アルゼンチン政治情勢(月1回更新)

令和4年2月10日

アルゼンチン政治情勢(2021年12月)

2022年1月作成
在アルゼンチン日本大使館


1 内政
(1)政府:
ア 新型コロナウイルス関連
(ア)新型コロナウイルス変異株
5日付保健省プレスリリースは、南アフリカに滞在した渡航者から当国最初のオミクロン株の感染が検出された旨発表した。12日付保健省プレスリリースは、ドバイからの渡航者に関連し、4件のオミクロン株の感染が検出された旨発表した。また、15日付サンタフェ州保健省プレスリリースは、米国に滞在したロサリオ市の渡航者から、同州において最初のオミクロン株の感染を確認した旨発表した。
(イ)衛生パスの適用
 12日付保健省プレスリリースは、翌年1月1日から衛生的に危険があるとみなされる活動に対し、13歳以上の全ての者にコロナワクチン接種完了を証明する衛生パスを求める旨発表した。
(ウ)入国制限の変更
 30日、政府は、行政決定を通じて、非居住外国人の入国を含む出入国措置の変更を発表し、亜におけるオミクロン株の感染予防措置の強化のため、各交通オペレーターに亜入国に際し搭乗者の衛生上の条件の遵守の確認強化を求めるとともに、亜入国者に対しては入国3日目から5日目にPCR検査を義務付けた。
イ 民主主義の日及び世界人権デーを祝う集会
 10日、フェルナンデス大統領及びクリスティーナ・フェルナンデス副大統領は政権発足2周年に際し、民主主義の日及び世界人権デーを祝う集会を五月広場において開催した。同集会には、ルーラ元伯大統領及びムヒカ元ウルグアイ大統領も出席した。また、12日にはコレア元エクアドル大統領が訪亜し、クリスティーナ・フェルナンデス副大統領と会談した。なお、翌11日には、左派政党及び団体が五月広場でIMFとの債務再編合意に反対する集会を行った。
ウ IMF債務交渉
 23日、セルッティ大統領府報道官は、IMFが22日に公表した2018年のスタンドバイ(SBA)プログラムに関する事後評価報告書について会見を行い、マクリ前政権が受け取った融資の相当な部分が資本逃避に向かったと批判した。
(2)国会
ア 2022年政府予算法案
13日、グスマン経済相は、下院予算財政委員会において2022年政府予算法案の概要説明を行い、17日に下院で同法案審議が行われたが、マクシモ・キルチネル下院与党会派代表によるIMF債務に関する野党への厳しい批判に端を発した紛糾の後、野党の反対により同法案が否決された。
(3)司法:
21日、連邦刑事裁判所ブエノスアイレス裁判区連邦権限事項予審部(Comodoro Py)は、マクリ政権時に、当時の連邦諜報局(AFI)が与野党の政治家、記者、労働組合員らに対し違法なスパイ行為に関与した疑いがかけられている事件に関し、証拠不十分である旨判決を下した。
(4)その他:
ア チュブト州鉱業法案可決に係るデモ運動
16日から、チュブト州において、大規模な鉱山開発を可能とする鉱業地域設定に関する法案に反対する大規模なデモ運動が発生し、20日、アルシオニ・チュブト州知事は、デモ運動を受けて同法の撤廃を発表し、翌21日に同法の廃止が同州議会で可決された。
イ 急進市民同盟党首選挙
 17日、野党連合「変革のために共に」に属する急進市民同盟(UCR)の党幹部を選出する選挙が行われ、モラレス・フフイ州知事が全会一致で党首に選出され、ストラーニ(Ms. María Luisa Storani)メルコスール議会議員が第一副党首、ルストー上院議員が第二副党首に就任した。
ウ パラグアイ-パラナ河川水路
 21日付当地「パヒナ12」紙は、港湾管理総局(AGP)によるパラグアイ-パラナ河川水路の2022年9月22日までの短期間の浚渫工事に応札した4社が公表された旨報じた。
エ ブエノスアイレス州における市長らの無制限再選禁止法の改正
 28日、ブエノスアイレス州議会において、市長らの無制限再選禁止法の改正が可決された。今次改正により、同州内の市長職等への再選が一回まで(計二期)から二回まで(計三期)に変更された。
 
