アルゼンチン政治情勢(月1回更新)
アルゼンチン政治情勢(2026年3月)
1 内政
(1)ミレイ政権
●議会・法案
ア 1日、ミレイ大統領は通常議会開会式で、施政方針演説を行った。今後、私有財産保護を国家の基盤と位置づけ、必要な法制度の改革を行い、経済の自由化と国際経済への統合を深める他、各省庁の構造改革法案を推進する旨述べた。
イ 6日、2月の臨時議会で可決していた労働近代化法が官報に掲載・公布された。
ウ 9日、2月の臨時議会で可決していた刑事責任対象年齢引き下げの法改正が官報に掲載・公布された。
エ 3月中、新たな法案の審議は一切行われず、唯一氷河法改正案(2月、上院で可決済み)について下院で25日、26日に公聴会が行われた。政府はこれから州知事との会合を行い、情報共有等を進める予定。
オ 30日、労働改革法につき、労働総同盟(CGT)の仮処分の求めに応じ、司法は約82条項につき、憲法適合性審理のため暫定的効力停止を命じた。政府は控訴する予定。
●新司法相の任命(5日)
リバロナ司法相の後任として、マイケス元ブエノスアイレス市検事総長が就任。裁判所裁判官の大幅な欠員補充等体制強化を喫緊の課題としている。
●10日、アルゼンチン・ウィーク2026に同行したアドルニ官房長官が妻を政府専用機で同行させた件等がスキャンダル化。検察当局が捜査を開始。
●15日、ミレイ大統領の仮想通貨リブラを巡る問題について、証拠としてノベリとミレイとの通信記録が確認され、問題が再浮上。
●ミレイ大統領のコルドバ訪問(16日)
ミレイ大統領はコルドバを訪問。商工会議所の開幕式で基調講演を実施。
●29日、ペトベッロ人的資本大臣が南極基地を公式訪問。
●29日、モガブル司法省人権担当次官の辞任(正式な辞任は4月1日)
日系人失踪等問題を含む人権分野を所掌するモガブル司法省人権担当次官(日系人)の辞職が報じられた。後任は、マクリ政権時代の人権分野幹部。
(2)スト・デモ
●公務員労組による空港ストライキが18日から24日の一部時間帯に行われる予定であったものの、政府による強制的調停命令により、17日夕刻、中止が報じられた。
●軍事クーデター50周年記念(24日)
例年の集会(デモ)が平和裏に行われた。
●氷河法改正に反対するデモ実施(25日)
通常議会で審議予定の氷河法改正案に抗議するためNGOグリーンピース等によるデモが平和裏に行われた。
2 外交
●米国議会による警告(2日)
米国議会はその報告書で、アルゼンチンの宇宙基地等軍民両用施設等による中国の軍事能力強化に対する警告を行った。
●米州反カルテル会議(5日)
プレスティ国防大臣は、ピート・ヘグセス米戦争長官が招集した米州反カルテル会議において、米国が推進する麻薬テロ対策のための米州安全保障連合への加盟協定に署名した。
●「米州の盾」サミット(7日)
ミレイ大統領は、トランプ米大統領が主宰した「米州の盾」サミットに参加。カリーナ大統領府長官、アドルニ官房長官、キルノ外相が同行。終了後ニューヨークに移動し、レベ(ユダヤ教最高指導者)の墓、ユダヤ系大学及びメディアによる行事等に出席。
●「アルゼンチン・ウィーク2026」(9日~12日)
9日~12日、在米アルゼンチン大使館がJPモルガン他と共に、アルゼンチンへの投資機会促進のイベントを開催。ミレイ大統領は開会式で演説を行った(10日)。
●23日、プレスティ国防大臣は、ブラックホークヘリコプター購入交渉のため、ペンタゴンを訪問した。
●25日、米国政府は、4月6日から予定していたアルゼンチンとの初めての共同軍事演習を中止(イラン情勢が理由)。
(2)その他
●ベネズエラ情勢(2日)
2024年12月からベネズエラで拘束されていたガジョ・アルゼンチン国境警備隊員が1日までに解放され、2日当地に帰国。汚職・マネーロンダリングで追及を受けているアルゼンチンサッカー協会(AFA)が本解放の仲介を行ったとされる。
●原子力協力に関するアルゼンチン外務省・米国司法省共同声明(6日)
