弔意記帳の為,記帳台が設置された 。
(イ)フェルナンデス大統領のベネズエラ訪問
フェルナンデス大統領は,チャベス・ベネズエラ大統領の弔問の為に大統領専用機「タンゴ01」にてベネズエラに向け出発し,6日5時30分(ベネズエラ時間),カラカスのシモン・ボリバル国際空港に到着した(ティメルマン外相,デビード公共事業大臣,サニーニ大統領府法制長官,スコッチマーロ大統領府報道長官,ドミンゲス下院議長,ピチェト上院議員(ペロン党キルチネル派上院議員団長),ラロケ下院議員(ペロン党キルチネル派でラ・カンポラの幹部),カバンディエ・ブエノスアイレス市議会議員(ペロン党キルチネル派)同行)。同機にはウルグアイより駆けつけたムヒカ・ウルグアイ大統領及びトポランスキ夫人も同乗した。3月7日及び8日には,フェルナンデス大統領とルセフ伯大統領との二国間会談が亜のサンタクルス州エル・カラファテで実施される予定であったが,両国首脳とも同会談をキャンセルした。フェルナンデス大統領は,7日に帰国し,国葬にはティメルマン外相及びプリチェリ国防大臣が参列した。
6日早朝,大統領専用機とは別の便で,アニバル・フェルナンデス上院議員(ペロン党キルチネル派),デペトリ下院議員,デリアFTV代表(ピケテロ・グループ指導者・キルチネル派),サバテラ下院議員(「新たな会合」キルチネル派)兼AFSCA(「連邦視聴覚コミュニケーション・サービス機構」)代表,ジャスキー亜労働者連盟(CTA)キルチネル派書記長,ビビアニ・タクシー労組代表,フェラレシ・アベジャネーダ市長,ナバーロ・ブエノスアイレス州議会下院議員等の亜の政界,労組,社会運動組織関係者等が,8日の国葬に参列する為にブエノスアイレス市内のアエロパルケ空港からカラカスに向けて出発した 。
(3)フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題
(ア)住民投票の実施
10日及び11日に,フォークランド(マルビナス)諸島にて,同諸島住民が「フォークランド諸島が現状のまま英国の海外領土としての政治的地位を維持することを望むか」という質問に回答する住民投票が実施された結果,投票者の99.8%が,英国の海外領土としての地位を維持することを望むと回答した。11日及び12日に,キャメロン英首相は,亜政府に対し,今次住民投票の結果を尊重するよう求めたものの,亜国内では,与野党ともに同住民投票を「違法」なものとして批判し,13日,亜両院は,英国によって実施された今回の住民投票を拒絶するとする宣言を満場一致で可決した。(注:6日,ティメルマン外相は,亜の全在外公館に対し,同投票の違法性に関して説明した報告書を送付し,全在外公館に,各国の外相,議員及びNGO等に対して同じ説明を行うよう要請した)。
(イ)ベネズエラ政府の支持
ベネズエラ政府は,フォークランド(マルビナス)諸島で英国が実施した住民投票を拒絶し,同諸島領有権問題において,亜国民及びフェルナンデス政権に対し連帯と無条件の支持を表明した。
(ウ)フェルナンデス大統領によるフランシスコ・ローマ法王への仲介依頼
18日にフランシスコ新ローマ法王とバチカンで会談したフェルナンデス大統領は,同会談において,1978年に,差し迫った戦争を回避する目的で,当時のローマ法王ヨハネス・パウロ2世が,亜・チリ間のビーグル海峡周辺諸島を巡る紛争を仲介したことを挙げ,フランシスコ新法王に,フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題に関する対話に英国が応じるよう仲介を依頼した。同大統領は,亜及び英国が民主主義に基づいた政府を有している現状において,フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題には,前述のビーグル海峡周辺諸島を巡る紛争に比べ,より順調な解決が期待できる上に,南大西洋における英国の軍事化を除いては,戦争の危険性はない旨,ローマ法王に説明した。また,フェルナンデス大統領は平和国家である亜が求めるのは,対話を勧める数々の国連決議の遂行のみである点を強調した。(新法王の反応や返答については,明らかにされていない。)
英国外務省は,「バチカンは,本件は主権国家である亜及び英国の二国間問題であり,同問題の解決はバチカンの役割ではないことを確信しており,我々は右姿勢が変わることを望んでいない」旨発表した。また,ローマ法王が亜出身であることは本件領土の主権問題とは何ら関係ない旨強調した 。
(エ)第128回列国議会同盟国際会議での決議
22日にエクアドルにて開催された第128回列国議会同盟国際会議にて,20ヵ国以上の同盟国は,フォークランド(マルビナス)諸島で実施された住民投票は,同諸島の領有権問題に終止符を打つものではないとし,同選挙の非合法性を表明する決議を採択した。
(オ)ティメルマン外相のニューヨーク訪問
26日,アルマグロ・ウルグアイ外相(メルコスール議長国),ロドリゲス・キューバ外相(CELAC議長国)及びベラウン・ペルー外務副大臣(UNASUR議長国)と共にニューヨーク国連本部を訪問したティメルマン外相は,潘基文国連事務総長に,亜及び中南米地域の国々は,英国との協議再開を促進する国連総会の働きに感謝するとともに,英国が本件解決に向けた対話の義務を果たすことを望んでいる旨,再表明した。また,ティメルマン外相は,モレホン・エクアドル国連大使(国連非植民地化特別委員会委員長)と会談した他,同委員会常任委員との昼食会に参加し,毎年採択されている,フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題の平和的且つ決定的解決に向け,英国に対し対話の再開を呼びかける決議への支持に対し謝意を表明した。同時に,同諸島にて実施された違法な住民投票に対する亜の拒絶を表明した。
