アルゼンチン政治情勢(月1回更新)
アルゼンチン政治情勢(2021年10月)
2021年11月作成
在アルゼンチン日本大使館
1 内政
(1)政府:
ア 新型コロナウイルス関連
1日、政府は行政決定を発出し、亜への入国者数の制限を徐々に緩和し、11日以降、国内におけるワクチン接種完了の割合が50%に達した日から14日経過後、入国者数の制限を撤廃する旨発表した。上記を受け、19日、亜政府は入国者数の制限措置を撤廃した。
イ カフィエロ外相の駐亜各国大使への就任挨拶
6日、カフィエロ外相は、外相就任に際し、駐亜各国大使らを集め挨拶を行い、亜の多国籍主義及び国際協力へのコミットを強調した。
ウ 持続可能なモビリティ法案
12日、フェルナンデス大統領は、トヨタ工場を訪問し、今後10年間で83億ドルの投資及び2.1万人の雇用を生み出す「持続可能なモビリティ」法案を発表した。
(2)司法:
ア ハイトン最高裁判所判事の辞意表明
10月5日、フェルナンデス大統領に近しいとされるハイトン最高裁判所判事(キルチネル政権期に選出)が、11月1日付での辞意を表明した。同裁判官の後任の選出には、上院の3分の2以上の承認が必要であり、与党全体での合意を経て、与野党間での合意が必須であるため、早期の後任選出は困難であると見られる。
イ 「イラン覚書」事件での副大統領起訴取り下げ
10月7日、連邦口頭審理法廷は、クリスティーナ副大統領ら当時の政権関係者が国家反逆と隠匿の疑いで起訴(その後控訴審で隠匿罪のみに変更)されている「イラン覚書」事件を証拠不十分として取り下げた。今回の決定を巡っては、予審による上程判断を受け、連邦口頭審理法廷の判事らは、数か月前には口頭審を行うべきとの立場を取っていたにも関わらず、証拠及び証人の発言を検証する場である口頭審を行うことなく証拠不十分として同案件の取り下げを決定した点が、司法プロセス上大いに問題視されている。
ウ 「潜水艦サン・フアン」事件
28日、マクリ前大統領は、2017年に沈没した潜水艦サン・フアンの犠牲者遺族に対するスパイ行為に関与した疑惑の事件に関する取り調べのため裁判所に出廷したが、その後手続き不備を理由に延期になった。
(3)その他:
ア 「パンドラ文書」
4日付当地各紙は、「パンドラ文書」の公表を受け、同調査における租税回避の受益者数において、亜が世界第三位であったことを大きく取り上げた。
イ ペロン党記念日「忠誠の日」
16~18日、ペロン党記念日「忠誠の日」(17日)を祝う集会が各地で開催された。「五月広場」のメイン集会には、フェルナンデス大統領に近い閣僚及びブエノスアイレス州内の市長、ラ・カンポラが参加したが、参加が噂されたフェルナンデス大統領は、結局参加せず、ビデオメッセージでの参加となった。
2 外交
(1)中国:
21日、タイアナ国防相は、魏鳳和(WEI Fenghe)国務委員兼国防部長(上将)とオンライン形式で会談し、国防分野の二国間アジェンダにおける協力及び交流につき意見交換を行った。
(2)米国:
ア 15日、マンスール内閣官房長官及びグスマン経済相は、米ニューヨーク亜領事館にて20名以上の投資家及び実業家に対し、亜の政治経済の基本方針及び見通しについ
て紹介するとともに、IMFとの交渉の進展につき報告した。
イ 27日付当地各紙は、スタンリー次期駐亜米大使候補が、26日の上院外交委員会指名承認公聴会において、亜に対し、経済を軌道に戻すためのマクロ経済計画を打ち出すよう要請した旨報じた。
(3)ロシア:
14日、テタマンティ筆頭外務副大臣は訪露し、リャプコフ外務次官との間で亜露政策協議を行った。
(4)ボリビア:
4日、カフィエロ外相はマイタ・ボリビア外相とオンラインで会談し、両国間の国境通行措置につき意見交換を行った。
(5)ウルグアイ:
5日、カフィエロ外相は、来亜したブスティージョ・ウルグアイ外相と会談した。
(6)ブラジル:
8日、カフィエロ外相は訪伯し、フランサ伯外相と会談を行い、メルコスール対外共通関税の10%の引き下げへの合意を含む内容の共同声明を発出した。