原子力協力に関する第19回合同常設委員会共同声明を出した。核不拡散条約へのコミットメントを再確認した。
●チリ大統領就任式(11日)
ミレイ大統領は、カリーナ大統領府長官及びキルノ外相と共に、カスト・チリ大統領の就任式に出席。
●14日、ミレイ大統領はスペインを非公式に訪問した。
ミレイ大統領はスペインを非公式訪問し、2026年マドリード経済フォーラムで演説。スペインの極右政党VOX党首、経済学者、企業家との写真を投稿。スペイン首相、王との接見等なし。同行はキルノ外相のみ。
●14日、国家難民委員会(CONARE)は2023年1月に、ルーラ・ブラジル政権に対するクーデター未遂で有罪判決を受けたボルソナロ支持者1名に対する難民認定を承認することを決定。
●17日、ミレイ大統領はイスラエル大使館に対するテロ攻撃から34周年の追悼式典で演説。
●18日、アルゼンチンが国際ホロコースト記憶連盟(IHRA)の議長国に就任。
●WHO脱退
ア 17日、キルノ外相及びルゴーネス保健相が、アルゼンチンのWHO脱退の正式完了についてXに投稿。
イ 20日、テドロスWHO事務局長は、アルゼンチンのWHO脱退について、同国で安全性が低下する旨発言(アルゼンチン政府側の反応なし)。
●YPF訴訟の判決
ア 18日、大統領は声明で、法務技術庁、国家財務訟務庁、司法庁及び外務省の1年間の継続的な取組により、ニューヨーク第2巡回区控訴裁判所がYPF訴訟でアルゼンチンに有利な歴史的かつ前例のない判決を下したと発表。
イ 27日、ニューヨーク州控訴裁判所は、YPFの国有化をめぐるアルゼンチンに対する第一審判決を取り消した。
●26日、ミレイ大統領は、カリーナ・ミレイ大統領府長官及びキルノ外相と共に、CPAC参加のため、ハンガリーのブダペストを訪問。
●26日、イスラエルのギデオン・サール外相がXに、パラグアイ他外相、アルゼンチン他外務副大臣とオンライン会合を行い、イラン及びヒズボラとの闘いについて情報共有を行ったと投稿。アルゼンチン側出席者は不明。
●26日、キルノ外相は、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦、クウェートの大使と会談。中東情勢について協議。同外相は、イラン政権の行動が湾岸の安全、世界経済、航行の自由、国際貿易の正常な発展にとって脅威と指摘。
●27日、キルノ外相はチリを訪問ペレス・マケナ外相と初会合。ミレイ大統領からカスト大統領へアルゼンチン訪問の招待状を渡した。
●26日、国連事務総長選挙に立候補していたビルヒニア・ガンバ候補(アルゼンチン人女性)は、唯一の推薦国だったモルディブが正式に推薦を取り消したため、立候補が無効化。現時点でグロッシー候補、バチェレ候補他計4名が立候補中。
●27日、政府はメキシコの「ハリスコ新世代カルテル」をテロ組織と指定し、公式登録リストに追加した。
●31日、政府は、イラン革命防衛隊を「テロ組織」に指定した。
(3)要人往来
往訪:
米国:ミレイ大統領、キルノ外相、カリーナ大統領府長官、アドルニ官房長官、カプート経済相、スツルツェネッガー国家規制撤廃・変革相、ルゴーネス保健相他(ミレイ大統領は9日~10日、ニューヨーク開催の「アルゼンチン・ウィーク2026」参加)
チリ:ミレイ大統領、キルノ外相、カリーナ大統領府長官(11日、チリ大統領就任式)
スペイン:ミレイ大統領、キルノ外相(非公式訪問、14日、2026年マドリード経済フォーラム参加)
ハンガリー:ミレイ大統領、キルノ外相、カリーナ大統領府長官(20日~22日、CPAC参加)
チリ:キルノ外相(27日、ペレス・マケナ外相と初会合)
来訪:
ピーターズ・ニュージーランド外務大臣(2日、ミレイ大統領・キルノ外相との会合、在アルゼンチンニュージーランド大使が同席)
米国の実業家ハーバート・アレン・ジュニア氏(16日、ミレイ大統領・カプート経済相との会合)
欧州議会のメルコスール関係代表団(30日、キルノ外相との会合)
(了)