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概要
(1)亜連邦歳入庁(AFIP)は、すべての輸入に対して、事前にAFIPの求める情報を提供しなければならないとする事前輸入宣誓供述制度を施行。
(2)政府発表では、2月の消費者物価の伸びは前年同月比9.7%の上昇と、引き続き高い水準とされた。他方、民間においては、公式統計は引き続き実態を下回っているものと見られており、民間コンサルタント8社の推計集計値ではさらに高い22.75%となっている。
(3)1月の消費及び生産は、引き続き好調であった。市場見通しでは12年の成長率は4.6%と予測されている。
1月の貿易は、輸出が前年同月比10%増、輸入が同10%増となった結果、貿易黒字は同7%増となった。
1月の財政収支黒字は、前年同月比70.4%減となり、また、総合収支は、28.2億ペソの赤字と、5ヶ月連続で赤字となった。
(4)為替レートは、緩やかにペソ安となり、前月末比0.5%ペソ安の1ドル=4.3465ペソとなった。また、M2は、前年同月比29.5%増と、引き続き高い伸び率を続けている。株価指数であるMerval指数は、29日には前月末比139ポイント減となった。カントリーリスク指数であるEMBI+は、 29日には前月末比10ポイント増となった。
2 経済の主な動き
(1)経済全般
1日、亜連邦歳入庁(AFIP)は、すべての輸入に対して、事前にAFIPの求める情報を提供しなければならないとする事前輸入宣誓供述制度(DJAI)を施行。
3日、亜政府は、石油会社に対する報奨金制度(ペトロレオ・プルス制度及びレフィノ・プルス制度)を廃止。
8日、事前輸入宣誓供述制度(DJAI)について、AFIPは全案件を承認し、指摘事項は国内取引庁のみによるものであり、また、2011年の輸入額が50万ドル未満の企業に対しては、ほぼ自動的に輸入許可が出ていると報じられる。
14日、亜国立農牧技術院(INTA)は、今回の干ばつによる損害は14%を越えないと評価。
17日、亜連邦歳入庁(AFIP)は、事前輸入宣誓供述制度(DJAI)について、ANMAT(国家医薬品・食品・医療技術監督庁)に続き、SENASA(国家農畜産品衛生品質管理機構)も同制度に加入することを発表。
17日、モレーノ経済省国内取引庁長官は、輸入に携わる企業100社との会議において、輸出入均衡を実施すれば、事前輸入宣誓供述(DJAI)手続きにおいて、円滑に輸入を許可できる旨発言したと報じられる。
22日、亜連邦歳入庁(AFIP)は、4日1日より、事前輸入宣誓供述制度(DJAI)にロイヤルティ・著作権等のサービスも含めることした(対価が10万ドル以上、または分割払いの場合は1回あたり1万ドル以上のもの)。
22日にブエノスアイレス市内で発生した鉄道事故を受け、マクリ・ブエノスアイレス市長は、29日、地下鉄の運営権委譲を拒否する旨発表。これに対し、公共事業省は、運営権委譲については既に合意済みであるとするコミュニケを発出。
29日、亜政府は、外国人農村土地所有制限法について、各州は60日以内に外国人または外国法人による土地所有を報告しなければならない等とする施行規則を発表。
(2)物価・賃金
1日、IMF理事会は、亜のCPIについて、改善が見られなかったことを遺憾とし、亜当局に対し、180日以内にCPI及びGDPの質の見直しのための具体的な措置をとることを求めた。
3日、亜政府は、電気、水道、ガスの補助金削減対象地域の追加を発表。
23日、ブエノスアイレス市教員労組は、最低賃金を22.6%引き上げることで同市政府とと合意。
(3)対外関係
15日、亜農牧漁業省と中国当局は、亜産トウモロコシの対中輸出解禁にかかる合意文書に署名。
3 経済指標の動向
(1)経済活動全般
12月の経済活動指数(INDEC発表)は前年同月比6.0%増、前月比0.2%減と、前月比が減少に転じた。
1月のREM(民間エコノミストの予測の中銀による集計値)の平均では、12年の実質GDP成長率は前月の予測と同じ4.6%と予測されている。
(2)消費
(ア)小売
1月のショッピングセンター売上高(INDEC発表)は、前年同月比22.0%増、前月比38.9%減となり、前月比が再び減少に転じた。スーパーマーケット売上高(INDEC発表)は、前年同月比26.2%増、前月比18.5%減となり、25ヶ月連続で前年同月比の伸びが2桁台となった。
(イ)自動車販売
2月の自動車販売台数(自動車協会(ADEFA)発表)は、前年同月比13.1%増、前月比1.5%増となった。
(3)工業生産・建設活動
(ア)工業生産
1月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比2.7%増、前月比0.9%増と、前年同月比の増加幅が拡大した。分野別では、自動車において減少が見られたほか、金属機械、化学等が好調だった。
1月の稼働率(INDEC発表)は、前年同月比1.9%減、前月比14.4%%減の67.6%となった。分野別では、石油精製、化学等において上昇が見られた一方で、自動車等においては下落が見られた。