2 外交
(1)日本:
 20日、カフィエロ外相は、林外務大臣とオンライン形式で会談を行った。両外相は、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の実現に向けて連携していくことで一致し、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」実現の重要性につき確認した。また、林大臣は、両国の経済関係の一層の拡大のため、法的枠組みの整備を含むビジネス環境の整備の重要性について言及するとともに、5Gについては、サプライヤーを多様化し、安全で、開放的で、透明性が確保された通信インフラ整備の重要性について強調し、両外相は、5Gを始めとするとする通信インフラ分野で協力していくことで一致した。
(2)ロシア:
ア 7日、フェルナンデス大統領は、亜を訪問した露直接投資基金(RDIF)関係者らと会談した。
イ 10日、カフィエロ国防副大臣(防衛国際問題担当)はロシアを訪問し、亜の軍関係者の露における人材育成に関する両国の国防省間の覚書に署名した。
(3)パラグアイ:
 3日、テタマンティ筆頭外務副大臣はパラグアイを訪問し、スカピーニ外務省二国間政策局長と会談を行った。
(4)ウルグアイ:
 7日、カフィエロ外相は、亜を訪問したブスティージョ・ウルグアイ外相と会談した。
(5)チリ:
ア 19日、フェルナンデス大統領は、同日実施されたチリ大統領選挙の結果を受け、ボリッチ次期同国大統領に架電し祝意を伝達した。また、ツイッターでもフェルナンデス大統領、クリスティーナ・フェルナンデス副大統領及びカフィエロ外相がそれぞれ祝意を表明した。
イ 1日、マクリ前大統領はチリを訪問し、ピニェラ・チリ大統領と会談した。
(6)マレーシア:
 2日、テタマンティ筆頭外務副大臣は、シャハルル外務次官とオンライン形式で第2回政策協議を行った。
(7)イスラエル:
 15日、テタマンティ筆頭外務副大臣は、バール外務省政務担当次官補とオンライン形式で第4回政策協議を行った。
(8)国連:
ア 6日、亜は2022年国連人権理事会議長国に初選出された。
イ 15日、フェルナンデス大統領は、訪亜したバルセナ国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)事務局長と会談した。
(9)CELAC・中国フォーラム閣僚会合:
 3日、カフィエロ外相は、CELAC・中国フォーラム閣僚会合にオンライン形式で出席した。
(10)米州機構(OAS):
 8日、亜は米州機構(OAS)によるニカラグア非難決議に棄権した。亜の今次立場の説明において、ライムンディ駐OAS亜代表部大使は、OASのボリビアでの「クーデター」(ママ)等における他の事案への対応にかんがみると、ニカラグアの案件に仲裁を行う「信頼性」も「正当性」も有していないと述べた。
(11)IMF:
 17日、フェルナンデス大統領及びグスマン経済相は、ゲオルギエバIMF専務理事とオンライン会談を行った。
(12)メルコスール:
 16日、カフィエロ外相は、メルコスール第59回共同市場理事会(CMC)に、また17日、フェルナンデス大統領は同首脳会談にそれぞれ出席した。
(13)民主主義のためのサミット:
10日、フェルナンデス大統領は、米国主催の民主主義のためのサミットにビデオを通じて参加した。
(14)要人往来:
ア 往訪
 パラグアイ:テタマンティ筆頭外務副大臣。
イ 来訪
 ロシア:露直接投資基金(RDIF)関係者。
 ブラジル:ルーラ元大統領。
 ウルグアイ:ブスティージョ外相、ムヒカ元大統領。
 エクアドル:コレア元大統領。