アルゼンチン政治情勢(月1回更新)
平成29年2月15日
アルゼンチン政治情勢(2017年1月)
2017年2月作成
在アルゼンチン日本大使館
在アルゼンチン日本大使館
1 内政
(1)大統領府・政府:
(ア)政府要人の辞任
9日付官報において,バリーニョ保健省副大臣の辞任が発表された。また,18日には,ダニエル・チャイン内務・公共事業・住宅省副大臣(公共事業担当)が辞任したが,今後,同ポストはしばらく空席の予定。また,24日付官報において,カルロス・メルコニアン国立ナシオン銀行総裁の辞任が発表され,後任には,ハビエル・ゴンサレス・フラガ氏(元亜中銀総裁)が任命された。
(イ)ブエノスアイレス市の警察組織改編
2日,ブルリッチ治安大臣は,ブエノスアイレス市内の警察組織に関し,連邦警察(Policía Federal)の一部である首都圏連邦治安監督総局(Superintendencia de Seguridad Metropolitana de la Policía Federal)の約1万9千人と首都圏警察(Policía Metropolitana)の約6千人を統合し,新たにブエノスアイレス市警察(Policía de la Ciudad de Buenos Aires)が同市を管轄する組織としての機能を開始する旨発表した。また,ラレタ・ブエノスアイレス市長は,同市警察総監に,ホセ・ペドロ・ポトカル氏(前首都圏連邦治安監督総局ブエノスアイレス市警察署統括局長)を任命した。
(ウ)アルゼンチン政府による新たな国境管理政策
アルゼンチン政府は,治安対策にかかる国境管理を強化するため,(1)商用便の搭乗者に関する事前旅客情報システムの導入,(2)国家国境委員会の創設,(3)国境警備隊及び州兵の配置換え,(4)緊急大統領を通じた移民法の改正(外国人に対する入国禁止または国外追放措置適用のための最低有罪判決年数の引き下げ等)等の実施を発表したが,これら措置に対しては,国内の人権団体やボリビア,パラグアイ等隣国政府からの批判があがっている。
(2)司法・検察:
(ア)伯オデブレヒト社によるアリーバス連邦情報局長官への贈賄疑惑
24日,亜連邦裁判所が,2013年に伯オデブレヒト社が亜国内の公共事業に関連してアリーバス連邦情報局長官に対する贈賄を行ったとされる疑惑に関する予審開始を決定した。これに対し,アリーバス長官は,振り込みを受けた資金は不動産売却代金であるとの弁明を行った。
(イ)労災保険の改正
23日,労災保険(ART: Aseguradores de Riesgos del Trabajo)の改正法に関する緊急大統領令(DNU: Decreto de Necesidad y Urgencia)が官報にて公布された。同改正は,労災裁判の訴訟件数減少を目的としており,今後,訴訟手続きの前に,「医療委員会」が賠償額や障害等級等に関する判断を60日以内に行うこととなった。
(ウ)ブエノスアイレス市における裁判所の管轄の移管
19日,中央政府とブエノスアイレス市政府の間で,司法裁判所の権限,組織及び人員を連邦裁判所からブエノスアイレス市裁判所へ移管する旨の合意が交わされた。同移管は段階的に実施される予定で,今後,訴訟期間の短縮が見込まれる。
(3)その他: 火事及び洪水の発生
昨年12月より,ラ・パンパ州で原因不明の火事が発生し,隣接するリオ・ネグロ州やブエノスアイレス州まで被害が拡大し,既に約140万ヘクタールが焼き尽くされた。また,エントレ・リオス州及びサンタフェ州では,年末から雨が降り続いて両州の州境を流れるパラナ川が氾濫し,一帯が洪水被害を受けている。
2 外交
(1)世界経済フォーラム
(ア)マルコーラ外務大臣等による第47回世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)出席
17~20日,マルコーラ外務大臣,ドゥホブネ財務大臣,カブレラ工業生産大臣,ブルリッチ教育大臣,ストゥルセネヘル中銀総裁は,スイスのダボスで開催された第47回世界経済フォーラム年次総会に出席し,各国政府代表や企業関係者と会合等を行った。なお,本年はマクリ大統領による同年次会合への出席はなかった。
(イ)マルコーラ外務大臣のメルコスールと欧州自由貿易連合(EFTA)との会合
19日,スイスにおいて世界経済フォーラムに出席中のマルコーラ外務大臣は,メルコスールと欧州自由貿易連合(EFTA)の会合に出席した。同会合では,両地域間における自由貿易協定交渉の開始に関する覚書(MOU)への署名が行われた。
(ウ)世界経済フォーラムにおけるマルコーラ外務大臣主要なバイ会合