(7)パラグアイ:
14日、カフィエロ外相は、来亜したアセベド・パラグアイ外相と会談した。
(8)G20ローマ・サミット:
30~31日、フェルナンデス大統領はG20ローマ・サミットに出席した。また、30日にゲオルギエバIMF専務理事、メルケル独首相、マクロン仏大統領、サンチェス西首相、ミシェル欧州理事会議長及びフォン・デア・ライエン欧州委員会委員長、31日にマクシマ国連事務総長特別顧問(蘭王妃)、テドロスWHO事務局長及びトルドー加首相と各々会談した。また、31日にバイデン米大統領及びボルソナーロ伯大統領と非公式の立ち話を行った。
(9)G20関連会合:
ア 12日、カフィエロ外相は、伊ソレントにおいて開催されたG20貿易・投資担当大臣会合に出席した。また、11日にディ・マイオ伊外相、12日にタイ米通商代表部代表及びマロト西産業・通商・観光相、13日にオコンジョ=イウェアラWTO事務局長及びグリンスパン国連貿易開発会議(UNCTAD)事務局長と各々会談した。
イ 12日、フェルナンデス大統領は、アフガニスタンに関するG20臨時首脳テレビ会議に出席した。
ウ 13日、グスマン経済相は、米ワシントンで開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議に出席した。また、12日にゲオルギエバIMF専務理事及びリプトン米財務省上級顧問と各々会談した。
エ 17~19日、ビソッティ保健相は伊を訪問し、ミランで開催中のG20女性フォーラムに出席した。
オ 29日、グスマン経済相は、ローマで開催されたG20財務大臣・保健大臣会合において演説を行い、ビソッティ保健相はオンライン形式で出席した。
カ 30~31日、G20ローマ・サミット出席のために訪伊したフェルナンデス大統領に同行したカフィエロ外相は、露、中国、伯、墨、サウジアラビアの外相と各々会談した。
(10)国際通貨基金委員会(IMFC):
14日、グスマン経済相は、米ワシントンDCで開催された第44回国際通貨基金委員会(IMFC)に出席した。また、ショルツ独財務大臣、インドネシア、伊、スイス、韓国、墨、露、サウジアラビア及びバルバドスの各政府高官との二国間会談を行った。
(11)非同盟運動(NAM)60周年ハイレベル会議:
11~12日、テタマンティ筆頭外務副大臣は、セルビアで開催された非同盟運動(NAM)第1回会議の60周年を祝うハイレベル会議に出席した。
(12)ラテンアメリカ開発銀行:
ア 13日、フェルナンデス大統領は、ディアス=グラナドス・ラテンアメリカ開発銀行(CAF)総裁と会談し、計11億ドル超の8つの融資につき協議するとともに、亜の統合的発展を促進するため、本年中に5.7億ドル、明年に10億ドルの新たな融資が実施されることで合意した。
イ 19日、フェルナンデス大統領は、19~20日に開催中の第25回ラテンアメリカ開発銀行(CAF)総会にオンライン形式で出席した。
(13)米州機構(OAS):
20日、亜は、米州機構(OAS)常設理事会において、ニカラグア大統領選挙プロセスに関する決議は6月15日付亜墨共同声明と一致する要素を含んではいるが、まだ実施されていない選挙の展開を予断しているとして棄権した。
(14)要人往来:
ア 往訪
ブラジル:カフィエロ外相。
イタリア:フェルナンデス大統領他(G20首脳サミット)、カフィエロ外相(G20外相会合)、ビソッティ保健相(G20女性フォーラム)、グスマン経済相(G20財務大臣・保健大臣会合)。
米国:グスマン経済相(G20財務大臣・中央銀行総裁会議、国際通貨基金委員会(IMFC))、マンスール内閣官房長官。
セルビア:テタマンティ筆頭外務副大臣(非同盟運動(NAM)60周年ハイレベル会議)。
ロシア:テタマンティ筆頭外務副大臣。
イ 来訪
ウルグアイ:ブスティージョ外相。
パラグアイ:アセベド外相。
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