REMの平均では、12年の工業生産指数の上昇率は前月の予測より0.1%減の前年比4.4%増と予測されている。
(イ)建設活動
1月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比1.2%増、前月比4.7%増となり、2ヶ月連続の前月比増加となった。
(ウ)自動車生産
2月の自動車生産台数(自動車協会発表)は、前年同月比28.8%増、前月比28.9%増と、前月比が再び増加に転じた。
(4)物価・雇用
(ア)物価
2月の消費者物価指数(INDEC発表)は、前年同月比9.7%、前月比0.9%の上昇と、引き続き高い水準となった。飲食料品において、前月比1.3%増と、高い伸びが見られた。他方、民間においては、公式統計は引き続き実態をかなり下回っているものと見られており、一部の野党議員らは、民間コンサルタント会社8社による推計の集計値として、2月の消費者物価は、前年同月比22.75%、前月比1.65%の上昇となったと発表した。
2月の卸売物価指数は、前年同月比12.6%、前月比1.0%の上昇となり、引き続き高い水準となった。
REMの平均では、12年の消費者物価指数の上昇率は前月の予測より、0.3%減の前年比13.5%と予測されている。
(イ) 雇用・賃金等
2011年第4四半期の失業率(INDEC発表)は、前年同期比0.6ポイント減、前期比0.5ポイント減の6.7%となり、また、準失業率(非自発的に週35時間未満の労働にしか従事できない者)は、前年同期比0.1ポイント増、前期比0.3ポイント減の8.5%となった。
1月の給与指数(INDEC発表)は、前年同月比28.44%増、前月比1.03%増と、引き続き高い水準となった。民間正規部門及び民間非正規部門においても同様の上昇が見られた。
REMの平均では、12年の給与指数の上昇率は前月の予測より0.03%増の前年比22.92%増、12年の失業率は前月の予測より0.1%減の7.0%と予測されている。
(5)金融
(ア)株価指数であるMerval指数は、月末にかけて下落し、29日には、前月末比139ポイント減の2,648ポイントとなった。
また、カントリーリスク指数であるEMBI+は、上下を繰り返し、29日には前月末比10ポイント増の832ポイントとなった。
(イ)為替レートは、ドルへの両替規制、中銀による介入等により、引き続き安定して推移しつつ、緩やかにペソ安となり、29日には前月末比2.0センターボ(0.5%)ペソ安の1ドル=4.3565ペソとなった。他方、非正規為替市場においても、ペソ安傾向が継続しており、29日には1ドル=4.72ペソ程度となった。
コールレートは、安定的に推移し、29日には前月末より0.12%減の9.35%となった。民間金融機関預金残高は、29日において、前年同月末比27.4%増、前月末比2.0%増の3,364億ペソとなった。対民間貸出残高は、29日、前年同月末比43.5%増と、引き続き高い伸び率となり、14ヶ月連続で40%を超えた。M2は、前年同月比29.5%増と、引き続き高い伸び率を続けている。
外貨準備高は、持ち直す傾向にあり、29日には前月末比0.7億ドル増の466.7億ドルとなった。
REMの平均では、12年の為替レートは前月の予測より0.07ペソ減の1ドル=4.89ペソ、12年の外貨準備高は前月の予測より1.7億ドル増の475億ドルと予測されている。
(6)財政
(ア)財政収支
1月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比31.8%増、一次歳出が同37.5%増となった結果、一次財政収支は同70.4%減の6.2億ペソの赤字となった。また、総合収支は、28.2億ペソの赤字と、5ヶ月連続で赤字となった。
REMの平均では、12年の一次財政黒字は前月の予測より19億ペソ減の76億ペソと予測されている。
(イ)税収
2月の税収(経済省発表)は、前年同月比28.7%増の472.8億ペソとなり、引き続き大幅に増加した。付加価値税収が同28.5%増の13,731百万ペソ(うち、国内分については同37.4%増、税関分については3.1%増)、法人及び個人に係る所得税収が同28.8%増の8,848百万ペソ、輸出税収が同37.8%増の4,164百万ペソ、社会保障雇用主負担金が同32.5%増の7,162百万ペソとなった。
REMの平均では、12年の税収は前月の予測より89億ペソ減の6,562億ペソと予測されている。
(7)貿易
1月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比10%増の5,909百万ドル、輸入が同10%増の5,358百万ドルとなった結果、貿易黒字は同7%増の550百万ドルとなった。輸出については、大豆関連品・トウモロコシ等の穀物や原油等が主に増加した一方、食物廃棄物等が減少した。輸入については、全分野において増加が見られ、特に輸送部品は大幅増となった。
REMの平均では、12年の輸出は前月の予測より7億ドル増の871億ドル、輸入は同2億ドル増の798億ドルと予測されている。
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