アルゼンチン政治情勢(月1回更新)

平成31年1月25日

アルゼンチン政治情勢(2018年12月)

1 内政

(1)大統領府・政府
ア 治安機関の武器使用等にかかる新規則の公布
 4日,連邦警察等の治安機関による武器使用に関する新しい規則が官報において公表された。同規則により,各治安機関は,事前警告なしに発砲したり,逃走する犯罪容疑者に向けても発砲できるなど,武器の使用要件が緩和された。
 
イ イグアセル・エネルギー国務大臣の退任
 28日,イグアセル・エネルギー国務大臣が退任し,後任にロペテギ大統領顧問/前内閣府官房副長官が同国務大臣に就任した。
 
(2)連邦議会:特別国会の招集(3日~28日)
 3日,政府は,3日から21日(後に28日まで延長)まで特別国会を招集する旨の政令を発出した。同特別国会では,5日,モンソー下院議長他の再任が決定されたほか,政府機関職員にジェンダー教育を義務づける法案などが可決された。しかしながら,政府が同特別国会での成立を目指していた政治資金規制法案やサッカーにかかる暴力行為を禁止する法案については議会の承認は得られなかった。
 
(3)司法・検察
 ア ブドゥー前副大統領の保釈決定
 11日,第一審は,民間印刷会社チコーネ社の買収を巡る不正蓄財容疑により,5年10か月の禁固刑の判決が下されたブドゥー前副大統領に対して,逃亡の恐れはないとして,判決が確定するまで保釈を認める決定を下した。
 
イ 年金算定基準に関する最高裁の違憲判決
 18日,最高裁は,2003年に退職した元トラック運転手の訴えに関し,国家社会保障機構(ANSES)が,年金支給額改定に正社員平均課税所得指数(RIPTE指数)を用いていることは違憲であり,産業建設基礎給与指数(ISBIC指数)を用いるべきであるとの判決を下した。ISBIC指数は,全労働者所得の平均であるRIPTE指数の約2.5倍の伸びを示しており,政府は今後厳しい対応を迫られることになった。なお,この判決により,約1万1千人の年金受給者に影響が出ると推計されている。
 
ウ 「賄賂ノート」汚職事案(フェルナンデス前大統領に対する訴追の承認)
 20日,上級審(Camara Federal)は,「賄賂ノート」汚職事案において,フェルナンデス前大統領がその中心的な役割を担ったとするボナディオ判事の訴追決定を追認する判断を行った。
 
 
2 外交
 
(1)G20:
 11月30日~(12月)1日,当地でG20ブエノスアイレス・サミットが開催された(同サミット及びそのマージンでの二国間会談などについては,11月分の定期報告を参照)。
 
(2)クウェート及びカタール:フォリー外務大臣の訪問
 11日~13日,フォリー外務大臣は,協力・経済関係の強化及び投資誘致を目的として,クウェート及びカタールを訪問した。クウェートでは,Jeque Sabah Al Khalid Al Hamad Al Sabah外相,Naif Falah Al Hajraf財務大臣及びFarouk Al Bastaki投資庁長官と会談を行ったほか,政府及び企業関係者を招いての朝食会を催した。カタールでは,Tamin Bin Hamad Al-Thani首長を表敬し,Mohamad Bin Abdulrahman外相やAli Bin Ahmed Al Kuwari商工大臣と会談を行った他,カタール商工会との共催によるビジネスセミナーに出席した。
 
(3)メルコスール
 18日,モンテビデオにおいて,第53回メルコスール首脳会議が開催され,マクリ大統領が出席した(フォリー外務大臣他同行)。同首脳会合において,共同コミュニケが採択された他,亜はメルコスール議長国を引き継いだ。
 また,同行したフォリー外相は,17日,共同市場理事会に出席し,参加各外相と共に,ニキシナ・ユーラシア経済同盟貿易大臣と両経済ブロックの協力及び財・サービス貿易に関するMOUに署名を行った。加えて,ヌネス伯外相とバイ会談を行い,原子力に関する平和利用及び戦略的関係を再確認する亜伯共同声明に署名を行った。
 
(4)要人往来
 
ア 往訪

●11日~13日:

フォリー外務大臣のクウェート及びカタール訪問

●18日:

マクリ大統領のウルグアイ訪問(第53回メルコスール首脳会議出席)

 
 イ 来訪

●11月30~(12月)1日:

安倍総理,トランプ米大統領,プーチン露大統領,習中国国家主席他G20各国首脳等及び国際機関幹部(G20ブエノスアイレス・サミット出席。注:各国首脳のイン・アウト日程はそれぞれ異なる。)

 
 

                                   (了)