アルゼンチン政治情勢(月1回更新)
アルゼンチン政治情勢(2026年1月)
1 内政
(1)ミレイ政権
●国家情報法の改正(2日)
2025年末、政府は、国家情報庁(SIDE)の組織再編や権限を規定する国家情報法の改正を必要緊急大統領令(DNU)で実施し、1月2日に施行した。今次改正では、内閣官房と連携してのサイバーセキュリティ強化や、SIDE単独での逮捕権限を有する点等が主な変更点とされる。
●マネーロンダリング・テロ資金供与対策関連(9日)
9日、大統領府は、大量破壊兵器の拡散資金供与に関連する資産の摘発・資産凍結を行う行政上の新たな措置を導入する旨発表した。
●軍人の国防省役職就任に係る法律を修正する大統領令の発出(26日)
ア 26日、国防省は、軍人が同省の役職に就任する際、当該軍人を待機状態とする法律の条文を修正するDNUが発出された旨発表した。
イ 元々の条文では、上記待機状態に移行した期間は、国防省での勤務期間が実勤務として算入されないことを意味していた。
●ミレイ大統領等の地方訪問
ア 17日、ミレイ大統領は、コルドバ州を訪問し、文化行事に出席した。
イ 26日、ミレイ大統領は、マルデルプラタ市で開催された右派の政治集会「Derecha Fest」に出席した(選挙での地方の支持への謝意表明ツアー(Tour de la gratitud)の一環とされる)。
(2)その他
●森林火災対応
ア 1月2日に、ラパンパ州で、1月5日から8日頃にかけては、チュブト州、サンタクルス州、ネウケン州の山林、国立公園等の複数地で、同時多発的に森林火災が発生した。
イ 発災以降、治安省連邦非常事態庁(AFE)統括の下、消防隊、連邦治安部隊が被災州に派遣された他、29日、アルゼンチン政府は、発災州に対し、火災緊急事態を宣言する必要緊急大統領令(DNU)を発令した。
ウ 12日、ビジャルエル副大統領は、森林火災被災地の一つであるチュブト州エプジェン市を訪問した。なお、6日には、サンティリ内相が、労働改革の交渉のためチュブト州を訪問したが、トーレス同州知事との記者会見では、森林火災への各種対応につき言及した。
エ なお、対外的には、チリ政府との間で、両国でそれぞれ発生した森林火災に対し、相互に支援の提供が行われた。
2 外交
(1)対米関係
●アルゼンチンに対するトランプ米大統領設立の「平和理事会」への招待
ア 17日、ミレイ大統領は、アルゼンチンが、トランプ米大統領創設の「平和理事会」に、創設メンバーとして招待された旨発表した。
イ 22日、ミレイ大統領は、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)への出席に際し、上記「平和理事会」の署名式に出席し、参加に係る書類に署名した。
●米国議員を乗せた航空機のウシュアイア着陸(26日)
26日、米下院のエネルギー・商業委員会所属の超党派議員団を乗せた米空軍のボーイング機がウシュアイア市に着陸した。報道によれば、環境破壊や鉱山・廃棄物管理の許可手続き、重要鉱物の処理、公衆衛生、医療分野での安全保障等につき、同議員団と専門家による会合が行われた由。
(2)ベネズエラ情勢
●米軍によるベネズエラ攻撃に関する大統領発信等(3日)
ア 3日、アルゼンチン政府は、同日の、米軍によるベネズエラ領内の攻撃及びマドゥーロ・ベネズエラ大統領の拘束を支持する声明を発出した。
イ 3日、ミレイ大統領は、マドゥーロ大統領の失墜を歓迎し、国連安保理の場で米国を支持する意向を表明する旨、自身のXに投稿した。
ウ 3日、アルゼンチン治安省は、上記拘束を受け、マドゥーロ政権に関連するベネズエラ国民を対象とした新たな移民政策の実施を発表した。
エ 4日、アルゼンチン政府は、ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)の緊急会合で、米国に対する非難声明の発出に反対した。
オ 5日、トロぺピ・アルゼンチン国連代表は、国連安保理緊急会合で、米国の行動を支持する発言を行った。
●ブラジルによるアルゼンチンの利益代表の取りやめ
ア ベネズエラ政府によりアルゼンチン外交団が国外追放を受けた2024年8月以降、ブラジルがアルゼンチンの利益代表を務めていたが、1月10日、ブラジル政府は同対応を取りやめることを発表した。
イ 代替案として、イタリア政府がアルゼンチンの利益代表を(ブラジルより)引継ぐ可能性がある旨報じられた(2月10日現在、公式発表等は確認されず)。
(3)その他首脳級
●ミレイ大統領のダボス会議出席(21日)
21日、ミレイ大統領は、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で演説した他、ダボス滞在中、パルメラン・スイス連邦大統領等の各国要人・企業家等と個別に会談し、ルビオ米国務長官と立ち話を実施した。
●ミレイ大統領のEU・メルコスールFTAの署名式への参加(17日)
17日、ミレイ大統領は、パラグアイで行われたEU・メルコスールFTAの署名式に出席した。同署名式では、同行したキルノ外相が、メルコスールを代表し同FTAに署名した。
(4)その他
●ホンジュラス大統領選挙結果を巡る動き(10日)
10日、アルゼンチンは、ボリビア等ラ米地域の7カ国と連名で、カストロ・ホンジュラス大統領(当時)による、12月下旬に発表された大統領選挙結果の再集計を命じる大統領令の発出を拒絶する共同声明を発出した。
●アルゼンチン政府によるテロ組織指定
大統領府は、14日にはムスリム同胞団のレバノン、エジプト、ヨルダン支部を、17日には、イスラム革命防衛隊のコッズ部隊及びそれに関係する個人13名をテロ組織に指定する旨発表した。
●アルゼンチンのNASAミッションへの参加(16日)
16日、アルゼンチン大統領府は、アルゼンチンがNASAのアルテミスIIミッションに参加する旨の声明を発出した。
(5)対中関係
●与党「自由の前進(LLA)」議員等の訪中
1月6~13日、与党「自由の前進(LLA)」所属の下院議員及び親与党派野党議員が、中国外交部の招待で訪中した旨報じられた。
●サンタクルス州のダム開発に係る融資の実行(18日)
18日、サンタクルス州政府は、同州のダム建設に係る中国からの融資の実施を確認した(同ダム建設には中国企業が参加、中国系銀行も融資を実施)。
(6)要人往来
往訪:
スイス:ミレイ大統領、カリーナ・ミレイ大統領府長官、キルノ外相、カプート経済相、スツルツェネッガー国家規制撤廃・変革相(20~23日、ダボス会議出席等)
パラグアイ:ミレイ大統領、キルノ外相(17日、EU・メルコスールFTA署名式)
来訪:
スペイン:アユソ・マドリード州首相(8日)
アラブ首長国連邦:リーム・ハーシミー国際協力担当国務大臣(13日、なお、キルノ外相は、16日にアブダッラーUAE外相と電話会談を実施)
(了)