18日,マルコーラ外務大臣は,モゲリーニEU外務・安全保障政策上級代表と会合を行い,メルコスール-EU自由貿易協定交渉を引き続き促進していくことを再確認した。また,ルキータ・インドネシア商業(貿易)大臣との会合において,「アルゼンチンの東南アジア諸国に対する輸出の成長には伸びしろがある。」旨強調した。更に,アセベドWTO事務局長と会合し(カブレラ工業生産大臣同席),次回(12月に)ブエノスアイレスで開催予定のWTO閣僚会合において,亜による農産品輸出について協議を行う重要性につき強調した。
(2)米国
(ア)トランプ米大統領の就任
20日,トランプ米大統領の就任式にはアルゼンチンからルストー駐米大使が出席したが,マクリ大統領は,ツイッター上で,「新大統領の幸運を祈年する。」とのメッセージを発出した。
(イ)亜産レモンの米国輸入の一時停止措置
23日,米国農務省は,亜産レモンの米国輸入に関し,60日間の一時停止措置を発表した。これに対し,亜のブルジャイレ農産業大臣は,「今次措置は,亜政府に対してだけでなく,米国と経済的取引のある他の国に対しても同様に行われている。」旨述べた。
(3)墨米関係: 墨米関係に対するアルゼンチン政府の反応
27日,亜外務省は,「米墨間の壁の建設に向けたイニシアチブへの懸念」と題するプレスリリースを発出し,米国に対する一方的なイニシアチブに対する懸念を表明した。
(4)国連:2020年の核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議の議長職への立候補
26日,亜政府が,ラファエル・グロッシー駐オーストリア亜大使を,2020年核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議議長ポストに擁立した旨報じられた。
(5)ブラジル:カブレラ工業生産大臣のブラジル訪問
30~31日,カブレラ工業生産大臣がブラジルを訪問し,ペレイラ伯産業貿易サービス相を議長とする第三回二国間生産・貿易委員会に出席した。双方は両国間の貿易を拡大することで合意するとともに,亜伯において,EU及びEFTAとの交渉を優先すること,及び日本,カナダ及びアジア・太平洋地域の国々との貿易関係を緊密化することで一致した。
(6)ドミニカ共和国:マルコーラ外務大臣の第5回CELAC首脳会合出席
26日,マルコーラ外務大臣はドミニカ共和国で開催された第5回CELAC首脳会合に出席した。本会合の成果として,プンタカナ政治宣言,2017年CELAC行動計画,20の特別宣言が採択され,フォークランド(マルビーナス)諸島問題に関し,亜の立場への支持が表明された。
(7)エクアドル: マルコーラ外務大臣の南米諸国連合(UNASUR)臨時外相会合出席
31日,マルコーラ外務大臣は,エクアドルで開催された南米諸国連合(UNASUR)臨時外相会合に出席した。同日付けで,2年半の任期を終えたUNASURのサンペル事務局長(コロンビア元大統領)に対し,加盟国外相らは,同事務局長による域内の平和と統合への貢献に感謝の意を表した。亜外務省が発出したプレスリリースの中で,マルコーラ外務大臣は,域内の通商,投資及びインフラの重要性につき強調した。
(8)英国: カプート金融大臣の英国及び米国訪問
16~19日,カプート金融大臣は,英国(ロンドン)及び米国(ボストン及びNY)を訪問し,ドル建て亜国債発行に関する説明会を行い,19日は,国際金融市場でドル建て亜国債を発行した。これにより,亜政府は,2017年に亜政府が外国から資金調達をしようとしていた約70%にあたる約130億米ドルを調達した。
(9)トルコ: メヴリュト・チャヴシュオール・トルコ外相のアルゼンチン訪問
30日,トルコの メヴリュト・チャヴシュオール外相が来亜し,ミケティ副大統領及びマルコーラ外務大臣と会合を行った。外相会合では,税関相互協力協定への署名が行われた。
(10)要人往来
(ア)往訪
●16~19日: カプート金融大臣の英国及び米国訪問
●17~20日: マルコーラ外務大臣等のスイス訪問(第47回世界経済フォーラム年次総会)
●26日: マルコーラ外務大臣のドミニカ共和国訪問
●30~31日: カブレラ工業生産大臣のブラジル訪問(第5回CELAC首脳会会合)
●31日: マルコーラ外務大臣のエクアドル訪問(南米諸国連合(UNASUR)臨時外相会合)
(イ)来訪
●30日: メヴリュト・チャヴシュオール・トルコ外相
(了)
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