(4)イラン
(ア)1月27日にティメルマン外相及びサーレヒ・イラン外相が署名した1994年のイスラエル共済組合(AMIA)会館爆破事件の解決に向けた真実委員会の設置を明記した亜・イラン二国間覚書を承認する為の法律が,両院での可決(上院2月21日,下院2月27日)を経て,3月1日,法律第26.843号として官報に掲載され,正式に国内法として発布された。
(イ)15日,ティメルマン外相は,「国際刑事機構(インターポール)の担当局は,亜・イラン二国間覚書は,AMIA会館爆破事件の犯人に対する『レッド・ノーティス』に如何なる変更も及ぼすものではないことから,同局は,今回の亜・イラン二国間覚書は,爆破事件解明にとってポジティブな前進であると考える」旨記した,ジョエル・ソリエ・インターポール法律顧問の書簡を読み上げた。同時に,ティメルマン外相は,一部の反政府勢力に対し,AMIA会館爆破事件を口実に,政府を攻撃することは,実際には,同事件の被害者及び家族を攻撃していることであるとし,本件を利用することを止めるよう要求した。また,21日,ティメルマン外相は,本件に関するインターポールの姿勢に謝意を表明する書簡をロナルド・ノーブル・インターポール事務総長宛に発出した。
(ウ)22日,亜は国連人権委員会において,イランにおいて「多くの人権侵害」が生じており,今後もイランでの人権侵害の状況に関し,調査する必要がある旨記した委員会報告書に賛成票を投じた。フィルムス上院議員(亜外交委員会委員長)は,今回の亜の投票態度は,イランとの覚書の署名が,国際場裏における亜の同国への姿勢に影響する,という反政府派の主張を覆すものであると述べた。
(5)米国
(ア)麻薬取り締まりの為の国際戦略
5日,ワシントンにて米国務省が提出した報告書「麻薬取り締まりの為の国際戦略」にて,亜は麻薬の密輸に関する調査に関して,米麻薬取締局(DEA)と協力する姿勢を見せているものの,国内のマネーロンダリングの状況は悪化していると評価された。6日,ビエルサ元外相は,右報告書の結論は軽率であり,主観的且つ政治的思想が優先された,一方的なものであると批判した。
(イ)安売り広告を禁じる亜政府の決定に対する非難
11日,米国務省のフェルナンデス次官補(経済・ビジネス担当)は,亜政府が新聞,テレビ及びラジオにおけるスーパーマーケットや家電量販店等の安売り宣伝広告を禁じていることに関し,「表現の自由を侵害する」ものであると非難した。
(ウ)ティメルマン外相の米国訪問
21日,ティメルマン外相は,ワシントンにてビル・バーンズ米国務副長官と会談した。ティメルマン外相の発言によると,同会合にて,同外相は,イランとの覚書に関する亜及びインターポールの姿勢に関する情報,ならびにAMIA事件のこれまでの経緯をまとめたファイルを手交した。また,ティメルマン外相及びビル・バーンズ米国務副長官は,米州人権委員会の将来に関し意見交換を行った他,亜外相は,フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題の対話を通じた平和的解決への米国からの伝統的な支持に対し,感謝の意を表明した。
(6)イスラエル
15日,1992年3月17日に発生した在亜イスラエル大使館爆破事件の21周年追悼式典が,当時のイスラエル大使館の跡地で執り行われ,政府を代表してスアイン筆頭外務副大臣が出席した。
(7)OAS
21日,ティメルマン外相は,ワシントンで開催された第44回米州機構(OAS)臨時総会に出席した。同総会では,米州人権システムに関する協議を続行するか否かについて検討され,エクアドル,ベネズエラ,ボリビア及びニカラグアが同人権システムの強化に関する協議を続け,変更を加えていくことを要求したのに対し,米国は同協議を終了することを要求した。ティメルマン外相は,ALBA諸国より提案された資金調達方法,ワシントンにある本部の南米への移転には同意しなかったものの,同協議を終了することには反対の意を表明した。結果,同システムの強化に向けた協議の続行を採択する文書が承認された。
(8)要人往来
(ア) 往訪
● 6日〜7日:フェルナンデス大統領ベネズエラ訪問(故チャベス・ベネズエラ大統領の弔問)
●14日:ロレンシーノ経済・財政大臣パナマ訪問(第54回米州開発銀行(IDB)総会出席)
●18日〜19日:フェルナンデス大統領バチカン訪問(フランシスコ新ローマ法王就任式出席)
●21日〜22日:ティメルマン外相米国訪問(第44回米州機構(OAS)臨時総会出席)
●22日〜23日:ブドゥー副大統領エクアドル訪問(第128回列国議会同盟国際会議出席)
●25日〜26日:ティメルマン外相の米国訪問(国連本部訪問)
(イ)来訪
●4日:ピメンテル伯開発商工大臣
●5日:ドラノエ・パリ市長
●19日〜20日:モレーノ米州開発銀行(IDB)総裁
(9)今後の主要外交日程(予定等)
●エル・オトマニ・モロッコ外相訪亜
●シコティ・アンゴラ外相訪亜
●マルティネス・エルサルバドル外相訪亜