アルゼンチン政治情勢(月1回更新)
アルゼンチン政治情勢(2020年07月)
2020年8月作成
在アルゼンチン日本大使館
1 内政
(1)大統領府・政府:
ア 新型コロナウイルス関連
(ア)感染者数10万人を突破
12日、アルゼンチン国内における新型コロナウイルスの感染者数が累計10万人の壁を突破した。保健省の報告では同日時点の感染者は100、166人であり、ブエノスアイレス市及びブエノスアイレス州の占める割合が92%であった。
(イ)強制隔離措置8回目及び9回目の延長
17日、フェルナンデス大統領は8回目となる全国強制隔離措置の7月18日から8月2日までの延長を発表した。その後、31日、同大統領は、8月3日から16日までの9回目の延長を発表した。
イ 独立記念日式典
9日、フェルナンデス大統領は大統領公邸で独立記念日の式典を実施した。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、本年の同式典は小規模なものとなり、右模様はウエッブ配信された。なお、大統領が、同式典に亜産業連盟(UIA)や農牧協会等の経済界代表を招いたことに対し、14日、エベ・デ・ボナフィデ「5月広場の母達」代表が、労働者から搾取する企業側の関係者を招待したことに侮辱を感じた旨の書簡を大統領に送付し、大統領がその後釈明する事態となった。
ウ 司法改革法案の発表
29日、フェルナンデス大統領は司法改革法案について発表した。同法案は連邦裁判官数の統合と倍増及び、行政府に助言を行う有識者諮問委員会の創設等を通じて、司法制度の改善を目指すもの。右発表の際、大統領には、カフィエロ内閣官房長官、ロサルド司法・人権大臣、ビトベージョ大統領府長官、ベリス大統領府戦略長官、イバラ大統領府法務長官等が同席した。また、デ・ノラスコ最高裁副長官、マサ下院議長などの司法・議会関係者、司法審議会メンバー、著名な法学者も出席した。
(2)国会
ア 同性婚法制定10周年
同性婚法(法26,618)制定10周年を記念し、15~16日にかけて国会議事堂がレインボー・カラーでライトアップされた(注:2010年7月15日に同性婚が承認されたアルゼンチンは、ラテンアメリカで同性婚を認めた最初の国)。
イ 法案等の可決・成立
23日、上院はバーチャル審議を開催し、(1)新型コロナウイルス治癒者からの血漿寄付に関する法案、(2)電子処方箋に関する法案、(3)嚢胞性線維症患者に対する包括的な保護体制促進法案を可決し、これら法律が成立した。
(3)司法
ア カニコバ判事の辞職
8日、連邦裁判所ブエノスアイレス市裁判区裁判所刑事予審部カニコバ判事は29日付で辞職することを表明した(その後同日に退職)。同判事は、辞任理由を7月末に定年の75歳を迎えるためとしているが、同判事に対しては、職務への怠慢、違法蓄財、強請、収賄等で司法審議会へ4件の告発がなされている他、政治勢力との不透明な関係も噂されていた。
(4)その他
ア クリスティーナ・フェルナンデス副大統領の元私設秘書の殺害
4日、クリスティーナ・フェルナンデス副大統領の元私設秘書(2003~10年)がサンタ・クルス州エル・カラファテ市において死体で発見された。頭部の打撲と頸部が切られた痕が確認されており、警察は遺体発見に先立ち逮捕された若者4名(18~23歳)を取り調べている。
イ LATAM航空撤退に関するデモ
14日及び15日、アルゼンチンからの撤退を表明したLATAM航空で働く労働者による抗議デモがアエロパルケ空港前で実施された。デモ参加者は、雇用の継続を訴えたり、十分な解雇手当が支払われないことへの告発を行った。
ウ トラック組合によるメルカド・リブレ配送センター封鎖
16日、パブロ・モジャノ氏率いるトラック運送組合は、当国最大のネット通販企業「メルカド・リブレ」の配送センターで働く1200人について、労働協約が遵守されていない、また同人らは積み卸し組合ではなく、トラック運送組合に所属すべきであると主張し5カ所ある同センターを封鎖した。その後、労働省が仲介し、同組合とメルカド・リブレ側との話し合いがもたれたことで封鎖は17日に解除された。
エ AMIA会館襲撃事件26周忌
18日、イスラエル共済組合(AMIA)会館襲撃事件から26周忌を迎えた。新型コロナウイルス感染拡大を踏まえ、本年の式典は前日17日にYouTube やFacebookを、通じて映像を配信する形で実施された。
2 外交
(1)中国:
ア フェルナンデス大統領と習主席間の書簡交換
7日、フェルナンデス大統領は6月に習主席に宛てた書簡への返書を受領した。同書簡を通して、両首脳は新型コロナウイルスとの闘い及び様々な分野での実務的な協力強化のための両国共同の取り組み等について意見交換を行った。
イ ソラー外務大臣と鐘山中国商務部長との電話会談
6日、ソラー外務大臣は、鐘山中国商務部長と電話会談を実施した。同会談では、本年11月に上海で開催される中国国際輸入博覧会(CIIE)へのアルゼンチンの参加が確認された。
ウ 副大臣級政策対話の実施
14日、亜外務省は中国との第3回常設二国間委員会政治案件小委員会会合をオンライン形式で実施した。中国側はZheng Zeguang外交部副部長、亜外務省からは、テタマンティ筆頭外務副大臣、ペレス・ガビロンド次官(外交政策担当)、ラモン次官(多国間・二国間経済交渉担当)及びアセベド・アジア大洋州局長が出席した。
エ ソラー外務大臣の中国とラテンアメリカ・カリブ諸国外務大臣会合出席
22日、ソラー外務大臣は中国とラテンアメリカ・カリブ地域の外務大臣会合(テレビ会議)へ参加した。エブラル・メキシコ外務大臣と王毅中国外交部長が共同議長を務め、COVID-19に対峙するための医薬品、ワクチン、医療機材への世界的なアクセスを保証する国際協力の強化の他、中南米の公衆衛生プロジェクトを支援するための特別なインフラ投資への融資利用可能性及び域内食料安全保障のための国連食糧農業機関(FAO)の基金の割当促進等について議論がなされた。
(2)韓国: フェルナンデス大統領と文韓国大統領との電話会談
3日、フェルナンデス大統領は文韓国大統領と電話会談を実施し、二国間アジェンダの複数のテーマを取り上げ、特に新型コロナウイルス・パンデミックの拡大と影響を抑える政策に関して意見交換を行った。
(3)英国:フォークランド(マルビーナス)諸島における英国軍事演習への抗議
16日、亜外務省はプレスリリースにて、マルビーナス諸島における英国の軍事演習は国連総会決議等に反しているとして、断固として拒絶する旨の抗議を発した。
(4)ベネズエラ:国連人権理事会におけるベネズエラの人権侵害に対する懸念表明
15日、国連人権理事会におけるバチェレ国連人権高等弁務官によるベネズエラの人権侵害にかかる報告書発表の機会に、ビジェガス寿府代大使はベネズエラの人権侵害に深い懸念を表明し、自由選挙の実施を要請した。
(5)要人往来
ア 往訪
特になし。
イ 来訪
特になし。 (了)
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