アルゼンチン政治情勢(月1回更新)

令和元年12月19日

アルゼンチン政治情勢(2019年11月)

2019年12月作成
在アルゼンチン日本大使館
 

1 内政
(1)大統領府・政府
ア 大統領就任式の実施要領合意
 20日,ペニャ内閣官房長官とカフィエロ次期内閣官房長官候補は,12月10日の大統領就任式典を国会で開催すること等の実施要領について合意した。
 
イ 保健国務大臣の辞任
ルビンスティン保健国務大臣は,20日付官報でマクリ大統領やスタンレー保健・社会開発大臣に諮ることなく,合法な人工中絶の範囲を拡大する通達を公布したとして,マクリ大統領等から非難され,当該通達は22日に公布された政令785/2019で無効となった。これを受け,ルビンスティン保健国務大臣は同日辞表を提出,25日付で辞任が承認された。
                                           
(2)国会
ア フェルナンデス次期大統領の当選宣言
 13日,上下院両院は,アルベルト・フェルナンデス次期大統領の当選を宣言した。
 
イ 次期上院議員宣誓式
 27日,本年10月27日に実施された国会議員選挙で当選した24名の次期上院議員の宣誓が上院で実施された(下院は12月4日実施)。また,副大統領就任のため,クリスティーナ・フェルナンデス前大統領(議事には欠席)の上院議員辞任が承認された。
 
(3)司法
ア ストルネリ検事の違法スパイ疑惑に対する予審尋問
 29日,賄賂ノート事件の担当であるストルネリ検事が違法スパイ行為を行ったとして告発されている事案において,マル・デル・プラタ連邦刑事裁判所ラモス・パディージャ担当判事は同検事を召喚した。同検事は11時間に及ぶ供述を行い,容疑を否認した。本供述を受けて,今後起訴されるかどうかが決定される。
 
 
(4)その他
ア クリスティーナ・フェルナンデス次期副大統領のキューバ訪問
 1~17日,クリスティーナ・フェルナンデス次期副大統領(前大統領)は,療養中の子女の見舞いのため,キューバを訪問した。9月の訪問に続いて,本年7回目となった。
 
イ 第2回プエブラ・グループ会合の開催
 8~10日,ブエノスアイレスで左派政治リーダーの集まりである「プエブラ・グループ」の第2回会合が開催された。会合には,アルベルト・フェルナンデス次期大統領,ルセーフ元ブラジル大統領,ルゴ元パラグアイ大統領,サンペール元コロンビア大統領等中南米の左派系リーダーが出席し,ルーラ元ブラジル大統領のビデオメッセージが放映された。
 
 
ウ 教員組合員による全国スト
 8日,教育者連盟(CTERA)は,全国規模のストを実施した。私立学校教員組合(SADAP),教員組合連合(DAC),ブエノスアイレス州教育者組合等の教員組合の他,アルゼンチン労働者連盟(CTA)やアルゼンチン労働総同盟(CGT)の一部も参加した。また,ブエノスアイレス州の教員によるデモ行進も行われた。
 
エ サルタ州知事選挙
 10日,サルタ州知事選挙が実施され,グスタボ・サエンス現サルタ市長(ペロン党系地方政党)が当選した。
 
オ チュブット州教員ストの終了
17日,チュブット州教員組合(ATECH)は17週間に渡って実施してきたストの終了をプレスリリースを通じて発表した。組合は,ストに参加した帰路亡くなった教員2名の死を悼み,ストという手段は終わりにするものの,教員の給料,暖房や校舎の改修,通学手段の確保など教員及び児童・生徒の権利を守るための主張は続けていくとしている。
 
カ 女性への暴力反対デモ
 女性への暴力撲滅デーの25日,暴力に反対するデモが全国規模で実施され,ブエノスアイレスでは数千人が参加した。
 
2 外交
(1)日本:フォリー外務大臣のG20外相会合出席
 22~24日,フォリー外務大臣は名古屋で開催されたG20外務大臣会合に出席し,22日には,茂木外務大臣と二国間会談を実施した。
 
(2)米国:トランプ大統領からフェルナンデス次期大統領への祝意表明
 1日,トランプ大統領とアルベルト・フェルナンデス次期大統領が電話で会談した。トランプ大統領は,フェルナンデス次期大統領の当選を祝福した由。
 
(3)中国:駐亜大使によるフェルナンデス次期大統領表敬
 7日,Zou駐亜中国大使はフェルナンデス次期大統領を表敬した。これに先立ち,中国の習主席は同次期大統領の当選を祝福する書簡を10月下旬に送っている。
 
(4)チリ:フェルナンデス次期大統領とピニェラ大統領との電話会談
 11日,フェルナンデス次期大統領はピニェラ・チリ大統領と電話で会談した。
 
(5)フランス:フェルナンデス次期大統領とマクロン大統領との電話会談 
9日,フェルナンデス次期大統領はマクロン大統領と電話で会談した。報道によれば,両者は,ベネズエラ,チリ及びブラジル等ラテンアメリカ地域の国々の情勢について話をした他,マクロン大統領からは,フェルナンデス次期大統領のフランスへの招待がなされた由。
 
(6)メキシコ:フェルナンデス次期大統領のメキシコ訪問
 2~5日にかけてアルベルト・フェルナンデス次期大統領はメキシコを訪問し,4日にはロペス・オブラドール大統領と会談,昼食を共にした。また,Femsa,Arca, Bimbo,Techint,Alfa, Cemexといったメキシコ企業関係者とも夕食を共に取りつつ,会談した。
 
 
(7)ボリビア:
ア モラレス大統領の辞任に対する現・次期政権の対応
 10日のモラレス大統領辞任に関し,亜外務省はプレスリリースを通じ,平穏と対話の維持を呼びかけ,憲法の規定の尊重と新しい選挙プロセスの実施を要請した。
これに対し,フェルナンデス次期大統領は,自身のツイッターでボリビアの状況をクーデターと表現した。
 
イ モラレス大統領子息のアルゼンチン滞在
 23日,モラレス前ボリビア大統領の2人の子息がアルゼンチンに到着し,フェルナンデス次期大統領と面会した。
 
(8)ウルグアイ:フェルナンデス次期大統領のウルグアイ訪問
 14日,アルベルト・フェルナンデス次期大統領はウルグアイを訪問し,バスケス大統領と会談したほか,与党拡大戦線のマルティネス大統領候補と昼食を共にした。
 
(9)要人往来
 ア 往訪
●2~5日 フェルナンデス次期大統領メキシコ訪問
●8日 フォリー外務大臣ブラジル訪問(リマグループ会合)
●14日 フェルナンデス次期大統領ウルグアイ訪問
●22~24日 フォリー外務大臣日本訪問(G20外相会合)
 
イ 来訪
●8~10日 ルセーフ元ブラジル大統領,ルゴ元パラグアイ大統領,サンペール元コロンビア大統領(第2回「プエブラ・グループ会合」)
                          

         (了)